Author Archives: 栗田 勇

労働災害115 業務上の疾病該当性と退職扱い無効地位確認等請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務上の疾病該当性と退職扱い無効地位確認等請求に関する裁判例を見ていきましょう。

足立通信工業事件(東京地裁令和4年12月2日・労判ジャーナル134号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、Y社が休職期間満了を理由とする退職手続を執ったことについて、当該休職の原因は代表取締役であるB及び取締役会長であるCの療養中に執られたものであるから無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるほか、Y社に対しては債務不履行に基づき、B及びCに対しては不法行為及び取締役責任に基づき、長時間労働、B及びCの暴言、違法解雇、解雇撤回後のハラスメント等による慰謝料等の損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職扱い無効

【判例のポイント】

1 労働基準法19条1項の業務上の疾病に該当するためには、当該疾病の発病ないし悪化に業務起因性が認められる必要があるところ、Xは、遅くとも平成29年10月中旬頃までに、抑うつ状態ないし気分(感情)障害を発症したものと認めることができ、Xの上記抑うつ状態ないし気分(感情)障害の発症については、労災認定基準のうち「仕事量が著しく増加して時間外労働も大幅に増える(倍以上に増加し、1か月当たりおおむね100時間以上となる)などの状況になり、その後の業務に多大な労力を費やした(休憩・休日を確保するのが困難なほどの状態となった等を含む)」場合に該当する事情があったものであるから、Y社における長時間労働によって発症したものというべきであるから、業務とXに発症した疾病に因果関係がないとするY社らの主張は、いずれも採用することができず、Xは、なお業務上の疾病について治癒に至ったものとはいえず、本件退職手続は、無効というべきであるから、Xは、労働契約上の権利を有する地位にある

直近で長時間労働が認められる場合には、ほとんど例外なく労災が認定され、結果、休職期間満了に伴う退職処分は労基法19条1項により無効となります。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2008 ハードワーク#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

ラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんの本です。

マインドセットがいかに大切かがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『自分に満足するな。常にゼロから始めよ』このメッセージは、2015年11月から私が率いることになったイングランド代表の選手たちにも、常に発しています。イングランドはワールドカップでの優勝経験もある強いチームですが、たとえトップクラスでも、落ちたくなければ、ゼロから始めるしかないのです。いい成績を上げても、努力を怠らず、ハードワークを続けます。その繰り返しがあるだけです。」(182頁)

自分に満足し出したら、もう引退時期が迫っている証です。

もうそれ以上、成長しない、否、成長する気がないのですから。

昔取った杵柄で食っていける程、プロの世界は甘くありません。

スポーツもビジネスも。

人と同じ生活をしていて、人と違う成果は出ません。

賃金259 体調不良を理由とする自宅待機期間中の賃金請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、体調不良を理由とする自宅待機期間中の賃金請求に関する裁判例を見ていきましょう。

ゼリクス事件(東京地裁令和4年8月19日・労判ジャーナル134号44頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、体調不良のため、令和2年8月20日、仕事を休み、同月21日、38度以上の発熱があったため、Y社に報告したところ、Y社から、2週間自宅で待機するように命じられたため、この間の賃金の支払を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 少なくとも同月20日及び同月21日については、Y社の責に帰すべき事由ではなく、また、同月22日から同月末日までの期間については、この間のXの体調は明らかではなく、Y社による自宅待機命令により就労することができなかったというべきであるが、この頃、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が生じていたこと(公知の事実)からすれば、感染が広がる危険を避けるため、発熱した労働者に2週間程度の自宅待機を命ずることには合理的な理由があったというべきであり、また、本件現場では、令和2年9月、クライアントの予算不足のため体制を縮小したことにより、Y社の人員に余剰が生じていたものであるから、令和2年8月及び同年9月分の賃金請求につき、Xの本件雇用契約に基づく就労義務の不履行については、労働基準法26条における債権者の責に帰すべき事由があったということはできないから、Xの同月分の賃金の支払請求には理由がない。

自宅待機命令の理由が本件のように不可抗力等を含め使用者側の故意・過失によらない場合には、賃金が発生しません。

もっとも、その判断は慎重に行う必要がありますのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。

 

本の紹介2007 お金をふやす8つの習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

書かれているのは、お金をふやす「方法」ではなく「習慣」です。

習慣を変えなければ人生は変わりません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私の知る限り、苦労せずにお金持ちになっている人は1人もいません。まずは今の居心地の良い環境を捨て、自分にとって居心地の悪いところで新しいチャレンジをしてみてください。そうすればきっと新しい道が見えてきますよ。行動しなければあなたの人生は今のまま全く変わりませんし、社会の流れに任せていてはむしろ悪化していくだけかもしれません。」(190頁)

わかっちゃいるけど、体が言うことを聞かないのです。

何かやらないといけないのは理解しているんだけど、時間がないし、ぶっちゃけ、面倒くさいのです。

とはいえ、ますます加速する人口減少社会、超高齢社会の流れに身を任せているだけでは、状況は悪化する一方です。

それも運命、と割り切って、諦めて生きるのも一つですが。

自分の人生は自分の力で切り拓く覚悟がある人は、自己投資を惜しまず、自らの商品価値を高める努力をし続けましょう。

そういう人は、言われなくても既にやっていると思いますが。

賃金258 賃金相当額の損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃金相当額の損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

グラインドハウス事件(東京地裁令和4年12月21日・労判ジャーナル134号22頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結したと主張するXが、雇用契約に基づく賃金請求並びに会社法423条1項及び会社法429条1項に基づき、Y社及び取締役であるBに対して、連帯して約143万円等の支払を求め、これに対し、Y社は、第1回口頭弁論期日において、消滅時効の抗弁の主張をしたところ、Xは、上記金員のうち10万円については、既に前件訴訟において、確定判決を得ていることから取下げ、その余の約133万円については、消滅時効の主張を踏まえて、Y社及びBに対し連帯して、民法415条及び会社法429条1項に基づく損害賠償請求として支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社は、従業員を社会保険にも加入させず、雇用契約書も存在していなく、タイムカード等従業員の勤務状況を裏付けるものを設置しておらず、就労時間もXが事前に聞いていたものとは大幅に異なっていたと主張するが、Y社がY社に勤務していたCに対し、支払った給与からは、雇用保険料及び所得税のみが控除されており、健康保険料や厚生年金保険等は控除されていなかったこと、Y社にタイムカードが設置されていなかったこと、Y社とCとの間及びY社とAとの間で雇用契約書が作成されていなかったことが認められるところ、上記事実は、法律等に違反する行為であり、その法律違反について、法律に規定されている罰則等が適用される可能性はあるが、上記の法律違反があることによって、Xに対し、賃金相当の損害金が発生するものではないから、Xの主張は採用することはできない。

2 Xは、Y社及びBは、未払給与に対する請求や相談に一切応じず、令和元年に出された前件判決にも従わないため、回収不能となったことから就労環境に対する安全配慮義務に違反していると主張するが、前件判決について確定後も支払われていないことが認められるが、判決確定後については、執行手続が法律上予定されているのであるから、前件判決について支払を怠っていることをもって安全配慮義務違反があるとは認められないし、前件判決の支払を怠ったことによって、新たに賃金相当の損害金が発生するとは認められないから、Xの主張は採用することができない。

法律構成に若干無理がありますね。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。

本の紹介2006 成功する人は偶然を味方にする#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

「運の良さ」がいかに大切かがよくわかる本です。

では、どうすれば幸運に恵まれるのでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

おそらく成功への最大の障害は、その道のりが長すぎたり、成功が約束されているかどうかわからなかったりするせいで、努力をやめてしまうことだ。運が重要だと強調されると、努力したところで将来の成功は約束されないと感じ、何もしないでただ幸運が訪れるのを願えばいいと思うようになる。」(36頁)

しかし、それは間違っているというお話です。

運が大切だからこそ、人よりも多くバッターボックスに立ち続けることが大切なのです。

この意味がわかると結果を出している人たちが日頃、何を考えているのかがわかります。

何もしないで昨日と同じ今日を過ごしているうちは、幸運が訪れることはありません。

賃金257 留学費用返還請求が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、留学費用返還請求が認められた事案を見ていきましょう。

双日事件(東京地裁令和4年8月30日・労判ジャーナル134号38頁)

【事案の概要】

本件は、本訴において、Y社が、Y社の元従業員Xにおいて、Y社の研修留学制度を利用して留学した際、Y社との間で、留学終了後5年以内に自己都合退職する場合には留学に要する費用として借り入れた金員を退職日までに全額返還する旨を合意したにもかかわらず、留学終了から2か月後に自己都合退職したとして、Xに対し、当該合意に基づき、貸金合計約2850万円等の支払を求め、反訴において、Xが、上記留学中、Y社の人事担当者においてXに著作権違反行為を慫慂した行為が不法行為に当たると主張して、Y社に対し、使用者責任(民法715条)に基づき、当該不法行為に係る慰謝料30万円等の支払を求めるとともに、Y社を退職後、X個人の商行為として、Y社から依頼された4件の業務を遂行したと主張して、Y社に対し、商法512条に基づき、報酬各50万円(合計200万円)等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

留学費用返還等支払請求一部認容

損害賠償等請求棄却

【判例のポイント】

1 本件各留学に関し、Y社がXに対し送金をして、Xが当該金員から費用を支出したこと、Y社又はその関連会社が引越費用77万2705円及び海外旅行傷害保険料19万1320円を立替払いしたこと、本件留学2に先立ち、Y社とXが本件誓約書2により本件合意をしたこと、Xが本件留学2の終了日から2か月後である令和元年7月31日限りY社を退職したことについては、当事者間に争いがないものと認められるところ、本件各留学がY社の指示命令に基づく業務としてなされたものと認めることはできず、労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金や損害賠償の予定を禁止するものである以上、労働契約に基づかない行為(使用者の業務外の行為)について同条を適用(類推適用)することは困難であり、もとより、労働者の退職意思を制約する法律行為について、公序良俗に反するものとしてその効力を否定し、あるいは信義則によりその行使を制限すべき場合はあり得るが、一般論として、使用者が労働者に対し業務外の事項に関して金銭を貸し付けるに当たり、5年程度の勤続を条件に債務を免除し、その前に退職する場合においては返還を求める合意をすることが当該労働者の退職の自由を不当に制約するということは困難であり、Xが本件各留学の終了後2か月で退職に至っていることに照らすと、信義則上本件合意に基づく請求を制限すべきとはいえないこと等から、本訴請求は2847万8742円等の支払を求める限度で理由がある。

留学から帰国して2か月後に退職するという感覚が私には理解できないのですが、それはさておき、留学費用に限らず類似の裁判例をいくつかありますので、是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。

本の紹介2005 財布はいますぐ捨てなさい#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「限りある時間の大切さに気付いた人だけが限りなくお金を増やしていける」と書かれています。

人生は有限であるという疑う余地のない真実とどれだけ真剣に向き合えるか、なのだと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

嫌な人、面倒くさい人、否定的な人、愚痴る人、怒る人、価値観が合わない人とは付き合わないことにしましょう。時間のムダだからです。」(115頁)

以上です(笑)

こういう人たちと一緒にいてもデメリットしかありませんので、近づかないことです。

ジカンガモッタイナイ

付き合う人は選びましょう。

賃金256 公立学校教員の時間外労働手当請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、公立学校教員の時間外労働手当請求に関する最高裁判例を見ていきましょう。

埼玉県公立小学校教員(時間外労働手当)事件(最高裁令和5年3月8日・労判ジャーナル134号2頁)

【事案の概要】

本件は、埼玉県公立小学校の県費負担教員が、平成29年9月から平成30年7月までの間に時間外労働を行ったとして、主位的に、労基法37条による時間外割増賃金請求権に基づき、予備的に、本件請求期間に埼玉県を同法32条の定める労働時間を超えて労働させたことが国家賠償法上違法であると主張して、県に対し、時間外割増賃金又はその相当額の損害金242万2725円などを請求した事案である。

1審はこの請求を棄却し、原審も控訴を棄却した。

【裁判所の判断】

上告棄却、上告受理申立て不受理

【判例のポイント】(原審判決)

1 給特法が、教員が教育的見地等から自主的で自律的な業務を行う結果、その勤務が正規の勤務時間外に及ぶことがあり得ることを踏まえ、その対価として、正規の勤務時間の内外を問わずその勤務の全体を包括的に一体的に評価した結果、教職調整額を支給する趣旨であることは既に説示したとおりである。このように、教職調整額は、教員の勤務時間外での職務を包括的に評価した結果として支給されるものであり、超勤4項目のみならず、それ以外の業務を含めた時間外勤務に対する超過勤務手当に代わるものとして支給されるものであるから、給特法が、超勤4項目以外の業務に係る時間外勤務について、教職調整額のほかに、労基法37条に基づく時間外割増賃金の発生を予定していると解することはできない

もう教師になる人、いなくなっちゃいませんかね・・・。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。

本の紹介2004 好調を続ける企業の経営者はいま、何を考えているのか?#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

まさにタイトルのとおりの内容となっています。

読んでいると、うまくいっている人の共通項が見えてきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

顧客の価値観の変化や市場規模、テクノロジーといった要素もありますが、突き詰めて考えれば、”世の中に価値を提供できているかどうか”の差です。世の中に価値を提供できていれば顧客を作れるので、事業は続きます。それができない企業は必ず閉塞して消滅していく。これはいつの時代でも同じです。リーダーがやるべきことは、いかにして価値を創造し続けるか、いかに価値を極大化し続けるかということです。」(133頁)

価値の創造は、時代とともに変化します。

3年前にはよかったものが、今やほとんど価値がなくなってしまうものもたくさんあります。

今、調子がよくても、3年後どころか1年後、どうなっているのかなんて誰にもわかりません。

順調な時ほど、調子に乗らず、冷静に状況を把握することが大切です。

日々、努力。

日々、勉強です。