解雇101(大阪市(河川事務所職員・懲戒免職)事件)

おはようございます。 

さて、今日は、河川事務所技能職員に対する懲戒免職処分の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

大阪市(河川事務所職員・懲戒免職)事件(大阪地裁平成24年8月29日・労判1060号37頁)

【事案の概要】

本件は、大阪市長から平成22年12月、懲戒免職処分を受けた同市技能職員のXが、Y社(大阪市)に対し、本件処分はその理由としている事実の誤認に加え、裁量権の逸脱または濫用の違法があるから無効であるとして、同処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒免職処分は無効

【判例のポイント】

1 地方公務員につき、地方公務員法所定の懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、平素から庁内の事情に通暁し、職員の指揮監督に当たる懲戒権者の裁量に任されており、懲戒権者は、懲戒行為に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の当該行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を総合的に考慮して、懲戒処分を行うかどうか、行う場合にいかなる処分を選択すべきかを資料によって決定することができるものと解するべきである。したがって、裁判所が当該処分の適否を審査するに当たっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである(最高裁平成2年1月18日)。
そして、懲戒免職処分は、被懲戒者の公務員たる地位を失わせるという重大な結果を招来するものであるから、懲戒処分として免職を選択するに当たっては、他の懲戒処分に比して特に慎重な配慮を要する

2 Xには本件処分理由である、本件領得行為及び本件粗暴行為が認められ、本件領得行為については、ジュース代領得行為及び物品領得行為のみならず、いわゆる不法領得の意思につき経済的用法に従って処分する意思を要しないとする立場(最高裁昭和24年3月8日)を前提とするとその全てについて遺失物横領罪が成立し、また、本件粗暴行為のうち、本件器物損壊行為については器物損壊罪が成立するものであり、また、本件暴言等についても、遅くとも平成21年秋ころから上司も含めた複数人に関する配船について、自己の意を通そうとするメールを送信するなど暴言や恫喝と評価せざるを得ない言動を繰り返しているものであって、その態様は悪質といわざるを得ず、これらのXの行為が公務員としての職務上の義務に違反し、Y社職員としてその職の信用を傷つけたことは明らかである

3 ・・・以上のとおり、本件処分理由の各事実はいずれも悪質であり、特に、その一部は、Y社において市立斎場事案やM川事務所事案といった組織的不祥事が続いて発覚したため服務規律の徹底に努めていた最中に行われたことを考慮したとしても、他方で、Xは従前懲戒処分歴がなく、上記各事実はいずれもそれだけでは直ちに懲戒免職処分に付されるべき重大な非違行為とまで評価できるものではなく、そもそも、Y社においても、上記各事実を招いたことについては、応分の帰責事由が認められるなど、処分量定上Xに有利な事情をも考慮すれば、他にXが主張する事情を考慮するまでもなく、懲戒処分歴のないXに厚生の機会を与えることなく直ちに懲戒免職とした本件処分は重きに失するものといわざるを得ず、社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したものとして違法というべきである

行政に関する判断については、裁量権の逸脱濫用の有無を裁判所が判断する方法をとります。

また、当然のことながら、懲戒免職処分も、懲戒解雇と同様に、その有効性については厳格に判断されます。

本事案においては、Xについて一定の非違行為を認定しつつも、懲戒免職とするのは重きに失すると判断しました。

懲戒解雇事案でもこのような相当性を否定し、解雇を無効と判断されることがあります。

懲戒処分の選択の際は、十分注意してください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。