Monthly Archives: 10月 2022

本の紹介1326 ウォーレン・バフェット 賢者の教え#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

バフェットさんの考え方が詰まっています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

頭脳も肉体も1つしかない。それを一生使わなければならない。ただ長い間、乗り回すだけなら楽なものだ。しかし、頭脳も体も大切にしないと、40年後に自動車と同じようにぼろぼろになる。それが今から、今日から、やらなければならないことだ。10年、20年、30年後の頭脳と肉体の働き具合が、それで決まるんだよ」(101頁)

脳も体もメンテナンスをしなければ、年々、劣化していくことは疑う余地のない事実です。

仕事は長期戦ですので、やはり最後に物を言うのは体力です。

詰まるところ、意識して「運動・栄養・休養」のバランスを保つことが長きにわたり活躍する上では必要不可欠と言っていいでしょう。

忙しい、忙しいと言って、この3つのバランスを疎かにすると、長期戦で勝つことは難しいでしょう。

不当労働行為294 法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人千歳会事件(千葉県労委令和3年7月27日・労判1266号116頁)

【事案の概要】

本件は、法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 法人は、B1理事長名で12月20文書を、給与明細と共に全職員に配布した。そして、12月20日文書は、①「真摯に業務に励まれる職員の皆様」を対象としているが、全職員に配布した事実の下では全職員を対象にしたといえ、②12月20日文書の記載内容は、組合の提出した統一要求書に対する法人の回答を報告する内容のほか、組合を批判し、組合と組合に加入していない職員・法人とを対立させるものであり、③12月20日文書の配布時期は、本件不当労働行為救済申立てがなされた後であり、④12月20日文書の名義は、法人の代表者である理事長であり、⑤12月20日文書の内容をみるに、当該文書は、組合の要求内容及び活動は不適当であり、当該要求が受けられた場合は組織が衰退し消滅するとの印象を法人職員に与え、組合への不信感を抱かせるものであるから、法人職員の組合への加入を抑止し、組合活動への指示を失わせるとともに、組合の活動を委縮させる効果を生じさせるものといえる。
これらのことから総合して考えると、12月20日文書の配布は、組合員に対し威嚇的効果を与え、組合の組織、運営に影響を及ぼすものであるといえる。
以上のことから、・・・支配介入に当たり、労組法7条3号に当たる不当労働行為である。

労働組合法(不当労働行為)のルールを把握しておらず、かつ、事前にレクチャーする専門家がいない場合には、このような紛争に発展しがちです。お気をつけください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1325 ラクして成果が上がる理系的仕事術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者が考えるインプット、アウトプットの効果的な方法が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

世の中の仕事の八割は、すでに存在する良質な内容を組みなおして、新しいレポートを作成することで通用する。たいていの新知見は、先人の蓄積の上に成り立っている。自分がまったく新たに考え出したことなど、ごくわずかしかないはずなのだ。純粋にオリジナルな仕事は、まずほとんどないと思っていい。」(168~169頁)

このことを理解している人は、不必要な労力をかけずに一定の成果をあげています。

多くの場合、「新しい」ことに固執する必要はなく、既存の組み合わせと見せ方によって「新しそう」に見えるだけです。

自分で勝手にハードルを上げて、右往左往するくらいなら、徹底的に模倣してみてはいかがでしょうか。

世の中のほとんどすべては、何かの模倣です。

不当労働行為293 組合員2名を含む新入職員7名に対し、組合加入の事実関係等について確認したことが支配介入にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、法人が、組合員2名を含む新入職員7名に対し、組合加入の事実関係等について確認したことが支配介入にあたるとされた事案を見ていきましょう。

一般財団法人日本モーターボート競走会事件(東京都労委令和3年12月21日・労判1266号113頁)

【事案の概要】

本件は、法人が、組合員2名を含む新入職員7名に対し、組合加入の事実関係等について確認したことが支配介入にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

支配介入にあたる

【命令のポイント】

1 本件ヒアリングは、組合員のB及びCとその同期である非組合員5名を訓練後に養成所の教官室に呼び出し、D人事課長が各人と電話で話をする方法で行われている。このように法人が、新入職員7名を教官室に一斉に呼び出し、養成所の職員ではなく本部の人事課長が、組合の勧誘方法、組合加入の経緯又は加入の意思、他の職員の組合加入状況などを詳細に質問すれば、新入職員は、法人が、職員の組合加入の動向等を取り分け注視していることを知るとともに、法人の対応に動揺することは容易に想像できるところである。
そうだとすれば、本件ヒアリングは、組合加入者を動揺させ、組合未加入者に対しては、組合加入を躊躇させるものであったといわざるを得ない。
以上のとおり、本件ヒアリングは、新入職員に対して、法人が職員の組合加入を注視していることを意識させ、組合加入を躊躇させるものであったことから、組合の組織運営に対する支配介入に当たる。

会社の気持ちはわかりますが、これでは不当労働行為になってしまいます。

組合に加入するなとストレートに言わなくても、不当労働行為に当たりますのでご注意ください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1324 砂漠から芽を出せ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「どんな逆境でも絶対折れない自分をつくる50の言葉」です。

「自立」と「挑戦」がこの本のテーマになっています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

だからよく心得よ。現状維持は、最大のリスクだと。
・・・成功している人は全員、そんな何もない明日が怖いから、頑張り続けているんだ。だから不安感を持て。そして願うんだ。さらなる進化を。」(169頁)

そもそもこんな不安定で先が読めない時代に「現状維持」を目標にするのはどうかしています。

先が読めなくても、否、先が読めないからこそ、その場に立ち止まっていることはリスクでしかないのです。

昨日と同じ今日、今日と同じ明日が来るなんて保証はありません。

だからこそ、がむしゃらに努力をして、成長・進化をする必要があるのだと確信しています。

もはや遊んでいる場合ではないのです。

有期労働契約114 中途採用者に対する当初の短期間での雇用契約が試用期間ではないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、中途採用者に対する当初の短期間での雇用契約が試用期間ではないとされた事案を見ていきましょう。

電通オンデマンドグラフィック事件(東京地裁令和2年6月23日・労経速2485号37頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結して就労していたXが、契約期間満了を理由に雇止めされたところ、主位的には、Y社との間で締結していた労働契約は有期労働契約ではなく、試用期間付無期労働契約であるから、期間満了により終了することはないと主張し、予備的には、仮に有期労働契約であるとしても、Y社による雇止めは客観的合理的理由を欠き、社会通念上の相当性もなく無効であると主張して、Y社に対し、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、平成31年4月から本判決確定の日までの賃金(月額22万4000円)+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、被告のB取締役が採用面接の際に原告に説明したように、本件労働契約の期間は「社員試用期間」であり、「業務内容や社風などを双方で確認する」ための期間であるから、その性質は試用期間であり、本件労働契約は解約権留保付きの無期労働契約であると解されるべきであると主張する。
しかしながら、法律上、有期労働契約の利用目的に特別な限定は設けられておらず、労働者の能力や適性を判断するために有期労働契約を利用することもできると解される。
特に、本件のような中途採用の場合には、即戦力となる労働者を求めていることが少なくなく、即戦力となることを確認できた者との間でのみ正社員としての労働契約を締結するための手段として、有期労働契約を利用することには相応の合理的理由があると認められる。
したがって、労働契約において期間を定めた目的が労働者の能力や適性の見極めにあったとしても、それだけでは当該期間が契約期間なのか、試用期間なのかを決めることはできないというべきである。
期間の定めのある労働契約が締結された場合に、その期間が存続期間なのか、それとも試用期間であるかは、契約当事者において当該期間の満了により当該労働契約が当然に終了する旨の合意をしていたか否かにより決せられるというべきである。
これを本件についてみるに、XとY社は、本件労働契約においてXの地位を6か月間の期間の定めのある有期契約社員と定めていることや、本件有期契約社員規則2条が有期契約社員の労働契約において定められる期間は「契約期間」であると明記し、同規則3条が原則として「契約期間満了時には当然にその契約は終了する。」、例外的に契約が更新される場合であっても、その回数は1回に、その期間は6か月以内に限られ、「この場合も、継続的な雇用ではない。」と明確に定めていることに照らすと、原告と被告は、本件労働契約を締結するに当たり、期間の満了により本件労働契約が当然に終了することを明確に合意していたと認められる。

2 確かに、Xが正社員として雇用されることを希望して、Y社と本件労働契約を締結したことは認められる。
しかしながら、その一方で、Xは、B取締役から、本件労働契約が6か月間の期間の定めのある有期契約社員を採用するものであり、その期間は延長されることがあるものの、最長で6か月(通算で1年間)に限られると説明されたことや、Cから採用条件の説明を受けた際、「2.雇用形態 有期契約社員」、「3.契約期間 2018年4月1日から2018年9月30日まで(6ヵ月)」などと記載された本件採用条件承諾書1を交付され、これに基づいて説明を受けた上、Xにおいてこれを持ち帰って自ら改めてその内容を確認・検討する機会を得た上で、これに署名して提出し、その際、その記載内容について特段の疑問を呈することもしなかったことに照らすと、本件労働契約の期間満了後に改めて正社員として採用されるチャンスはあると思ってはいたものの、本件労働契約がその期間の満了により当然に終了すること自体は十分に認識していたというべきである。
このことは、Xが、平成30年3月14日の面談の翌日にB取締役に宛てたメールにおいて、「御社では将来的に正社員として働くチャンスがあると思い面接させて頂きました。」と述べていることからもうかがうことができる。

結論部分のみを捉えて、安易に真似をするのはやめましょう。

しっかりと事案を読むと、そう簡単に試用期間目的で有期雇用契約とすることが広く認められているわけではないことがわかります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1323 心を動かす「伝え方」 また会いたくなる「話し方」#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

「伝え方」、「話し方」がいかに大切であるかがよくわかります。

これは話すときに限らず、文章にするときも同様です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『真面目でいい人なんだろうけど、話がわかりにくくて』という評価を受ける人は、本当はいい人でなく、気の利かない人ではないでしょうか。人は、他人の話を辛坊強く聞いてはくれないもの、と知っておくことが大事です。」(29頁)

話が回りくどく、あれもこれもと延々と話をする癖がある人は気を付けましょう。

とはいえ、本人はこのことに気がついていないことが大半なので、根が深いです。

プライベートにおいてまで会話の作法に口出しするつもりは毛頭ありませんが、会話の作法は完全に癖・習慣ですので、仕事においてのみ適切な会話術を行うというわけにはいきません。

要点を簡潔に伝える。

質問されたことに端的に答える。

特に多忙な人に対しては。

自分が話したい内容ではなく、相手が求めている内容を伝えることです。

まずは、身近にいる話が上手で理解しやすい人の話し方を真似してみましょう。

解雇374 職務を特定して採用された広報担当の職員に対する解雇が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、職務を特定して採用された広報担当の職員に対する解雇が有効とされた事案を見ていきましょう。

欧州連合事件(東京地裁令和4年2月2日・労経速2485号23頁)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し、Y社の駐日欧州連合代表部において広報業務に従事していたXが、平成28年1月27日付けでY社がした解雇について解雇権濫用により無効であると主張し、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、②平成28年2月支払分以降の賃金として、同月から本判決確定の日まで、毎月25日限り、73万7965円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xが採用申込時に閲覧した募集要項には、「日本語または英語の優れた文書作成と話す力、他の人との協働能力を持っている必要があります」、「チームで働く能力と厳しい締切に合わせられること」との記載があることからすれば、Xは、これらの能力が求められることを認識した上で本件雇用契約を締結したと認められる。
また、募集要項において、2年以上のウェブサイト管理の経験を含む5年以上の実務経験がある旨の記載がされていたことや、Xの給与額が一般的には高額なものといえること等の事情を考慮すれば、Xは、相当の実務経験を有する中途採用者として、主にウェブサイトに関する高度な専門性に加え、組織内の秩序に従い他の職員と協働して業務を行う高い能力が求められていたというべきである。

2 Xは、本件雇用契約において職種及び業務内容を定めて契約を締結したものであり、同業務の遂行能力に問題がある場合、配置転換を行うことが想定されているものではなく、また、Xに求められる職務能力の程度に鑑みれば、指導等による改善が想定されているということもできない。また、Y社は本件解雇に先立ち繰り返し、注意、指導を行っており、Xの職務遂行への不適格性は重大な程度に達しているといえることからすれば、Xに対して懲戒処分等の措置をとることにより、職務遂行能力の改善が期待されるものとも認められない。
したがって、解雇に先立ち配置転換又は譴責、降格等の懲戒処分がされていないとしても、本件解雇が社会的に不相当ということはできない。

高額な給与を条件とする中途採用従業員に対する解雇事件では、一般的なそれと比べて能力不足による解雇のハードルが低く判断される傾向にあります。

あくまでそれに見合った労働条件で雇用していることが前提となりますのでご注意ください。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1322 夢に一歩近づく仕事 遠のく仕事(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

タイトルのとおり、終始、仕事に関する内容となっています。

情熱を傾けられる仕事、没頭できる仕事、職業に就いている人は、本当に幸せです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

年配者は人生を振り返ったとき、必ずといっていいほど、『意味のある存在であったと思いたい』と言う。死んでいくことが怖くてたまらない、と言う人はほとんどいない。年配者にとっていちばん怖いのは、最期に無意味な人生を送ってしまった、と感じることである。」(104頁)

人生の意義は人それぞれ異なりますので、唯一の正解というものはありません。

寝ている時間以外の多くの時間を仕事に費やしていますので、仕事を通じて、どれだけの価値を生み出せたかというのは、人生の意義を考える上で極めて大きな考慮要素になります。

仕事は、単にお金を稼ぐだけの意味をはるかに超えています。

時間は有限です。

無意味、無益だと思うことに時間を浪費するほど人生は長くありません。

賃金235 民法536条2項に基づく未払賃金請求と労基法26条に基づく休業手当請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、民法536条2項に基づく未払賃金請求と労基法26条に基づく休業手当請求を見ていきましょう。

バイボックス・ジャパン事件(東京地裁令和3年12月23日・労判ジャーナル124号56頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において勤務していたXが、Y社に対し、労働契約又は民法536条2項に基づく平成31年2月分及び同年3月分の未払賃金の支払、労働基準法26条に基づく平成31年4月分ないし令和元年6月分の休業手当、民法536条2項に基づく同期間の未払賃金(休業手当を控除した金額)の支払、労働基準法114条に基づく上記休業手当相当額の付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、383万8510円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 労働基準法26条の休業手当は、労働者の最低生活を保障する趣旨で定められた規定であり、同条所定の使用者の帰責事由は、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当である。
Y社は、平成31年3月25日、事業を停止し、原告を含む全従業員に対して休業を命じたこと、同休業の事由は、Y社が親会社であるa社から資金の供給を停止されたことによるものと認められる。
したがって、上記休業は、Y社の経営上の障害によるものというべきであり、労働基準法26条所定の使用者の帰責事由が認められる

2 使用者による休業の命令が、民法536条2項所定の債権者の責めに帰すべき事由に該当するか否かは、休業に合理性があるか否かにより判断すべきであり、その合理性の有無は、使用者側の休業の実施の必要性の内容・程度、休業により労働者が被る不利益の内容・程度、他の労働者との均衡、事前・事後の説明・交渉の有無・内容等を総合的に考慮して判断することが相当である。
Xは、事前の予告なしに事業を停止する旨を告げられ、賃金の支払を停止されたこと、平成31年2月分及び3月分の賃金についても支払を受けていないことが認められ、加えて、Xが62歳を超える高齢であり、就職先を見つけることが容易ではないと考えられることも考慮すると、Xが休業を命じられることにより被る不利益は小さくないということができるから、Y社が事業を停止したことが合理的であるとは認められず、Y社がXに対して休業を命じたことについて、民法536条2項所定の債権者の帰責事由が認められるから、Y社は、Xに対し、休業手当の支払に加え、未払賃金(休業手当を控除した金額)の支払義務を負う。

労基法26条と民法536条2項の適用場面と裁判所の判断過程がよくわかりますね。

判例のポイント1と2を比較すると、両者の考慮要素が明らかに異なることがわかります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。