解雇188(I社事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、脳梗塞の後遺症残存の有無と休職命令・解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

I社事件(静岡地裁沼津支部平成27年3月13日・労判1119号24頁)

【事案の概要】

Xは、Y社の従業員であるが、平成24年8月15日に脳梗塞を発症して病院に入院したものの、同年9月26日には退院して仕事に復帰できる状態であったにもかかわらず休職命令を発せられて不当に就業を拒否され、その後、就業規則に定める「身体または精神の障害により業務に耐えられないと認められたとき」に該当するとして不当に解雇されたと主張して、①休職命令の無効確認を求めるとともに、②解雇権の濫用で無効な解雇であるとして労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、さらに、③無効な休職命令により就業できなかったことによる平成24年9月28日から平成25年1月分までの未払賃金合計102万7863円及び遅延損害金等、④解雇により就業できなかったことによる同年4月26日から本判決確定の日まで毎月10日限り、24万8400円の割合による金員及び遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

XがY社に対し労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社はXに対し、平成25年4月12日から判決確定の日まで、毎月24万8400円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 休職とは、ある従業員について労務に従事させることが困難又は不適当な事由が生じた場合に、使用者がその従業員に対し労働契約関係そのものは維持させながら労務への従事を免除または禁止することであるところ、休職期間中に休職事由が解消して就労可能となれば、休職は終了すると解されている。
・・・本件休職命令は、XからY社に対し、脳梗塞の項御胃障害が復職可能な程度まで治癒または軽減した旨の医師の診断書が提出されるまでの間休職とする期限の定めなき休職処分であり、就業規則第29条6号の「特別の事情があって休職させることが必要と認められるとき」に該当すると認めるのが相当である。

2 ・・・以上によると、Xには、同日ころまでは、脳梗塞の後遺症が残存していたといわざるを得ず、Y社に対して復職可能なほど身体機能が回復していた旨の医師の診断書もなかったと解するのが相当である。

3 しかし、Xは、平成25年4月11日、E病院で身体機能検査を受けたところ、通常歩行、応用歩行ともいずれもふらつきがなく、減点項目がなくて満点であったことからすると、そのことには身体の機能が復職可能な程度に回復していたと推認するのが相当である。

4 Xは、同月11日にE病院で行われた検査の結果、身体機能が回復していて就労可能であったと認められ、また、その後に行われた鑑定によっても、Xの後遺障害が極めて軽微であって、Xを作業に復帰させることが相当でないという積極的な根拠を見いだせないとの結果であったことなどを考慮すると、Xは、同月11日ころには就労可能なほどに身体機能が回復していたと認められるから、本件解雇がなされた同年4月25日には就業規則で規定する「身体または精神の障害により業務に耐えられないと認められたとき。」に該当する事由はなかったというべきである
そうすると、Xには、Y社から復職するためには医師の診断書の提出が必要である旨要請されていたものの不合理な理由をつけて提出しなかったり、復職を図るため、平成24年10月5日付けD1医師作成の診断書の「軽作業は」の部分を削除しねつ造したり、取引先に対してXの勤務を認めないとY社に加担したことになる旨の脅迫的文書を送信するなど、Y社との雇用契約における信頼関係を揺るがすような行為が認められるものの、これらを考慮しても、なお本件解雇は合理的な理由に基づくものとは認められず、社会的相当性を欠くものとして無効であると言わざるを得ない。

上記判例のポイント4のような事情があっても、裁判所は解雇無効であると判断しています。

復職させていいものかどうか、会社にとっては本当に難しい判断です。

今後も同様の事件が起こり続けることが容易に想像できます。

だからこそ、会社としては日頃から研修を重ね、いざというときに適切に対応できる準備をしておくべきなのです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介496 世界最高位のトップセールスマンが教える営業でいちばん大切なこと(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
世界最高位のトップセールスマンが教える 営業でいちばん大切なこと

著者は、元プルデンシャル生命保険のエグゼクティブ・ライフプランナーでTOT(Top of the Table)の方です。

プルデンシャル生命の方の本はこれまでにも何冊も出版されていますが、みなさんいろいろ工夫されていて、勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

口コミの対象は、自分が扱っている商品ではなく、『最終的には、営業マンとしての自分自身』であり、また、営業の醍醐味は、『自分が信頼されて、認められることである』というマインドを持つことが前提です。営業マンは、『お客様の感情を動かす担い手』でもあります。お客様の不安や疑問を取り除いたり、楽しい気分に導いてあげたりするのも、営業マンの大事な役割です。」(125頁)

営業が上手な方は、このことがよくわかっていますね。

売っているのは、商品では自分自身だということを心得ているのです。

売れない理由を商品のせいにしているうちは、どれだけ商品の知識を頭に入れても売れません。

営業とはそういうものではないからです。

商品は、目の前の物ではなく、自分自身だということがわかると、どのような準備をすればよいかがわかるはずです。

賃金104(農事組合法人乙山農場ほか事件)

おはようございます。

今日は、元従業員5名による未払賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

農事組合法人乙山農場ほか事件(千葉地裁八日市場支部平成27年2月27日・労判1118号43頁)

【事案の概要】

本件は、Xらが、Y1社及びY2社に対し、賃金、時間外手当の支払いを求めるとともに、Y社の理事兼Y社の代表取締役であるAに対し、各賃金不払につき第三者であるXらに対する責任を負う旨主張して、農業協同組合法73条2項・35条の6第8項又は会社法429条1項に基づき、前記各請求と連帯して、前記各賃金と同額の損害金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y1社及びY2社は、Xらそれぞれに対し、連帯して、約175万円、約448万円、約22万円、約577万円、324万円を支払え。

【判例のポイント】

1 X1、X2およびX3がY1社と雇用契約を締結して労務を提供していたことは争いがないのであるが、結局、各認定した労務の実態に照らすと、前記3名が提供した労務の大部分はいずれもY2社の業務に関するものであって、また、Y2社及びY1社の経理が厳密に区別されてこなかった結果、各賃金支払もY1社・Y2社いずれからも行われてきたものである
そうすると、X1、X2及びX3との間の各雇用契約は、黙示にはY1社のみならずY2社との間でも各締結されていたと捉えることができる
そうすると、X1、X2及びX3の賃金請求との関係では、Xらの主張する事実との関係に照らしても、Xらが法律構成として主張する法人格否認の法理を適用するまでもなく、Y2社においても前記3名が雇用されていたものと認定すれば足り、またY2社とY1社との債務の関係は、商法511条1項により、連帯債務と解することができる。
したがって、Y2社は、Y1社の負う本件各債務についても連帯してその支払義務を負うと解され、X1、X2及びX3は、Y2社に対しても、各賃金等を請求することができる。

2 Aにつき、Xらの各賃金未払いを明確に認識していたものと認められず、一方で、未払給与の支払いを求められたAがY2社の小切手を交付して対応するなどして未払い解消に努めようとしていた事情も認められるのであって、Y1社又はY2社の給与支払業務につき、法令違反による任務懈怠が認められるとしても、Aに悪意又は重大な過失があったとまでは評価できないし、また、Xらの各賃金請求につき、遅延損害金を含めてY2社に各請求することが可能であると解されるところ、Xらに各損害が現実に発生したと評価することも困難である
したがって、XらがAに対して、農業協同組合法73条2項・35条の6第8項又は会社法429条1項に基づき、賃金額と同額の損害を請求することはできない。

それにしてもすごい金額になっていますね。 ちゃんと支払ってもらえるのでしょうか・・・。

「法人格否認の法理を適用するまでもなく」との判断は、参考になりますね。

なお、商法511条1項は以下のとおりです。

数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介495 わたし、少しだけ神さまとお話できるんです。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
わたし、少しだけ神様とお話できるんです。 ((幻冬舎文庫))

私も、神さまとお話してみたいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・器の大きさって何でしょうか。神さまは、こう言いました。『器の大きさは人を認める力。人を許す力。器の大きい人は、『世の中にはいろんな人がいる。人の数だけいろんな考え方があり、多様な価値観がある。自分と同じ価値観や考え方を持つ人など、一人もいない』ことを知っている。ゆえにそれを認め、また、自分は人に同意を求めない。・・・人の言葉に敏感に反応して些細なことで傷ついたりしない』」(62~63頁)

自分の価値観を他人に押しつけないということはとても大切なことです。

自分と他人では考え方が違うのが当然という前提を忘れてはいけません。

自分の考え方に合わない他人の考え方を「間違っている」と評価するのではなく、単に自分と「違っている」だけなのです。

そう考えることが他人との付き合いを楽にしてくれます。

解雇187(日本ヒューレット・パッカード事件)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、最高裁判決確定後の休職命令、休職期間満了による退職が認められた裁判例を見てみましょう。

日本ヒューレット・パッカード事件(東京地裁平成27年5月28日・労経速2254号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、職場で嫌がらせを受けた等と主張して欠勤を重ねたため、Y社がXを諭旨退職処分にしたが、当該諭旨退職処分が無効であることが平成24年4月27日の最高裁判所の判決により確定したため、Xが復職を求めたところ、Y社が、Xの心身の不調を理由にXの就労申出を拒絶し、Xに対し、平成25年1月11日付けで休職を命じ、さらに、平成26年11月14日、休職期間が満了することとなる同月30日付けでXの退職の手続をとる旨通知したことから、Xが、Y社に対し、①上記休職を命ずる命令の無効確認、②労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、③Y社がXの就労を拒絶している期間中労働契約に基づきY社がXに対し支払うべき賃金及び賞与並びに遅延損害金の各支払、④平成27年2月分以降の賃金及び遅延損害金の支払、⑤平成27年6月以降の賞与及び遅延損害金の支払、⑥不当な就労申出の拒絶及び違法な本件休職命令に係る不法行為に基づく慰謝料及び遅延損害金の支払を各求めた事案である。

【裁判所の判断】

Xの訴えのうち、Y社がXに対し平成25年1月11日に命じた休職命令が無効であることの確認を求める請求に係る部分を却下する。

Xのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Xは、平成24年4月に本件最高裁判決が出された後、Y社に対し、復職を求めていたのであるから、本件休職命令が発せられた平成25年1月11日の時点において、Xには就労の意思があり、本件労働契約に基づき就労する旨の申出をしていたことが明らかである。したがって、同日の時点において、Xが本件労働契約の債務の本旨に従った履行をすることができる状態にあったのであれば、Y社が本件休職命令を発し、その履行を拒絶したことは、Y社による受領拒絶となり、かつ、その履行に必要な被告の協力が得られない結果、Xの債務が履行不能になったということもできるから、Xは、賃金請求権を失わない。そして、本件休職命令は本件就業規則所定の要件を欠くことになるから、その休職期間が満了したことを前提とするXの自然退職も認められない

2 本件において、そもそもY社が主張するようなXの精神的な不調の存在が認められないのであれば、特段の事情がない限り、Xは復職を申し出ることにより、債務の本旨に従った履行の提供をしたものと認めることができる。また、仮に精神的な不調の存在によりXが従前の職場において労務の提供を十分にすることができない状況にあると認められる場合であっても、本件労働契約において職種や業務内容が特定されていたことを認めるに足りる証拠はないから、Xの能力、経験、地位、Y社の企業規模、Y社における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らしてXが配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができるときは、なお、債務の本旨に従った履行の提供があったものと認められる余地がある(最高裁平成10年4月9日判決)。

3 ・・・これらの事実にかんがみると、本件休職命令が出された平成25年1月当時において、Xには、妄想性障害の疑いがあり、休職して治療することを必要とするような精神的な不調が認められる状況にあったことを推認することができる

4 Xの請求のうち、本件休職命令が無効であることの確認を求める請求は、過去の事実の確認を求めるものであって、本件休職命令が無効であることを前提とする現在の権利関係の確認や、当該現在の権利関係に基づく給付請求によるべきであるから(現にXは、本件において、これらの確認及び給付請求をしている。)、確認の訴えの利益を欠くものである。

復職の可否が問題となる場合、労働者の主治医の判断と産業医の判断が異なることがあるわけです。

その場合、どちらの判断が適切かを巡り労使双方から主張立証がなされることになります。

過去の裁判例を読んでいると、裁判所がどのような点を重視しているのかがわかってきます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介494 思考停止ワード44(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
ビジネスを蝕む 思考停止ワード44 (アスキー新書)

博報堂ブランドデザインの本です。

帯には、「人から、企業から、チカラを奪うコトバたち。」と書かれています。

興味をそそられますね。

44のチカラを奪うコトバが厳選されています。

チカラを奪うとはどういう意味なのか、是非、本を読んでみて下さい。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

商品やサービスに『他との明確なちがい』があることはたしかに大切だが、より重要なのは、そのちがいの『目的』である。いったい、なんのための差別化なのか。そこをきちんと意識しなければ、たとえスペックの世界での競争から抜け出せたとしても、まだ別のところで堂々めぐりをつづけることになりかねない。注目すべきは、そのちがいが『社会や顧客にとってどういう意味があるのか』だ。」(67頁)

・・・そこを見落としたままちがいを出そうとすれば、結局、『差別化のための差別化』の堂々めぐりにまた陥ってしまうからである。」(69頁)

よくわかります。

差別化することに没頭してしまうと、「差別化のための差別化」に陥りがちですよね。

差別化することが目的になってしまっていて、もはや何のための差別化か訳がわからなくなっているパターンです。

差別化することはあくまでも手段であり、目的は顧客に選んでもらうことです。

顧客が選ぶ上で意味をなさない差別化は何の意味もありません。

常に目的を意識しつつ、手段として差別化を図るということを忘れないことですね。

派遣労働23(ティー・エム・イーほか事件)

おはようございます。

今日は、派遣社員のうつ病罹患と自殺に対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

ティー・エム・イーほか事件(東京高裁平成27年2月26日・労判1117号5頁)

【事案の概要】

本件は、Aが代表取締役を務めるY社に雇用され、Z社に派遣されて中部電力浜岡原子力発電所で空調設備の監理業務等に従事していたXが平成22年12月9日に自宅で自殺したことから、その妻子が、派遣先会社の出張所長であったBらに対し、Xのうつ病を認識し、又は認識することができたのに安全配慮義務等を怠り、Xを自殺に至らしめたとして、A及びBに対しては不法行為に基づき、派遣会社に対しては債務不履行及び会社法350条に基づき、派遣先会社に対しては債務不履行及び使用者責任に基づき、損害賠償請求をした事案である。

原審は、原告の請求を全て棄却した。

【裁判所の判断】

派遣会社及び派遣先会社は、連帯して合計150万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 当裁判所は、Xの自殺についてY社らに法律上の責任はないとする点は原判決と同じであるが、Y社及びZ社は、従業員であるXの体調不良を把握した以上、安全配慮義務の一環として、具体的に不良の原因や程度等を把握し、必要に応じて産業医の診察や指導等を受けさせるなどすべきであったのに、これを怠り、その限度でXに対して慰謝料の支払義務が生じたものと認められる

2 ・・・Xの体調が十分なものではないことを認識することができていたのであるから、Y社及びZ社は、それぞれ従業員に対する安全配慮義務の一環として、上記の機会や同年12月にXが自殺に至るまでの間に、XやXらの家族に対し、単に調子はどうかなどと抽象的に問うだけではなく、より具体的に、どこの病院に通院していて、どのような診断を受け、何か薬等を処方されて服用しているのか、その薬品名は何かなどを尋ねるなどして、不調の具体的な内容や程度等についてより詳細に把握し、必要があれば、Y社及びZ社の産業医等の診察を受けさせるなどした上で、X自身の体調管理が適切に行われるよう配慮し、指導すべき義務があったというべきである。
それにもかかわらず、Y社及びZ社は、いずれもXに対して通院先の病院や診断名や処方薬等について何も把握していないのであって、従業員であるXに対する安全配慮義務を尽くしていなかったものと認めることができる。

3 もっとも、Xは、Y社に入社した際の面接で健康面に問題はないと述べ、妻もこれに同調しただけでなく、入社後も平成20年から平成22年まで毎年7月に実施された健康診断において精神面の不調等を訴えてはいないし、Y社やZ社に対してうつ病に罹患しているとの診断書等を提出したこともないが、このことは、X自身が解雇されることなどを恐れてうつ病又はうつ状態に陥っていることを明かそうとしなかったものと考えられるのであって、仮にAやBにおいて、Xに対して直截に具体的な病名等を確認しようとしても、Xが素直にこれに応じてうつ病又はうつ状態にあることを説明したか否かについては、不明という他はないが、Xがそのような不安を抱くようになった原因の1つには、AやBのXに対する日頃の対応があったのではないかとも考えられ、そのこと自体、Y社やZ社における従業員に対する安全配慮義務の履行が必ずしも十分なものでなかったことを推認させるものである

会社関係者のみなさんは、この裁判例を十分理解する必要があります。

「安全配慮義務」という言葉は知っていても、その具体的な内容まで理解している方は多くありません。

どこまでやれば安全配慮義務を尽くしたといえるのか。 まさにここがポイントです。

定期的なセミナー、勉強会を開き、ブラッシュアップをしていかなければなりません。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理を行いましょう。

本の紹介493 どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

著者は、ハイアールアジア株式会社代表取締役の方です。

タイトルの通り、著者自身、さまざまな業界で成果を出してきています。

素晴らしいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

結局、ビジネススクールで習った知識は、すぐに陳腐化していくのだ。では何を学びに行くかというと、プレッシャー・ポットの中で、悪戦苦闘しながら闘い続ける術と姿勢と、勉強し続ける習慣を学びに行くのだ。自分の価値は、いかに常に刃を研いでいるかで変わる。私の好きな言葉の一つに、『明日死ぬつもりで行きなさい。永遠に生きるつもりで学びなさい』という言葉がある。マハトマ・ガンジーの言葉だ。ビジネスのプロとして生きていくのであれば、感度を高く持って、常に勉強し続けなければいけない。」(167頁)

「自分の価値は、いかに常に刃を研いでいるかで変わる」

いい言葉ですね。

人って本当に弱いですから、仕事や当初の目標に対する緊張感、情熱をひとたび落としてしまうと、なかなか元の状態に戻すことができなくなってしまいます。

私は、仕事に対して、一度楽をしてしまうと、元の厳しさに戻れなくなるという感覚をとても強く持っています。

それがとても怖いのです。

これは、「メリハリをつける」だとか「オンとオフを分ける」といったレベルの話ではありません。

生き方の問題です。

依頼者の苦悩よりも自分の生活の快適さを優先するという生き方ができないのです。

「人の2倍働き、3倍努力する」という福島先生の言葉が常に私の頭に残っています。

不当労働行為125(ロイヤル事件)

おはようございます。

今日は、組合員2名に対してマネージャー職を解き、配転したことが不当労働行為にあたるとされた命令を見てみましょう。

ロイヤル事件(中労委平成27年2月4日・労判1117号95頁)

【事案の概要】

本件は、理美容業務を営むY社が、組合員Xら2名に対して、マネージャー職を解き、カット、シャンプー、パーマおよびカラー等のフルサービスを行う店舗から、カットおよびシャンプーにサービスを限定した店舗へ配置転換したことが不当労働行為にあたるとして、組合が、大阪府労委に救済申立てを行った事案である。

初審は不当労働行為にあたると判断した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 本件において、Xらは、男流散髪屋への配置転換を希望しておらず、むしろ希望に反することが明らかであるにもかかわらず、フルサービス店の店長(マネージャー)から、スタイリストとして男流散髪屋の一従業員へと配置転換されたのであるから、Xらが、本件は移転により、キャリア上、人事上の不利益や、これに伴う精神的な不利益を受けたことは明らかであるというべきである。

2 本件人事異動は合理的なものであったとは認められないこと、さらに、Y社が、組合に対し、絶対に許さないくらいの気迫をもって対決する姿勢を明らかにした上で、Xらが別件未払賃金請求訴訟を提起した僅か1か月後に、本件人事異動を内示するに及び、その際行われた団交においても、組合の街宣活動を理由に本件人事異動を行う旨を述べていたこと等を併せ考えれば、本件人事異動は、正にXらが組合の組合員であることの「故をもって」行われたものといわざるを得ない

3 X2は、既に退職しているが、X1については、現に会社に在職中であるところ、Y社が、同人や組合に対して本件復職通知を行い、27年1月1日付けで店長に就任させるとともに、初審で命じられた文書手交を履行する旨を伝えたのに対し、組合が、団交において、本件復職通知の撤回を求めたことなどから、上記各通知の内容はいずれも履行されていないのが現状である。
そうすると、組合が本件人事異動により被った団結権侵害の状況が解消されたとはいえないのであって、本件における組合の救済利益は、未だ失われていない。

4 本件人事異動は、不当労働行為として行われたものであるから、これをなかったものとし、原職又は原職相当職に復帰させるよう命じることとする。ただし、X2は既に会社を退職していることから、原職又は原職相当職への復帰を命じるのは、現に会社に在職中のX1のみとするのが相当である。

上記命令のポイント2の下線部の事情については、是非、反面教師にしてください。

組合には組合の、会社には会社の交渉のしかたがあります。

そのあたりをうまくやっていかないと、有利に交渉を運ぶことはできません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介492 ビジネスマンのための中国古典の名言100(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
ビジネスマンのための中国古典の名言100―自信がつく実践法

中国古典に関する本はいくつも出されていますが、これもそのうちの1冊です。

こういう本を読むと、本当に大切なことは、いつの時代も変わらないのだな、とつくづく思います。

時代がこれだけ変わっても、変わらない大切なものがあることに気づくには、とてもいい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生の大病は只だこれ一の傲の字なり」(伝習録)

孔子が、四十、五十の年齢に達してなお評判の立たない人物は尊重するに値しない、といささか冷たい言葉を残しているように、ほぼこの前後が、その人にとっての仕事が成功するか否かの境目であろう。このように努力の末に得た高度な立場を、諸人に誇りたいのは人情の自然に違いない。けれども、ここに人生の大病である傲慢という悪徳が発生する。成功したからとて傲り高ぶっては世間からの尊敬を受けることはできない。人生を安らかに美しく送るためには、傲という大病を発しないよう畏敬と謙譲の心を常に持すべきなのである。」(240~241頁)

本当のトップの方は、みんなとても謙虚です。

決して偉ぶらず、若者ともちゃんと話をしてくれます。

そして、そういう方の共通点は、いくつになっても勉強熱心であるということです。

いつまでも発展途上だという気持ちを持っているからなのでしょう。

傲慢は、周りの意見を聞けなくなるところから始まります。

常に助言してくれる仲間を大切にしなければいけません。