おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。
今日は、調査を尽くさずに行われた懲戒処分(出勤停止)が無効かつ不法行為に当たるとされ、その後に行われた懲戒解雇には理由があり有効とされた事案を見ていきましょう。
公益財団法人東京都学校給食会事件(東京地裁令和7年7月3日・労経速2603号13頁)
【事案の概要】
Xは、期間の定めのない労働契約に基づきY社において勤務していた者であるが、Y社から、令和5年1月11日付けで、同月12日から同月31日までのうち土曜日及び日曜日を除く14日間を出勤停止とする旨の懲戒処分を受け、また、同年6月7日付けで、同日限りで免職(懲戒解雇)とする旨の懲戒処分を受けるとともに、予備的に同日限りで普通解雇する旨を告知された。
第1事件は、Xが、本件停職処分には懲戒事由に該当する理由がなく、客観的合理性や社会通念上の相当性も認められないから、同処分は権利の濫用として無効であり、不法行為にも当たると主張して、Y社に対して各請求をする事案である。
第2事件は、Xが、本件免職処分には懲戒事由に該当する理由がなく、客観的合理性や社会通念上の相当性も認められないから、同処分は権利の濫用として無効であり、本件予備的解雇についても同様に無効である上、本件免職処分等は不法行為にも当たると主張して、Y社に対し、各請求をする事案である。
【裁判所の判断】
1 Y社がXに対してした令和5年1月11日付け出勤停止処分が無効であることを確認する。
2 Y社は、Xに対し、38万7624円+遅延損害金を支払え。
3 Y社は、Xに対し、20万円+遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 本件免職処分の理由のうち中心的なものであると認められる本件各メールの送信行為については、取り分けY社の職員が休職に至った経緯という職員個人の高度なプライバシーに関する情報を部外者であるD事務局長に伝えた点において、重大な非違行為に当たる。
また、Xは、D事務局長のY社に対する干渉によってBと被告との間に確執が生じていることを認識していたにもかかわらず、本件各メールにおいて、職員が休職に至った経緯といったY社に対する攻撃材料となり得る情報をD事務局長に提供するとともに、C理事長やE事務局長がBに対する侮蔑的な発言を繰り返しており表向きの謝罪で解決とはいえない状態であるなど、D事務局長を助長するような記載をしている。このように、本件各メールの内容はY社とBとの対立をいっそう激しくさせかねないものであって、これらを送信したXの行為はY社に対する背信性の高いものであったといえる。
そして、Xが、Bへの出向を終えてY社に復帰した初日に、C理事長から外部情報(注:内部情報の誤りと思われる)を外部に一切出さないように指示されたにもかかわらず、その日のうちに、D事務局長に対してみずから本件メール〈1〉を送信し、また、その2日後にも本件メール〈2〉を送信していることからすれば、Y社からの指示や法人秩序を軽視するXの姿勢は顕著である。
2 Xは、以前、E事務局長に対する不適切な記載をしたファイルをY社の共有フォルダ内において管理していたとして前件懲戒処分を受けたことがある。Xは、その際、Y社から指導を受け、始末書を提出してE事務局長に対する振る舞い等について研さんを図る旨を述べていたにもかかわらず、本件メール〈2〉において再びE事務局長を誹謗中傷するような行動に及んでいる。
また、本件降格処分を告げられた際のC理事長に対するXの発言についても、法人の代表者に対する態度としては不適切といわざるを得ない。これらの点においてもXの法人秩序の軽視には根深いものがある。
3 以上からすると、本件免職処分には客観的合理性が認められ、社会通念上も相当であるといえる。
タイトルのとおり、出勤停止処分については無効とされましたが、判例のポイントのとおり、免職処分については有効という判断です。
日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。