Monthly Archives: 7月 2017

本の紹介698 ビジネスマンの君に伝えたい40のこと(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
ビジネスマンの君に伝えたい40のこと

株式会社日本レーザーの社長が書かれた本です。

帯には「人生の最短距離は直線ではないのです」と書かれています。

この言葉の意味は本を読めばわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ネガティブな言葉を使うと、その言葉は必ず自分に跳ね返ってきます。
『つまらない』『疲れた』『どうせできない』『もう嫌だ』『仕方がない』
・・・言葉は『言霊』といわれるように、口にした言葉が現実に影響を与えると考えられています。ネガティブな言葉を使えば、ネガティブな状況をつくってしまいますし、ポジティブな言葉を心がけていれば、よいことが起きるようになる。私も普段から発する言葉には気をつけていますが、強運の持ち主と話していると、みな前向きな言葉しか使いません。ポジティブな明るさに、やはり幸運は集まるのではないでしょうか。」(204~205頁)

そもそもネガティブな発言をする人、すぐにため息をつく人などと一緒にいるとこちらが疲れてしまいます。

なんとなくパワーが吸い取られる感覚に陥ります。

だからこういう人たちには近づかないことが一番です。

できることまでできなくなってしまいそうなので(笑)

引き寄せの法則からすれば、自ずとネガティブな人はネガティブな人とつながり、ポジティブな人はポジティブな人とつながるわけなので、あまり気にしなくてもいいかもしれませんね。

不当労働行為170 団交応諾の前提条件に応じないことを理由とする団交拒否の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、団交内容を第三者に漏洩しないなどの団交ルールに労組が同意しないことを理由として団交に応じない会社の対応が不当労働行為とされた事例を見てみましょう。

アート警備事件(埼玉県労委平成29年3月23日・労判1154号92頁)

【事案の概要】

本件は、団交内容を第三者に漏洩しないなどの団交ルールに労組が同意しないことを理由として団交に応じない会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 使用者の誠実交渉義務の具体的内容は、会見し協議する義務を本則とするものと言うべきであり、書面の交換による方法が許される場合があるとしても、それは当事者が特に合意したとか、直接話し合う方式を採ることが困難な特段の事情がある場合などに限られると言うべきである。

2 Y社は、組合の「コンプライアンスに不安があること」を、本条件の正当理由として主張しているが、この点に関する求釈明に対してはY社から具体的な釈明がなされなかった上、事前協議への申入れにすら応じないことについては、何ら主張も立証もなされていない
このような経緯に照らせば、Y社が本条件を団体交渉開催の条件とし、これに合意しないことを理由に事前協議を含む団体交渉を拒否したことは正当な理由のない団体交渉拒否と言うほかない。しかもルール策定のための協議にすら応じないY社の姿勢は、そもそも合意形成の意思のない団体交渉権否認の態度であると言わざるを得ず、Y社の団体交渉拒否の違法の程度は著しい。

3 Y社が団交において録音、撮影を行わないことを団体交渉開催の条件とし、これに合意をしないことを理由に団体交渉を拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否であり、かつ、その違法の程度が著しいことは、前記の場合と同様である。

4 弁護士資格を有する代理人を議事進行役に限定することを団体交渉開催の条件とすることには何ら正当な理由はなく、同条件に応じないことを理由とした団体交渉拒否は許されない。

上記のようなさまざまな条件をつけたくなる気持ちはわかりますが、いずれも団交拒否の正当な理由とはならないため、これを理由に団交拒否することは不当労働行為にあたります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介697 世界が一瞬で変わる 潜在意識の使い方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
世界が一瞬で変わる 潜在意識の使い方

世界は一瞬では変わりませんでしたが、潜在意識の使い方を知り、変えることにより、人生が変わることはそのとおりだと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

このように『事実』と『認識』は必ずしもイコールであるとは限りません。人間の脳はハードディスクのように、正確に物事を記憶する機械ではないのです。
『存在するから認識する』のではなく、『認識するから存在する』・・・私たちは経験したことを事実だと思いがちですが、真実はその逆で、私たちの脳が事実と解釈を材料に経験をつくり出しているのです。」(152~153頁)

今となっては理解可能な内容ですが、以前はあまり意味がわからなかったような気がします。

大切なのは、事実よりも解釈です。

事実をどう解釈するか、つまり、どう捉えるか。

事実それ自体に意味はない以上、その事実にどのような意味を与えるかこそが決定的に重要なのです。

ある事実に落ち込む人がいる反面、その事実をエネルギーに変えられる人もいるのです。

まずは身近にいるエネルギッシュな人をよく観察して徹底的に真似をしてみましょう。

労働災害91 使用者に労働保険の保険料認定処分取消訴訟の原告適格は認められるか?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、行政訴訟で使用者に原告適格を認めた裁判例を見てみましょう。

医療法人社団X事件(東京地裁平成29年1月31日・労経速2309号3頁)

【事案の概要】

本件は、総合病院を開設する医療法人社団であり、労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項に基づくいわゆるメリット制の適用を受ける事業の事業主であるXが、上記病院に勤務する医師が脳出血を発症し、労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付等の支給処分を受けたことに伴い、処分行政庁から、本件支給処分がされたことにより労働保険の保険料が増額されるとして、徴収法19条4項に基づく平成22年度の労働保険の保険料の認定処分を受けたため、本件支給処分は違法であり、これを前提とする本件認定処分も違法であると主張して、本件認定処分のうち上記の増額された保険料額の認定に係る部分の取り消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 特定事業主は、自らの事業に係る業務災害支給処分がされた場合、同処分の名宛人以外の者ではあるものの、同処分の法的効果により労働保険料の納付義務の範囲が増大して直接具体的な不利益を被るおそれがあり、他方、同処分がその違法を理由に取り消されれば、当該処分は効力を失い、当該処分に係る特定事業主の次々年度以降の労働保険料の額を算定するに当たって、当該処分に係る業務災害保険給付等の額はその基礎とならず、これに応じた労働保険料の納付義務を免れ得る関係にあるのであるから、特定事業主は、自らの事業に係る業務災害支給処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消しによってこれを回復すべき法律上の利益を有するものというべきである。

判決としては上記のとおり「請求棄却」となっていますが、ポイントはそこではなく、その前提として事業主に原告適格を認めた点です。

是非、押さえておきましょう。

労災発生時には、顧問弁護士に速やかに相談することが大切です。

本の紹介696 世界基準の働き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
世界基準の働き方 海外勤務を拒み続けた私が超巨大グローバル企業の幹部になれた理由

ネスレ日本株式会社の社長が書かれた本です。

競争に勝ち続けるために必要な考え方が書かれています。

現状を変えたいと考えているは読んでみて下さい。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私はいつも社員たちにこう言っている。
『いったん慣れた仕事は、すべてルーティンだと考えてほしい』
・・・ルーティンを続けるのは、ラクだし心地よい。深く考えなくてもできてしまうから、努力や工夫をしなくていい。目の前の仕事はある程度こなせるから、自分でも成果を出している気になる。だが、それに満足した瞬間、あなたの成長は止まるのだ。『仕事に慣れてよかった』などと安心してはいけない。」(221頁)

ドキッとする内容ですね。

同じような仕事を数年やっていれば、嫌でも慣れてきます。

気付いた時には、新しいことにチャレンジすることもなくなり、すべてのことがルーティンとして回しているだけ。

こんな生活、楽でしょうけど、何にも楽しくありません。

いろんなことができるようになってきたからこそ、すぐにはできそうにないことを挑戦したくなるのです。

向上心のある経営者がある日、突然、トライアスロンを始めるのも同じ理由なのではないかと思っています。

そして、僕がボクシングを続ける理由もまた同じです。

労働時間44 勤務時間中の業務外チャット時間も労働時間なの?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、過度の私的なチャットの利用は懲戒解雇事由に相当するが、費やした時間は労働時間とみなされるとされた裁判例を見てみましょう。

ドリームエクスチェンジ事件(東京地裁平成28年12月28日・労経速2308号3頁)

【事案の概要】

本訴事件は、XがY社に対し、平成26年7月8日付け懲戒解雇(予備的に普通解雇)は無効であり、Xは、同年8月11日付けで退職したものであるとして、労働契約に基づき、未払賃金等+遅延損害金、時間外労働に対する割増賃金+遅延損害金の支払いを求める事案である。

反訴事件は、Y社がXに対し、Xの業務中における業務外チャット時間が長時間であり、これを労働時間から控除すると給与が過払いであるとして、不当利得返還請求権に基づき、既払給与金15万8821円+遅延損害金、Xが社内のチャットにおいてY社に対する信用毀損行為をしたとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき300万円+遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

Y社はXに対し、未払残業代として235万1993円+遅延損害金を支払え

XはY社に対し、30万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 本件チャットは、その回数は異常に多いと言わざるを得ないし、概算で同時分になされたチャットを1分で算定すると1日当たり2時間、30秒で換算しても1時間に及ぶものであることからすると、チャットの相手方が社内の他の従業員であること、これまで上司から特段の注意や指導を受けていなかったことを踏まえても、社会通念上、社内で許される私語の範囲を逸脱したものと言わざるを得ず、職務専念義務に違反するものというべきである。
もっとも、職務専念義務違反(業務懈怠)自体は、単なる債務不履行であり、これが就業に関する規律に違反し、職場秩序を乱したと認められた場合に初めて懲戒事由になると解するべきである。

2 ・・・このように、本件チャットの態様、悪質性の程度、本件チャットにより侵害された企業秩序に対する影響に加え、Y社から、本件チャットについて、弁明の機会を与えられた際、Xは、本件チャットのやり取り自体を全部否定していたことからすれば、Y社において、Xは本件懲戒事由を真摯に反省しておらず、Xに対する注意指導を通してその業務態度を改善させていくことが困難であると判断したこともやむを得ないというべきである。

3 チャットの私的利用を行っていた時間を労働時間とみることについては、ノーワーク・ノーペイの原則との関係で問題を生じうるが、チャットの私的利用は、使用者から貸与された自席のパソコンにおいて、離席せずに行われていることからすると、無断での私用外出などとは異なり、使用者において、業務連絡に用いている社内チャットの運用が適正になされるように、適切に業務命令権を行使することができたにもかかわらず、これを行使しなかった結果と言わざるを得ない(Y社代表者も「管理が甘かった」旨述べている。)。

4 Y社は所定労働時間内になされたチャットと所定労働時間外になされたチャットの時間を区別して主張立証するものではないこと、所定労働時間外になされたチャットの態様をみても、いずれも同僚との間でなされたチャットであり、私語として許容される範囲のチャットや業務遂行と並行して行っているチャットとが混然一体となっている面があること、そのため明らかに業務と関係のない内容のチャットだけを長時間に亘って行っていた時間を特定することが困難であることを考慮すれば、所定労働時間外になされたチャットについても、Y社の指揮命令下においてなされたものであり、労働時間に当たるというべきである。

5 本件チャット(信用毀損)は、経理課長の地位にあり、Y社の経理状況を把握しているXにおいて、Y社が平成26年8月か9月には倒産するという事実を摘示するものであるところ、Y社の信用について、社会から受ける客観的評価を低下させるものであり、社内のチャット内での発言とはいえ、チャットに参加していない他の従業員への伝播可能性も十分肯定でき、現に従業員間で伝播していたことからすれば、Y社の信用及び名誉が毀損されたものと認められる。したがって、本件チャット(信用毀損)は、不法行為を構成すると認められる。

上記判例のポイント4を読むと、いかに日頃の労務管理が大切かがよくわかります。

裁判になってからではできることは限られています。

日頃から顧問弁護士等に相談をして予防法務を徹底することを強くおすすめします。

本の紹介695 無意識はいつも正しい(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
無意識はいつも正しい

なんだか楽しそうなタイトルだったので読んでみました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・これら全ての動作が、ほとんど意識せず、毎日同じ手順で動いているはずです。段取りを組んでやっているように見えて、自分の習慣パターンで動いています。
こんな風に、1日のほとんどがあらゆる習慣で固められているので、自分の意識で動いているようで、『無意識に動かされている』と言っても過言ではありません。」(79頁)

だからこそ良い習慣を身につけるべきだし、悪い習慣を断つべきなのでしょう。

1日のうちで意識してやっていることなんてほんの一握りです。

行動の大半は、無意識に判断してやっていることです。

無意識を支配するのが習慣だとすれば、やはり身につけるべきは正しい習慣なのでしょう。

最初は意識しなければ習慣をつくることはできませんが、続けていくうちに、いつの間にか習慣になっています。

結果、「無意識」のレベルに到達すれば、あとは簡単です。

解雇239 著しい能力不足、勤務態度不良を理由とした解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、著しい能力不足、勤務態度の不良が認められ、解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

N社事件(東京地裁平成29年2月22日・労経速2308号25頁)

【事案の概要】

Xは、Y社の従業員として勤務してきたが、Y社から、その勤務成績不良、勤務態度不良等理由に解雇された。本件は、Xが、同解雇は労働契約法16条に反し無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、解雇されなければ得られたであろう賃金の支払及び賞与の支払を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却(解雇は有効)

【判例のポイント】

1 Xは、Y社に入社して以来極めて低い勤務評定を受け続け、平成10年9月には退職勧奨を受け、自らの欠点を踏まえて明確な成果を出せるよう取り組む旨の決意表明を提出し、平成11年4月には新入社員相当の資格等級である1級職にまで降級された。このように、Xの勤務成績は著しく不良であったと認められ、奮起を促されて決意表明を提出し、その後も上司の指導を受け、いくつもの業務を指示されたものの、そのうちの多くの業務について完遂することができないなど、その勤務成績も不良であったものである。このような中、Y社は、Xを甲に在籍出向させる形でY社社内の印刷業務を行わせようとしたものの、そこでの勤務状況も不良であったことから同出向先から出向解除を要請され、その後産業雇用安定センターへの在籍出向をもXが拒んだことから、やむなくXを解雇したものと認められる
このように、Xの勤務成績の著しい不良は長年にわたるものであり、その程度は深刻であるばかりか、その勤務態度等に鑑みると、もはや改善、向上の見込みがないと評価されてもやむを得ないものである
Y社は、かようなXに対し、人事考課、賞与考課のフィードバック等を通じて注意喚起を続け、かつ、在籍出向を命じるなどして解雇を回避すべく対応しているものであって、手続面でも格別問題のない対応をしていると認められる。このような点に鑑みれば、本件解雇は、客観的に合理的な理由を有し、社会通念上相当と認められるものであって、有効と認められる。

2 Xは、採用以来30年間にわたり、懲戒処分等を受けることもなく勤続してきたにもかかわらず、突然本件解雇を強行した旨主張するが、既に認定した事実及びそれを前提とする説示内容に照らすと、Xが長年問題なく勤務してきたと認めることは到底できないし、Y社としても、Xに対し、その勤務成績が著しく不良であることを感銘付ける努力を行っていると認められるから、その解雇に至る手続面でも問題があるとは認められない。

3 Xは、Y社の対応につきことごとく嫌がらせである旨主張するが、既にみたようにいずれも嫌がらせであるとは認められず、むしろ、Y社は、Xに対し、容易にクリアーできるレベルのオーダーをしてきたということができる。しかるに、そのようなY社のオーダーに対し、結果を出すことができず、一段上へのステップに進むことができなかったXの対応こそが、その著しい能力不足、勤務態度の不良を裏付けているというべきである。

採用以来30年間という極めて長期間にわたるプロセスを経ている事案です。

気が遠くなりますね・・・。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介694 多動力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
多動力 (NewsPicks Book)

堀江さんらしい本です。

このタイトルで本を書くに相応しい方だと思います。

無駄を嫌い、いかに効率よく合理的に仕事をするかを考えるのにとても役に立ちます。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ヒマな人ほど返信が遅く、忙しい人ほど返信が速い。
仕事がどんどん溜まっていく人は、仕事量が多いわけではない。渋滞が起きるのは当たり前だと思いこみ、渋滞をなくす『一工夫』をしていないのだ。」(154~155頁)

仕事ができる・できない、仕事が速い・遅いというのは、一定程度、能力の問題であることは否定しようがありません。

しかし、「ある程度」は意識と技術で挽回することができるというのもまた事実です。

自分は仕事が遅いな、と感じる人は、近くにいる仕事が速い人がどのような工夫をしているのかをじっくり観察してみてください。

きっと自分とは時間の流れる速さが違うことに気付くはずです。

歩くスピード、話すスピード、決断するスピード・・・いずれをとってもスピードが違うはずです。

1日24時間という与えられた時間は皆平等とよく言いますが、その時間の密度は皆平等ではありません。

普段のんびりしている人が仕事のときだけ秒速で動けるはずがありません。

すべては習慣の問題です。

解雇238 被懲戒者の弁解の合理性と懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、懲戒解雇が無効とされた裁判例を見てみましょう。

東京都港区医師会事件(東京地裁平成29年1月24日・労経速2308号15頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、懲戒解雇されたがこれが無効であるとして、労働契約上の地位の確認、並びに解雇日以降である平成27年9月1日から本判決確定の日まで、毎月25日限り月額37万7702円の割合による賃金及び遅延損害金の支払いを求めている事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 以上から、Y社が主張する懲戒解雇該当事由はいずれも認められない。仮にこれが認められたとしても、本件の懲戒解雇事由がそれほど悪質なものとはいえないこと、Xにこれまで懲戒処分歴はないこと、Y社側でXに対して問題点を指摘して繰り返し注意指導した形跡もないことに照らすと、懲戒解雇は重きに失し、相当性が認められない。よって、本件懲戒解雇は無効である。

Y社側が主張した懲戒解雇事由は、①医師国保茶菓代残金等の着服、簿外処理、報告義務違反、②カルテ用紙等販売事業の収支の簿外処理、③ビール瓶リターナブル代金の着服、業務に必要なファイルの削除ですが、これらすべてについて、X側の弁解が認められ、就業規則に定める懲戒解雇事由に該当しないとされました。

被懲戒者の弁解を冷静に見た結果、合理性があると認められる場合には、懲戒処分を思いとどまる必要があります。

決して感情的な対応にならないように気をつけましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。