有期労働契約132 非常勤講師に対する雇止めの適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、非常勤講師に対する雇止めの適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

学校法人青山学院事件(東京地裁令和7年7月31日・労判1342号85頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で有期労働契約を締結し、非常勤講師として勤務していたXが、Y社から令和6年4月1日以降の労働契約の更新を拒絶されたため、労契法19条に基づき、労働契約は更新されたと主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と、同日以降の賃金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社において非常勤講師は、専任教員が担当できない授業を担当するために雇用されている。本件雇止めは、新規採用された特別教諭がクラス担任を担当しないことにより、非常勤講師に担当させるべきコマ数が減少したことを理由とするものであるから、Y社が非常勤講師を採用した目的に沿うものであって、合理性が認められる
また、非常勤講師の報酬は、担当するコマ数によるところ、非常勤講師が担当する8コマは一人の非常勤講師で担当できること、Hは被告高等部及び中等部でのみ勤務しており、他の学校では勤務していないと述べていたこと、Y社においては1日2コマだけのために勤務する非常勤講師を複数雇用するという状況は、非常勤講師にとっても割に合わないものと考えており、Xにおいてもそのような考えを持っていると認識していたこと、授業内容の統一性や質の確保、専任教員の負担軽減の観点からすると、複数の非常勤講師を雇用するよりも必要最小限の人数で実績のある非常勤講師に依頼することには相応の合理性があると考えられることなどからすれば、非常勤講師を一名のみ雇用するという判断も不合理とはいえない。
さらに、Y社高等部において3年生の授業はなるべく専任教員が担当する方針であるところ、2年生の科目である公共は、従前からHが担当していたこと、Hは約20年以上前からY社に雇用されており、労契法18条1項に基づく期限の定めのない労働契約の申込みをする権利を有していたこと、Xは在職中、複数のトラブルを起こしたが、Hについてはそのような事実は認められないことからすれば、XではなくHの雇用を継続したことも十分な理由があるというべきである。
本件契約更新の合理的期待の程度が高いとはいえないことも踏まえると、本件雇止めは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる。

非常勤講師の性質等から雇止めの合理性を導いています。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。