解雇377 営業成績不良を理由とする退職扱いの有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、営業成績不良を理由とする退職扱いの有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

日本生命保険事件(東京地裁令和4年3月17日・労判ジャーナル127号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と労働契約を締結し、保険営業の業務に従事していたXが、Y社に対し、主位的に、解雇(労働契約の終了)について解雇権濫用により無効であると主張し、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金等の支払を求め、また、Y社の従業員からパワーハラスメントを受けた旨主張し、不法行為又は債務不履行による損害賠償金1100万円等の支払を求め、予備的に、上記解雇が有効であるとしても、Y社の従業員から違法な勧誘行為を受けて前勤務先を退職してY社に入社させられたことが不法行為に当たる旨主張し、不法行為による損害賠償金530万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件労働契約において、Xの営業成績が職選基準に達しない場合は営業員としての資格を失い、労働契約が終了する旨が記載され、営業職員規程において、職選基準の具体的な内容及び未達成の場合に退職となる旨が記載されていること、Y社は特別教習生に対する研修において職選基準を達成することができなければ契約が終了する旨を説明していること、Xは、Y社から交付されていた端末を通じて自らの職選基準の達成状況を確認することができたこと、営業部長であるCは営業職員との毎月の面談時に職選基準の内容、職選基準が未達成の場合には本件労働契約が終了するとされていたこと、及び、自らの職選基準の達成状況について認識していたものと認められるから、本件退職扱いは、客観的合理的理由及び社会的相当性を欠くものとは認められず、本件退職扱いは有効である。

基準が明確なのはよくわかりますが、このようなケースでは基準に満たない場合は解雇が有効と判断されるようです。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。