セクハラ・パワハラ59 上司の発言等によるうつ病悪化・自殺と損害賠償責任の有無(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、上司の発言等によるうつ病悪化の有無と自殺に対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

食品会社A社(障害者雇用枠採用社員)事件(札幌地裁令和元年6月19日・労判1209号64頁)

【事案の概要】

本件は、Y社での勤務開始当初からうつ病にり患していたXが自殺した原因は、Xの上司の発言及びY社がXの要望に応じて業務量を増加させなかったことなどにより、極度に強い心理的負荷を与えられたXがうつ病の程度を悪化させたことにあるとして、Xの母であるAが、XのY社に対する損害賠償請求権を相続したこと、また、A及びXの妹であるBがXの死亡によって精神的苦痛を受けたことを理由として、Y社に対し、Xの損害賠償請求権の相続に伴う損害を含むXの損害7879万9773円及びBの損害330万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 一般に、使用者側は、雇用する労働者の配置及び業務の割当て等について、業務上の合理性に基づく裁量権を有すると解されるが、労働者に労務提供の意思及び能力があるにもかかわらず、使用者が業務を与えず、又は、その地位、能力及び経験に照らして、これらとかけ離れた程度の低い業務にしか従事させない状態を継続させることは、業務上の合理性があるのでなければ許されない。そして、上記の状態の継続は、当該労働者に対し、自らが使用者から必要とされていないという無力感や恥辱感を生じさせる危険性が高いといえ、上記の状態に置かれた期間及び具体的な状況等次第で、労働者に心理的負荷を与えることは十分にあり得るところである。

2 Dは、XがY社に雇用される前の時点において、Xがうつ病にり患していることを認識していたところ、使用者には、障害者基本法上、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理が求められていること、精神障害を有する者は、ささいな心理的負荷にも過大に反応する傾向があることを踏まえると、一貫してXの上司であったDには、Xに対する安全配慮義務の一内容として、Xから業務量に関する申出があった場合には、現在の業務量による心理的負荷があるか、あるとしてどの程度のものかなどを検討し、業務上の合理性に基づく裁量判断を経て、対応可能な範囲で当該申出に対応し、対応が不可能であれば、そのことをXに説明すべき義務を負っていたというべきである。

3 本件発言は、Xに心理的負荷を与えるものであったといえる。
しかしながら、本件発言は、DとXの2人だけの場においてされたものであって、DがXに対して本件発言をしたことが周囲に認識されたわけでもなく、このような発言が繰り返されたわけでもない
また、Dは、本件発言後の本件面談において、Xに対して業務量の増加を検討すると説明し、Xは、そのことを受け、喜び、また、その数日後には、仕事がもらえ、手が空くことが少なくなったと認識していることからすれば、Xは、本件発言によって心理的負荷を受けたものの、以降その状態が継続したと認めることはできない
・・・これらによれば、本件発言によって、Xがうつ病の程度を悪化させ、それによって自殺したとは認められない。
以上によれば、Dの注意義務違反とXの自殺との間に因果関係は認められない。

上記判例のポイント2は、障碍者雇用の基本的考え方ですので、是非理解をしておいてください。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介1002 みんなで筋肉体操語録(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

おなじみの「みんなで筋肉体操」での名言を取り上げた本です。

筋トレに限らず生きる上で力となる言葉が並べられています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分ではできているつもりだけど、実際にはごまかしているだけで、ちっともできていない。筋トレ以外でも、そんなことって結構あると思います。そのふるまいは本当にごまかさずにきちんとできていますか?それは、浅はかなスクワットではありませんか?厳しい言い方ですが、自己評価が高い人ほど、また見栄っ張りな人ほど、そうではないでしょうか。」(32頁)

筋トレでも仕事でも「浅はかなスクワット」で誤魔化しながら回数を重ねて行っても何の成果も出ません。

だからこそ、誰も見ていなくたって、しっかり正しいやり方で筋トレをしなければ意味がないのです。

正しいフォームで適切な重量で筋トレをやった翌日は、筋肉痛のなり方が違います。

誤魔化したかどうかは自分が一番よくわかっているのです。

不当労働行為232 労使間の対立状態での組合員の不利益取扱いと組合嫌悪意思の推認(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、希望退職の応募者が定員に達しなかったことを理由に、有期雇用の嘱託職員である組合書記長を雇止めにしたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

学校法人大阪YMCA(雇止め)事件(大阪府労委平成31年2月22日・労判1209号84頁)

【事案の概要】

本件は、希望退職の応募者が定員に達しなかったことを理由に、有期雇用の嘱託職員である組合書記長を雇止めにしたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合はY社あての平成28年9月5日付けの団交申入書にて、同年度の人事異動に伴う学院高校の労働強化問題を議題とする団交を申し入れたこと、②この申入書には、(1)同年7月14日の団交にて、組合は、学院高校の業務量の改善を申し入れ、職場の実態について説明を求めたが、Y社は、校務分掌に基づく形式をなぞるだけで、労働強化はないとし、同26年度から始まった奨学制度について制度自体を知らないと述べるなど、職場の実態は明らかにされなかった、(2)同27年夏以降、現場の事務職の総意として業務達成には現行の人数でぎりぎりであることをJ副校長及びK事務長に伝えていたにもかかわらず、これを全く考慮せず、異動を強行し、おざなりな現場調査と形式論で労働強化はないとするY社に抗議する旨の記載があったこと、がそれぞれ認められ、学院高校の労働強化問題について労使間で対立が生じていたということができる

2 以上によれば、Y社は、C組合員とその組合活動を好ましからざるものとみていたと推認することができ、Y社が、本件希望退職の定員に達しなかった人員数を雇止めにすることにし、その対象にC組合員を含めたことは、C組合員が組合員であることを理由にしたものというのが相当である。

労使間の対立がある状態で、組合員に対して不利益処分を行う場合には、不当労働行為の問題が生じます。

合理的理由を主張立証できるように準備しておくことが求められます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1001 独自性の発見(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

原題は、「DIFFERENTIATE OR DIE 2nd Edition」です。

これでもかというほど「差別化」の重要性を強調しています。

膨大な例を挙げて説明しており、マーケティングの考え方がとてもよくわかります。

何度も読み返すに値する本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功したスペシャリストはスペシャリストのままでいなくてはいけない。ほかのビジネスを追っかけるのはまずい。スペシャリストというイメージが壊れるからだ。心臓外科医はこのことを本能的に知っている。いくら儲かっても、人口膝関節置換術に手を出したりはしない。」(185頁)

ブランドの独自性を失わせる原因を一つあげるとすれば、『成長願望』だ。」(236頁)

そうなのです。

「スペシャリストというイメージ」を守り続けることは思いのほか大変です。

お蕎麦屋さんでうどんを出してはいけないのです。

仮においしいうどんがつくれるとしても。

他の分野に手を出せば出すほど「スペシャリストというイメージ」は壊れます。

一途に一か所を掘り下げていくことこそが「差別化」のキモなのです。

不当労働行為231 組合員と非組合員との差が生じていない不利益取扱いと不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、期間限定雇用契約社員として雇用されてきた組合員2名に対して、契約期間を従来の6か月から3か月に短縮したことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

交通機械サービス(契約期間短縮)事件(東京都労委平成31年3月19日・労判1209号83頁)

【事案の概要】

本件は、期間限定雇用契約社員として雇用されてきた組合員2名に対して、契約期間を従来の6か月から3か月に短縮したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 組合は、Y社が、A3及びA4の契約期間を短縮する一方、同時期に契約更新された非組合員に対しては、従来の労働契約期間を維持しており、これは組合員を狙い撃ちにしたものであると主張する。
しかし、契約社員全11名のうち、従来の労働契約期間が維持された2名は、定年間近であるために労働契約期間短縮措置の対象外となったものである。そして、Y社は、定年までおおむね2年以上あるなどの一定の要件を満たす者については、A3及びA4だけでなく、非組合員を含む9名全員を同措置の対象とし、29年7月以降10月1日までに契約社員7名の契約期間を6か月から3か月に短縮しているのであるから、労働契約期間短縮措置は、組合員であるか否かにかかわらず、従業員に一律に適用されたというべきであり、組合員を狙い撃ちにしたものであるとの組合の主張は、採用することができない。

2 また、一般的には、労働契約期間の短縮は、従業員にとって雇用の不安定化を招くものであることに対し、Y社は、労働契約期間短縮措置は、就労継続意思がある契約社員について、正社員登用の機会を増やすことを目的として導入したと主張する。
実際、Y社は、同措置対象者のうち、就労継続意思があり、業務遂行等に特段の問題がない者には、契約更新時に正社員登用を打診しており、A3及びA4もその打診を受け、希望したA4は正社員に登用されている。加えて、同措置導入後、契約期間満了のみを理由として雇止めをされた従業員はいない。
したがって、労働契約期間短縮措置の導入により、同措置対象従業員の雇用が不安定になった事実は認められず、同措置によって、組合員に具体的な不利益が生じたとはいえない。
よって、Y社が、A3及びA4との労働契約の期間を6か月から3か月に短縮したことが、不当労働行為に当たるということはできない。

上記命令のポイント1のように、組合員と非組合員との間に差が生じていない場合には不当労働行為の問題となりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1000 はたらく人のコンディショニング事典(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

強いカラダ・ココロ・アタマをつくる」とあるように、3つの視点でまとめられています。

カラダは食事でできていますので、日頃の食事について正しい情報を知っておくことはとても重要です。

カラダを鍛えるには、単に運動をすればいいわけではなく、栄養と休養の視点が必須です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

超回復には休息が必要不可欠。筋肉トレーニングを行うと、損傷した筋肉を修復するため、筋肉はその材料となるアミノ酸をとり込み、たんぱく質への再合成を始めます。・・・超回復のリズムを利用することで、より効果的に筋肉を発達させることができるというわけです。」(138~139頁)

運動、栄養、休養の3要素をしっかり満たすことが大切です。

何か1つが欠けてもうまくいきません。

やるべきことはわかっているのです。

それを飽きずに投げ出さずにやり続けられるかどうか。

ただそれだけ。

多くの人が途中でやめてしまいます。

だからこそ続けることには価値があるのです。

解雇318 解雇無効でバックペイに加えて慰謝料が認められる場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、職場の風紀を著しく乱す行為に基づく懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

マルハン事件(東京地裁令和元年6月26日・労経速2406号10頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結していたXが、Y社により平成29年11月4日付けで懲戒解雇されたこと(Y社は、仮に本件懲戒解雇が無効であると判断された場合には、予備的に同日付けでXを普通解雇したと主張するとともに、更に仮に当該普通解雇も無効であると判断された場合には、予備的には平成31年2月25日付けでXを普通解雇したと主張する)について、本件各解雇が無効である旨等を主張して、Y社に対し、本件労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件懲戒解雇の後に生ずるバックペイとしての月額給与及び賞与等の支払を求めるほか、不法行為に基づき、慰謝料等500万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 本件懲戒処分が有効かどうかについて、Y社が主張する事実を認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はなく、Y社が主張する懲戒解雇事由をもってXを懲戒解雇することには無理があるといわざるを得ず、さらに、本件懲戒解雇に至る手続をみても、Y社の従業員らからのヒアリング結果の報告書をそのままY社の懲戒委員会に提出したという以外に、Xからの異議申立てに対する対応を含めて、Y社の懲戒委員会においてどのような審議がされ、どのような判断の下に懲戒解雇処分を行うに至ったのかも明らかではなくXによる反論の機会が実質的に保証されていたのか、また、Y社において、Xによる反論等を踏まえ、慎重な検討、判断を経て懲戒解雇処分を行うに至ったのか疑問があること等から、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるというべきであり、労働契約法15条の規定により、懲戒権を濫用したものとして、無効となる。

2 本件懲戒解雇によりXは、相応の精神的苦痛を被ったものと認められるが、他方で、これまで店長として、従業員間の不倫関係や男女関係のトラブル等の職場内の風紀秩序を乱す行為について指導する立場にあり、現に指導を行ってきたにもかかわらず、Aと不倫関係にあったり、Bと一泊二日の温泉旅行に出かけたりするなど、懲戒解雇事由に当たるとはいえないにしても、一定程度、職場内の風紀秩序を乱す行為を行っていたことに加え、本件懲戒解雇後間もなく同業他社に再就職し、Y社における従前の待遇を上回るものとまではいえないものの、相当高額な賃金を得ており、本判決において、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認とともに、本件懲戒解雇の後に生ずるバックペイとしての月例給与として平均賃金額の6割に相当する額の請求が認められることにより、賞与の点を踏まえても本件懲戒解雇による経済的な損失はほぼ填補されることになることを考慮すると、本件懲戒解雇によるXの精神的苦痛を慰謝するための金額として、50万円を認めるのが相当である。

上記判例のポイント2のような事情があるにもかかわらず、バックペイとは別に慰謝料が認められています。

それほど懲戒解雇の根拠や手続が不十分であったということでしょうか。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介999 「変わる」ことを恐れる貧乏人 「変わり続ける」成功者(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

二極化がますます進む現代社会において、いかにして生きていけばいいのかが書かれています。

タイトルからもわかるとおり、時代の流れを察知して変わり続けることが求められています。

そう。みなさんが大好きな「安定」とは真逆の「変化」が求められているのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

多様性の原因も『好き勝手』です。人々の多様性が表面化した理由は、みんな昔より好き勝手にやっているからです。自由が拡大し、人々がどんどん好き勝手になっています。・・・この流れはおそらく、しばらくは続くでしょう。ですから、もっと自分勝手に、もっとわがままに、もっと自由にやらないと唯一性は埋もれていきます。」(78頁)

生き方についての「好き勝手」度数についても二極化がどんどん進んでいます。

Diversityが尊重される時代だからこそ、自分が生きたいように生きればいいのです。

好き勝手生きていいと言われても、これまで好き勝手生きることを許されなかった世代とその世代から教育を受けた次の世代の方は、何をどうしたらいいのかわからないのです。

首輪はもう付けられていないのに、大草原を自由に走り回っていいのに、結局はじっと座ったままです。

どんどんやりたいことをやりたいだけやればいいのです。

有期労働契約89 有期雇用契約において契約更新の上限設定が有効とされる場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、雇止め無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

地方独立行政法人大阪市民病院機構事件(大阪地裁令和元年8月29日・労判ジャーナル93号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務していた元職員Xが、大阪市との間で、平成24年4月1日、期間の定めのある労働契約を締結し、これを平成25年3月31日までは2か月ごと、同年4月1日以降は1年ごとに継続的に更新(平成26年10月1日に法人が設立されて以降は法人との間で更新)してきたところ、平成30年4月1日以降の契約更新を拒否されたため、Xが、労働契約法19条2号により労働契約は更新したものとみなされると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに未払賃金等の支払、また、Y社が上記更新拒絶により故意又は過失によりXの権利ないし法律上保護に値する利益を侵害したとして、不法行為に基づき、慰謝料等130万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XとY社との間において、その契約上更新の回数や通算雇用期間が定められ、本件契約においては更新がないと定められており、そのため、Xがそれを超えてY社と労働契約を締結するには、他者と同様に採用募集に応募して、改めて採用試験を受けてこれに合格する必要があったことにとどまらず、X自らが課長と平成30年度の労働契約に関して協議した際、「来年度も状況が変わらず非常勤のままであれば更新しません」と述べたため、そのことをきっかけに、Y社は、労働条件を変えて(看護職員と同じ時給に上げて)手話通訳者の募集を行ったところ、Xもこれに応募して採用試験を受験したものの、Xは不合格となったところ、Xが、有期雇用職員として更新ないし再契約して無期転換しても正規職員となれないためか、駆け引きとして「非常勤のままであれば更新しません」とべた結果、それを信じたYがXの穴を埋めるためにこれまでとやり方を変えて人員募集を行い、好条件に惹かれて好成績者を含む複数の応募があり、その採用試験の結果、Xが不合格となったものであるから、その結果はX自らの言動に由来するものと言わざるをえず、そのような状況でXが本件契約の更新を期待したとしてもそれが合理的な理由があるとはいえず、本件雇止めは有効である。

2 Xが本件試験に合格できると期待したとしても、そのような期待は法律上保護に値せず、また、Y社に故意又は過失も認められないから、Xの損害賠償請求にも理由がない。

契約当初より、更新上限回数等が定められている場合には、それを超えた更新に関する期待は法的に保護されないのが原則です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介998 働かない働き方。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルだけを見ても、著者の意図が分かりにくいですが、いかに必要以上に働かずに利益を上げていくか、ということです。

空いた時間で様々なことを考えることができます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『働かない働き方』は、あなたひとりで完結するものではない。パズルのように、人間界における凹凸を見つけ出し、うまく組み合わせることで成り立つ。あなたがすべきことは、自分のエッジに気づいて、それを活かすことだ。そして、そこから他人のエッジを見つけ、愛を持って伝え上げることだ。」(213頁)

すべてを自分でやろうとしないということがこの考え方の原点にあります。

自分が得意なことにフォーカスし、それ以外は他の人に任せることが「働かない働き方」の基本です。

あれもこれも手を出しているほど人生は長くありません。

時間には限りがあります。

だからこそ自分のエッジにフォーカスすることが結果を出す秘訣なのです。