Daily Archives: 2022年10月14日

不当労働行為294 法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人千歳会事件(千葉県労委令和3年7月27日・労判1266号116頁)

【事案の概要】

本件は、法人が組合を批判する内容の文書を全職員に配布したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 法人は、B1理事長名で12月20文書を、給与明細と共に全職員に配布した。そして、12月20日文書は、①「真摯に業務に励まれる職員の皆様」を対象としているが、全職員に配布した事実の下では全職員を対象にしたといえ、②12月20日文書の記載内容は、組合の提出した統一要求書に対する法人の回答を報告する内容のほか、組合を批判し、組合と組合に加入していない職員・法人とを対立させるものであり、③12月20日文書の配布時期は、本件不当労働行為救済申立てがなされた後であり、④12月20日文書の名義は、法人の代表者である理事長であり、⑤12月20日文書の内容をみるに、当該文書は、組合の要求内容及び活動は不適当であり、当該要求が受けられた場合は組織が衰退し消滅するとの印象を法人職員に与え、組合への不信感を抱かせるものであるから、法人職員の組合への加入を抑止し、組合活動への指示を失わせるとともに、組合の活動を委縮させる効果を生じさせるものといえる。
これらのことから総合して考えると、12月20日文書の配布は、組合員に対し威嚇的効果を与え、組合の組織、運営に影響を及ぼすものであるといえる。
以上のことから、・・・支配介入に当たり、労組法7条3号に当たる不当労働行為である。

労働組合法(不当労働行為)のルールを把握しておらず、かつ、事前にレクチャーする専門家がいない場合には、このような紛争に発展しがちです。お気をつけください。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。