賃金232 旅費交通費の取扱いと割増賃金の算定基礎(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、旅費交通費の取扱いと割増賃金の算定基礎に関する裁判例を見ていきましょう。

オークラ事件(大阪地裁令和4年1月18日・労判ジャーナル124号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社に対し、労働契約に基づく未払賃金請求権に基づき、以下の割増賃金等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、178万0697円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、運転手はサービスエリアやパーキングエリアで睡眠を取り、宿泊施設を利用しないのがほとんどであること、大型自動車の運転手が出庫してから帰庫までに日を跨ぐ場合、実際に宿泊施設を利用したか否かに関わらず、1泊につき所定の金額の旅費交通費を支給していることを認めているのであり、これらの事情によれば、旅費交通費が実費精算の趣旨で支払われているものと認めることは困難である。
むしろ、上記の支給実態に照らすと、旅費交通費は、大型運転手が、日を跨いで運転業務に従事する場合に、その負担が大きいこと等を踏まえ、賃金を加算する趣旨で支給されているものと推認されるから、通常の労働時間の賃金に当たるというべきである。
なお、国内出張旅費規程には、乗務員のうち大型運転手の出張者の旅費として、2暦日以上にまたがる出張の場合に、宿泊費補助として1運行につき5000円、食事代補助として1運行につき1000円が支払われるとの定めがあることが認められるが、弁論の全趣旨によれば、同規程は、就業規則ではないものと認められ、ほかに同規程の定めが本件雇用契約の内容になっているものと認めるに足りる証拠はないから、同規程の上記定めの存在をもって、原告に支払われた旅費交通費が実費精算の趣旨に基づくものと認めることはできないし、旅費交通費の一部が、食事代の補助として支払われているものと認めることもできない。
また、被告主張の旅費交通費の税務等における取扱い等の事情も、旅費交通費が実費精算の趣旨で支払われていることを裏付けるに足りない。
したがって、旅費交通費は、割増賃金の算定の基礎となる賃金単価の算定の基礎となる賃金に当たるというべきである。

このパターンはとても多いです。

細かい議論なので、経営者がここまでの内容を完全に理解するのはなかなか難しいところです。

だからこそ日頃から顧問弁護士に相談をすることが、いざという時に身を助けることになります。