解雇226 度重なる無断欠勤を理由とする懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、度重なる無断欠勤を理由になされた懲戒免職処分の取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

札幌市・市教委(市立中学校教諭)事件(札幌高裁平成28年9月29日・労判1148号17頁)

【事案の概要】

本件は、地方公共団体であるY市において中学校教諭の地位にあったXが、札幌市教育委員会がXに対して平成21年4月30日付けでした懲戒免職処分は、地方公務員法29条1項に反し、又は裁量権を逸脱若しくは濫用した違法があると主張して、同処分の取消しを求める事案である。

原審は、Xには法29条1項各号該当事由があり、また、本件処分をしたことにつき札幌市教育委員会に裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえないから、同処分は適法であるとして、Xの請求を棄却したところ、これを不服としてXが本件控訴をした。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 ・・・これらの事情を総合とすると、札幌市教育委員会は、本件処分に至るまでの間、病気休職や病気休暇の取得、無断欠勤を繰り返すXに対し、長期間にわたって継続的に、復職や継続的な職務遂行ができるように可能な限りの配慮や指導等の対応をしてきたものといえるのであって、本件処分をした平成21年4月の時点において、Xについて、なお休職等の処分をし、その後の様子をみるなどの対応をすべき状況にはなかったといえる。そうすると、本件処分をするに至るまでの札幌市教育委員会の対応が、Xに対する配慮を欠く不適切なものであったということはできない。

2 教員の無断欠勤は、授業その他の校務に大きな影響を及ぼすものであり、また、生徒及びその保護者の学校に対する信頼を大きく損なうものであることからすれば、それ自体が重大な非違行為に当たることは明らかである。本件においても、本件無断欠勤により、本件学校において現実に学校運営上の支障が生じたものであるほか、札幌市教育委員会においても非常勤講師等を採用するなどの特別な措置が必要となり、また、生徒の保護者等からも苦情が寄せられるなど、様々な重大な影響が生じたといえる。そして、Xは、かかる重大な非違行為である無断欠勤を、長期間にわたって何度も繰り返したものであり、非難すべき程度は極めて強いというべきである
・・・そして、札幌市教育委員会は、上記のとおり、Xに対して長期間にわたって継続的に可能な限りの配慮や指導等の対応をしてきたにもかかわらず、Xが無断欠勤を繰り返したことから、2度の事情聴取を行い、本件無断欠勤に関するXの言い分等を確認した上で、Xに対して懲戒処分を科すことを決定し、また、以前に科された停職処分よりも重い免職処分を選択したものである。
これらの事情を総合すると、Xが抑鬱状態等にあったことを考慮しても、札幌市教育委員会が、Xに対して懲戒処分を科すことを決定し、また、処分内容として免職を選択したことが、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したものと認めることはできない。

常識的に考えてこれ以外の結論はないと思います。

もっとも、たまに「え、これでも解雇無効なの?」という判断が出されるのもまた事実です。

今回は妥当な判断だと思います。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。