本の紹介390 「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
「ズバ抜けた結果」を出す人の行動習慣

著者は、元サイバーエージェントの社員の方で、現在、ITベンチャーの社長です。

あとがきに書かれている「才能の差は5倍、意識の差は100倍」(204頁)という言葉がすべてを物語っています。

結果を出し続けている人の「意識の差」を知るには、とてもいい本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『人生には3万日しかない』ドロップボックスの創業者ドリュー・ヒューストンが、MITの卒業生に向けたスピーチの一節をたまたま目にしました。僕はその数字を見て、目の前に3万本のろうそくが並べられた状態をイメージしました。・・・20代後半だった僕の場合、約1万本のろうそくが消え、火がついているのはおよそ2万本です。・・・『このままでいいのか?毎日ろうそくの火は1本ずつ消えていくのに、俺は100%本気でやったのか、1%の後悔もなかったのか?』」(15~16頁)

ろうそくは突然消えるかもしれない。そう考えると、今、生きている1分1秒のすべてが自分の人生の糧になると思えるはずです。それが理解できれば、行動することで生じるリスクより、行動しないことのほうがリスクになることもわかるはずです。できるだけ早い段階で、このことに気づいたほうがいい。・・・他人から承認されるため、他人から否定されないため、周囲の目を気にしながら生きている人が多い現代社会。人生が有限であることを理解し、そんなことはどうでもいいことだと気づいていただきたいのです。」(16~17頁)

ろうそくはいつ突然消えるかわかりません。

平均寿命が何歳だとしても、その年齢まで生きられる保証はありません。

あと何本残っているのでしょうかね、ろうそく。

生きている間だけでも、いろんなことに挑戦したいです。

何のリスクもおかさずに、ただなんとなく生きて、老後を迎えることだけはしたくありません。

リスク、上等。

おじいちゃんになったら、ゆっくり休むことにします。

体力と情熱が続くかぎり、あらゆることにチャレンジしていきます。

賃金86(X協会事件)

おはようございます。

今日は、賃金未払いのまま自宅謹慎処分を続けることが違法とされた裁判例を見てみましょう。

X協会事件(東京地裁平成26年6月4日・労経速2225号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員であったXが、Y社から正当な理由なく自宅謹慎を命じられ、その間にされた退職勧奨に応じなかったところ、自宅謹慎のまま賃金の未払が続き、Y社からの退職を余儀なくされたとして、雇用契約に基づく未払賃金の支払及び不法行為による損害賠償の支払を求めている事案である。

【裁判所の判断】

Y社に対し、未払賃金124万円と慰謝料30万円の合計154万円等の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Y社は、従前からの事務局内におけるXの言動、本件甲印刷での出来事、Dからの欠勤の原因の事実確認及び診断書の提出等により、Dのストレス反応及びこれによる欠勤の主たる原因がXとの人間関係によるものと判断して、本件謹慎処分に踏み切ったものと認められる。・・・これらの事情に照らせば、Y社が上記のような判断をしたことには相応の合理性が認められ、Xに対して行われた本件謹慎処分が違法なものとまではいえないというべきである。また、本件謹慎処分による自宅謹慎処分による自宅謹慎中のXの課題レポートの内容等に照らせば、Xが真摯に自らの対応を振り返り、反省ないし改善の意向を十分に示しているとはいい難いとY社が判断して、一定程度にわたってその謹慎期間を延長すること自体は、その間、賃金支払を継続していることに照らせば、必ずしも違法、不当なものとまではいい難いというべきである。

2 さらに、Y社の事務局の規模、XとDを始めとする他の事務局員との関係やXの仕事振り、Dの病状等を考慮すれば、Y社がXの勤務継続が困難であると判断して、Xに対し、賃金支払を継続しつつ退職勧奨を行うこと自体は、直ちには違法とはいい難いというべきである。

3 しかしながら、本件謹慎処分による謹慎期間は、その後も相当長期間にわたって継続されており、その間、Dの職場復帰等に向けて特にDとの間でXの状況を踏まえた話し合い等がされることもなく、また、Xに対しても、真摯な反省ないし改善を求めるという目的から離れ、専らXの退職を是として複数回にわたる退職勧奨を行うようになっていったことなどからすれば、Y社が退職勧奨に応じないXに対する対応を明確にすることなく、Xの自主退職を期待して本件謹慎処分の延長、更新を繰り返し、これを漫然と継続したことは違法といわざるを得ないというべきである。

4 ましてや、Y社が、退職勧奨に応じないXに対して、解雇等の措置に踏み切ることなく、また、Xの退職の意思が明らかでないにもかかわらず、平成24年1月分以降の賃金を支払わない措置をとったことは明らかに違法なものというべきである。なお、この点につき、Y社は、Xが本件謹慎処分による謹慎期間中に労務を提供していなかった旨を主張するが、XがY社に対して労務提供をできなかったのは、本件謹慎処分によってその受領を拒否されていたからであって、また、本件謹慎処分が当然に賃金不支給といった不利益措置を含むものであったことはうかがわれないから、Y社は、本件謹慎処分継続中もなおXに対する賃金支払義務を負っていたというべきである

退職勧奨の目的で謹慎処分を延長、更新を繰り返した行為が違法であると判断されています。

また、休職期間中、賃金の支払がない場合、休職命令に合理性が認められなければ、ノーワークだからといってノーペイにはなりません。

休職命令を発する場合には、気を付けて下さい。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介389 執事が教える「超一流」と呼ばれる人のアタマの中身(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
執事が教える “超一流"と呼ばれる人のアタマの中身

以前にも紹介をしたことのある日本バトラー&コンシェルジュ株式会社の代表者が著者です。

世の中にはいろんな仕事があるのだと再認識させられます。

「フツーの人」「一流の人」「超一流の人」の3種類に分けて、おすすめの考え方や行動をわかりやすく説明してくれています。

よくある感じの本ですが、内容は参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

超一流の方ほど自分の弱さをきちんと認識しているということ。自分に弱いところがあるならばあえてそれを克服しようとせず、誰かそれを助けてくれる人を雇い、それをやってもらえばいい、という考え方なのです。そのほうが時間もずいぶん短縮できるし、より自分自身が他のことに力を注げるでしょう。」(149頁)

私の周りにいる成功している方の多くも同じ考えを持っていますね。

全部自分でやろうとしない。

自分がよくわからないところは、すぐにその道のプロに任せてしまう。

ただでさえ本業が忙しいため、本業以外の分野まで自前でまかなうほど暇ではないのです。

「餅は餅屋」ということを心得ているのです。

また、見方を変えると、時間をお金で買っているわけです。

確かに自社の従業員にやらせたほうがコストはかからない(ように見える)のですが、あえてそんなことはしない。

餅は餅屋のほうが断然、効率がいいですし、確実であることを知っているからです。

そういうことなのです。

解雇160(学校法人専修大学(専大北海道短大)事件)

おはようございます。

今日は、希望退職に応じなかった教員らに対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人専修大学(専大北海道短大)事件(札幌地裁平成25年12月2日・労判1100号70頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用され、Y社が設置運営する専修大学北海道短期大学の教員として勤務していたXらが、平成24年3月31日付けでなされた解雇(整理解雇)は無効であるとして、XらとY社との間の雇用関係が存続することの確認並びに平成24年4月以降の賃金及び平成24年6月以降の賞与の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却
→整理解雇は有効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、整理解雇について規定する本件就業規則21条1項3号に基づくものであるところ、同号に基づく整理解雇が解雇権を濫用したものとして無効(労働契約法16条)になるか否かを判断するに当たっては、整理解雇が、使用者における業務上の都合を理由とするものであり、落ち度がないのに一方的に解雇され収入を得る手段を奪われるという重大な不利益を労働者に対してもたらすものであることに鑑み、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務の遂行、③被解雇者選定の合理性、④解雇手続の相当性を総合考慮して判断すべきである。もっとも、前記①ないし④の全てが充足されなければ整理解雇が無効となるとは解されない。

2 北海道短大においては、平成17年10月頃までに入学志願者数及び入学者数が落ち込み、それに伴って財務状況も悪化していたことから、緊急3カ年計画等の各種改善策を実施したが、平成21年度末までに入学志願者数及び入学者数は微増に転じたものの、入学定員の充足や単年度の支出超過解消までには至らず、帰属収支差額及び消費収支差額においてなおも大幅な支出超過が続くこととなったというのである。これに加えて、Y社においても消費収支差額において支出超過となったこと、全国的に見ても短期大学の入学者数が年々減少しているという状況にあったことからすれば、本件募集停止決定をしたY社の経営判断は、合理的なものであったと認めるのが相当であり、また、本件募集停止決定によって北海道短大には新規入学者がいなくなり、閉校が必然的なものとなったのであるから、北海道短大の教職員らについて人員削減の必要性があったと認めるのが相当である。

3 Y社が、前記の方法のほかに、本件解雇を回避する方法として、早期希望退職者には退職金及び退職加算金に加えて基本給の7か月分の退職特別加算金を支払い、希望退職者には退職金及び定年までの残余年数に応じた基本給の6か月分ないし14か月分の退職加算金を支払うこととして、それぞれ希望退職者の募集を行っていること、本件解雇に伴うXらの不利益を軽減する方法として、Y社の費用負担による再就職支援会社の利用を提案したり、他の学校法人に対し北海道短大の教員の紹介文書を送付し採用機会を得られるよう努めたりしていることにも鑑みれば、Y社の対応は、本件解雇及び本件解雇に伴う不利益を回避、軽減するための努力を十分に尽くしたものと認めるのが相当である

4 Y社が、北海道短大の教職員協議会における意見交換や、北海道短大の教職員との個別面談を実施していることからすれば、Y社は、Xらに対し、Xらが加入する組合や教職員協議会を通じて又は直接に、本件解雇の必要性、本件解雇及びそれに伴う不利益の回避措置、本件解雇の対象者の選定について、納得を得られるよう十分な説明、協議を行ったものというべきである。

一般的に整理解雇の有効性は非常に厳しく判断されますが、上記判例のポイント3のように、ここまで被解雇者の不利益を回避、軽減する努力をすれば、裁判所も有効だと認定しやすくなります。

もっとも、会社の規模によってはここまでできないということも当然ありますが。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介388 楽天流(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
楽天流

三木谷社長の本です。

三木谷社長の経営についての考え方がよくわかります。

さまざまな要素の中でも「スピード」や「効率」を重視する姿勢は勉強になります。

「成功のコンセプト」「成功の法則92ヶ条」と同様、おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一日24時間、一年365日が、僕ら全員に等しく与えられた条件だ。しかし、この時間をどのように効率よく使うかによって個人の間に差が生まれる。てきぱき仕事を進められる人は、もたもたしている人に、いつでも勝利する。その様子は、勝者のほうに最初から何倍も多くの時間が与えられているように見えるかもしれない。どんなに優れたスキルの持ち主でも、もたもた仕事をしている限り、一日24時間で40時間分の仕事をしようという意欲のある人には勝てない。これは単純な算数の問題なのだ。」(238ページ)

「効率だけが仕事じゃない」という考え方も耳にしますね。

そうなのかもしれませんが、これは、効率よく仕事をしている人が言うべき発言です。

もたもた仕事をしている人が言うと、単なる言い訳や自己正当化に聞こえてしまうからです。

雇用契約の場合、労働基準法で労働時間は法定されており、使用者の安全配慮義務や残業代の負担等を考えると、従業員が無制限に仕事をすることはそもそも認められていません。

限られた時間で最大の成果を出すには、効率を高めるほかないと思います。

常に考え、常に改善していく。

この意識を例外なく全員が共有している会社は強いのでしょうね。

効率よく仕事をする気持ちは強く持っている。でも、どうしたらいいかわからない方。

そんなときは、王道のやり方をしましょう。

王道とは?

効率よく仕事をしている人の真似ですよね。

うまくいっている人も言動、行動、身振り、考え方・・・すべてをひとまず真似してみましょう!

賃金85(シー・エー・ピー事件)

おはようございます。

今日は、元従業員らによる未払賃金請求と反訴損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

シー・エー・ピー事件(東京地裁平成26年1月31日・労判1100号92頁)

【事案の概要】

第1事件
本件は、XらがY社に対し、労働契約に基づき、平成23年分から24年6月分の未払賃金およびこれに対する遅延損害金の支払いを求めた事案である。

第2事件
Y社が、X1が、偽造書類を用いて、Y社に対する賃金請求権を請求債権としてY社の売掛金債権に対する仮差押決定を詐取したとして、不法行為に基づき、損害350万円およびこれに対する遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

第1事件につき、Xらの請求を一部認容(合計約150万円)

第2事件につき、Y社の請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、Xらと賃金減額の合意をした旨の主張をし、これに沿う証拠もある。
しかしながら、賃金の減額という重大な内容の合意が成立していたのであれば、その旨を書面化するなどして明らかにしておくことが当然であるというべきであるが、そのような書面は一切存在しないし、そのような書面を作成しなかった理由について、Y社代表者は何ら合理的な説明をしないのであるから、Y社とXらの間で賃金の減額につき何らかの合意があったとは認められない
また、そもそも前記主張及び証拠によっても、Xらの各賃金のどの部分をどの程度減額するという合意であったのかについて具体的に説明したとは認められない。そして、仮に、Aにおいて抽象的にXらの賃金の減額をする旨を説明し、Xらがこれに承諾したとしても、これにより法的に拘束力のある合意が成立したとはいえない。
よって、Y社とXらの間に賃金減額の合意があったとは認められず、この点に関するY社の主張は理由がない。

2 仮差押命令申立てが相手方に対する違法な行為といえるのは、当該申立手続において債権者が主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、債権者が、そのことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのに敢えて申立てをしたなど、申立てが仮差押制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。
これを本件について見るに、本件仮差押命令に係る請求債権は、本件訴えにおいてX1の請求に係る債権のうち元本部分と同一のものであるところ、賃金減額の合意は認められないのであるから、X1がY社に対して前記債権を有しているというべきである。
そうすると、本件仮差押命令申立手続において債権者が主張した権利が事実的、法律的根拠を欠くものとはいえない。

賃金減額の合意があったか否かについて、裁判所がどのように判断するのかがよくわかりますね。

応用できる点ですので、是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

今日から弁護士が1名増え、弁護士3名、スタッフ6名となります。

また、昨年12月1日より、事務所が法人化し、弁護士法人栗田勇法律事務所に名称が変更されました。

今年も、チーム一丸となって、依頼者に対してよりよいリーガルサービスを提供できるようにレベルアップしていきます。

今年も1年、よろしくお願いいたします!!

今年も1年間ありがとうございました。

おはようございます。

今日は、今年の最終営業日です。

今年も1年間、大変お世話になりました。

事務所は、明日から1月4日(日)までお休みをいただき、翌5日(月)より営業いたします。

顧問先会社様につきましては、上記休業期間中の御相談等につきましては、栗田の携帯電話にご連絡ください。

来年も1年間よろしくお願いいたします。

本の紹介387 人生は「引き算」で輝く(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は今年最後の本の紹介です。
人生は「引き算」で輝く 本当の自分に目覚める話

著者は、「鏡の法則」の方です。

何かに執着することをやめ、すべてに感謝することの大切さを説いています。

とても良い本です。 おすすめです。

何度も読むに価値があると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

しかし人は、引き算がもたらしてくれる恩恵になかなか気づかず、引き算を不幸なことと考えます。そして、引き算によって大きな痛みを味わいます。私が思うに、その痛みを大きくしているのは執着心です。人は手に入れたものを『自分のもの』として所有したがります。自分が所有することに強く執着します。そして、その執着心ゆえに、手に入れたものと自分が別のものであることを忘れてしまい、その結果、それらと自分が一体化してしまうのです。それゆえ、それらを失ったとき、自分の一部を切り取られたかのような喪失感を味わいます。」(40~41頁)

人間が持つこの「執着心」というのは本当にやっかいなものです。

本当は「自分のもの」なんかじゃないのに、あたかも自分の所有物であるかのように錯覚してしまう。

ここでいう「もの」は多くの場合、「物」ではなく「人」であることが多いです。

自分の「もの」なんだから、自分の言うことを聞いてくれて当たり前だと。

よく「当たり前」の対義語は「感謝」だと言われますね。

執着心が強いと、感謝することを忘れてしまいます。

そうなると、うまくいくものもうまくいかなくなるわけです。

あまり物や人に執着しすぎないことが大切なのだと思います。

派遣労働21(日産自動車ほか(派遣社員ら雇止め等)事件)

おはようございます。

今日は、更新を繰り返してきた派遣社員らに対する雇止め等の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

日産自動車ほか(派遣社員ら雇止め等)事件(横浜地裁平成26年3月25日・労判1097号5頁)

【事案の概要】

本件は、X1及びX2は、Y社を派遣先、A社を派遣元とする派遣労働者として勤務していた者であり、Y社との間で労働契約が成立しているとして、Y社に対し、労働者たる地位の確認及び平成21年5月以降到来する分の賃金の支払を求めるとともに、Y社及びA社に対し、不法行為に基づく慰謝料300万円を連帯して支払うよう求めた。

(なお、実際には、原告は、X1ないしX5の5名いる。)

【裁判所の判断】

本判決確定の日の翌日以降の賃金の支払を求める部分は却下

その余の請求は棄却

【判例のポイント】

1 X5は、派遣従業員から期間従業員となること、期間従業員から派遣従業員となることを「地位のキャッチボール」と呼称し、これは派遣制限期間の潜脱を目的として設計されたものであり、無効な契約である旨の主張をしている。
そこで、この点について検討するに、期間従業員として採用される際にY社担当者から、期間従業員としての期間終了後は、再び派遣従業員となって引き続き就労することができる旨の説明がされていたり、派遣労働期間が終了する頃に派遣従業員を対象とした期間従業員採用説明会が開催されるなどしていたことからすると、X5のみならず、Y社横浜工場で就労していた多くの派遣従業員が、短期間で派遣従業員からY社の期間従業員となり、再び派遣従業員となっていたことが推認されるところ、このような契約形態が常態化していたのは、Y社において、作業効率の観点から一定の経験を積んだ就労者を確保しつつ、他方で、いわゆる期間の定めのある労働契約の雇止めに際して期間更新の合理的期待を抱かせないようにすることにより期間従業員の雇止めが無効にならないようにする意図及び派遣期間制限違反が生じることを回避する意図が背景にあることが推認される

2 しかしながら、労働者派遣法は、派遣労働期間の制限を定め、制限にかかるクーリング期間を設定しているところ、同法が平成24年10月1日に改正されたことによって離職後1年以内の労働者派遣が禁止されるまでは、派遣就労先において期間労働者として就労していた者を再び派遣労働者として雇用することを禁止する定めはなかったこと、また、クーリング期間中に派遣労働者を直接雇用することを禁止する定めもないことに照らせば、このような運用を行った場合に期間従業員に対する雇止めが有効となるか等は別途検討されるべき問題であるとはいえるものの、こうした扱いが当時の労働者派遣法の派遣期間制限に直接違反するものとはいえない

3 また、Y社において、派遣労働者の希望の有無にかかわらず、派遣労働期間と期間雇用契約期間とを交互に設置して就労を継続させることを制度化していたことを認めるに足りる証拠はなく、上記の扱いは、派遣制限期間ごとに派遣就労先を変更することを避けて、同一の就労場所での継続的な就労を希望する派遣労働者の要請に応えたものともいえる。そして、Y社は、X5を職場推薦したように、1年以上就労している有能な派遣従業員についてはY社の正社員に登用する制度を用意し、派遣労働者を正規雇用化する措置も講じていたことを併せて考慮すれば、Y社の派遣労働者に対する上記のような扱いが、当時の労働者派遣法の潜脱を目的とするものであるとまでいうことはできない

「地位のキャッチボール」が行われている現場は、全国各地にあると思います。

有名なマツダ防府工場事件判決とともに参考にしてください。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。