Daily Archives: 2023年3月3日

解雇382 勤務態度不良等を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、勤務態度不良等を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

カワサキテクノリサーチ事件(大阪地裁令和4年7月22日・労判ジャーナル129号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に正社員として雇用された中国人男性であるXが、Y社に対し、Y社がした解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに本件解雇後の未払賃金等の支払を求めるとともに、Y社はXの賃金をXの自由な意思による合意なしに一方的に引き下げ、かつ、本件解雇の適否を判断するために自宅待機を命じたにもかかわらず、その間の賃金の支払を怠ったと主張して、未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇有効
未払賃金請求一部認容

【判例のポイント】

1 Xが多数回にわたって遅刻及び欠勤を繰り返していたことにより、Y社の通常の事業活動が阻害されていたことは明らかであり、これに関してXに酌むべき事情があったとはいえないところ、それにもかかわらず、Xは、遅刻及び欠勤につき、自らの態度を改める意思がないことを明らかにしており、Y社において、Xには遅刻及び欠勤を繰り返す傾向を改善する意思がないものと判断するに至ってもやむを得ないというべきであり、また、Y社在籍中におけるXの勤務態度及び協調性には著しい問題があったものといわざるを得ないこと等から、Xには、就業規則所定の解雇事由があったものと認められ、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠くものといえず、そして、Xは、本件懲戒処分を受けて作成した本件始末書においても、「反省することはない」などと記載して、勤務態度を改善することそのものを拒否し、Xの対応からすれば、Y社において、Xに対してこれ以上の注意指導を重ねても、Xの勤務態度等が改善する見込みはなく、解雇を選択する他ないと判断するに至ったとしてもやむを得ないこと等から、本件解雇に係るY社の判断は、社会通念上相当性を欠くものであったとはいえない。

珍しいケースですが、上記のような事情があれば、裁判所としても解雇を有効と判断するでしょう。

いずれにせよ、簡単には解雇できませんのでご注意ください。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。