Author Archives: 栗田 勇

本の紹介393 なぜかすべてうまくいく1%の人だけが実行している45の習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
なぜかすべてうまくいく 1%の人だけが実行している45の習慣 (PHP文庫)

これまでにも何冊か紹介をしてきました井上先生の本です。

帯には「誰もができることなのに、99%の人はやっていない!」と書かれています。

元来、人間は、面倒くさがりで、飽きっぽく、弱い動物です。

そのことを十分に理解し、途中で止めない仕組みをつくっている人が成功のしかたを知っている人なのだと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

絶対に自分がやらなければならないということ以外はそれぞれのプロフェッショナルの手に委ねる。私が時間を創り出すために使っている方法です。・・・ここに気づくと、『時間を買うことは最高のコストパフォーマンスでお金を使うことだ』という考えに変わるでしょう。・・・お金は働けばまた手にできますが、同じ時間は二度と手にできません。」(73~75頁)

これまでに何度か同じようなことを書きましたが、多くの成功している経営者(に限りませんが)は、時間をお金で買っていますよね。

お金よりも時間のほうが大切だからです。

お金はまた稼げばいいですが、同じ時間はもう手にすることはできませんので。

特に私たち弁護士のように外部から会社の経営をサポートするような人間をうまく使うことで不慣れな仕事に時間を使わずに済むわけです。

債権回収なんてその最たるものだと思いますが。

弁護士に依頼すると高いんでしょ・・・という固定概念から、アウトソーシングできないでいる経営者の方は、先入観なしに一度、費用対効果を検討されたほうがいいと思います。

不慣れな債権回収を従業員にやらせ、従業員が精神的にまいってしまい、休職したり、退職したり・・・。

もう完全にその道のプロに依頼したほうがいいんですけどね。

一度、費用対効果がどんな具合か、弁護士に話を聞いてみてはいかがでしょう。

不当労働行為100(X労働者組合事件)

おはようございます。

今日は、組合の街宣活動等に対する差止め請求等に関する裁判例を見てみましょう。

X労働者組合事件(東京地裁平成26年9月16日・労経速2226号22頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Yらの街宣活動等の行為により、Xの名誉・信用が毀損され、平穏に事業活動を営む権利が侵害された旨主張し、Yらに対し、これら行為の差止めを求めるとともに、不法行為に基づき、連帯して230万円の損害賠償及び知念損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

街宣活動等の差止めを認容

慰謝料として100万円を支払え

【判例のポイント】

1 本件街宣活動等の態様、特に、配布されたビラにおいて「非常勤ヘルパーに対する不当な排除を許さない!!」、「だまし打ち的な職場からの排除」などと、演説において「会社の、甲の説によれば、雇止めだと言っているが、こちらから見れば、一方的な排除であり、解雇だというふうに評価している。」などとして、読み手ないし聞き手に対し、XがしたBに対する雇止めが不当だとの前訴判決の判断に反する印象を与えるものであること、その回数が、X事務所におけるものだけでも27回に及ぶこと、Xが本件雇用関係の不存在等について前訴を提起して公権的解決を求め、前訴判決確定後も平成23年にYらに対してYらのXに対する活動を止めるよう申し入れるなど、XがYらとの任意の交渉を拒絶する意思が明確であること等からすれば、本件街宣活動等は、Xの名誉・信用を毀損し、平穏に事業活動を営む権利を侵害するものといえる
以上の事実に加え、X理事らの自宅におけるものも十数回に及ぶこと、Y組合代表者が、今後もX及びXら理事に対して従前と同様の行動をとる余地がある旨述べていることなどからすると、Yらが今後も従前と同様ないし類似の方法で街宣活動等を行う蓋然性は高いといわざるを得ず、Xの名誉・信用を守り、平穏に事業活動を確保するためには、Yらの当該街宣活動等を差し止める必要性があるというべきである

2 本件街宣活動等のうち、X事務所におけるものは、Xの名誉・信用を毀損し、平穏に事業活動をする権利を侵害する違法な行為というべきであって、不法行為を構成するが、他方、本件街宣活動等のうち、X理事宅におけるものは、直ちにXの名誉・信用を毀損し、平穏に事業活動をする権利が侵害されたものとは認められない。
そして、本件街宣活動等のうちX事務所におけるものの回数・期間、ビラの内容等の態様、本件証拠により認められる諸般の事情を併せ斟酌すれば、Xが本件街宣活動等により被った損害は100万円であると認定するのが相当である。
この点につき、Yらは、Yらへの本件訴状送達時より3年以上前の行為については消滅時効期間が経過している旨主張する。しかし、Yらの行為は、その目的の同一性、態様の類似性等からすれば、Bの雇用問題に関する一連の継続した行為と評価するのが相当であるから、消滅時効期間は経過していないと認められる。

街宣活動等の差し止めが認められた事案です。

どのようなことを主張立証すればよいのかについて参考にしてください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介392 人間は自分が考えているような人間になる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
人間は自分が考えているような人間になる

アール・ナイチンゲールの本です。

著者紹介によれば、ナイチンゲールさんは、アメリカでは「人間開発の神様」として知られている方だそうです。

とてもいい本だと思います。 何度も読むに値する本です。

おすすめですよ!

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

世間の人たちは日々暮らしていくのが精いっぱいなのであり、互いの足の引っ張り合いを演じていることにすら気がついていない。なのに、新しい事業を始めようとする起業家は、多数の人間がしていることなら間違いあるまい、と勝手に決めこんでいる。どうして世間一般が正しいといえるのか。皆、大成功などしていないではないか。世間一般の人間と同じことしかしていないで、めざましい効果が生まれるなどと考えるべきではない。」(244頁)

周りのみんなと同じほうが安心する・・・

多くの人が言っているから間違いない・・・

経営者にとって、「みんなと同じ」ということはマイナスにこそなれ、プラスにはなりません。

むしろ、みんながやっているならやらない。

みんながやっていないからこそやる。

こういう考えですよね。

みんなと同じことだけやっていて、どうやって成功するのでしょうか。

まわりから無理だと言われれば言われるほど燃えるくらいがちょうどいいのだと思います。

配転・出向・転籍21(リコー(子会社出向)事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は、希望退職の応募を拒否した従業員らに対する出向命令に関する裁判例について見てみましょう。

リコー(子会社出向)事件(東京地裁平成25年11月12日・労判1085号19頁)

【事案の概要】

本件は、Xらが、Y社による2011年9月10日付け出向命令について、業務上の必要性及び人選の合理性を欠きXらに著しい不利益を与えるものである上、Xらに自主退職を促す不当な動機・目的に基づくものであるから出向命令権の濫用として無効であるなどと主張して、Y社に対し、①本件出向命令に基づく出向先において勤務する労働契約上の義務が存在しないことの確認、②Xらへの退職強要行為又は退職に追い込むような精神的圧迫の差止め、並びに③労働契約上の信義誠実義務違反及び不法行為に基づく損害賠償請求として、各原告に対し220万円及び遅延損害金の各支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Xらが、Y社に対し、Xらが訴外リコーロジスティクス株式会社に出向して同社において勤務する労働契約上の義務が存在しないことを確認する

その余の請求をいずれも棄却する

【判例のポイント】

1 第17次中計の大規模な人員削減方針が公表されたわずか半月後に本件希望退職が発表されたこと、本件希望退職の公表後間もなく、余剰人員とされた従業員の面談が開始され、結果としてその9割近くが本件希望退職に応募し、退職していること、Xらの面談では、その当初から、本件希望退職に基づく退職金の計算結果が具体的に示され、本件希望退職への応募を継続して勧められていること、Xらが断るとさらに面談が重ねられ、B及びCが本件希望退職への応募を数度にわたって勧めた末に本件出向命令が発令されたことは、認定事実記載のとおりである。これらに加え、人選担当者であるB及びCが、本件出向命令の内示に至るまでXらの具体的な出向先及び業務内容を知らなかったこと等も併せ鑑みれば余剰人員の人選は、事業内製化を一次的な目的とするものではなく、退職勧奨の対象者を選ぶために行われたものとみるのが相当である

2 リコーロジスティクスにおける作業は立ち仕事や単純作業が中心であり、Xら出向者には個人の机もパソコンも支給されていない。それまで一貫してデスクワークに従事してきたXらのキャリアや年齢に配慮した異動とはいい難く、Xらにとって、身体的にも精神的にも負担が大きい業務であることが推察される。

3 以上に鑑みれば、本件出向命令は、事業内製化による固定費の削減を目的とするものとはいい難く、人選の合理性(対象人数、人選基準、人選目的等)を認めることもできない。したがって、Xらの人選基準の一つとされた人事評価の是非を検討するまでもなく、本件出向命令は、人事権の濫用として無効というほかない。

4 本件出向命令の内容及び発令に至る経緯は、認定事実記載のとおりであり、リコーロジスティクスにおける業務内容は、前記のとおり、Xらにとって身体的、精神的負担の大きいものであることは否定できない。
しかし、リコーロジスティクス自体、半世紀近くの歴史を持つ会社であり、事務機器の製造、販売及び保守を基盤事業とするY社グループの事業を支える主要会社の一つである。Xらが行う業務は、リコーロジスティクスにおける基幹業務であること、就業場所も東京又は神奈川であり、Xらの自宅からは通勤圏内であること、本件出向命令後、Xらの人事上の職位及び賃金額に変化はないこと、結果として事業内製化の一端を担っていること等も併せ鑑みれば、本件出向命令が不法行為にあたるとはいえない

有名な裁判例ですね。

出向命令を退職勧奨の一手段として用いていることが客観的に明らかな場合には、人事権の濫用と判断されます。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら行いましょう。

本の紹介391 行動する勇気(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
行動する勇気

著者は、元ソニーCEO出井さんが代表取締役を務める会社の執行役社長の方です。

チャンスをモノにする考え方や習慣が書かれており、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の『魅力』『強み』とは何かを理解し、提示していくことで、人はあなたを選んでくれるのです。つまり、『なぜあなたを選ばなければならないか?』を考えることです。人に思い出してもらえるような、自分のキーワードをすぐに整理し、何気なく話せるように準備しておきましょう。」(120頁)

常に「USP」を意識しよう、ということです。

他と比べて自分の秀でているところはどこか。

自分の強みを自分で理解し、それをわかりやすいかたちでアピールする。

商品も人間も同じことだと思います。

自分は商品であるという意識を持ち、商品のよさをアピールし、選んでもらう。

意識をして準備するかどうかの違いだと思います。

労働災害79(X運送事件)

おはようございます。

今日は、上司の叱責による自殺と損害賠償に関する裁判例を見てみましょう。

X運送事件(仙台高裁平成26年6月27日・労経速2222号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の宇都宮営業所に勤務していたXが、連日の長時間労働のほか、上司であったAからの暴行や執拗な叱責、暴言などのいわゆるパワーハラスメントにより精神障害を発症し、平成21年10月7日に自殺するに至ったと主張して、Y社に対しては、不法行為又は安全配慮義務違反に基づき、Aに対しては、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社及びAに対し、連帯して、合計約7000万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Xは、新入社員として緊張や不安を抱える中で、本件自殺の5か月前(入社約1か月後)から月100時間程度かそれを超える恒常的な長時間にわたる時間外労働を余儀なくされ、本件自殺の3か月前には、時間外労働時間は月129時間50分にも及んでいたのであり、その業務の内容も、空調の効かない屋外において、テレビやエアコン等の家電製品を運搬すること等の経験年数の長い従業員であっても、相当の疲労感を覚える肉体労働を主とするものであったと認められ、このような中、Xは、新入社員にまま見られるようなミスを繰り返してAから厳しい叱責を頻回に受け、本件業務日誌にも厳しいコメントを付される等し、自分なりにミスの防止策を検討する等の努力をしたものの、Aから努力を認められたり、成長をほめられたりすることがなく、本件自殺の約3週間前には、Aから解雇の可能性を認識させる一層厳しい叱責を受け、解雇や転職の不安を覚えるようになっていたと認められるのであり、このようなXの就労状況等にかんがみれば、Xは、総合的にみて、業務により相当程度の肉体的・心理的負荷を負っていたと認めるのが相当である

2 Aは、Xを就労させるに当たり、Xが業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して心身の健康を損なうことがないよう、①Y社に対し、Xの時間外労働時間を正確に報告して増員を要請したり、業務内容や業務分配の見直しを行う等により、Xの業務の量を適切に調整するための措置をとる義務を負っていたほか、②Xに対する指導に際しては、新卒社会人であるXの心理状態、疲労状態、業務量や労働時間による肉体的・心理的負荷も考慮しながら、Xに過度な心理的負荷をかけないよう配慮すべき義務を負っていたとされるところ、Aには、①②の各点についての注意義務違反があったと認められる。

3 Y社は、Aの使用者であるから民法715条に基づき、Aと連帯して損害賠償責任を負う。

本件自殺の前の時間外労働時間数からすれば、これだけで十分労災認定及び安全配慮義務違反が認定できます。

他人事として捉えるのではなく、自社で同じような悲劇を起こさないように、労務管理を徹底することをおすすめします。

本の紹介390 「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣

著者は、元サイバーエージェントの社員の方で、現在、ITベンチャーの社長です。

あとがきに書かれている「才能の差は5倍、意識の差は100倍」(204頁)という言葉がすべてを物語っています。

結果を出し続けている人の「意識の差」を知るには、とてもいい本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『人生には3万日しかない』ドロップボックスの創業者ドリュー・ヒューストンが、MITの卒業生に向けたスピーチの一節をたまたま目にしました。僕はその数字を見て、目の前に3万本のろうそくが並べられた状態をイメージしました。・・・20代後半だった僕の場合、約1万本のろうそくが消え、火がついているのはおよそ2万本です。・・・『このままでいいのか?毎日ろうそくの火は1本ずつ消えていくのに、俺は100%本気でやったのか、1%の後悔もなかったのか?』」(15~16頁)

ろうそくは突然消えるかもしれない。そう考えると、今、生きている1分1秒のすべてが自分の人生の糧になると思えるはずです。それが理解できれば、行動することで生じるリスクより、行動しないことのほうがリスクになることもわかるはずです。できるだけ早い段階で、このことに気づいたほうがいい。・・・他人から承認されるため、他人から否定されないため、周囲の目を気にしながら生きている人が多い現代社会。人生が有限であることを理解し、そんなことはどうでもいいことだと気づいていただきたいのです。」(16~17頁)

ろうそくはいつ突然消えるかわかりません。

平均寿命が何歳だとしても、その年齢まで生きられる保証はありません。

あと何本残っているのでしょうかね、ろうそく。

生きている間だけでも、いろんなことに挑戦したいです。

何のリスクもおかさずに、ただなんとなく生きて、老後を迎えることだけはしたくありません。

リスク、上等。

おじいちゃんになったら、ゆっくり休むことにします。

体力と情熱が続くかぎり、あらゆることにチャレンジしていきます。

賃金86(X協会事件)

おはようございます。

今日は、賃金未払いのまま自宅謹慎処分を続けることが違法とされた裁判例を見てみましょう。

X協会事件(東京地裁平成26年6月4日・労経速2225号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員であったXが、Y社から正当な理由なく自宅謹慎を命じられ、その間にされた退職勧奨に応じなかったところ、自宅謹慎のまま賃金の未払が続き、Y社からの退職を余儀なくされたとして、雇用契約に基づく未払賃金の支払及び不法行為による損害賠償の支払を求めている事案である。

【裁判所の判断】

Y社に対し、未払賃金124万円と慰謝料30万円の合計154万円等の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Y社は、従前からの事務局内におけるXの言動、本件甲印刷での出来事、Dからの欠勤の原因の事実確認及び診断書の提出等により、Dのストレス反応及びこれによる欠勤の主たる原因がXとの人間関係によるものと判断して、本件謹慎処分に踏み切ったものと認められる。・・・これらの事情に照らせば、Y社が上記のような判断をしたことには相応の合理性が認められ、Xに対して行われた本件謹慎処分が違法なものとまではいえないというべきである。また、本件謹慎処分による自宅謹慎処分による自宅謹慎中のXの課題レポートの内容等に照らせば、Xが真摯に自らの対応を振り返り、反省ないし改善の意向を十分に示しているとはいい難いとY社が判断して、一定程度にわたってその謹慎期間を延長すること自体は、その間、賃金支払を継続していることに照らせば、必ずしも違法、不当なものとまではいい難いというべきである。

2 さらに、Y社の事務局の規模、XとDを始めとする他の事務局員との関係やXの仕事振り、Dの病状等を考慮すれば、Y社がXの勤務継続が困難であると判断して、Xに対し、賃金支払を継続しつつ退職勧奨を行うこと自体は、直ちには違法とはいい難いというべきである。

3 しかしながら、本件謹慎処分による謹慎期間は、その後も相当長期間にわたって継続されており、その間、Dの職場復帰等に向けて特にDとの間でXの状況を踏まえた話し合い等がされることもなく、また、Xに対しても、真摯な反省ないし改善を求めるという目的から離れ、専らXの退職を是として複数回にわたる退職勧奨を行うようになっていったことなどからすれば、Y社が退職勧奨に応じないXに対する対応を明確にすることなく、Xの自主退職を期待して本件謹慎処分の延長、更新を繰り返し、これを漫然と継続したことは違法といわざるを得ないというべきである。

4 ましてや、Y社が、退職勧奨に応じないXに対して、解雇等の措置に踏み切ることなく、また、Xの退職の意思が明らかでないにもかかわらず、平成24年1月分以降の賃金を支払わない措置をとったことは明らかに違法なものというべきである。なお、この点につき、Y社は、Xが本件謹慎処分による謹慎期間中に労務を提供していなかった旨を主張するが、XがY社に対して労務提供をできなかったのは、本件謹慎処分によってその受領を拒否されていたからであって、また、本件謹慎処分が当然に賃金不支給といった不利益措置を含むものであったことはうかがわれないから、Y社は、本件謹慎処分継続中もなおXに対する賃金支払義務を負っていたというべきである

退職勧奨の目的で謹慎処分を延長、更新を繰り返した行為が違法であると判断されています。

また、休職期間中、賃金の支払がない場合、休職命令に合理性が認められなければ、ノーワークだからといってノーペイにはなりません。

休職命令を発する場合には、気を付けて下さい。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介389 執事が教える「超一流」と呼ばれる人のアタマの中身(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
執事が教える “超一流"と呼ばれる人のアタマの中身

以前にも紹介をしたことのある日本バトラー&コンシェルジュ株式会社の代表者が著者です。

世の中にはいろんな仕事があるのだと再認識させられます。

「フツーの人」「一流の人」「超一流の人」の3種類に分けて、おすすめの考え方や行動をわかりやすく説明してくれています。

よくある感じの本ですが、内容は参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

超一流の方ほど自分の弱さをきちんと認識しているということ。自分に弱いところがあるならばあえてそれを克服しようとせず、誰かそれを助けてくれる人を雇い、それをやってもらえばいい、という考え方なのです。そのほうが時間もずいぶん短縮できるし、より自分自身が他のことに力を注げるでしょう。」(149頁)

私の周りにいる成功している方の多くも同じ考えを持っていますね。

全部自分でやろうとしない。

自分がよくわからないところは、すぐにその道のプロに任せてしまう。

ただでさえ本業が忙しいため、本業以外の分野まで自前でまかなうほど暇ではないのです。

「餅は餅屋」ということを心得ているのです。

また、見方を変えると、時間をお金で買っているわけです。

確かに自社の従業員にやらせたほうがコストはかからない(ように見える)のですが、あえてそんなことはしない。

餅は餅屋のほうが断然、効率がいいですし、確実であることを知っているからです。

そういうことなのです。

解雇160(学校法人専修大学(専大北海道短大)事件)

おはようございます。

今日は、希望退職に応じなかった教員らに対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人専修大学(専大北海道短大)事件(札幌地裁平成25年12月2日・労判1100号70頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用され、Y社が設置運営する専修大学北海道短期大学の教員として勤務していたXらが、平成24年3月31日付けでなされた解雇(整理解雇)は無効であるとして、XらとY社との間の雇用関係が存続することの確認並びに平成24年4月以降の賃金及び平成24年6月以降の賞与の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却
→整理解雇は有効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、整理解雇について規定する本件就業規則21条1項3号に基づくものであるところ、同号に基づく整理解雇が解雇権を濫用したものとして無効(労働契約法16条)になるか否かを判断するに当たっては、整理解雇が、使用者における業務上の都合を理由とするものであり、落ち度がないのに一方的に解雇され収入を得る手段を奪われるという重大な不利益を労働者に対してもたらすものであることに鑑み、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務の遂行、③被解雇者選定の合理性、④解雇手続の相当性を総合考慮して判断すべきである。もっとも、前記①ないし④の全てが充足されなければ整理解雇が無効となるとは解されない。

2 北海道短大においては、平成17年10月頃までに入学志願者数及び入学者数が落ち込み、それに伴って財務状況も悪化していたことから、緊急3カ年計画等の各種改善策を実施したが、平成21年度末までに入学志願者数及び入学者数は微増に転じたものの、入学定員の充足や単年度の支出超過解消までには至らず、帰属収支差額及び消費収支差額においてなおも大幅な支出超過が続くこととなったというのである。これに加えて、Y社においても消費収支差額において支出超過となったこと、全国的に見ても短期大学の入学者数が年々減少しているという状況にあったことからすれば、本件募集停止決定をしたY社の経営判断は、合理的なものであったと認めるのが相当であり、また、本件募集停止決定によって北海道短大には新規入学者がいなくなり、閉校が必然的なものとなったのであるから、北海道短大の教職員らについて人員削減の必要性があったと認めるのが相当である。

3 Y社が、前記の方法のほかに、本件解雇を回避する方法として、早期希望退職者には退職金及び退職加算金に加えて基本給の7か月分の退職特別加算金を支払い、希望退職者には退職金及び定年までの残余年数に応じた基本給の6か月分ないし14か月分の退職加算金を支払うこととして、それぞれ希望退職者の募集を行っていること、本件解雇に伴うXらの不利益を軽減する方法として、Y社の費用負担による再就職支援会社の利用を提案したり、他の学校法人に対し北海道短大の教員の紹介文書を送付し採用機会を得られるよう努めたりしていることにも鑑みれば、Y社の対応は、本件解雇及び本件解雇に伴う不利益を回避、軽減するための努力を十分に尽くしたものと認めるのが相当である

4 Y社が、北海道短大の教職員協議会における意見交換や、北海道短大の教職員との個別面談を実施していることからすれば、Y社は、Xらに対し、Xらが加入する組合や教職員協議会を通じて又は直接に、本件解雇の必要性、本件解雇及びそれに伴う不利益の回避措置、本件解雇の対象者の選定について、納得を得られるよう十分な説明、協議を行ったものというべきである。

一般的に整理解雇の有効性は非常に厳しく判断されますが、上記判例のポイント3のように、ここまで被解雇者の不利益を回避、軽減する努力をすれば、裁判所も有効だと認定しやすくなります。

もっとも、会社の規模によってはここまでできないということも当然ありますが。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。