Daily Archives: 2016年1月19日

不当労働行為130(G社(休職期間満了)事件)

おはようございます。

今日は、休職期間満了を理由に労災認定を受けたC組合員を退職扱いとしたことが不当労働行為にした命令を見てみましょう。

G社(休職期間満了)事件(大阪府労委平成27年5月11日・労判1121号95頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、①組合員Cを退職扱いとしたことおよびCを被告として地位等不存在確認請求訴訟を提起したこと、②「休職期間満了・退職通知書」をCに直接送付したことなどが、それぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事案である。

【労働委員会の判断】

Cを退職扱いとしたことは不当労働行為にあたる。

その余は不当労働行為にあたらない。

【命令のポイント】

1 Y社は、平成25年10月17日までは、長時間労働及びパワハラの事実の有無やうつ病発症との因果関係の有無について労基署の判断を仰ぎ、労基署による労災認定がなされれば、それに従い、C組合員の休職を業務上傷病による休職と認める余地があるかのような言動をとっていながら、その後、休職期間内に恒常的な長時間労働と上司とのトラブルにより、うつ病を発症したとの労災認定がなされたにもかかわらず、そのことを知ってただちにC組合員に対して退職通知を送付しており、このような会社の扱いは、不自然な点があるといわざるを得ない
・・・以上のことを総合的に考えると、Y社は、C組合員を組合の組合員であるが故に退職扱いとしたと推認でき、このような会社の対応は、C組合員に対する不利益取扱い及び組合を弱体化させるための支配介入に当たるといわざるを得ない

2 確かに、訴訟の被告とされることは心理的又は経済的な負担になることは否定できないが、何人も民事事件において裁判所に訴えを提起する権利を否定されないものであるから(憲法32条参照)、会社が専務によるパワハラ行為の存否、C組合員の休職は業務外傷病による傷病か及びC組合員の退職の有効性等を明らかにするため、C組合員を被告として、本件訴訟を提起することも権利の行使として尊重されるべきである。したがって、Y社が本件訴訟を提起したことは、組合員であるが故に行われた不利益取扱いであるとともに、組合に対する支配介入である旨の組合の主張は採用できない。

労災認定されていますので、労基法の解雇制限が適用されますので、解雇や休職期間満了による退職処分はできません。

従業員が組合員である場合には、不当労働行為になりますので、ご注意ください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。