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今日は、変形労働時間制導入の撤回等に関する団体交渉およびその後の対応が不当労働行為に該当するとされた事案を見ていきましょう。
フォーブル事件(広島県労委令和5年11月2日・労判1310号163頁)
【事案の概要】
本件は、変形労働時間制導入の撤回等に関する団体交渉およびその後の対応が不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 Y社は、組合の要求や主張に対し、変形労働時間制を導入できるとする具体的な根拠として、要件を具備していることや、導入する理由及び必要性等について、C労基とのやり取りなども踏まえて具体的に説明すべきであった。
2 変形労働時間制の解釈等に係る組合の主張は、その根拠が提示されておらず、組合独自の解釈に基づくものと評価し得ることは否定できない。
しかし、仮にそうであったとしても、組合に導入を納得させることまでは求められておらず、また、組合の要求や主張に対応する回答としては、導入できるとする具体的な根拠やC労基の見解、導入の理由や必要性などをもって説明すべきであり、それは可能であった。
3 以上のとおり、本件団体交渉におけるY社の対応は、組合に対して、導入できるとする具体的な根拠や導入の理由及び必要性等について十分な説明等を行うことなく、自己の主張を一方的に述べるだけのものといえ、不誠実であったと認められる。
上記命令のポイント2は団体交渉独特の考え方であり、非常に重要な視点ですので是非、しっかりと理解しておきましょう。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。