労働時間100 就業規則に記載がない勤務シフトの使用を理由に、変形労働時間制の適用が無効と判断した一審判決が維持された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則に記載がない勤務シフトの使用を理由に、変形労働時間制の適用が無効と判断した一審判決が維持された事案を見ていきましょう。

日本マクドナルド事件(名古屋高裁令和5年6月22日・労経速2531号27頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社に対し、
①Y社が、XとY社との労働契約が平成31年2月10日付け退職条件通知書兼退職同意書による合意解約により終了したと主張するのに対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、
②主位的に退職の意思表示が無効であることを理由とする労働契約に基づく賃金請求として、予備的に違法な退職強要があったことを理由とする不法行為又は債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償請求として、退職日の翌日である令和元年5月1日から本判決確定の日まで、毎月末日限り45万4620円+遅延損害金の支払、
③時間外労働を行ったと主張して、労働契約に基づき平成29年3月13日から平成31年2月12日までの未払割増賃金合計486万0659円の一部である61万0134円+遅延損害金の支払、
④付加金+遅延損害金の支払
⑤(ア)Y社における業務や違法な退職強要等により労作性狭心症及びうつ病を発病したことを理由とする不法行為又は債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償請求若しくは(イ)上司らによるパワーハラスメント等により人格的利益を侵害されたことを理由とする使用者責任(民715条)に基づく損害賠償請求として、慰謝料500万円の一部である200万円+遅延損害金の支払
を求める事案である。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 変形労働時間制の有効性について
当裁判所の判断は、原判決41頁10行目から42頁16行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
したがって、Y社の定める変形時間労働制は無効であるから、本件において適用されない。

第1審判決は、こちらをご覧ください。

そういうことのようです。

多くの事案で変形労働時間制の適用が無効と判断されています。

有効要件をしっかりと満たしているかを専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。