労災②(過労死・過労自殺事案における会社の予見可能性)

おはようございます。

今日は、今から石川に1泊2日で出張に行ってきます

おいしいもの食べてこよっと

さて、過労死・過労自殺事案において、会社が損害賠償責任を負うのは、会社に帰責事由、すなわち予見可能性がある場合です。

つまり、なんでもかんでも会社が責任を負うわけではありません。

では、会社は、どこまで予見することが必要とされているのでしょうか。

日鉄鉱業事件(福岡高裁平成元年3月31日判決・労判541号50頁)で、裁判所は以下のとおり判断しています。

会社が認識すべき予見義務の内容は、生命、健康という被害法益の重大性に鑑み、安全性に疑念を抱かせる程度の抽象的な危惧であれば足り、必ずしも生命、健康に対する障害の性質、程度や発症頻度まで具体的に認識する必要はないというべきである

つまり、

会社が、従業員の死の結果を予見することまでは必要ないということです。

会社(具体的には、上司など)が、

1 従業員が長時間労働などの過重な業務に従事していること

2 従業員の健康状態が悪化していること

の2つの事情を認識し、または、認識することができた場合には、予見可能性があったと認められます。

また、1について、過重業務が顕著であれば、2の健康状態の悪化の認識可能性があった認められることになります。

つまり、実際に認識していたかどうかよりも、客観的に業務が過重である場合には、予見可能性が認められてしまうというわけです。

くれぐれも、昨日のテーマである安全配慮義務を怠らないようにしてください