Daily Archives: 2021年7月15日

賃金213 固定残業代が有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業手当と未払割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

フーリッシュ事件(大阪地裁令和3年1月12日・労判ジャーナル110号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、未払割増賃金等の支払及び付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 出勤時刻及び退勤時刻について、出退勤時にタイムカードを打刻していたことが認められるから、基本的にタイムカードの打刻時刻をもってXの出勤時刻及び退勤時刻と認めるのが相当であり、始業時刻について、Xは、所定の始業時刻より前の時間についても労働時間に当たると主張するが、Y社がXに対して早出を命じていたと認めることはできないから、Xが午前6時30分より前に出勤した場合の出勤時刻から所定労働時刻である午前6時30分までの間は労働時間と認めることはできないが、ただし、平成30年12月24日については、早出の出勤命令があったものと容易に推認されるから、出勤時刻を始業時刻と認めるのが相当であり、終業時刻について、Xは、所定労働時刻後も、菓子の製造作業や清掃等の業務に従事していたものと認められ、かかる業務への従事につき、少なくともY社の黙示の指示命令があったと推認されるから、退勤時刻をもって終業時刻と認めるのが相当であり、休憩時間について、始業時刻から終業時刻までの間に少なくとも1日につき1時間30分の休憩時間を取得していたものと認めるのが相当である。

2 本件雇用契約においては、固定残業手当として月額2万6000円又は2万9000円が支払われる旨の定めがあるところ、Xは、Y社との間で、当初、雇用契約を締結した際にも、固定残業手当が月2万6000円である旨が明記されている契約書を取り交わしたものと推認され、これらの固定残業手当の定めの存在を認識したものと認められ、また、XがY社から交付を受けていた毎月の給与明細書には、固定残業手当として2万6000円又は2万9000円が計上されているところ、Xがこれについて特段の異議を述べた形跡はなく、そして、固定残業手当は、その名称からも、これが通常の労働時間の賃金ではなく、時間外労働等の割増賃金として支払われる手当であることを容易に理解することができるから、Xに支払われていた固定残業手当は、本件雇用契約において、時間外労働等に対する割増賃金として支払われるものとされていたと認められ、かつ、当該手当が基本給とは別に定められていることからすると、その全額が時間外労働等に対する対価として支払われるものであることを明確に判別することができるといえるから、Y社による固定残業手当の支払をもって、時間外労働等に対する賃金の支払とみることができる。

上記判例のポイント2のようにしっかり固定残業制度の基本を押さえていれば有効と判断されます。

それほど難しいものではないのですが、要件を満たさない会社が山ほど存在しますので気を付けましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。