解雇1(T運送事件)

おはようございます。

今日は、解雇に関する裁判例を見てみましょう。

T運送事件(大阪地裁平成22年1月29日判決・労判1003号92頁)

【事案の概要】

会社は、女性事務社員2名をいじめ等の陰湿な行動によって退職に追い込んだこと、事務スキル向上の望みがないことを理由として、従業員Xを解雇した。

従業員Xは、いじめ等の事実について否定している。

会社は、事実関係の確認をしておらず、Xの直属上司がXに対して注意指導を行ったとは認められない。

Xは、解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、賃金の支払いを請求した。

【裁判所の判断】

解雇は無効(会社側控訴)。

【判例のポイント】

1 Xの女性事務社員に対する言動に多少配慮の欠ける点があったことは否定できないが、いじめ等の行為を行っていたとまでは認められない。

2 仮に、Xのいじめ等があったとしても、会社が当該事実について、両者の言い分を十分に聴取した上で、Xに対し、明確な注意指導あるいは懲戒を行うなどして、Xの態度及び職場環境の改善等を図るべきであるが、これらの措置をとったとは認められない。

3 Xの事務スキル不足の事実は認められない。

会社としては、きっちりと事実確認をしなくてはいけません。

また、解雇する前にやるべきことがたくさんあります。

社長、いきなり解雇するのはやめましょう。

裁判になったらたいてい負けます(くらいに思っておいて下さい)。

あと、「能力が低い」という会社側の主張はほとんどの場合、通りません。

小さなミスを必死になってかき集めてきて、能力が低いと主張してくることがよくあります。

これまで、全くミスについて指導したり、処分しないで、「能力が低いから解雇」と言ってみたところで、ダメです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。