Daily Archives: 2010年11月26日

有期労働契約6(日本郵便輸送(雇止め)事件)

おはようございます。

さて、今日は、雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

日本郵便輸送(雇止め)事件(大阪地裁平成21年12月25日・労判1004号174頁)

【事案の概要】

Y社は、郵便物および通信事業に関連する物品の運送事業を目的とする会社である。

Xは、平成7年に期間臨時社員としてY社に雇用され、以降、平成20年までの間、約13年間にわたって勤務してきた。

Y社の業務は、その大半を郵便事業会社からの受託に依存し、郵便輸送自体、業務量の確実な予測が難しいという特殊性があること等から、非正規雇用への依存によらざるを得ない状況であった。他方、期間臨時社員について、雇用契約の反復継続が多数回にわたり、必ずしも「期間臨時」とは言い難い雇用状況にあり、また、待遇の安定を求める意見が出るなど問題が生じていた。

そこで、Y社は、期間臨時社員の身分の安定・向上を目的として、期間臨時社員の正社員化に向け、期間臨時社員制度そのものを廃止し、「地域社員制度」の創設に際し、期間臨時社員の全員を原則として正社員に移行することとした。

Y社は、Xに対し、地域社員制度に応募するよう促したが、Xは、地域社員制度の条件等に不満があるから応募しないと返答した。

Xは、応募期間内に応募しなかったことから、契約期間満了により、雇用関係が終了した。

Xは、Y社の対応に不満があるとして、提訴した。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

【判例のポイント】

1 有期期間雇用労働者に関する雇止めについては、(1)期間の定めのない契約に転化しているか、(2)雇用契約継続に対する合理的な期待が存在する場合に、期間の定めのない契約に適用される解雇権濫用法理(労働契約法16条)が類推適用されると解されるところ、XとY社におけるこれまでの期間臨時社員有期雇用契約の更新回数及びXの業務内容(大型トラックによる郵便物の輸送業務)等からすると、XとY社の有期期間雇用契約が期間の定めのない契約に転化しているとは認められないものの、Xには同契約更新に対する合理的な期待が存在していたと認めるのが相当である

2 本件地域社員制度の導入には合理性が認められること、期間臨時社員に比して地域社員のほうが退職金、各種手当等の点において優遇されていること、制度移行に際しXには応募するか否かを検討する機会が保障されていたこと、Xにはパート従業員としての雇用継続の選択肢も用意されていたことなどを総合考慮すれば、本件雇止めには客観的な合理性があり社会通念上相当である。

結論は妥当であると考えます。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。