Monthly Archives: 5月 2022

本の紹介1279 「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

タイトルからわかるとおり、日々の行動習慣こそがすべてだと言っていいでしょう。

日々の積み重ねに勝るものはありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

多くの人が大きな事を成し遂げる可能性を持っているのに、その可能性を活かしきれていないように感じます。その可能性を活かせるかどうかは、行動しだいです。仕事における結果の差は、行動の差によって決まります。この差を埋めるのに必要なのは、能力ではなく、行動へつなげるための意識の持ち方です。『才能の差は5倍、意識の差は100倍』」(204頁)

知識よりも意識。

意識の差が、日々の行動の差となります。

行動の差が、成果の差となります。

自分の人生は自分で切り拓くしかありません。

人生を切り拓くために必要な準備にどれだけの時間を費やしてきたか。

まさにこの点が最大のポイントです。

さまざまな雑務に追われ、気づいたら1日終わっていたという方がほとんどではないでしょうか。

この状況から抜け出すのは至難の業ですが、隙間時間を見つけて、準備に集中するほかありません。

人が寝ているとき、休んでいる、遊んでいるときに、努力を積み重ねるしかないのです。

解雇365 会社解散に伴う解雇の有効性の判断基準(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、会社解散に伴う解雇の有効性の判断基準に関する裁判例を見てみましょう。

龍生自動車事件(東京地裁令和3年10月28日・労経速2473号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結したXが、Y社から解雇されたことについて、Y社に対し、①当該解雇が無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに解雇後の賃金月額19万3894円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②Y社による違法な解雇及び本件訴訟における不誠実な態度が不法行為を構成すると主張して、Y社に対し、慰謝料100万円の支払をもとめる事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 会社の解散は、会社が自由に決定すべき事柄であり、会社が解散されれば、労働者の雇用を継続する基盤が存在しないことになるから、解散に伴って解雇がされた場合に、当該解雇が解雇権の濫用に当たるか否かを判断する際には、いわゆる整理解雇法理により判断するのは相当でない。もっとも、①手続的配慮を著しく欠いたまま解雇が行われたものと評価される場合や、②解雇の原因となった解散が仮装されたもの、又は既存の従業員を排除するなど不当な目的でなされたものと評価される場合は、当該解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるとは認められず、解雇権を濫用したものとして無効になるというべきである(なお、仮にXの主張するとおり、本件解雇が解散に伴うものではなく事業の廃止に伴うものと解したとしても、Y社が全ての事業を廃止している以上、労働者の雇用を継続する基盤が存在しないことは会社が解散された場合と同様であり、解散に伴う解雇と同様の枠組みにより判断すべきこととなると解される。)

2 本件解雇は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大や緊急事態宣言発出に伴う営業収入の急激な減少という予見困難な事態を契機としてなされたものであって、Y社がXに対し事前に有意な情報提供をすることは困難であった上、解雇後には一応の手続的配慮がされていたことからすれば、本件解雇が著しく手続的配慮を欠いたまま行われたということはできない。

解散に伴う整理解雇の有効性について、上記判例のポイント1の規範を押さえておきましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1278 戦略参謀の仕事(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「プロフェッショナル人材になる79のアドバイス」です。

2~3年毎に異動がある通常の会社では、なかなかプロフェッショナル人材は育成することは難しいですが、会社に頼らず、個としての価値を高める意識のある方は、参考になるかもしれません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

企業の低迷と没落は、経営レベルで現状を的確に把握する能力や、各機能の自律的な意思決定力の低下などに起因する『機能不全』による自滅がほぼすべて。」(66頁)

いわゆる「大企業病」です。

もっとも、これは、大企業に限った話ではなく、中小企業においても、今後ますます機能不全が生じる可能性が高まると思っています。

主たる理由の1つが「人材不足」です。

正確には「優秀な人材の不足」です。

日本は、良くも悪くも、競争社会・学歴社会ではないため、一部の例外を除いて、必死になって自分の価値を高めようとする文化はありません。

社会人になってからも勉強を続けている人がどれほどいるでしょう。

多くの日本人が東南アジアに出稼ぎに行く日もそう遠くないように思うのは私だけでしょうか。

若者のみなさん、勉強をしましょう。

自分の価値を高める努力をしましょう。

それが自分らしく生きる最も確実な方法です。

有期労働契約112 有期雇用契約に変更のあった医師の雇止めの有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期雇用契約に変更のあった医師の雇止めの有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人社団悠翔会事件(東京地裁令和3年3月31日・労判1256号63頁)

【事案の概要】

本件は、医療法人社団であるY社に雇用されていた医師であるXが、Y社に対し、主位的に、XとY社との間の雇用契約は期間の定めのない雇用契約であるから、Y社が同雇用契約を終了させたことは解雇であり、同解雇は解雇権を濫用したものとして無効であると主張し、予備的に、XとY社との間の雇用契約が有期雇用契約であるとしても、労働契約法19条により、同雇用契約は更新されていると主張し、雇用契約に基づき、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金及び遅延損害金の支払を求めるとともに、Xは、Y社の実態を知らされることなく雇用契約を締結したため、医師としての良心に従って職務を行うことができず、正当な業務を行う機会を奪われたこと、医師として十分な労務を提供する環境が損なわれたことなどにより、精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為責任又は債務不履行責任に基づき、慰謝料及び遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XとY社は、Xが独立開業するまでの間の雇用契約の締結に向けた交渉をしており、本件受傷後も、Y社はXが平成28年3月からaクリニックに勤務することを望んでいたこと、XとY社が協議した結果、Xは、同月は、週4日の半日勤務とし、同年4月以降の勤務については、同年3月の勤務状況を踏まえて相談することになり、本件雇用契約が締結されたこと、本件内定同意書及び本件雇用契約書には、「契約期間を1か月単位で更新」との記載があることが認められる。
これらの事情を考慮すると、Y社は、本件受傷後も、Xが独立するまでの1年程度の間、Xの症状を踏まえながら、本件雇用契約を1か月単位で更新していくことを想定しており、Xもそのような認識であったということができるから、Xには、本件雇用契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があったということはできる。

2 Xは、専門医、指導医等の資格を有する医師として、半日勤務で日給5万円という待遇で中途採用されており、高い資質や能力が期待されていたこと、更新の上限は、独立開業するまでの約1年間と考えられていたこと、本件受傷後、Xには、病状悪化による緊急受診や入院加療を理由に、訪問診療に従事できなくなるおそれがあり、Xの症状を踏まえながら、1か月単位で契約の更新を検討するものとされていたこと、実際に契約が更新されたのは1回であることが認められる。これらの事情を考慮すると、Xの本件雇用契約の更新に対する合理的期待の程度は、高いものとはいえない
そして、Xの担当する訪問診療は、通常、2週間に1回の割合で実施されており、その前提で薬も処方されており、施設の看護師等の勤務予定も訪問診療日を踏まえて調整していることから、訪問時には、患者や施設に次回の診療日を伝える必要があるところ、Xは、4月勤務表で勤務日とされた日に、自らの通院を理由に勤務しなかったり、F氏に対し、自らの通院後でなければ予定を立てることができないとの理由で、5月の勤務日を伝えなかったというのであるから、このようなXの対応は、Y社や訪問先の施設の業務に支障を及ぼす不適切なものであったということができる。
また、Xが、患者本人や家族からの希望聴取や十分な説明を行わないまま、治療方針を決定又は変更したことが原因で、患者の入所する施設から被告に対して相談や苦情が複数寄せられたことが認められる。このようなXの対応は、Y社の考える在宅医療の理念とは相容れないものであるが、患者や施設は、Y社の理念に基づく訪問診療を期待して、Y社に訪問診療を依頼していることからすると、このようなXの患者等への対応は、Y社の勤務医としては、評価することのできない対応であったといわざるを得ない。
さらに、Xは、平成28年3月25日、Y社から4月分雇用契約書を交付されたが、同年4月27日の時点においても、これをY社に提出していなかったというのであるから、このようなXの対応は、本件雇用契約の更新手続に協力的ではなかったということができる。
以上のとおり、Xの本件雇用契約の更新に対する合理的期待の程度が高いとはいえない中で、Xの勤務状況や患者等への対応に問題が見られ、契約更新手続に対しても非協力的であったことからすると、Y社において、これらの事情を考慮した上で、本件雇用契約を更新しないと判断したことは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる。

有期雇用契約であっても、本件のように丁寧に雇止めの合理的理由を主張立証しなければいけません。

どれだけ裏付けをとれるかによって裁判所の判断が大きく変わりますので、日頃の準備がとても大切なのです。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1277 仕事は99%気配り#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

本のそでには「徹底した相手目線の『気配り』で、人間関係と仕事がうまく回り出す。」と書かれています。

断言しましょう。

仕事のできる人は、間違いなく、他者への想像力(=気配り力)が頭抜けており、その逆もまたしかり。

気配り力を身に付けたい方は是非、読んでみてください。

「あ、こういうことなんだ」とヒントが得られると思います。

「わかる」ことと「できる」ことは別の話ですが。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『観察』して『感じる』ことで相手がどんな人なのかを想像できたら、次に私はラジオの周波数を合わせるように、相手の気持ちに『チューニング』していきます。」(165頁)

できる人は無意識にできる。

できない人は意識してもできない。

ビジネスでうまくいっている人たちの共通点は、他者に対する観察力や想像力が高いということです。

逆に言えば、いかに学力が高くても、これらの力が欠けていると、なかなかうまくいきません。

ラジオの周波数を合わせた経験がある方ならわかりますよね。

まさにあの感じです。

他者が自分の周波数に合わせてくれるのを待っているうちは、ビジネスで成功することはありません。

有期労働契約111 更新上限規定に基づく雇止めが無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、1年の有期雇用契約を相当回数更新してきた職員への5年の更新上限規定に基づく雇止めが無効とされた事案を見ていきましょう。

放送大学学園事件(徳島地裁令和3年10月25日・労経速2472号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で契約期間を平成29年4月1日から同30年3月31日とする期間の定めのある労働契約を締結したXが、同年4月1日からの契約更新の申込みをしたにもかかわらず、Y社から、これを拒絶されたことに関し、上記労働契約には、労経速19条各号の事由があり、同拒絶が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとも認められないから、上記労働契約は、同条により、同日以降、更新されたものとみなされ、同31年4月1日からは、同法18条により、期間の定めのない労働契約に転換したと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記労働契約が更新されたとみなされる同30年4月1日以降の賃金に関し、民法536条2項に基づき、同年5月から、毎月17日限り、未払賃金10万9620円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 本件雇止めは、本件上限規定を根拠にされたものであるところ、本件上限規定は、平成24年法律第56号による労契法の改正(平成25年4月1日施行)への対応として定められたものであると認められる。
ところで、上記改正後の労契法18条は、雇用関係上労働者を不安定な立場に立たせる有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、安定的な雇用である無期労働契約に移行させることで雇用の安定を図ることを目的とするものであるが、本件上限規定に係る本件決定は、上記労契法改正をきっかけとして、無期労働契約への転換が生じた場合に被告の財政状況がひっ迫するということを主な理由として、主に人件費の削減や人材活用を中心とした総合的な経営判断に基づき、更新上限期間を5年と定めたと説明されるにとどまり、Y社における有期労働契約の在り方やその必要性、本件決定がされるまでに相当回数にわたって契約更新されて今後の更新に対する合理的な期待が既に生じていた時間雇用職員の取扱いに関して具体的に検討された形跡はない。
そうすると、本件上限規定は、少なくとも、本件決定がされた平成25年当時、Y社との間で長期間にわたり有期労働契約を更新し続けてきた原告との関係では、有期労働契約から無期労働契約への転換の機会を奪うものであって、労契法18条の趣旨・目的を潜脱する目的があったと評価されてもやむを得ず、このような本件上限規定を根拠とする本件雇止めに、客観的に合理的な理由があるとは認め難く、社会通念上の相当性を欠くものと認められる。

2 以上に対し、Y社は、本件雇止めの時点におけるY社の経営状態等からすると、本件雇止めには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上の相当性もある旨主張し、人件費削減計画、図書室業務の減少計画などの経営上の必要性を指摘する。
しかし、Y社が、本件雇止めに合わせて、平成30年1月頃から、Xの後任者を公募し、現に後任者を雇い入れていることからすると、同年3月の時点において、本件雇止めをせざるを得ない経営状態であったとは到底認められない
また、被告が特に指摘するのは、Xが有期労働契約から無期労働契約へ転換してしまうことによる経済的負担であり、このことが、平成24年法律第56号により改正された労契法18条の趣旨・目的に照らし、その改正及び施行時点において既に相当回数にわたり有期労働契約を更新してきた原告を雇止めすることができる理由とはならないことは、上記のとおりである。
以上によれば、本件雇止めは、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上の相当性があるとは認められない。

上記判例のポイント1で述べられている無期転換を認めると会社の財政状況が逼迫するという主張は、実はほとんど根拠がありません。

無期転換後の労働条件は、正社員のそれと同一にする必要まではありませんし、労働契約の解消の面でもそれほど大きな違いはありません(有期雇用なら簡単に解雇・雇止めができるというのは完全に誤解です。)。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

 

本の紹介1276 努力は天才に勝る!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

言わずと知れたプロボクサー井上尚弥さんのお父さんの本です。

帯には「できるまでやる。何度でも、何度でも。」と書かれています。

天才は、努力を続ける才能の異名です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ロードワークもタラタラ走るぐらいなら、走らないほうがいいでしょう。そうすると、地味でつまらない練習をおろそかにしないものが最後は笑うのだ、とある時期に気がつくものです。退屈で単調なことを毎日繰り返したことが、ここぞ、というときの下支えになり、また思わぬ力を発揮することにもつながるのです。」(73頁)

仕事も勉強も運動も、自らの意思で「やっている」のか、他人から「やらされている」のかの違いが、それらの質を決めています。

同じ量をやったとしても、自発的にやるのと強制されてやるのでは、その質は雲泥の差です。

これは、みなさんも経験されていることだと思います。

義務感から仕方なくやっている行動によって大きな成果が生まれることはありません。

すべては、意識、姿勢のところで決まってしまっていると言っても過言ではないでしょう。

つまり、やる前から勝負は決まっているわけです。

賃金225 賃金減額の合意の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、賃金減額の合意の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

メイト事件(東京地裁令和3年9月7日・労判ジャーナル120号59頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されているXが、平成30年4月分以降の基本給を従前の月額40万円から月額34万円に減額されたことの無効を主張して、Y社に対し、当該雇用契約に基づき、①同月分から令和3年5月分までの賃金の差額分(月額6万円)等の支払を求めるとともに、②XがY社に対し減額前の基本給月額40万円の支払をうける雇用契約上の地位にあることの確認を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求却下

差額賃金等支払請求認容

【判例のポイント】

1 本件賃金減額に係る合意の有無について、Y社は、Xに理由を説明した上で、本件賃金減額をしたところ、本件訴訟の提起に至るまでX又はX代理人から何の異議も述べられなかったなどとして、Xが本件賃金減額について黙示に合意した旨を主張するが、労働者が賃金の減額について長期間異議を述べずにいたことをもって直ちに当該賃金減額について黙示に合意したといえるものではなく、そして、Xが本件賃金減額を了承したことを窺わせる積極的言動に及んだ事実を認めるに足りる証拠はなく、むしろ、Y社がXに減額後の賃金を明記した契約書への署名押印を求めたところ、Xがこれに応じず、Y社から交付された「質問状」と題する書面に「雇用契約は、従前締結したものがあるので、再契約は必要ないと思います」、「賃金については従前どおりでお願いします」などと記載してY社に提出した事実が認められるから、Xが本件賃金減額について黙示に合意したということはできない

労働条件の中でも賃金に関する不利益変更をするのは、本当に難しいです。

労働者の同意の効力について、裁判所はとても厳しく解釈しますので注意しましょう。

「給料は一度上げたら最後。下げることはできない。」と認識しておくくらいがちょうどいいです。

賃金の減額をする場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介1275 ジョブズの哲学#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

ジョブズが残した40の教えが書かれています。

今読み返しても、全く色褪せない普遍的な内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

偉大な成功を成し遂げた人は、『好きなことを仕事にした』と口々に語っている。・・・『自分の仕事に惚れなければ、絶対に成功しません。素晴らしい仕事などできるわけがないのです』」(180頁)

まあ、そりゃそうだという内容です。

逆に言えば、自分の仕事が辛くて嫌いでやりたくないというのは悲劇です。

自分の仕事が好きだからこそ苦労も楽しいわけです。

山登りが嫌いな人がいやいや登山をするのは地獄です。

楽しい仕事など存在しません。

自分の仕事を楽しめるかどうか。

ただそれだけの話です。

解雇364 旅費の不正受給を理由とする懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、旅費の不正受給を理由とする懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(札幌高裁令和3年11月17日・労経速2475号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間の労働契約に基づいて業務に従事していたXが,被控訴人による平成30年3月22日の控訴人の懲戒解雇は、懲戒事由が認められず、懲戒事由があるとしても客観的合理的理由を欠き、社会通念上の相当性を欠くものであるから無効であるなどと主張して、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②平成30年5月分の未払給与42万7574円+遅延損害金の支払、③同年6月から本判決確定の日まで、毎月24日限り、月額45万2680円の給与+遅延損害金の支払、④同年6月から本判決確定の日まで、毎年6月30日限り賞与(夏期手当)60万円及び毎年12月10日限り賞与(年末手当)70万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審が、本件懲戒解雇は有効であるとして、Xの請求を全て棄却したところ、これを不服として控訴人が控訴した。

【裁判所の判断】

1 懲戒解雇無効

 Y社は、Xに対し、1685万1767円+遅延損害金を支払え。

3 Y社は、Xに対し、令和3年9月から本判決確定の日まで、毎月24日限り44万0320円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件非違行為は、Xが、100回という非常に多数回にわたり、旅費の不正請求を繰り返したというもので、その不正受給額(クオカード代金を含む。)も合計約54万円にのぼっている上、Xが広域インストラクターという営業インストラクターの中でも特に模範となるべき立場にあったことなどを踏まえると、その非違の程度が軽いとはいえない
他方で、多数の営業インストラクターがXと同様の不正受給を繰り返していたなどY社の旅費支給事務に杜撰ともいえる面がみられることや、Xに懲戒歴がなく、営業成績は優秀でY社に貢献してきたこと、本件非違行為を反省して始末書を提出し、利得額を全額返還していることなど酌むべき事情も認められる。
そして、本件非違行為の態様等は、本件服務規律違反者らの中で最も重い停職3か月の懲戒処分を受けた者と概ね同程度のものであるといえ、本件非違行為に対する懲戒処分として懲戒解雇を選択すれば、本件非違行為に係る諸事情を踏まえても、前記停職3か月の懲戒処分を受けた者との均衡も失するといわざるを得ない。
これらを併せ考えると、本件非違行為は、雇用関係を終了させなければならないほどの非違行為とはいえず、懲戒標準の1(3)「服務規律違反」の9「虚偽の申告をなしあるいは故意に届出を怠る等して、諸手当、諸給与金を不正に利得し又は利得せしめた者」のうち「基本」に該当するものとして処分を決するのが相当というべきであって、懲戒解雇を選択とすることは不合理であり、かつ相当とはいえない。
したがって、本件懲戒解雇は、その余の手続面等について検討するまでもなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することができないものであり、懲戒権を濫用するものとして無効と認められる。

懲戒処分をする際に、同種事案における他の従業員との均衡を考える必要があります。

もっとも、全く同じ事案は存在しないため、均衡に関する解釈は非常にファジーになります。

今回の事案でも、まさに地裁と高裁で判断が割れており、どちらの結論にでも判決が書けてしまいます。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。