不当労働行為276 信頼関係の構築と団体交渉(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、当事者間で団交を行う前提となる「信頼関係が構築できていない」ことを理由に団交に応じない会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

魚沼運輸事件(新潟県労委令和3年1月6日・労判1245号91頁)

【事案の概要】

本件は、当事者間で団交を行う前提となる「信頼関係が構築できていない」ことを理由に団交に応じない会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 第1回団交及び第2回団交において、組合側出席者には、適切であるとは言い難い言動があったと言わざるを得ず、この点は組合等としても自省すべきところである。このため、会社が第2回団交の後に、交渉時間、交渉場所及び出席人数等の団交開催の条件を提案したことは理解できるところである。
しかしながら、組合側出席者の言動は、第2回団交で、会社側出席者が組合側出席者の質問に対し、自らの権限を超えている旨発言するなど、明確な回答を避けるような会社側出席者の姿勢に起因する面もあったことは否定できない。また、第1回団交及び第2回団交のいずれにおいても、団交は途中で打ち切られることなく終了しており、団交が全く継続できないような事態に陥ったとは認められない

2 会社が団交申入れに応じないことに、正当な理由があるとは認められない。
よって、それらをもって信頼関係が構築できていないとし、団交に応じなられないとする会社の主張は採用できない。

団体交渉において、両者の「信頼関係が構築」されないとしても、それは立場上やむを得ないことがあります。

よほどのことがない限り、使用者側が団交を拒否すると不当労働行為とされますので注意しましょう。

団体交渉における具体的な対応方法については、必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。