Author Archives: 栗田 勇

配転・出向・転籍19(新和産業事件)

おはようございます。

さて、今日は、違法な配転命令に対する無効確認と賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

新和産業事件(大阪高裁平成25年4月25日・労判1076号19頁)

【事案の概要】

Y社は、①Xが営業職としての適性を欠いていたことと②Xが総務や経理の経験がなかったことを理由として、配転命令をした。

Xは、本件配転命令につき、業務上の必要性がなく、他の不当な動機・目的で行われたもので、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるから、権利の濫用として無効であるであると主張し争った。

なお、Xは、本訴訟以前に、賃金仮払仮処分を申し立て、裁判所は、これを認めている。

【裁判所の判断】

配転命令は無効

新たに慰謝料等として60万円を認めた。

【判例のポイント】

1 Y社は、業務上の必要性が乏しいにもかかわらず、Xが退職勧奨を拒否したため、Xを退職に追い込み、又は合理性に乏しい賃金の大幅な減額を正当化するという業務上の必要性とは別個の不当な動機及び目的の下で本件配転命令をしたことが認められる。そうすると、本件配転命令は、社会的相当性を逸脱した嫌がらせであり、Xの人格権を侵害するものであるから、民法709条の不法行為を構成するというべきである。

2 給与規定上、賞与の支給については、勤怠、能力、その他を考課して決定するとの定めがあるにとどまり、具体的な支給額及び算定方法についての定めはなかったこと、Y社は、従業員ごとの個別の考課査定及び従業員間の配分額の調整をした上で賞与の具体的な支給額を決定していたことが認められるから、Xの賞与請求権は、Y社が支給すべき金額を定めることにより初めて具体的権利として発生するものと解される。

3 Y社は、Xの平成23年の夏季賞与及び冬季賞与、平成24年の夏季賞与及び冬季賞与について、総合職であることを前提に、人事考課査定及び調整をした上で具体的な支給額を決定し、支給日までにこれを支払うべき労働契約上の義務を負うというべきである。
・・・そうすると、Y社のXに対する上記各賞与の支給額の決定は、使用者としての裁量権の範囲を逸脱したものであり、これにより、Xが給与規定等に基づいて算定された賞与の支給を受ける利益を侵害するものであるから、民法709条の不法行為を構成するというべきである
・・・そうすると、仮にXが総合職として正当に考課査定を受けたならば、基本給、職務給及び付加給の合計額(基準額)に上記業績係数(夏季は1.6、冬季は1.7)及び査定係数の下限値である0.6を乗じた金額を算出した上で、社長により調整がなされることを考慮して、上記算出額に8割を乗じた額を賞与として支給を受けた相当程度の蓋然性があるというべきである

本件は、不当な目的による配転が違法と判断された事案ですが、それよりも、上記判例のポイント4の考え方を是非、参考にしてください。

賞与の請求をしようとする場合には、このような切り口があることを知っておくと有効かもしれません。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら行いましょう。

本の紹介265 僕が電通を辞める日に絶対に伝えたかった79の仕事の話(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

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←先日、島田の裁判所へ行く途中、藤枝の「カナキン亭」に行ってきました。

中学生のときからお世話になっているお店です。

久しぶりに食べましたが、とてもおいしかったです。

今日は、午前中は、フランチャイズ契約の契約書作成に関する打合せが1件入っています。

午後は、島田の裁判所で離婚調停が1件、打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

 僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話

元電通のエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターの本です。

仕事をしていく上でヒントになることがいっぱい書かれています。

おすすめの本です!!

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

愚痴ばかり言っている人には仕事を頼みにくい。仕事を頼みたくなる人というのは愚痴を言わず、いつでも余裕ある顔をしている人だ。『死ぬほど忙しいんです』などと言いながらもニコニコしている人には『そんなこと言わずに頼むよ』ということになる。若いときはたくさん仕事をして、できるだけ早く仕事を覚えたほうがいいと思う。いろんなプロジェクトに誘われるためには、まずは愚痴を言わないことが肝心。」(107頁)

いつもいつもこのブログで書いており、そろそろくどいので止めますが、私の周りの成功している経営者で愚痴なんか言っている方は1人もいません。

愚痴を言う程、暇ではないというのが正直なところでしょうか。

とにかくみなさん多忙なので、そう頻繁にじっくり話などできないのです。

貴重な時間に、愚痴を言うなんてくだらない時間の使い方をする人は皆無です。

話の内容は、自然と、今後の事業の話等、これから先のことになります。

昔話や武勇伝(笑)の話で盛り上がるのは、おじいちゃんになってからでいいですよね。

20代、30代の経営者のみなさん、お互い、がんばりましょう。

解雇123(学校法人専修大学事件)

おはようございます。

さて、今日は、休業期間満了後になされた打切補償による解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人専修大学事件(東京高裁平成25年7月10日・労判1076号93頁)

【事案の概要】

本件は、Y大学が、業務上疾病(頸肩腕症候群)により療養のため休業中で労災保険給付(療養補償給付、休業補償給付)を受けているXに対し、その休業期間満了後、Y大学の災害補償規程に基づき、労基法81条所定の打切補償を支払って行った平成23年10月31日付け解雇は解雇権の濫用にも当たらず有効であるとして、同日以降の地位不存在確認を求めて本訴を提起し、これに対し、Xは、同条所定の「労基法75条の規定によって補償を受ける労働者」に該当せず、本件解雇は労基法19条1項本文に違反し無効であるとして、Xが地位確認並びにリハビリ就労拒否、不当解雇等を理由とする損害賠償及びこれに係る遅延損害金の各支払を求めて反訴を提起したものである。

Y大学は、上記本訴を取り下げ、Xはこれに同意したため、本件請求は、上記反訴請求のみとなった。

本件の争点は、労基法19条1項但書前段にいう同法81条の打切補償の対象となる労働者とは、同条の文言どおり同法75条による使用者からの療養補償を受ける労働者に限られるのか(Xの主張)、労災保険法上の保険給付(療養補償給付)を受ける労働者も含まれるか(Y大学の主張)である

【裁判所の判断】

控訴棄却(解雇は無効)

【判例のポイント】

1 労基法81条は、同法の「第75条の規定によって補償を受ける労働者」が療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合において、打切補償を支払うことができる旨を定めており、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている労働者については何ら触れていない。また、労基法84条1項は、労災保険法に基づいて災害補償に相当する給付がなされるべきものである場合には、使用者はこの災害補償をする義務を免れるものとしているにとどまり、この場合に使用者が災害補償を行ったものとみなすなどとは規定していない。そうすると、労基法の文言上、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている労働者が労基法81条所定の「第75条の規定によって補償を受ける労働者」に該当するものと解することは困難というほかはない

2 このように解すると、使用者は、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らずに労働ができない労働者に対し、災害補償を行っている場合には打切補償を支払うことにより解雇することが可能となるが、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付がなされている場合には打切補償の支払によって解雇することができないこととなる。しかし、労基法19条1項ただし書前段の打切補償の支払による解雇制限解除の趣旨は、療養が長期化した場合に使用者の災害補償の負担を軽減することにあると解されるので、このような差が儲けられたことは合理的といえる。もっとも、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付がなされている場合においても、雇用関係が継続する限り、使用者は社会保険料等を負担し続けなければならない。しかし、使用者の負担がこうした範囲にとどまる限りにおいては、症状が未だ固定せず回復する可能性がある労働者について解雇制限を解除せず、その職場への復帰の可能性を維持して労働者を保護する趣旨によるものと解されるのであって、使用者による社会保険料等の負担が不合理なものとはいえない

3 また、前記のように解すると、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らずに労働ができない労働者について、傷病補償年金の支給がされている場合には打切補償を支払ったものとみなされて解雇が可能となるのに対し、療養補償給付及び休業補償給付の支給がなされているにとどまる場合には使用者が現実に打切補償を支払っても解雇することができないという大きな差が生じることとなる。しかし、症状が厚生労働省令で定める重篤な傷病等級に該当する場合においては、復職の可能性が低いものとして雇用関係を解消することを認めるのに対し、症状がそこまで重くない場合には、復職の可能性を維持して労働者を保護しようとする趣旨によるものと解されるのであって、上記のような差異も合理的というべきである
したがって、法は、以上のような趣旨から、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らずに労働が出来ない労働者が労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受給している場合においては、使用者が打切補償を支払うことにより解雇することはできないものと定めているものと解するのが相当である。

一審の判決については、こちらを参照。

文理解釈に徹しています。

そして、文理解釈によると不合理な結果についても、ちゃんと説明をし、不合理ではないと結論付けています。

無理な解釈をするよりも誠実だと思います。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介264 ストイックなんて無用だ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう。

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←昨日は、顧問先会社の株式会社RSTさんの10周年記念のパーティーにご招待されました。

社長は、私と同級生であり、最も尊敬する経営者の1人です。

総勢約200名が参加した、本当にすごいパーティーでした。

いつも刺激をもらっています。 お互い、もっともっと周りに影響を与えられるように、がんばりましょう!

今日は、午前中は、新規相談が1件、顧問先会社の社長との打合せが1件入っています。

午後は、遺産分割調停が1件、裁判等の打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

(005)ストイックなんて無用だ (ポプラ新書)

私の尊敬する経営者の一人である原田さんの本です。

これまでにも何冊も原田さんの本は読んできましたが、今回の本は、これまでの本とは違う路線です。

原田さんの日常生活が垣間見えて、とても新鮮です。 毎朝4時起きだそうです。

ストイックな人に「ストイックなんて無用だ」と言われると「おい、なんだ、なんだ」と騒いでしまいます。

ムキムキのプロレスラーに「筋トレなんて無用だ」と言われているような感じです。わくわくしちゃいます。

すばらしいタイトルですね(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

文字どおり、経験豊富な人ほど変化できない。知識で頭がいっぱいになっている人ほど、自分で創造できない。だから、それをすべて捨てろ。知識は引き出しにしまっておけ。いつもそう言っている。情熱があれば、知識は無意識に引き出しから出てくるものだから。・・・創造力やビジネスの改革というものは、今までの経験、知識を全部否定する力なのである。」(148~150頁)

成功した方法を捨てるというのは、とても難しいことです。

前に成功した方法でやれば、今回も成功するに違いないと思ってしまうからです。

でも、変化したい、常に向上していたいと思うのであれば、これまでの方法にずっとしがみついているわけにはいきません。

意識して、「捨てる」ということをしていかなければいけないのですね。

解雇122(伊藤忠商事事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、双極性障害に罹患して休職・退職した労働者について、休職期間満了までに回復したとは認められないとされた裁判例を見てみましょう。

伊藤忠商事事件(東京地裁平成25年1月31日・労経速2185号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、双極性障害に罹患して休職したものの、休職期間満了前に復職可能な程度にまで回復したなどと主張して、Y社に対し、雇用契約上の地位確認を求めるとともに、雇用契約に基づく未払賃金等を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、休職期間満了時の復職不能の主張・立証は、使用者側であるY社がすべきであると主張する。しかし、雇用契約上の傷病休暇・休職の制度が、使用者が業務外の傷病によって長期間にわたって労働者の労務提供を受けられない場合に、雇用契約の終了を一定期間猶予し、労働者に治療・回復の機会を付与することを目的とする制度であると解すべき一方、労働者の治療・回復に係る情報は、その健康状態を含む個人情報であり、原則として労働者側の支配下にあるものであるから、休職期間の満了によって雇用契約は当然に終了するものの、労働者が復職を申し入れ、債務の本旨に従った労務提供ができる程度に病状が回復したことを立証したときに、雇用契約の終了の効果が妨げられると解するのが相当である

2 XがY社の総合職として雇用されたことは、前記のとおりであり、Xの復職可能性を検討すべき職種は、Y社の総合職ということになる
ところで、総合商社であるY社の総合職の業務は、Xが休業開始前に従事していた営業職においては、国内外の取引先間において、原材料や製品の売買の仲介を行うことが中心であり、具体的には、市況や需要等に関する様々な情報を収集・分析し、仕入先及び販売先に取引内容案を提示して交渉を進めるとともに、取引先の信用調査を行い、取引先への与信限度を社内で申請・設定し、仕入先及び販売先と合意に至れば契約書を締結し、その後、商品の引渡し、代金の支払、回収・運搬・通関手配、為替予約のための相場確認等を行うものであり、海外の取引先等を含め社内外の関係者との連携・協力が不可欠であるから、これを円滑に実行することができる程度の精神状態にあることが最低限必要とされることが認められる。また、営業職以外の管理系業務においても、社内外の関係者との連携・協力が必要であることは営業職と同様であるから、いずれの職種にしても、業務遂行には、対人折衝等の複雑な調整等にも堪え得る程度の精神状態が最低限必要とされることが認められる。

使用者側は、業務の大変さを丁寧に説明することが功を奏しました。

この手の事案は、ドクターの診断書や意見書が出されても、それだけで復職の可否が判断されることはありません。あくまで一考慮要素にすぎません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介263 秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ

以前にも与沢さんの本を紹介したことがあります。

今回の本のタイトルも刺激的でいいですね!

今回の本も勉強になります。 成功したい方は、みんなこの本を読んだらいいと思います。

結局のところ、読むか読まないかではなく、やるかやらないかの差なのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

失敗にこそ『その人の傾向』が顕著に表れる。その人にとっての固有の失敗というものが必ずあるのだ。・・・自分の固有の失敗を認めるのは精神的にラクではないが、そんなの本人次第だ。周りからどう見られるかというような、どうでもいい自尊心は捨てていい。むしろ、それを認めて、そこからどれだけ自分の器を大きくできるかを、一生懸命考え行動すればいい。・・・歴史上の人物を見ても分かるように、失敗して何度も立ち上がり天下を取るということがふつうなのである。もう一度言おう。失敗を恐れて何も決断できない人間に成功はできない。」(145~146頁)

たぶん、私の周りの同世代の成功している経営者は、みんなこのような考えを持っています。

周りからどう評価されるかなどというどうでもいいことに気を遣っている人は、皆無ではないでしょうか。

どんなことをしても、悪く言う人は、悪く言うのです。 そんなこと、別にどうだっていいじゃないですよね。

「ふーん、だから何?」くらいに思って、自分の目標に向かって、日々、努力すればいいのです。

一度だけしかない短い人生の中で、いろんなことにびびりながら、縮こまって生きていても何にも楽しくありません。

ということで、今日も一日、がんばります。

賃金68(八千代交通事件)

おはようございます。

さて、今日は、無効な解雇により就労できなかった期間は、年休取得要件である「全労働日」に算入され、かつ、出勤した日として扱うのが相当であるとした原審を維持した最高裁判例を見てみましょう。

八千代交通事件(最高裁平成25年6月6日・労経速2186号3頁)

【事案の概要】

本件は、解雇により2年余にわたり就労を拒まれたXが、解雇が無効であると主張してY社を相手に労働契約上の権利を有することの確認等を求める訴えを提起し、その勝訴判決が確定して復職した後に、合計5日間の労働日につき年次有給休暇の時季に係る請求をして就労しなかったところ、労働基準法39条2項所定の年次有給休暇権の成立要件を満たさないとして上記5日分の賃金を支払われなかったため、Y社を相手に、年次有給休暇権を有することの確認並びに上記未払賃金及び遅延損害金の支払を求める事案である。

法39条1項及び2項は、雇入れの日から6か月の継続勤務期間又はその後の各1年ごとの継続勤務期間において全労働日の8割以上出勤した労働者に対して翌年度に所定日数の有給休暇を与えなければならない旨定めており、本件では、Xが請求の前年度においてこの年次有給休暇権の成立要件を満たしているか否かが争われた。

一審および二審ともにXの主張を認めたため、Y社が上告した。

【裁判所の判断】

上告棄却

【判例のポイント】

1 法39条1項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は、法の制定時の状況等を踏まえ、労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと、前年度の総暦日の中で、就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち、労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは、不可抗力や使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かされるべきものは別として、上記出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものと解するのが相当である

2 無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由無く就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり、このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから、法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものというべきである。

異論はないと思います。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介262 竹中式マトリクス勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

竹中式マトリクス勉強法 (幻冬舎文庫)

5年程前に出版された本ですが、もう一度読んでみました。

竹中さんが、こういう勉強法に関する本を出しているのは意外かもしれませんね。

もっとも、この本を通じて、勉強法よりも竹中さんの考え方を知ることができるのがいいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

知的生活を妨げるのは、意味もなく人と群れることです。ところが、サラリーマンの多くは、毎晩のように同じメンバーと飲みに行っては、愚痴や人事話に花を咲かせています。・・・しかし、誤解をして欲しくないのは、何も私は人付き合いなんてどうでもいいと言っているのではありません。むしろその逆で、優れた仲間、つまり自分の知的好奇心を刺激してくれる人と積極的に付き合って、切磋琢磨することほど、仕事や勉強の活性剤になることはありません。ただし、重要なのは、いい人を選ぶということ。残念ながら、時間は有限ですから、誰でも彼でも満遍なく付き合う時間はありません。」(78~79頁)

異論なし。

先日、同級生の経営者と食事に行ったとき、同じような話が出ました。

30代の半ばにもなると、それなりにお付き合いの幅が広がり、会食等の機会が増えてきます。

その一方で、当然のことではありますが、1週間、1か月という時間の枠はそれと比例して広がることはありません。

1週間であれば、7日しかないのです。

どうがんばっても、じっくり話ができる人数は限られてきます。

そうであれば、自分の成長にとって有意義な方と会ったほうがいいですよね。

はっきり言うと、愚痴を言ったり、聞いたりしている程、時間に余裕がないのです。

過去の話には興味がなく、これからどうしていくかという話で盛り上がりたいのです。 これが本音ですかね。

賃金67(ファニメディック事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は、獣医師に対する試用期間中の解雇及び時間外労働に対する割増賃金等の請求に関する裁判例(ここでは、割増賃金等の請求について具体的に見ていきます。)を見てみましょう。

ファニメディック事件(東京地裁平成25年7月23日・労経速2187号18頁)

【事案の概要】

本件は、平成23年5月10日からY社で稼働していたXが、同年11月9日付けでなされた解雇について、解雇理由とされる事実自体が存在せず社会通念上相当性を欠いている等と主張して、Y社に対し、雇用契約上の地位確認等を求めた事案である。

Y社における獣医師の基本給は、各人別に算定される能力基本給および年功給により構成されるものとし、以下の式により算出される金額を75時間分の時間外労働手当相当額及び30時間分の深夜労働手当相当額として含むものとされている。

75時間分の時間外労働手当相当額=(能力基本給+年功給)×34.5%

30時間分の深夜労働手当相当額=(能力基本給+年功給)×3.0%

【裁判所の判断】

解雇は無効

未払残業代としてほぼ請求金額の満額を認めた。

付加金として同額の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 就業規則の効力発生要件としての周知は、必ずしも労基法所定の周知と同一の方法による必要はなく、適宜の方法で従業員一般に知らされれば足りると解されるところ、Y社では、流山本院の受付周辺に印字した就業規則を備え置いているほか、同じく流山本院の受付のパソコンに就業規則のデータを保管していること、Xにも、Y社での勤務開始前に、Y社代表者から上記事実が伝えられていたことを認めることができる。

2 36協定は、労基法32条または35条に反して許されないはずの労働が例外的に許容されるという麺罰的効力を持つものであるが、有効な36協定が締結されていない状況下でなされた時間外労働にも割増賃金は発生すること、その差異、就業規則に労基法に定めるものと同等か、それ以上の割増賃金に関する定めがあれば、使用者に対し、当該規定に基づく支払義務を課すことが相当であることに照らせば、36協定の効力の有無によって、割増賃金に関する就業規則の規定の効力は影響を受けないというべきである

3 基本給に時間外労働手当が含まれると認められるためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分が判別出来ることが必要であるところ(最高裁平成6年6月13日判決)、その趣旨は、時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分が労基法所定の方法で計算した額を上回っているか否かについて、労働者が確認できるようにすることにあると解される。そこで、本件固定残業代規定が上記趣旨に則っているか否かが問題となる。
・・・確かに、本件固定残業代規定に従って計算することで、通常賃金部分と割増賃金部分の区別自体は可能である。しかし、同規定を前提としても、75時間分という時間外労働手当相当額が2割5分増の通常時間外の割増賃金のみを対象とするのか、3割5分増の休日時間外の割増賃金をも含むのかは判然とせず、契約書や級支給明細書にも内訳は全く記載されていない
結局、本件固定残業代規定は、割増賃金部分の判別が必要とされる趣旨を満たしているとはいい難く、この点に関するY社の主張は採用できない(そもそも、本件固定残業代規定の予定する残業時間が労基法36条の上限として周知されている月45時間を大幅に超えていること、4月改定において同規定が予定する残業時間を引き上げるにあたり、支給額を増額するのではなく、全体に対する割合の引上げで対応していること等にかんがみれば、本件固定残業代規定は、割増賃金の算定基礎額を最低賃金に可能な限り近づけて賃金支払額を抑制する意図に出たものであることが強く推認され、規定自体の合理性にも疑問なしとしない。)。

最近の裁判例を見る度に、固定残業代制度の終焉を迎えつつある気がしてなりません。

固定残業代制度の制度設計を間違うと、普通の未払残業代よりも多くの金額を支払わなければならないのが通常です。

しかも、使用者側の感覚からすると、二重払いのように思えてしまうので、たちが悪いです。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介261 成功者は端っこにいる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間、お疲れ様でした。 あっという間に時間が過ぎていきます。

さて、今日は本の紹介です。

 成功者は端っこにいる――勝たない発想で勝つ (講談社プラスアルファ新書)

著者は、「紅虎餃子房」等を運営する際コーポレーション会長です。

書かれている内容全てが、著者の経験に基づいているため、説得力があります。

とてもおもしろい内容で、参考になります。 おすすめです!

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人は、所詮はお釈迦様の掌の上でうごめき合っているだけ、と私は考えている。・・・その掌くらいのところに生きていて、やれ社長になっただの、やれクビになっただの、つぶやいているうちに命が尽きてあの世に行ってしまうのである。それを知ることが、『生きるコツ』である。つまりは『死生観』だ。・・・日々、あれこれ悩んだり、悲観したり、喜んだりして生きているわけだが、その程度の年数のなかですべてが起こっているのである。わかりきった理屈なのだが、そのことをしっかりと腹に収めておけば、悩むこと、落ち込むことなどひとつもなくなってくる。人生、どんなに長く生きたところで、行きつく場所は墓場以外ない。そう考えていれば、怖いことなんかない。見栄を張ることもない。腹をくくって生きていけばいいのだ。」(33~34頁)

こういう感覚でものを考えられるようになると、いちいち落ち込むこともなくなるのでしょうね。

「私は、マイナス思考だから」と嘆いている方へ。

マイナス思考は生まれつき持った才能でも性格でもありません。

マイナス思考は単なる習慣です。 毎日毎日、マイナス思考を懲りずに続けてきた結果、あたかも性格であるかのように無意識の領域までマイナス思考が定着しているだけです。

物事をプラスに考えることなど、実はそれほど難しいことではありません。

このブログでも、何度か書いたことがありますが、私が好きな考え方に「出来事それ自体に意味はない。出来事に意味を与えるのは自分の解釈である。」というのがあります。

だから、自分で大袈裟に「つらい」とか「きつい」とか「もうだめだ」などと解釈しないことが大切なのです。

解釈のしかたを変えるだけで、人生は楽しくなるし、幸せを感じることができるようになります。

幸せは、探しても見つかりません。感じるものですから。 ちーん。