駐車場問題13 駐車場の専用使用料支払請求権は管理組合と各区分所有者のどちらに帰属するか(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、駐車場の専用使用料支払請求権は管理組合と各区分所有者のどちらに帰属するか(東京地判令和3年10月7日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、マンションの区分所有者である原告が、他の区分所有者である被告Mの同マンションの駐車場の専用使用料支払義務について、平成30年3月末日までに発生した専用使用料は請求しない旨決議した被告管理組合の定期総会決議はマンションの全区分所有者の同意を得ていないから無効である旨主張して、①被告管理組合に対し、原告と被告管理組合との間において、本件決議が無効であることの確認を求める(以下「第1請求」という。)とともに、
②被告らに対し、被告Mが被告管理組合に対して上記駐車場の専用使用料合計1億9153万1537円の支払義務を負っていることの確認を求め(以下「第2請求」という。)、また、上記専用使用料支払請求権は原告にもマンションの共有持分割合に応じて分割して帰属している旨主張して、
③被告Mに対し、上記専用使用料のうち原告の共有持分割合に応じた額である71万4412円+遅延損害金の支払を求める(以下「第3請求」という。)事案である。

【裁判所の判断】

1 原告の被告Mが被告管理組合に対して金銭支払義務を負っていることの確認請求に係る訴えを却下する。

 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 区分所有建物において共用部分を第三者又は特定の区分所有者に賃貸する場合、「共用部分の管理に関する事項」として集会の決議又は規約の定めを得た上(法18条1項、2項)、当該集会の決議又は規約の定めに基づき、管理組合等の区分所有者の団体が当該第三者又は特定の区分所有者との間で共用部分の賃貸借契約を締結する。
本件においても、共用部分である本件駐車場を被告Mに賃貸するに際し、本件規約によって賃料の額や支払期限等が定められた上、被告管理組合と被告Mとの間で賃貸借契約(自動車駐車契約)が締結されている(本件規約15条1項3号、4号、削除前の23条5項、同25条1項ないし4項)。
そして、同契約に基づいて収受した専用使用料については、本件規約により、共用部分の補修・修繕費に充てるために被告管理組合が積み立てるものとされている(本件規約15条1項柱書)。
以上のとおり、本件においては本件規約の定めに従って被告管理組合が被告Mとの間で賃貸借契約(自動車駐車契約)を締結しており、それによって得た専用使用料については本件規約によって共用部分の補修・修繕費に充てるために被告管理組合が積み立てるものとされていたのであり、このような事情に照らすと、本件専用使用料支払請求権は本件規約に従って被告管理組合がその管理を行うべき債権であるというべきであり、その帰属については、その管理を被告管理組合が行うべきものである以上、本件マンションの各区分所有者に分割して帰属するものではなく、区分所有者全員に総有的に帰属するものと解するのが相当である。

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これに対し、原告は、平成27年判決を援用し、本件専用使用料支払請求権は原告を含む本件マンションの各区分所有者に分割して帰属する旨主張する。
しかし、平成27年判決は、「一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権は各区分所有者に帰属する」旨判示したものであり、管理組合が第三者又は特定の区分所有者に対して共用部分を賃貸して得た賃料の帰属について判断を示したものではなく、本件とは事案を異にする(なお、平成27年判決の判例解説においても、「共用部分等を第三者に賃貸する場合、本来であれば、共用部分等の管理に関する事項として集会で決議するか規約で定めるかしなければならず、この集会の決議又は規約の定めに基づき、区分所有者の団体が…、第三者との間で共用部分等の賃貸借契約を締結し…、これによって生ずる賃料債権は、区分所有者全員に団体的に(合有的又は総有的に)帰属する」ものとされている(最高裁判所判例解説平成27年度民事篇(下)425頁注14参照)。)。
したがって、原告の上記主張は採用することができない。

基本的なことですのでしっかり押さえておきましょう。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。