Monthly Archives: 8月 2022

本の紹介1311 働き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「『なぜ働くのか』『いかに働くのか』」です。

稲盛さんのすべて本に共通する「王道」は、時代を問わず、原点回帰させてくれます。

ご冥福をお祈りいたします。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

失敗や苦難に遭遇したときに、不平不満を並べ、世をすね、人を妬むことなく、その試練に耐えて、さらに努力を重ね、小さいながらも確かな成功を一つずつ引き寄せて、やがて逆境を順境に変えることができるのか。また、成功や幸運に遭遇したときにも、おごることなく、素直に感謝して、さらに努力を重ね、その成功を長く持続させることができるのか。
苦難、成功いずれにしても、私たちは試されているのです。」(120頁)

よくこのブログにも書くことですが、不平不満を言って、状況が好転することはありません。

すべては原因と結果の法則に支配されているにすぎません。

自らが意識的、無意識的に選択をした結果が現在の自分であり、現在の状況です。

状況を変えるためには、原因(選択)を根本的に変えるほかありません。

全ては自分の選択の結果なのです。

賃金229 賃金減額合意の有無と未払賃金等支払請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃金減額合意の有無と未払賃金等支払請求について見ていきましょう。

ハピネスファクトリー事件(東京地裁令和4年1月5日・労判ジャーナル123号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、令和2年4月及び同年5月分の賃金の一部が支払われていないとして、未払賃金等の支払を求め、また、未払割増賃金及び付加金の支払を求め、さらに、Y社がXを長時間労働に従事させたことが安全配慮義務違反に当たるとして、債務不履行に基づき、慰謝料50万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払賃金等支払請求認容

未払割増賃金及び付加金等請求一部認容

【判例のポイント】

1 本件手当は割増賃金として支払われたものかについて、XとY社との労働契約の内容を明らかにした契約書や就業規則は提出されておらず、Y社は、Xと労働契約を締結するに当たり、月額27万円ないし30万円の給与に残業代が含まれる旨を説明しなかったこと、Xの採用当時の求人情報には残業代について何ら記載されていなかったことが認められること等から、XとY社間の労働契約において、本件手当を割増賃金として支払うものとされていたとは認められず、本件手当をもって割増賃金の支払とみることはできない。

2 賃金減額合意の成否について、本件減額合意は、賃金を2割減額する内容であり、Xにもたらされる不利益の程度は大きく、また、Xは、Y社代表者との一対一の面談において、Y社代表者から、店の営業時間を短縮したことに伴い、人員削減をすること及び給料を2割削減することを通告され、本件同意書に署名押印するよう求められたため、やむなく本件同意書に署名押印したこと、Xは、上記面談までの間に、賃金を減額すべき経営上の必要性等について、何ら説明を受けていなかったことが認められ、そして、賃金を減額すべき経営上の必要性があったことを裏付ける客観的な証拠は何ら提出されていないから、本件減額合意が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められないから、本件賃金減額合意が成立したとは認められず、Xは、Y社に対し、令和2年4月分及び同年5月分の未払賃金として合計9万6774円の支払を求めることができる。

上記判例のポイント1も2も、これでは勝てるものも勝てません。

両方とも、労務管理上の基本的な論点ですのでしっかり押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1310 仕事の大事は5分で決まる#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

仕事をするにあたって著者が大事にしていることが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人脈の本質はあくまで相手の『人間性と能力』に対する強い相互信頼感であり、テクニックの結果ではないでしょう。仕事上の人脈を考えるなら、まず磨くべきはあなた自身の能力です。いくら人間性が良くても、能力的に一緒に仕事ができない相手との人脈は結局繋がらないものです。逆に、いくら仕事ができても、その人間性に問題があれば、やはり相手との繋がりの持続は期待できません。」(21頁)

まさに本に書かれているとおり、人間性と能力は両輪ですので、どちらが欠けてもうまくいきません。

仕事でうまくいっている方を見てみると、だいたいこの両方のバランスが取れています。

どちらか一方だけでは、決して関係が長続きしないのです。

賃金228 退任慰労金減額分相当額等の支払請求が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、退任慰労金減額分相当額等の支払請求が認められた事案を見てみましょう。

テレビ宮崎事件(宮崎地裁令和3年11月10日・労判ジャーナル122号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の代表取締役社長を退任したXが、Y社の株主総会においてY社の内規に基づいて取締役会が決議した退任慰労金をXに支払うことを委任する旨決議されたのに、Y社の代表取締役であるY2が故意又は過失によってこの委任の範囲又は内規の解釈・適用を誤ったため、Y社の取締役会においてこの委任の範囲を1億8500万円超える減額を行う旨の決議がなされ、弁護士に委任して訴訟を提起することを余儀なくされたとして、選択的に後記(1)又は(2)を求めた事案である。
(1) 選択的請求その1(退任慰労金請求等)
ア Y社に対し、会社法361条1項に基づき、退任慰労金1億8500万円+遅延損害金の支払
イ Y2に対し、会社法429条1項又は不法行為に基づき、損害賠償金1850万円+遅延損害金の支払
(2) 選択的請求その2(退任慰労金不支給に係る損害賠償請求)
Y社に対しては、会社法350条又は不法行為に基づき、Y2に対しては、会社法429条1項又は不法行為に基づき、損害賠償金2億0350万円(退任慰労金減額分1億8500万円、弁護士費用1850万円)+遅延損害金の連帯支払

【裁判所の判断】

被告らは、Xに対し、連帯して、2億0350万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件取締役会決議は、Xに支給する退任慰労金につき、本件調査委員会の最終報告書に示された減額可能額の90%を基準額から減額した5700万円を支給することが妥当であるとの被告Y2の報告を前提として審議が行われ、Xに5700万円の退任慰労金を支給する旨決議したものである。
Y会社の取締役会は、この決議に至る過程で、本件内規による基準額から特別減額の額を控除して算定するという、本件調査委員会の採った手法を前提として採用し、審議を行っているが、このような過程は、退任慰労金の額を最終的に決定するまでの過程に過ぎず、本件内規による基準額及び特別減額の額が個別に決議されたものではない
そうすると、本件取締役会決議は、本件内規に基づく基準額のとおりの退任慰労金を支給することを決議した上、特別減額を決議したものであるとは認められない。

2 Y2は、被告会社の取締役会の議長として、Xの退任慰労金の支給についての審議を行い、本件取締役会決議を成立させているが、本件取締役会決議は、本件内規の解釈適用を誤り、CSR費用等の支出についてまで特別減額をしたものであり、本件株主総会決議の委任の範囲を誤り、与えられた裁量を逸脱ないし濫用したものである
本件取締役会決議は、Xと利害関係のない弁護士等で構成された本件調査委員会が相応の期間を費やしてXからの聴き取りを含む調査を実施し、取りまとめた詳細な最終報告書を踏まえたものである)が、この最終報告書が本件内規の解釈適用を誤ったものでないかについては、Y社の取締役会が独自に判断すべきものである
そうすると、Y2は、Y社の職務を執行するに当たり、故意ないし重大な過失があったとまでは認められないものの、本件株主総会決議の委任の範囲又は本件内規の解釈適用を誤った過失があったと認められる。

上記判例のポイント2は注意が必要です。

取締役会において、内規の解釈適用が誤ったものでないかについて、適切に判断すべきであるという点はしっかり押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

 

本の紹介1309 いい仕事ができる人の考え方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「あなたの『働きモード』が変わる36のQ&A」です。

仕事や働き方について疑問や悩みを持っている方は読んでみるといいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

生きたカエルを熱いお湯の入った器に入れると、当然、カエルはびっくりして器から飛び出てくる。ところが今度は、最初から器に水とカエルを一緒に入れておき、その器をゆっくりゆっくり底から熱していく。・・・すると不思議なことに、カエルは器から出ることなく、やがてお湯と一緒にゆだって死んでしまう。」(88頁)

みなさんご存じの「ゆでガエル理論」です。

毎日単調な生活を送っていると、変化に対する感度が鈍るというのが私の意見です。

今の日本がそうであるように、本当のところ、既に国力は大きく減退しているにもかかわらず、相変わらず、多くの国民が自己投資・自己防衛するわけでもなく、物価が高い、給与が上がらないと不満をこぼしているだけのように見えます。

手持ちのキラーカードをどれだけ揃えておくか。

もう器の中の水は、かなりの温度に達しているということを自覚しなければいけません。

有期労働契約113 1度も更新されていない場合の雇止めが有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、1度も更新されていない場合の雇止めが有効とされた事案について見ていきましょう。

アクティオ事件(横浜地裁川崎支部令和3年12月21日・労判ジャーナル122号30頁)

【事案の概要】

本件は、川崎市市民ミュージアムの指定管理者であるY社が、市民ミュージアムの副館長であったY社の元従業員Xを雇止めしたことについて、XがY社に対し、労働契約法19条2号を根拠に雇止めの無効を主張し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xとの本件雇用契約は一度も更新された実績がなく、Xの雇用期間もわずか1年間であって短期間にとどまっており、X以外の学芸員ら市民ミュージアム従業員との関係で雇用契約が反復更新されていた実績がない以上、Xにおいて本件雇用契約も更新されるとの合理的期待が生じる状況だったとは認められず、そして、本件雇用契約において、雇用期間の更新可否の判断基準として、「勤務成績、態度」、「能力」が明記されているのであるから、これについて問題がある場合には雇用契約が更新されない可能性があることはXにおいて十分認識可能だったといえるところ、Xは、館長から①の問題(館長に事前に報告もなく他で講演することが問題となっている旨)を指摘され、また、②の問題(市民ミュージアム及び川崎市も巻き込んで市民ミュージアムに対する信頼を失墜させる大変な問題になっている旨の指摘)のように市民ミュージアムに対する信頼を失墜させる大変な問題であるといった強い非難を受けたのであるから、Xが本件雇用契約は当然に更新されるといった期待を抱く状況にはなかったというべきであるから、Xにおいて本件雇用契約が更新されることを期待していたとしても、その期待には合理的な理由があるものとは認められず、労働契約法19条2号の要件に該当しない。

特に目新しい判断ではありません。

更新回数が少ないことや他の同種従業員の実績等から更新への合理的期待が否定されています。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1308 君の思いは必ず実現する#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

原理原則を重んじた、王道以外の何物でもないことが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

才能に乏しくても熱意があれば人に負けないはずだ。しかし、それ以上に大切なものがあるはずだ。それは心のあり方だ。人間として正しい考え方を持ち、目標に向かって一生懸命に努力すれば必ず夢は実現する、つまり、人生は心に描いたとおりになる、そう考えて、私は今日まで生きてきました。」(5~6頁)

裏を返せば、日々の継続的な努力がなければ、何も成し遂げられません。

努力を続けることができるというのも一種の「才能」なのかもしれません。

結果はそんな簡単には出ません。

結果が出ないと途中で諦めてしまうから、結果がいつまでたっても出ない。

すべては努力の継続、ただそれだけのことです。

守秘義務・内部告発12 元従業員による顧客情報の利用及び第三者への開示・提供の差止めが認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、元従業員による顧客情報の利用及び第三者への開示・提供の差止めが認められた事案を見ていきましょう。

X事件(横浜地裁令和4年3月15日・労経速2480号18頁)

【事案の概要】

本件は、美容師であるXを雇用し同人をQ1が運営する美容室において就労させていたY社が、Xが退職後において、Q1の顧客の情報を利用し、また、第三者に開示し、提供するおそれがあると主張して、Xに対し、雇用契約上の秘密保持特約に基づく差止請求権を被保全権利として、別紙1記載の情報の利用等の差止めの仮処分を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

Xは、令和6年3月15日が経過するまで、神奈川県内及び東京都内において、Xが就労又は運営する美容室等の顧客にする意図で別紙1記載の顧客に電話をかける、電子メールを送信するという営業活動及び別紙1記載の情報の全部又は一部について第三者に開示、提供をしてはならない。

【判例のポイント】

1 Y社は、Q1との間で、Q1が運営する美容室の運営を委託されているところ、Y社の被用者がその退職後に美容室の顧客の情報を利用し又は第三者に開示、提供するなどして美容室の顧客の情報が漏洩した場合、Q1との信頼関係が棄損され、業務委託の範囲の縮小や契約解除などに至るおそれがあると認められる。これらは、事後的な金銭賠償では償うことができないものというべきである。

2 そして、Xは、Y社との雇用契約終了後の就業先を探している中で、本件店舗の顧客の情報を携帯電話に記録しているのであるから、Xが新たな就業先において別紙1記載の情報を利用して営業活動をするおそれ及び就業先などの第三者に別紙1記載の情報を開示、提供するおそれがあると認められる。
よって、Xによって本件店舗の顧客の氏名、住所、電話番号が利用され又は第三者に開示、提供された場合には、Y社が著しい損害を被るおそれがあることが認められる。

実際にここまでの対応をとるケースは少ないですが、是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談をする体制を整えておき、速やかに相談することにより敗訴リスクを軽減することが重要です。

本の紹介1307 人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

もう何度読み返したかわからない本です。

仕事に熱狂している人が読むと共感できる内容だと思いますが、そうでないとなかなか難しいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今日と違う明日を生きろ
働くことには、いつも『発見』がなければならない。だからこそ価値が生じ、それを他者に提供することができるのだ。『発見』のない仕事など、単なる人生の空費にすぎない。」(18~19頁)

私にとって、仕事をすることは生きることとほとんど同義なので、仕事がつまらない、辛いというのはすなわち、人生がつまらない、辛いということを意味します。

仕事を通じて、生きていることを実感し、幸福追求をし、社会貢献ができるのだと思っています。

大切なのは、仕事において一定の裁量が与えられ、自分の考えに基づき自由に物事を進められる、ということです。

このような仕事にこそ、私はやりがいを感じます。

責任は生じますが、いつだって、自由と責任は表裏ですから、当然のことです。

そんな仕事に巡り合えた人は、本当に幸せだと思います。

労働者性48 美容室勤務の美容師の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、美容室勤務の美容師の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

TRYNNO事件(名古屋地裁岡崎支部令和3年9月1日・労経速2481号39頁)

【事案の概要】

本件は、美容室勤務の美容師の労働者性が争われた事案である。

【裁判所の判断】

労働者性否定
→請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本件美容室での業務については、その遂行過程においてY社から指示を受けることなく、そもそも顧客からの予約を受けるか否かという点も含めて自らの判断で行っていたことが認められる。
その勤務状況を見ても、特段Y社に指示を仰ぐことなくカット等の業務をこなしており、また、勤務時間については、予約が入っていない際に本件美容室から外出することもあるなど、かなり自由に行動していたことがうかがわれ、時間的にも場所的にもY社によって拘束されていたとはおよそ認めがたい
これらの事情だけをもっても、XとY社との間に、本件美容室の業務に関する指揮命令関係を見出すことは困難である。

2 Xは、XがY社からタイムツリーというアプリを用いて指揮命令を受けていたと主張するが、単に予約状況を共有していたというものにすぎず、それ以上に指揮命令を基礎づける事情とは言えない。
さらに、Xの給与は、毎月一定額を支給されるというもので、残業や欠勤の際に報酬が増減したといった事実は認められないのであり、労働の結果によって報酬が左右される性質を有していない。
他方で、Y社は、Xが受け取っていた給与については、給与所得として源泉徴収及び雇用保険料を徴収していたことが認められるが、報酬が固定であったことも併せ考えれば、Y社においてXに安定した収入を得させる目的で便宜的にそのような扱いをしたものと見ることができるのであり、労働者性の認定にあたって上記の推認を覆すほどの強い事情とまでいうことはできない。
また、XとY社は、もともと交際関係にあったものであり、いわゆる面接、採用という通常の雇用契約に想定される手続を経ているものではないし、就業規則や服務規律、退職金制度、福利厚生の有無についての定めも一切ない
しかも、これらについてXがY社に不満を訴えたりした事情は認められない。これらの事情は、X及びY社が、Xの本件美容室での業務において労働基準法等の規律に服することを想定していなかったことの証左である。

3 以上に加え、Xが、本件美容室の開業について、一定の物品の負担をしたこと、Y社から店舗からの退去を求められる前後を通じて、独自の商号を用いて営業を行っていたことなどを踏まえると、Xは、Y社に対して使用従属関係にあったということができず、Xの労働者性を肯定することはできない。

労働者性の判断は非常に際どいので、業務委託とする場合には、細心の注意をする必要があります。

今回の事案では労働者性が否定されていますが、多くの事案で労働者性が肯定されていますので、安易に物まねをすると火傷をしますのでご注意を。

労働者性に関する判断は難しいケースも中にはありますので、業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。