本の紹介366 ご縁とお役目(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
ご縁とお役目 ~臨床医が考える魂と肉体の磨き方~ (ワニブックスPLUS新書)

著者は、東京大学大学院医学系研究科 救急医学分野教授、医学部付属病院救急部・集中治療部部長のドクターです。

エビデンスに基づく職業に就きながら、非常にスピリチュアルな側面を尊重されています。

だからこそ、一般の方が読んでも受け入れやすいのかもしれません。

本のタイトルや「臨床医が考える魂と肉体の磨き方」というサブタイトルからもスピリチュアルな感じが伝わってきます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この世が学習の場であると認識した上で私たちは生まれて来ました。どんなに嫌なこと、どんなに辛いことがあっても、目の前の課題と向き合うことが人生最大の財産であり、あちらの世界に唯一持って還ることのできるものだという事実を、私たちは知っているのです。」(105頁)

「この世は学習の場」である。

「目の前の課題と向き合うことが人生最大の財産」である。

このように考えることができる人は、課題と向き合うこと=学習と捉えているのでしょう。

すべての出来事は何かを学ぶために起こっているのだと考えることができるとしたらどうでしょうか。

難しいことかもしれませんが、そう考えることができたら、生きる意味は変わってきませんか?

有期労働契約52(福原学園(九州女子短期大学)事件

おはようございます。

今日は、短大講師に対する体調不良等を理由とする雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

福原学園(九州女子短期大学)事件(福岡地裁小倉支部平成26年2月27日・労判1094号45頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある労働契約を締結し、Y社の運営する短期大学において講師として勤務していたXが、Y社の行った雇止めは無効であると主張して、労働契約上の地位の確認及び未払賃金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 期間の定めのある労働契約は、期間の定めのない労働契約と実質的に異ならない状態になったとはいえない場合であっても、労働者において当該労働契約で定められた期間の満了時に当該労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある場合には、解雇権濫用法理が類推適用され、使用者による雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、当該契約の期間満了後における使用者と労働者間の法律関係は、従前の労働契約が更新されたのと同様の関係となるものと解される。
これを本件についてみると、以下において検討するとおり、Xにおいては本件労働契約で定められた期間の満了時である平成24年3月31日当時、更新の実績が一度もなかったものの、Xにおいて本件労働契約が少なくとも3年間は継続して雇用され、その間に2回更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認めるのが相当である

2 Y社は、本件訴訟係属中である平成25年2月7日、更新されたとみなされた後の本件労働契約期間が満了する日である同年3月31日限りでの本件予備的雇止めを行った。本件予備的雇止めについては、改正後の労働契約法19条2号により、労働契約が更新されたものとみなされるかが問題となる
・・・本件雇止めについては、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものとして、本件労働契約は新たな契約満了日を平成25年3月31日として更新されたのであるから、本件雇止めのみをもって直ちに労働契約法19条2号該当性が否定されることにはならないというべきである。
そして、契約期間の満了時における合理的期待の有無については、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情を総合的に勘案すべきものと解されるところ、本件労働契約におけるXの雇用継続への合理的な期待を基礎付ける事情について変更はみられず、その他新たにこれを否定するような特段の事情も見当たらない。

3 次に、労働契約法19条が規定する更新の申込みは、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものであれば足りると解される
本件においては、Xは、本件予備的雇止めの効果を争い、本件予備的雇止め後も本件訴訟を追行して遅滞なく異議を述べたといえる以上、本件予備的雇止めに対する反対の意思表示をして本件労働契約の更新の申込みをしたものと認めるのが相当である
そして、訴訟係属中にY社が争っていることのみをもって、有期労働契約が更新されたものとみなされるか否かの判断に影響するのは不当であるから、訴訟係属中になされた本件予備的雇止めについても合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものというべきである。
したがって、本件労働契約は、更新されたものとみなされた後の平成25年3月31日の契約期間が満了した後も、労働契約法19条2号により、従前と同一の労働条件で再度更新されたものとみなされる。

労働契約法19条の規定に関する裁判所の判断です。 是非、参考にしてください。

特に判例のポイント3は、今後、労働者側としては有効に活用したい点ですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介365 圧倒的!伝えるチカラ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
圧倒的!伝えるチカラ―伝わらなければ選ばれない。選ばれるプレゼンの秘密

先日も紹介をしましたエクスペリエンスマーケティングの藤村さんの本です。

今回は、マーケティングの本ではなく、プレゼンのしかたについての本です。

めずらしい。

といっても、マーケティングもプレゼンもどちらも顧客に対し、いかに商品の価値を伝えるか、という点では目的は共通していますよね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたが、世界をまったく変えてしまうような、素晴らしい思想を持っていても。あなたが、誰もが欲しがる素晴らしい商品を売っていたとしても。それを伝えなければ、それは存在しないのと同じことなんです。そうですよね。
多くの企業は商品を良くしたり、サービスの質をあげたりすることには、お金も時間もかけて考えるのに、伝えることはあまり考えていない。それで損をしている企業や、売れない商品がたくさんある。半分しか伝えられなかったら、半分の価値しか届けられないってことです。」(29頁)

そのとおりですね。

きっと「良い商品は、伝え方を工夫しなくても、勝手に伝わるでしょ」という思い込みがあるのではないでしょうか。

これだけモノが溢れているわけですから、価値をしっかり伝えなければ、なかなか選んでもらえません。

超一流のホテルやレストランが、自分たちのサービスの価値を顧客に伝えていないか、というとそんなことはないですよね。

伝え方はそれぞれですが、ちゃんと価値を伝えようとしています。

だから、商品それ自体の質をあげるだけではなく、伝え方の質も、それと同じくらいあげていく必要があるのだと思います。

伝わらなければ意味がないですからね

派遣労働19(U社ほか事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう。

今日は、派遣社員の引き抜き・派遣先との契約継続妨害を理由とする派遣会社からの元社員、同業会社への損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

U社ほか事件(東京地裁平成26年3月5日・労経速2212号3頁)

【事案の概要】

本件は、X社が、従業員であったC及びDに対し、在職中から、Y社と共謀して、X社の従業員の引き抜き等をしたとして、Y社に対しては、X社の雇用契約上の債権を侵害した等として不法行為に基づいて、C及びDに対しては、秘密保持義務、競業避止義務及び雇用契約上の誠実義務に違反したとして債務不履行ないし不法行為に基づいて、損害賠償と遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社に対し、102万6672円の支払いを命じた。

Cに対し、102万6672円の支払いを命じた。

Dに対し、166万9941円の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 そもそも、在職中の従業員は、使用者に対し、誠実義務として、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないよう配慮する義務を負っており、具体的にいえば、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務や使用者の利益に著しく反する競業行為を差し控える義務を一般的に負っている
そして、引き抜きが、単なる勧誘の範囲を超え、著しく背信的な方法で行われ、社会的相当性を逸脱しているといえる場合に初めて違法になると解される。

2 顧客の奪取が、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法なものといえる場合に違法となると解される。ところで、本件では、問題となっている行為が、C及びDがX社在職中に行われており、もともと従業員が労働契約上の誠実義務を負っていることを踏まえれば、引き抜きや顧客の奪取が退職後に行われた場合に比して、より厳しく違法性の有無が判断されるべきと解する。

3 労働者は、職業選択の自由の一環として、退職し又は他社に転職する自由があり、企業は、労働者が自由な意思に基づいて退職ないし他社に転職することを認めなければならないし、これによって従前勤務していた企業に損失が生じたとしても、これを甘受しなければならないし、ことに、X社のように労働者派遣を業として行っている会社において、派遣労働者は労働条件が有期であったり、派遣先が決まらない間は待機中として有給休暇の消化をやむを得なくされるなど、正社員に比べるとその労働条件が不安定になっており、派遣労働者がより良い労働条件を求めて、転職することは当然の理である。
さらにいえば、X社のように労働者派遣を業としている会社において、派遣労働者の退職によって損失を生じる可能性がある場合には、当該派遣労働者の労働条件を改善して引き留めを図ったり、他の派遣労働者を適宜補充するなどの自助努力により損失を最小限にとどめることができるし、取引先の喪失についても、同様に新たな契約締結交渉等の努力を行うことができるところである。本件においては、X社が、かかる自助努力をどの程度行ったかは定かではないが、本来であれば自助努力によって回避可能な損失を漫然と被告らに負担させることは相当でない

4 以上の観点から、本件のEの引き抜き及び甲ハウスとの契約締結妨害についてみるに、引き抜きについては転職の勧誘にとどまるもので違法性がなく、X社と甲ハウスとの契約締結を妨害した点が問題になるにすぎないことや、EがY社から甲ハウスに派遣された当初の現場も3ヶ月程度で終了していることからすれば、Dが賠償すべき損害としては、3ヶ月分とみるのが相当である。

派遣会社は必読の裁判例です。

特に上記判例のポイント3の考え方は参考にしてください。

厳しい内容ですが、これが現実です。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介365 お店の売上を倍増したいならお金をかけずにアイデアで勝負する!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
お店の売上を倍増したいならお金をかけずにアイデアで勝負する! ―販促ウエポン100

販促に関する本です。

複数のコンサルタントが、販促についての100個のアイデアを出しています。

販促初心者向けの本で、大変わかりやすいと思います。

ベタなネタが多いので、実行に移しやすいのではないでしょうか。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

当たり前のことですが、商売はうまくいっている時期と、うまくいかない時期があります。経営者やマネージャーは、うまくいかなくなるといろいろと変えたくなり、そこで問題が生じることが少なくありません。…しかし、変えること自体を否定しているのではありません。変えてもよいことと、変えてはいけないことがあるのです。また、うまくいっている場合でも、『飽きる』という心の動きも、くせものになることもあります。それは、まさに「『変えない』と『飽きる』の戦い」なのです。」(22頁)

変えてはいけないこととは何か。

この本によれば、それは「消費者のマインドに届けているメッセージの中で約束をしていること」だそうです。

つまり、顧客がこのお店、この会社に求め、期待する役割を放棄するような変更はしてはいけないということなのだと思います。

また、もう一つの視点として、うまくいっているにもかかわらず、経営者がその状態に飽きてしまい、今の状態を変えてしまう。

この「飽きる」という感情との戦いは、経営者なら誰もが感じたことのあるものだと思います。

いろんな分野に手を広げずに、1つのことをやり続けることは、この「飽きる」という感情に打ち勝たなければなりません。

限られた時間の中で、それほど多くのことはできないのです。

いろんなことをやってみたいという思いを抑えて、これだと思うものに注力することが大切なのだと思います。

解雇152(横河電機(SE・うつ病罹患)事件

おはようございます。

今日は、休職期間満了を理由とする退職扱いに対する損害賠償請求についての裁判例を見てみましょう。

横河電機(SE・うつ病罹患)事件(東京高裁平成25年11月27日・労判1091号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、上司であったAから、長時間の残業を強いられた上、Xの人格を否定するような非難、罵倒、叱責等を受けたことから、肉体的、精神的に疲労困ぱいし、鬱病等にり患して休職し、休職期間の満了を理由に退職を余儀なくされたと主張して、Aに対しては不法行為に基づき、Y社に対しては主位的にAの不法行為についての使用者責任、予備的に労働契約上の安全配慮義務違反等による債務不履行責任に基づき、損害賠償及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。

原審は、Xが鬱病等にり患したことについてAに過失があったとは認められず、Y社に安全配慮義務違反等があったとも認められないとして、Xの請求をいずれも棄却した

この原判決に対し、Xが控訴し、逸失利益及び治療費に係る損害の主張を追加して、上記請求を拡張するとともに、Xの休職は業務上の傷病によるものであるから休職期間の満了を理由にXを退職扱いすることは許されないとして、XがY社に対して労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める訴えを追加した。

【裁判所の判断】

Y社に対し、534万5641円の支払いを命じた。

その余の請求はいずれも棄却

【判例のポイント】

1 ・・・さらに、AがXの業務の成果について否定的な発言をしたこと、その他、AがXに対して強い口調で仕事上の注意や指示をしたことについては、Aの発言等は、Xの名誉を毀損する内容のものでもないのであって、Xがそれらに矛盾や不合理を感じることがあったとしても、業務上の指示・指導の範囲を逸脱したものということはできない
したがって、Aにおいて、Xに対する罵倒、誹謗中傷、責任転嫁、残業の強制、その他業務上の指示・指導の範囲を逸脱した違法な行為があったとは認められず、Aに対する不法行為に基づく損害賠償請求及びY社に対する使用者責任に基づく損害賠償請求は、いずれも理由がない。

2 Xは、Y社がXに対して復職当初からフルタイム勤務を求めたことにつき安全配慮義務違反があると主張するが、休職者が復職するに当たり、短時間勤務から徐々に勤務時間を延ばしていく方法も考えられるが、場合によっては職場復帰の当初から本来の勤務時間で就労するようにさせた方が良いこともあり、一概に短時間労働から始めて徐々にフルタイム勤務に移行させるべきであると断ずることができるものではない

3 Xの鬱病の症状が遷延化し、Xが長期間にわたり休職を継続したことについては、Xの個人の素質、ぜい弱性、生活の自己管理能力が少なからず寄与しているものとみるべきであり、鬱病の発症から寛解状態が4か月以上継続した平成18年10月末日までの症状に基づく損害については、全てY社の安全配慮義務違反と相当因果関係があると認められるが、その後、動揺傾向があるとされつつも寛解状態が更に1年間継続した平成19年10月末日までの損害については、50%の限度において上記相当因果関係が認められ、それ以降の損害については、上記相当因果関係は認められないというべきである

4 Xが過重な心理的負荷の掛かる業務に従事せず、鬱病を発症しなければ得られたであろう収入額は、想定される基本給に、想定される残業代として、平成17年1月から8月までの平均残業時間を考慮し、3割を加算して、さらに想定される賞与(1か月当たりで計算する。)を加えた額から、上記期間中にXが実際に受領した給与、賞与及び傷病手当金の額を控除して、算出するのが相当である。

5 Xの精神障害は、平成19年10月を過ぎた頃には上記業務に起因する心理的負荷により生じたものとみることはできなくなっており、Y社から雇用を解かれた平成21年1月30日の時点において、鬱病の発症から3年以上が経過してもなおその症状が全快せず、Y社で業務に従事することが困難であったと認められる。
そうすると、Xは、平成21年1月30日の時点において、一般社員就業規則35条(8)の「業務上の傷病者で傷病発生のときから3か年を経ても全快しないとき」に該当する事由が存在し、かつ、労働基準法19条1項所定の解雇制限事由は存在しないから、Y社による解雇は、上記就業規則の条項に基づくものとして有効であるというべきである。
したがって、Xは、Y社に対して労働契約上の権利を有する地位にあるとは認められない。

この裁判例は、非常に重要ですので、みなさん、参考にしてください。

リハビリ出社については、使用者の安全配慮義務として当然に行われるべきものとまではいえない、というのが裁判所の考え方です。

また、長期にわたり休職が続いている場合、会社としては、解雇制限との関係で難しい判断を迫られることになります。

東芝事件のような例もありますので。

完全な正解は、どこまでいってもありません。 後から正解だったのかがわかるのです。

休職命令を発するとき、休職期間中、復職の可否については、専門家に相談をしつつ、慎重に判断しましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介364 俺のイタリアン、俺のフレンチ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

著者は、ブックオフ創業者であり、現在、俺の株式会社の坂本社長です。

今なお人気の「俺の」シリーズですが、どのようにしてここまでぶっちぎりで勝つことができたのかを説明してくれています。

業界は異なりますが、だからこそ参考になることがたくさんあります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

事業を目指す若い人に訴えたいことは、事業づくりで大切なことは『競争優位性』であるということです。この言葉は、この本のキーワードになるほど使ってきましたが、独自に築いたものを、絶対に次が追随できないような参入障壁をどれだけつくれるか、これがアントレプレナーの唯一のポイントです。それらをたくさんつくることによって、その事業は揺るぎない存在になります。」(197頁)

「競争優位性」という言葉は、他との差別化と言い換えてもいいですね。

何かがうまくいけば、瞬く間に真似をされます。

真似をされることにイライラしても仕方がありません。

一見、真似をすることが簡単なように見えるが、いざやってみるとなかなかうまくいかない・・・。

これこそが競争優位性につながるのだと思います。

飲食業で言えば、仕入れルートがそれにあたります。

いい材料を破格の値段で仕入れられるルートがあるかどうかで、ほとんど勝負が決まっているように思えます。

このルートを確保できないうちに、表向きの真似をしても、たいていうまくいきません。

成功事例の真似をする際は、競争優位性の本質を見極める必要があります。

有期労働契約51(富士通関西システムズ事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!

今日は、パワハラ対処を要望した女性期間雇用者の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

富士通関西システムズ事件(大阪地裁平成24年3月30日・労判1093号82頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結していたXが、上司であったAから、パワーハラスメントに該当する嫌がらせを受けたうえ、これに対処するようY社に要望したところ、Y社から不当に雇止めされたなどとして、Y社に対する雇用契約上の地位の確認および雇止め後の賃金の支払いの請求ならびにY社らに対する不法行為または債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ・・・以上見てきたとおり、XがAによるパワハラに該当すると主張する各言動は、いずれも、事実の存在自体が立証されていないか、仮に言動自体が事実であっても違法性を有しないものというべきであるから、Aの言動がパワハラに該当し、不法行為が成立するとのXの主張には理由がない。

2 Y社には、定年後の嘱託社員を除き、有期雇用契約を結んでいる従業員はX以外におらず、Xとの契約は、Y社の元社長であるEの紹介による極めて例外的な契約であったことが認められる。また、Xは、入社前に、Eの妻から、「忙しい部署があって、人手が足りないから」と言われており、実際の担当業務も、もともとBが一人で担当していた業務の一部を分担するというものであったことが認められるから、XとY社との間の契約は、Y社の人手不足を解消するための臨時的なものであったとみるのが相当である。
そして、Y社は、契約期間を平成22年12月20日までとする労働契約書の締結に際し、Xに対し、受注売上業務を関連会社に移管したこと及びCの復帰により企画・業務部の人員に余剰が生じたことを説明して以後の契約更新をしないことを伝え、Xも、「会社の言うことはわかりました。」と答えて、不更新条項のある労働契約書に署名・押印して提出しているのであるから、たとえそれまでに2回契約更新が行われていたとしても、Xには、平成22年12月20日以降の契約更新について合理的期待があったとは認められず、本件雇止めは、解雇権濫用法理を類推適用すべき場合に当たらないというべきである

3 なお、仮に、本件について、Xに契約更新への合理的期待があったと認められるとしても、上記の様な契約締結に至る経緯、契約形態の特殊性、担当業務の内容等を総合考慮すれば、当該期待の程度は希薄というべきであり、企画・業務部の人員に余剰が生じている状況からすれば、いずれにしても、本件雇止めは相当というべきである。

パワハラで訴訟をする場合には、立証方法を事前に考えてから提訴する必要があります。

雇止めにおいて会社がとるべき手順については、過去の裁判例の蓄積が相当程度ありますので、それらを参考にしながらすすめるべきです。

顧問弁護士や顧問社労士に相談しながら行うことをおすすめします。

派遣労働18(J社事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、元派遣等で就労していた期間労働者との間で黙示の雇用契約が成立していたとはいえず、雇止めも有効とした原判決を相当とした裁判例を見てみましょう。

J社事件(東京高裁平成26年6月4日・労経速2217号16頁)

【事案の概要】

本件は、A社に雇用され、当初、請負契約又は労働者派遣契約に基づきY社に勤務していたXらが、Y社との間で、期間の定めのある労働契約を締結したが、その後、契約更新がされず、その期間を満了したところ、Xらは、黙示の労働契約が成立していたこと又は、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を前提としても、それは実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態であったことを理由に、Y社がXらに対する雇止めを行ったことが無効であると主張し、Y社に対し、労働契約上の地位の確認及びそれを前提とした賃金の支払を求めた事案である。

原審は、Xらの請求をいずれも棄却した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Y社が、派遣労働者に再度戻す意図の下にクーリング期間として期間工という職種を新設したと認めるに足りる証拠はないし、Y社において、常用雇用の代替防止という労働者派遣法の根幹を否定するような施策を実施していたとは認め難く、XとA社との間の労働契約を無効とすべき特段の事情があると認めることはできない。
また、XらA社の労働者は、休暇届をA社に提出し、タイムカードはY社に直接雇用される正社員とは区別されていたなど、Y社の正社員と同様の労務管理がなされていたとも指揮命令を受けていたとも認めることはできないし、QCサークル活動への参加は義務付けられていないし、Y社が事実上A社の労働者の採用を決定していたとは認め難いし、Y社がXの賃金額の決定に関与したとも認め難く、XとY社間に実質的な賃金支払関係があったともいえない。そして、Y社が、Xの配転を決定していたと認めるに足りる証拠もない
以上によれば、XとY社との間に、黙示の労働契約が成立していたと認めることはできない

2 ①XとY社との直接の雇用契約が締結されていた期間は、1年7か月にすぎず、更新の回数は2回にとどまっていること、②Xを期間工として採用する際に、Y社が従前の使用従属関係を認めてこれを追認する意思で期間工として直接雇用したものとみることはできず、Xが期間工として採用される以前から、XとY社との間に雇用関係があったものと評価することはできないこと、③XとY社間の雇用及び契約更新の際に交付された雇用条件通知書や雇入通知書、雇用契約書のいずれにも、有期労働契約であることが明記されており、また、採用前の説明会等で、期間の定めや雇用延長条件等が記載された書面が読み上げられるなどしており、XとY社の労働契約は、期間の定めのあることが明確になっていること、④Y社における契約更新手続が形式的なものであったとはいえないことは、原判決が説示するとおりであり、Xの業務は、プラスチックケースにシールを貼る作業及びゴミ捨ての業務であったことが認められ、基幹的、恒常的なものということもできないから、Xにおいて、雇用を継続されることに合理的な期待を有していたと認めることはできず、Xが主張する整理解雇の4要件について検討するまでもなく、XとY社の労働契約は、平成21年4月25日の期間満了により終了したものと認められる。

どの事案でもそうですが、派遣先との黙示の労働契約を認定してもらうのは、とても大変なことです。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介363 「ニーズ」を聞くな!「体験」を売れ!」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
2時間でわかる!「ニーズ」を聞くな!「体験」を売れ!―エクスペリエンス・マーケティングでお客に「感動」を与える。

以前にも紹介をしたことがあるエクスペリエンス・マーケティングの藤村さんの本です。

一章一章、「なるほど~」と思ってしまう内容です。

マーケティングの楽しさがわかる、とてもいい本です。

いつも参考にさせていただいております。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もしあなたの顧客のすべてが、素晴らしいアイディアを考えつくのだったら、あなたは明日から職業を変えなければならないってことでしょう。自分で商品を開発できないなら、そんな会社は存在する意味がないのですよ。『顧客の声を聞いて、新製品を開発しました』などと言っているのは、一見正しいように見えますが、それは会社の存在理由の放棄です。世の中の売れている商品やお店は、消費者が提案したモノではないということです。逆に顧客の声を聞けば聞くほど、既成概念にとらわれた、過去の延長線上にある、個性の少ないモノになってしまうのです。そんなの売れるわけない。この時代に。」(32~33頁)

「顧客の声を商品に反映させる」というのは、特に悪いことではないように思えます。

でも、著者によれば、それでは本当に新しい商品は生まれない、ということです。

確かにそうかもしれませんね。

これまでになかったような商品って、顧客のアンケートによって生まれるわけではありませんよね。

顧客アンケートに頼っちゃだめってことです。

顧客アンケートは、あくまでも現在の商品の改良のために参考にするものです。

新しいサービスは、顧客に対するサプライズがないとおもしろくないですよね。

「そうきましたか。 やられました。」と何人に思ってもらえるか。

これこそが新商品開発のおもしろさなんだと思います。