Author Archives: 栗田 勇

労働災害59(米八東日本事件)

おはようございます
__←先日、久しぶりに鷹匠の「Venti Due」に行ってきました

写真は、定番の「マリナーラ」と「モレッティ」です。なにげに最強のコンビです。

おいしゅうございました。

今日は、午前中は、債権者集会が入っています。

午後は、沼津の裁判所で証人尋問が入っていましたが、延期になりましたので、事務所で書面作成です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、心臓性突発死した従業員に対する安全配慮義務違反に関する裁判例を見てみましょう。

米八東日本事件(新潟地裁平成24年12月6日・労経速2166号15頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが死亡したのは、Y社における過重労働が原因であるとして、Xに対し、XらのうちXの妻子が、労働契約に基づく安全配慮義務違反に基づき、Xの母が不法行為に基づき、損害賠償の支払を求めた事案である。

なお、Y社の店舗の店長であったXは、有給休暇を取得して深夜にテレビでワールドカップの決勝戦を観戦していたが、翌朝ぐったりとして反応がなく病院に搬送されたが、心臓性突発死により死亡した(享年36歳)ことが同病院で確認された。

【裁判所の判断】

Y社の安全配慮義務違反を認定
→Y社に対して、合計約4000万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 労働者が長期間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知のところである。したがって、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことのないように注意する義務を負う。

2 Y社本社は、一般に70時間を超える超過勤務を指導していたこと、Xのタイムカードのチェックを行っていたことが認められ、Y社は、Xの長時間労働の実態を認識していたものであるから、それによる心身の健康を損なう何らかの疾患の発症を予見できたものと認められる。したがって、Y社は、発症予防のため、過重な労働を是正する措置をとる義務があったものであり、Y社が同義務を遵守すれば、Xは、過重労働による心臓性突然死を避けることができたのに、Y社はこれを怠り、その結果、Xの心臓性突然死をもたらしたものであり、Xに対して損害賠償責任を負う。
この点につき、Y社は、心臓性突然死についてはその原因が不明であるから予見可能性や結果回避可能性がない旨主張するが、上記のとおりY社にはXにおける心身の健康を損なう何らかの疾病の発症については予見可能性や回避可能性が認められるところ、予見の対象としては心臓性突然死という具体的な症状までは不要というべきであるから、Y社の主張は採用できない。

3 Y社におけるXの労働は過重であったと認められるが、本件店舗の店長であるXは、これを是正するため、Y社に申し出て業務量ないし労働時間の軽減を図ることが可能な立場にあったにもかかわらず、そのような申出をしたことは認められない。また、Xは、平成18年6月9日から深夜のワールドカップ中継を観ており、特に同年7月3日から休暇を取得していたのであるから、その間、疲労回復に努め、心身の休養を図ることは可能であったにもかかわらず、深夜のワールドカップ中継視聴を継続していた。Xの心臓性突然死がワールドカップ決勝戦を観るために深夜一人でいた際に発症していることなどからすると、同発症にはこれらの要因が影響していることは否定できず、その他本件で認められる全事情を総合考慮すると、損害の公平な分担のためには、損害について3割の過失相殺をするのが相当と認める。

4 Y社は、本件のように債務不履行に基づく請求については債権者は弁護士費用その他の費用を請求できない旨主張する。しかし、労働者が、使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償を請求するため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる範囲内のものに限り、上記安全配慮義務違反と相当因果関係に立つ損害というべきであるから(最高裁平成24年2月24日)、同主張は採用できない。

長時間の残業が継続的に行われている場合には、使用者の安全配慮義務違反を認定されやすいです。

見て見ぬふりをしていると、大変なことになりますので、注意しましょう。

本件では、Xが店長という立場にあったことが過失相殺の一要素となっていますね。

自分で業務時間を軽減できる立場にあったということが理由です。

現実にそれが可能であったかどうかはわかりません。

本の紹介195 エフェクティブ・タイム・マネジメント(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、スタッフを連れて、事務所の近くにある「ベルベジ」に行ってきました

写真は「汁なし坦々麺」です。野菜がたっぷりで、超ヘルシーです。

今日は、午後いっぱい、沼津の裁判所で建築瑕疵の証人尋問です

午前中は、証人尋問の最終準備です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
エフェクティブ・タイム・マネジメント―仕事を最大に効率化する 八代式15分間仕事術
エフェクティブ・タイム・マネジメント―仕事を最大に効率化する 八代式15分間仕事術 [単行本]

テレビでお馴染みの八代弁護士の本です。

本当は、この本のタイトルを「50代セミリタイアへの黄金の道」にしたかったそうです。

編集者に反対されてあきらめたそうです。 

内容との関連性の薄さを無視すれば、「50代~」のタイトルの方が売れたのではないでしょうか。

タイトルは、とても大切ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・時間にもこの費用対効果と同じ意識をもつことが求められる。つまり、費やした時間が、どれだけの効果(結果)を生むか。言ってみれば仕事の「時間対効果」だ。多忙なビジネスパーソンとしては、『コストエフェクティブ(かかった費用と効果との相関関係)』と『タイムエフェクティブ(かかった時間と効果との相関関係)』の両者について、常に考えてほしいということである。」(52~53頁)

コストエフェクティブ、タイムエフェクティブという言葉を使うかどうかはさておき、経営者は、この費用対効果、時間対効果を少なからず考えています。

これは当然のことです。

費用(経費)ばかりかかり、それに見合う利益が出なければ、会社を維持できません。

同様に、時間ばかりかかり、それに見合う利益が出ない場合も同じことです。

よく「従業員も、全員、経営者意識を持つべきだ」と言われますが、これは要するに自分の仕事の費用対効果、時間対効果を考えるということなんだと思います。

どれだけの費用と時間をかけても、また、どれだけの利益を出しても、出さなくても、一定額の給与をもらえるという状況の中で、いかに経営者と同じ意識を持つか、ということです。

「私たちは、経営者ではないから、そんなこと考える必要はない。安定した給料さえもらえれば、それ以上のことを考える必要はない。」と低レベルな発想からいかに脱出できるか。

また、経営者としては、いかに従業員の意識を高めるべきか、という発想を持つべきです。

組織の中に、どれだけ経営者意識を持ったメンバーがいるかという視点は、今後ますます重要になってくると思います。

日本人の労働生産性の低さは、以前から言われていることです。

一人一人が、向上心を持ち、よりコストエフェクティブかつタイムエフェクティブな仕事の仕方を追求していく必要があるのではないでしょうか。

では、どうしたらよいか?

私は、「他人ごとを自分のこととして捉える習慣付け」と「適正公平な評価」だと考えています。

この続きは、また別の機会に書こうと思います。

解雇104(N社事件)

おはようございます。  今週も一週間がんばりましょう!!

さて、今日は、競業会社と隠れて取引を行ったことを理由とする懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

N社事件(東京地裁平成24年10月11日・労経速2166号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、平成17年12月5日、同月19日をもって退職する旨の退職届を提出したにもかかわらず、Y社から同月9日付けで懲戒解雇されたことから、これが無効であり、退職届に基づく退職が有効であると主張して、(1)Y社の退職金規程に基づく基本退職金1028万円余、役付給付金437万円余、功労加給金42万円及び特別加給金492万円余の支払と、これらに対する遅延利息の支払を求めるとともに、(2)Y社が軽率にXの横領行為を理由とする無効な懲戒解雇をしたり、ドバイ首長国の警察署に対して上記横領行為の件を告訴してXに同国の刑事裁判を受けることを余儀なくさせたり、X・Y社間に雇用トラブルがあることを公にするかのような新聞広告を掲載してXの再就職等を困難にしたり、Xが告訴され旅券を取り上げられたて出国できないこと等を客先に対して殊更流布したりすることによってXの名誉・信用を毀損したことが不法行為に該当し、また、Y社が、新たな居住ビザ取得のために必要なビザキャンセル許可を拒否したことによって、Xが居住ビザや旅券を取得することが困難となり、IDカードの取得、アパートの賃貸や銀行口座の開設・預金の引き出し等、日常生活において困難を強いられたことが不法行為に該当すると主張して、これらに基づく不法行為に基づく損害賠償請求をした事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は無効

Y社はXに対し1466万円余及び平成18年3月1日から支払済みまで年6%の遅延利息を支払え

【判例のポイント】

1 一般に、使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないが、懲戒当時に使用者が認識していた非違行為については、それが、たとえ懲戒解雇の際に告知されなかったとしても、告知された非違行為と実質的に同一性を有し、あるいは同種若しくは同じ類型に属すると認められるもの又は密接な関連性を有するものである場合には、それをもって当該懲戒の有効性を根拠付けることができると解するのが相当である

2 Y社の就業規則においては、刑法犯となる可能性のある横領行為につき、「その疑いがあること」そのものを懲戒解雇事由と定めてはいないのであって、横領の疑いが、本件のように「許可のない自己営業に準じる不都合な行為」という懲戒解雇事由に該当すると主張するのであれば、その疑い自体が、相当程度の資料に基づく具体的かつ合理的なものでなければならないところ、そもそも本件懲戒解雇通知において、Y社側がXにつき横領の疑いを抱いたとする具体的事実や被害金額の摘示すらなく、懲戒解雇該当事由としては詳細があまりに不特定であったことなどに照らすと、懲戒解雇事由として、Xに横領の疑いありとするには早計であったといわざるを得ない

3 本件懲戒解雇は、Xによる退職の意思表示がY社に到達した後、それが効力を生じる前に、急遽なされたものであること、本件懲戒解雇事由について、Xに弁明の機会が与えられていなかったことを併せ考えると、本件取引中止宣言後もY社に隠れてN工業と取引を行ったという懲戒解雇事由が、34年8か月というXの多年の勤続の功を抹消してしまう程度に重大なものということまではできないし、Xを懲戒解雇として退職金を不支給とすることが、Y社の規律維持上やむを得ない場合にあたるということもできない

4 Xは、基本退職金、役付退職金の他に功労加給金及び特別加給金の請求権を主張しているが、前提事実に摘示したとおり、功労加給金については、Y社代表者が、直属所属長の申告に基づき、その裁量によって、特に功労ありと認めた従業員に対して支給するものであるから、Xにその請求権はないというほかはない。また、特別加給金については、労災法の適用基準により、業務上の直接原因による死亡又は通常の勤務に耐えられぬ事由により退職したときに支給されるものであるところ、Xにこのような事由を認めることはできないから、やはり、Xにその請求権はないというほかはない

基本給が高額のため、判決ではかなりの金額になっています。

懲戒解雇については、よほど慎重に進めなければ、本件のように会社側に手痛いしっぺ返しとなります。

また、退職金の減額や不支給についても、慎重に決定しないと、かなりの確率で訴訟になりますので注意が必要です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介194 弁護士が書いた究極の勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今週も一週間お疲れ様でした。
__←先日、久しぶりに「かまど家 ピュアカリ」に行ってきました

お気に入りにお店です。

写真は、「クアトロ」です。4種類のチーズがのっています。

めちゃうまです!!

今日は、午前中は、新規相談が1件、打合せが1件入っています。

午後は、裁判が1件、新規相談が2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
弁護士が書いた究極の勉強法―小学生から学ぶ大人の成功法則28
弁護士が書いた究極の勉強法―小学生から学ぶ大人の成功法則28 [単行本]

スタッフが資格・検定の勉強をするのに役立つかな、と思い、改めて読み直して見ました。

この本は、著者が司法試験の勉強をしていたときの方法論をまとめてあるのですが、その方法論は、司法試験に限ったものではありません。

すべての受験勉強には、やり方があるわけで、司法試験だけの勉強法というものはありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・このように基本を問われている以上、勉強するときも基本を徹底してマスターする必要があります。基本というのは、どの基本書にも書いてあることです。最新の判例や、最先端の議論を追うことは、基本ではありません。これらのことまで手を広げると、頭がパンクします。記憶できることには限界があります。そうすると、最先端の知識が入ってくる分、基本を忘れます。基本を忘れると、いくら最先端の知識があっても試験に合格できません。問われているのは基本だからです。」(79~80頁)

もう何も言うことはないくらい、資格試験の勉強法の王道です。

基本だけをやる。 そのかわり、徹底的に基本を身につける。

1000個の不確実の知識よりも100個の確実な知識で勝負するのです。

手を広げれば広げるほど、基本がおろそかになります。

基本知識で解ける問題(これを基本問題という。)とそうでない問題(これを応用問題という。)を明確に見分けることができ、基本問題を落とさず正解できれば、それだけでほとんどの試験では合格圏内に入ります。

不合格となる場合は、細かい知識を知らなかったから不合格となったのだと誤った分析をすると、どんどん合格から遠のく勉強が始まります。こうなると合格までに長い時間を要することになります。

不合格となる場合は、基本問題を落としているからであり、いわゆる「自滅」している場合がほとんどです。

とにかく基本だけを徹底的にやる。浮気をせず、これを最後まで貫く。

そうすれば、自然と合格できるのではないでしょうか。

解雇103(報徳学園(雇止め)事件)

おはようございます。

さて、今日は、試用期間としての有期常勤講師制度と雇止めの可否に関する裁判例を見てみましょう。

報徳学園(雇止め)事件(大阪高裁平成22年2月12日・労判1062号71頁)

【事案の概要】

本件は、平成16年4月に約1年間の雇用期限付で、Y社の美術科常勤講師として採用され、その後も、同様の雇用契約を2度にわたり締結していたXが、Y社に、19年度の雇用契約の締結を拒絶(雇止め)されたことに関し、それが雇用契約の更新拒絶に該当するところ、同更新拒絶には合理的理由がなく解雇権濫用法理の適用または準用により無効であると主張して、XがY社に対し雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認および本件雇止め後である平成19年4月1日以降の賃金の支払を求めた事案である。

本件の争点は、本件雇止めの有効性である。具体的には、(1)本件各雇用契約に解雇権濫用の法理が適用または類推適用されるか、(2)解雇権濫用の法理の適用または類推適用が認められる場合、本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができないか、である。

なお、第一審は、Xの地位確認請求等を認容した。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

【判例のポイント】

1 有期雇用契約が多数回にわたって反復更新されるなどして期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となり、当事者の合理的な意思解釈としては実質的に期間の定めのない契約を締結していたものと認定される場合、雇止めの意思表示は実質的には解雇の意思表示に相当し、その効力を判断するに当たり、解雇に関する法理を類推適用するときがある(最高裁昭和49年7月22日)。また、期間の定めのない契約と実質的に異ならないとまで認められない場合であっても、当該雇用関係がある程度の継続が期待されていたものであり、現に契約が何度か更新されているような場合、契約期間満了による雇止めには解雇に関する法理が類推されることがある(最高裁昭和61年12月4日)。そして、期間の定めのない雇用契約において、使用者の解雇権の行使が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、当該解雇権の行使は権利の濫用として無効となり(最高裁昭和50年4月25日)、上記類推適用の場合も同様と解されるが、ただ、期間の定めのない契約と実質的に異ならないとまで認められない場合には、雇止めの効力を判断すべき基準は、いわゆる終身雇用の期待の下に締結された期間の定めのない労働契約における解雇とは合理的な差異がある(最高裁昭和61年12月4日)。

2 Y社の常勤講師制度が、専任教諭の実質的試用期間とするために設けられたとは認められない。このような期間の定めのある教員の雇用は、一般に、職員構成の変動のほか、年度ごとの生徒数や教科編成の変動等に対応するためと認めるのが社会の実態を反映したものであるが、本件において、常勤講師契約やY社の内部規則等に常勤講師契約が専任教諭採用の手段であることを示す規定がある等、Y社がこれと異なるものとして上記制度を導入したと認めるに足りる事情はない。Y社が、常勤講師としての勤務状況を判断材料として、その中から専任教諭を採用した実例があったことは事実であるが、このような実例があったことは、上記のような常勤講師の制度を採用した目的ないし有期雇用契約であることと矛盾しない

3 ・・・このような経緯に照らすと、平成16年度雇用契約の時点では、Xが上記期待を持ったことの合理性があったかもしれないが、それは主としてB校長の言動に基づく主観的なものであって、常勤講師制度の目的等からの客観的根拠があったわけではない。そして、その後2年度にわたって専任教諭に採用されず、かえって、平成18年度雇用契約に先立ち、C校長及びG中学校長の上記告知を受け、さらに平成17年度限りで1名の常勤講師が雇止めとなったことを考慮すれば、少なくとも平成18年度には、Xの上記期待は減弱ないし消滅していたもの認めるのが相当であり、少なくとも合理的な根拠が乏しいものになっていたというべきである。

高裁で敗訴したXは、その後、最高裁に対し、上告受理申立てをしましたが、平成22年9月9日、不受理の決定が出されています。

本件では、Xの期待は主観的であり、客観的根拠があったわけではないとして法的に保護されるものではないという判断をされています。

雇止めに関する裁判例を相当数出てきており、企業が事前にかなり対策をとった上で、雇止めに踏み切っていることがうかがわれる事案も少なくありません。

本田技研工業事件がその典型ですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介193 ナイチンゲール 心に効く言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
ナイチンゲール 心に効く言葉
ナイチンゲール 心に効く言葉 [単行本]

ナイチンゲールさんの言葉を集めた本です。

ナイチンゲールさんは、クリミア戦争の際、看護師として戦地に行き、野戦病院の総責任者となった方です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

看護師であるということは、文字どおり、看護師であるということです。自分の気に入る仕事をまかされたときだけ看護師になるということではありません。気に入らない仕事を与えられたから働けないというなら-患者をいつも看護師の都合に合わせるわけにはいかないのですから-それは、わがままな子どもや、ききわけのない女の子のようなふるまいであり、看護師のふるまいではありません。気に入らない仕事でも、高い志をもってやりつづけ、やがてその仕事が好きになれるかどうか。それがほんものの看護師になるための試練なのです。」(49頁)

仕事に対する考え方として大変参考になります。

自分が任された立場で求められた役割を果たす。 これが仕事だと思います。

いろいろな考え方があると思いますが、私は、このように考えています。

これは、従業員に限らず、経営者も同じです。

社会から求められている役割を果たす、ということに尽きるのではないでしょうか。

仕事の中には、正直、やりたくない仕事、終わりの見えない仕事、骨の折れる仕事があります。

このような仕事をまかされるのには、必ず理由があります。

「できない仕事」はありません。

もしできないのであれば、それは、自分で「できない」と思っているからです。

できるかできないか、ではなく、どうやって目の前の課題を克服するか。

このように考えることができない方もいると思いますが、これもすべて考え方の習慣の問題です。

賃金58(朝日自動車(未払賃金)事件)

おはようございます。

さて、今日は、労使協定の効力と未払賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

朝日自動車(未払賃金)事件(東京地裁平成23年11月11日判決・労判1061号94頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結して労務を提供しているXほか6名が、Y社に対し、平成21年6月10日付労使協定は、Xらの雇用条件を変更する効力を有さず、Xらは本件協定以前の雇用条件により本件協定によって減額された差額賃金の支払いを請求することができるとして、雇用契約に基づく賃金請求権に基づき、本件協定適用後である平成21年7月から22年8月までの未払賃金およびこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。

本件の争点は、本件労使協定に基づく雇用条件変更の効力の有無である。

【裁判所の判断】

本件労使協定に基づく雇用条件変更は無効

【判例のポイント】

1 まず、本件協定は、本件各手当を廃止ないし減額するものであって、廃止ないし減額の対象となる本件各手当の支給がXらとY社との間の雇用条件となっていることを前提とするものであるから、本件協定成立時において、本件各手当の支給がXらとY社との間の雇用条件となっていたものと認めるのが相当である。したがって、Y社が、Xらの同意等賃金減額の根拠となりうる正当な理由なしに一方的に変更することはできないものである。

2 本件協定による本件各手当廃止の有効性について検討するに、本件組合が必ずしも本件規約所定の手続を経ることなく労働協約を締結していたにもかかわらず、これによる法的な紛争が顕在化していなかったことが認められるものの、労働協約の有する効力の内容からいって、軽々に本件規約の明文に反するY社主張に係る労使慣行が成立していたものとはいえないし、労働協約の締結に際し大会決議を要するとする本件規約が黙示的に廃止されたものともいえない。そして、本件各手当の廃止は、形式的にも実質的にも賃金減額を伴うものであるから、本件組合が本件協定を締結するには本件規約に基づく大会決議を要するものと認められ、本件規約に定める大会決議を欠き、本件規約に反して締結された本件協定は、適正な授権を欠いて無効なものといわざるを得ない。したがって、Xらは、本件協定の締結によって本件各手当を請求する権利を失わず、Xらは、本件請求期間中の労務提供によって、本件各手当相当の賃金の支払を求める賃金請求権を取得したものである。
そして、本件組合は、Xらが取得した具体的な賃金請求権についての処分権限を有しないから、本件組合が後日大会において本件協定を追認する趣旨の決議をなしたとしても、Xらが取得した具体的な賃金請求権の帰趨に何の影響もない。したがって、Xらは、賃金請求権に基づいて、本件請求期間中の本件各手当の支払を請求することができる。

そう簡単に労使慣行の成立は認められません。

規約で定める手続を経ていない労使協定の効力については、原則に従い、無効であると判断されています。

また、本件規約により賃金が減額されるという点からしても、軽々に労使慣行を認めるわけにはいかないという価値判断が働きます。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介192 幸福論(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今週も一週間がんばりましょう!!
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←先日、4月から新しくメンバーになった事務所スタッフの誕生日会を行いました

これからいろいろなことを吸収して、社会に貢献してもらいたいと思います。

事務所として、全面的にサポートしたいと思います。

今日は、午前中は、労働事件の裁判が1件入っています。

午後は、裁判が1件、裁判の打合せが1件、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
幸福論
幸福論 [単行本]

須藤元気本、第7弾です。

この本は、須藤さんが、2005年の春から夏にかけて、四国八十八ヵ所を旅したときの記録です。

須藤さんが感じたことが書かれています。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

須藤家の家訓が『頭を使え』だったせいか、今までの人生で思考の堂々巡りを感じることが多かった。頭で考えることが多くて、自分の直感と向き合うことがほとんどなかったように思える。僕は最近、頭は『秘書』のようなもので、自分の直感こそが、『社長』であり、すべての決定機関だということに気づいた。そして改めて、自分の直感と向き合いたかったのである。つまりは、自分との対話をしたかった。物事を決断する時には、”損得=頭”ではなく、”感情=直感”を優先する。『これをやれば後で後悔する』という考えではなくて、『気持ちいいからこれをやる』という直感を大切にしたい。」(143頁)

みなさんは、決断する時の判断基準を持っていますか?

なにかをやるかやらないかを決めなければならないとき、みなさんは何を重視しますか?

これをやることは、自分にとって得か損かという理屈で考えることも多いと思いますが、直感的に「やりたい」「やるべきだ」と思ったときは、それが自分にとって損をすることだとしてもやってみる。

そもそも「損する」とは何をもって損と考えるかによりますが、多くの人は、「儲からない」とか「メリットがない」という経済的な観点で「損得」の判断をしているのではないでしょうか。

このような判断基準自体は否定しません。当然、あり得る判断基準です。

ただ、仮にこのような「損得」という判断基準に依拠するにしても、「損」と思えることがいつ「得」に変わるかわかりません。

世の中、一見、「損」に見えるものが、長い目で見れば「得」であったり、逆に一見「得」に見えるものが、実は「損」であるなんてことはざらにある話です。

つまり、自分自身の頭でぱっと見の「損得」を判断したところで、たかがしれているということです。

だったら、そんな小さな基準で物事を判断するのではなく、直感的に「やってみたい」「やるべきだ」と思ったことは、すぐにやってみるべきではないでしょうか。

とにかくやってみる。

このチャレンジ精神が大切なんだと思います。

賃金57(トレーダー愛事件)

おはようございます。

さて、今日は元従業員による未払賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

トレーダー愛事件(京都地裁平成24年10月16日・労判1060号83頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、Y社に対し、未払賃金、時間外手当および付加金の支払を請求した事案である。

Y社は、冠婚葬祭やそれに関連する諸分野を中心に事情を展開する会社である。

Xは、ホテルにおいてフロント(宿泊)担当として勤務していたところ、平成22年5月から、本件ホテルを買収したY社との間で労働契約を締結し、本件ホテルでの勤務を継続した。

本件の争点は、成果給が時間外手当にあたり、割増賃金の基礎賃金から除外されるかという点である。

Y社の就業規則及び給与規程において、成果給を時間外手当とし、割増賃金を計算する基礎賃金にも含まれないことが明記されており、この就業規則や給与規程は、Xに交付されている。そして、成果給は、前年度の成果(業績)に応じて人事考課によって決められることになっている。

【裁判所の判断】

Y社に対し、未払賃金等283万余円の支払を命じた

付加金の支払は否定

【判例のポイント】

1 成果給はすべて時間外手当であり、基本給との区別は明確にされているので、時間外労働に対する割増賃金を計算することはできる。そして、時間外手当につき、定額で支払うことは可能であることからすると、Y社の定める賃金体系には問題はないようにみえる。
しかしながら、Y社のこうした賃金体系は、次の理由により、是認することはできない。

2 まず、Xの基本給は14万円、成果給は13万円とほぼ拮抗しており、さらに、他の手当も、役割給(役職者手当)と通勤手当を除くと、すべて時間外手当と位置づけられており、宿日直手当を受けているXの場合、宿日直手当を含めると、時間外手当が基本給を上回る仕組みとなっている
・・・所定内労働と時間外労働で労働内容が異なるものではない。そうすると、基本給(所定労働時間内の賃金)と成果給(時間外手当)とで労働単価につき著しい差を設けている場合には、その賃金体系は、合理性を欠くというほかなく、基本給と成果給(時間外手当)の割り振りが不相当ということになる

3 また、成果給は、前年度の成果に応じて人事考課によって決められる。他方、時間外手当は労働者を法定労働時間を超えて労働させた場合に使用者が支払う手当であって、労働時間に比例して支払わなければならないものであり、前年度の成果に応じて決まるような性質のものではない。そうすると、Y社において、性質の異なるものを成果給の中に混在させているということができる

4 さらにいえば、Y社における基本給は、ほぼ最低賃金に合わせて設定されている。そして、それ以外の賃金はすべて時間外手当とすることによって、よほど長時間の労働をしない限り時間外手当が発生しない仕組みになっている

5 所定労働時間内の業務と時間外の業務とで業務内容が異ならないにもかかわらず、基本給と時間外手当とで時間単価に著しい差を設けることは本来あり得ず、Y社の給与体系は、時間外手当を支払わないための便法ともいえるものであって、成果給(時間外手当)の中に基本給に相当する部分が含まれていると評価するのが相当である。

6 以上のとおり、Y社の賃金体系は不合理なものであり、成果給(時間外手当)の中に基本給の部分も含まれていると解するのが相当である。そうすると、成果給がすべて時間外手当であるということはできず、成果給の中に基本給と時間外手当が混在しているということができるのであって、成果給は割増賃金計算の基礎賃金に含まれるとともに、時間外手当を支払った旨のY社の主張は失当である

かなり踏み込んだ裁判例です。

実質的にみて、成果給の中に基本給の一部が含まれていると解釈しています。

控訴審でも維持されるのでしょうか?

このような判断が通るとすると、労働者側は争い方が増えますね。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介191 今日が残りの人生最初の日(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、鷹匠の「ONIWA Cafe」に行ってきました。スープカレーのお店です。

写真は、「チキンと野菜のスープカレー」です。

はじめて行く人は、お店の場所を探すのは至難の業です(笑)

あまりスープカレーを食べる習慣はないのですが、おいしかったです。

今日は、午前中は、沼津の裁判所で交通事故の裁判です

午後は、そのまま富士へ移動し新規相談です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
今日が残りの人生最初の日
今日が残りの人生最初の日 [単行本]

須藤元気本、第6弾です。

この本のタイトルは、須藤さんが講演会や著書で伝えているメッセージだそうです。

毎瞬毎秒を楽しく生きることが悩みとサヨナラし、人生で成功する最大のコツである。今日が人生最後の日でもいいと思って生きるのだ。」(6頁)

すばらしいメッセージですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『もの』を持ちすぎないことも大切であろう。マザー・テレサやブッダをイメージしてほしい。何かを成し遂げた生き方の達人は、物理的にも心理的にも非常に身軽である。
・・・つまり、ものの数と幸せは比例しない。むしろ自由に生きることの妨げになるといっていい。ものをたくさん持っている状態は、非常にエネルギーを使うし身動きが取れない。足かせが多すぎると、いまの状態を維持するほうが楽になってしまって新しいチャレンジができなくなるからだ。
」(24~25頁)

これは、私も同じ意見を持っています。

私生活においても仕事においても、背負う物が多くなればなるほど身動きが取りにくくなり、新しいチャレンジをしにくくなるという感覚です。

チャレンジをする際、失敗したときのリスクを考えると、最初の一歩を踏み出せないという方、いませんか?

「失敗したときのリスク」を自分だけ背負えばいいのであれば、どんどんチャレンジすればいいのです。

しかし、そうでない場合には、そう簡単にはいきません。

どうしても慎重になってしまうのではないでしょうか。

そうすると、思う存分チャレンジしにくくなるでしょうし、仮にチャレンジしようとしても、スピードが遅くなってしまいます。

「モノ」を持ちすぎない。 これは1つのポイントになってくると思います。