解雇365 会社解散に伴う解雇の有効性の判断基準(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、会社解散に伴う解雇の有効性の判断基準に関する裁判例を見てみましょう。

龍生自動車事件(東京地裁令和3年10月28日・労経速2473号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結したXが、Y社から解雇されたことについて、Y社に対し、①当該解雇が無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに解雇後の賃金月額19万3894円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②Y社による違法な解雇及び本件訴訟における不誠実な態度が不法行為を構成すると主張して、Y社に対し、慰謝料100万円の支払をもとめる事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 会社の解散は、会社が自由に決定すべき事柄であり、会社が解散されれば、労働者の雇用を継続する基盤が存在しないことになるから、解散に伴って解雇がされた場合に、当該解雇が解雇権の濫用に当たるか否かを判断する際には、いわゆる整理解雇法理により判断するのは相当でない。もっとも、①手続的配慮を著しく欠いたまま解雇が行われたものと評価される場合や、②解雇の原因となった解散が仮装されたもの、又は既存の従業員を排除するなど不当な目的でなされたものと評価される場合は、当該解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるとは認められず、解雇権を濫用したものとして無効になるというべきである(なお、仮にXの主張するとおり、本件解雇が解散に伴うものではなく事業の廃止に伴うものと解したとしても、Y社が全ての事業を廃止している以上、労働者の雇用を継続する基盤が存在しないことは会社が解散された場合と同様であり、解散に伴う解雇と同様の枠組みにより判断すべきこととなると解される。)

2 本件解雇は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大や緊急事態宣言発出に伴う営業収入の急激な減少という予見困難な事態を契機としてなされたものであって、Y社がXに対し事前に有意な情報提供をすることは困難であった上、解雇後には一応の手続的配慮がされていたことからすれば、本件解雇が著しく手続的配慮を欠いたまま行われたということはできない。

解散に伴う整理解雇の有効性について、上記判例のポイント1の規範を押さえておきましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。