Monthly Archives: 10月 2021

本の紹介1206 ワン・シング#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

今から7年前に紹介をした本ですが、再度、読み返してみました。

タイトルのとおり、一点集中を強く推す本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人には限られた時間しかないから、あれこれ手を広げると十分なことができなくなる。業績をあげたいと望むなら、あれもこれもの足し算ではなく引き算が必要だ。多くのことをそこそこにやるより、少数のことを効果的にやらなければならない。」(12頁)

まずは狭い分野で頭角を現す努力をするのが最も効果的です。

できるだけ狭く範囲を絞り、その分野を極める。

まるで虫眼鏡で太陽の光を集めるかのように。

いつしか煙が出て、周りの人たちが気づいてくれるようになります。

光を一点に集中させる。

特に若くて経験が浅い方におすすめです。

賃金215 退職金制度廃止の有効性と労働者の同意の有無(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、退職金制度廃止の有効性と労働者の同意の有無に関する裁判例を見てみましょう。

東神金商事件(大阪地裁令和2年10月29日・労判1245号41頁)

【事案の概要】

本件は、土木建築資材の販売等を目的とするY社の従業員であったXらがY社に対し、各労働契約に基づき、それぞれX1については退職金のうち253万8000円、X2については退職金のうち112万2300円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、X1に対し、239万3588円+遅延損害金を支払え。

Y社は、X2に対し、112万2300円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 将来の退職金を失わせるという不利益の大きさに鑑み、その同意の有無については慎重に判断せざるを得ないところ、まず、X1を含むY社の従業員とY社との間で、退職金制度の廃止に同意する旨の書面は取り交わされていない。また、X1を含むY社の従業員は、C会長及びB元社長から退職金制度の廃止の説明を受けた際、特に異議を述べておらず、退職金支払のための積立型保険の解約返戻金も受領しているけれども、従業員としての立場を考えると、そのことから直ちに退職金制度の廃止自体にまで同意していたとまではいえない。そのほか、Y社代表者の上記供述部分を裏付けるに足りる証拠はなく、これを採用することができない。
仮に、X1を含むY社の従業員が形式上Y社の退職金制度の廃止に同意したと見られる行為を行っていたとしても、同廃止は、Y社が自社ビルを約3億円で購入し、その借金が嵩んだことを主たる要因とするものであって、そのような理由で退職金を廃止されることに労働者が同意するとは考え難い。したがって、このような行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとはいえず、X1の同意があったものとすることができない(最高裁判所平成28年2月19日第二小法廷判決・民集70巻2号123頁等参照)。
したがって、X1を含むY社の従業員がY社の退職金制度の廃止を同意していたとは認められない。

2 Y社が平成26年10月頃の時点において、Y社の退職金を廃止しなければならない経営状況であったなどの事情は見当たらない。この点、Y社代表者も、平成26年10月頃の就業規則変更に関する説明の際には、Y社の経営状況等退職金制度の廃止の必要性については述べていない。また、平成26年10月頃の時点では、XらのY社における勤続年数が10年を超え、基本退職金額が既に140万円を超えていたのであるから、退職金の廃止による不利益は大きい。

3 Y社代表者は、X2のほか、平成13年以降に新たに採用する従業員に対しては、退職金がないと説明した旨供述し、X2も、採用時に退職金があるとの説明はなかった旨供述している。しかしながら、X2採用時のY社の就業規則の定めが本件旧就業規則のとおりである以上、X2にその認識がなくとも労働契約の内容となっているといわざるを得ず(労働契約法12条)、X2に対する採用時のこのような説明内容は、上記判断には影響しない。

4 以上によれば、本件新就業規則及び本件新賃金規程の退職金規定部分は,合理的なものとは認められず、XらとY社との間の労働契約の内容とはならない(労働契約法9条、10条)。

賃金や退職金の減額・不支給について労働者の同意の有効性が争点となることは本当に多いです。

そして、その多くが無効と判断されています。

同意さえ取ればよしという考えは通用しないことを理解しましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1205 UNThink#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

7年前に紹介をした本ですが、再度、読み返してみました。

仕事を作業にせず、クリエイティブでいるために必要なことを考える契機となります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

これからの時代は、現状を打破する姿勢がさらに重要になっていきます。すべての計画や予測は企業やあなたのキャリアにとって重要でしょうが、つねに成長していくためには変化を迫られる前に、前向きな変化を引き起こせる能力を磨いておくことです。変化を待っているようでは、進歩はおぼつかないでしょう。結局は、『どうしようもない』状況に追い込まれることになってしまいます。」(81~82頁)

現状に不満を持ちつつも現状を打破するための準備をしない人が多いのではないでしょうか。

政治、社会、会社、上司、同僚、親のせいにして、状況が好転したことがあるでしょうか。

人が休んでいるとき、遊んでいるときに、自分の価値を向上させるための努力を続けるしか、状況を好転させる術はありません。

早朝と休日の時間の使い方こそが人生を変えるためのゴールデンタイムです。

見えないだけで、やっている人は日々努力を続けているのです。

不当労働行為276 信頼関係の構築と団体交渉(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、当事者間で団交を行う前提となる「信頼関係が構築できていない」ことを理由に団交に応じない会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

魚沼運輸事件(新潟県労委令和3年1月6日・労判1245号91頁)

【事案の概要】

本件は、当事者間で団交を行う前提となる「信頼関係が構築できていない」ことを理由に団交に応じない会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 第1回団交及び第2回団交において、組合側出席者には、適切であるとは言い難い言動があったと言わざるを得ず、この点は組合等としても自省すべきところである。このため、会社が第2回団交の後に、交渉時間、交渉場所及び出席人数等の団交開催の条件を提案したことは理解できるところである。
しかしながら、組合側出席者の言動は、第2回団交で、会社側出席者が組合側出席者の質問に対し、自らの権限を超えている旨発言するなど、明確な回答を避けるような会社側出席者の姿勢に起因する面もあったことは否定できない。また、第1回団交及び第2回団交のいずれにおいても、団交は途中で打ち切られることなく終了しており、団交が全く継続できないような事態に陥ったとは認められない

2 会社が団交申入れに応じないことに、正当な理由があるとは認められない。
よって、それらをもって信頼関係が構築できていないとし、団交に応じなられないとする会社の主張は採用できない。

団体交渉において、両者の「信頼関係が構築」されないとしても、それは立場上やむを得ないことがあります。

よほどのことがない限り、使用者側が団交を拒否すると不当労働行為とされますので注意しましょう。

団体交渉における具体的な対応方法については、必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介1204 これからのエリートだけが知っている仕事の強みの磨き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は、本の紹介です。

ドラッカーさんの「強みの上に自己を築け。弱みからは何も生まれない。」という言葉がまさにあてはまります。

他との差別化を図るために必要なことが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・これは単に日々の行動や決断が素早いというだけでなく、何か重要な決定などであっても、『現状のままで何もしないよりも、取り敢えずさっさと、どんどん試してみたほうが、明らかにいい』という際立ったスタンスを伴っている。・・・『何がよりよいかを考えてばかりいると、いくら時間があっても足りない。だけれど、とりあえず今上手くいっていないのならば、最低でもそれを切り替えたら、違う状況が現れるし、それでハマるかもしれない』というのが、その感覚だ。」(91~92頁)

いろんなことがのんびりの人と何もかもがすばやい人は一体何が違うのでしょう。

それは、能力ではなく習慣の違いからきます。

決断のスピードから歩くスピードまで、同じ時間軸で生きているとは思えないほど、人によって1つ1つのスピードが大きく異なります。

あらゆることに結果を出している人の特徴は、当該タスクに対して投下している時間が多いのに加えて、1つ1つの動作がものすごく速いことがあげられます。

与えられた短い人生の中で、どれだけのアウトプットができるか。

時間は平等。

でも、時間の使い方で、結果は天と地ほど変わります。

解雇352 復職の可否に関する判断における主治医と産業医の意見の相違(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、業務外負傷による休職期間満了後の退職扱いの適法性に関する裁判例を見てみましょう。

日東電工事件(大阪地裁令和3年1月27日・労判1244号40頁)

【事案の概要】

Y社に雇用されていたXは、業務外の事故により負傷し、休職していたところ、Y社は、休職期間の満了により、Xとの雇用関係が終了したものとした。Xは、休職期間満了時点において休職事由が消滅していたから雇用契約は終了していない旨主張して、Y社に対し、雇用契約に基づき、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、休職期間満了日の翌日である平成29年2月4日から本判決確定の日までの間の賃金月額59万9753円及び年2回の賞与各165万5500円+遅延損害金の支払を求め、さらに上記雇用契約終了に至るY社の対応に違法性がある旨主張して、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)として100万円+遅延損害金の支払を求めている。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 E産業医は、復職審査会の場で、Xについて「復職可能とは判断できない」旨の意見を述べ、後に同意見及びその理由を記載した意見書を提出しており、上記診断書と反対の意見を述べている
そこで、検討するに、E産業医は、上記意見を形成するにあたり、X作成に係る「生活リズム確認表」をもって、休職期間満了時機に程近い10週間分にわたるXの生活状況等を確認した上、復職審査会に先立ってXと面談して業務一覧表を用いつつXの健康状態や就労能力について確認している。加えて、E産業医は、Y社の職場関係者及びXの主治医とも面談し、上記意見を形成しており、Xの業務内容や健康状態、身体能力を踏まえて業務の遂行可能性やその程度等について相当具体的に検討しているといい得る。
他方、Xの主治医がXの職場内容や就労環境について、Y社の従業員と面談し、具体的な情報を取得していたことは本証拠上うかがわれず、また、上記診断書はどのような通勤を前提として就業規則どおりの勤務について問題なく可能であるとしているのかも不明である。さらに、同診断書が作成されるに先立ち、Y社担当者は、X代理人に対し、復職可能との判定に必要となるであろう診断書の記載内容として「従前の業務にて、就業規則どおりの勤務ができること」等の文例を示しているところ、主治医作成の診断書の文言が先に示された文例に酷似しており、かつ本件雇用契約が終了に至るか否かといった時期・局面において主治医作成の診断書が作成されていることを踏まえると、主治医作成の診断書で示された所見は、復職を希望するXの意向を踏まえ、担当業務の具体的内容等を十分検討することなく記載された可能性が払拭できない
以上に加えて、Xの後遺障害の内容、身体能力、健康状態及び上述した労働条件に関するXの申入れ及び発言内容等も踏まえると、上記診断書の内容は、にわかに信用できないものである。

休職期間満了時における復職の可否判断について主治医と産業医の意見が相違することは珍しくありません。

その際、裁判所がどのような点に着目して各診断書の証拠価値を判断するのかがよくわかる事案です。

是非、参考にしてください。

今回の事案のようなケースにおいて、事前にいかなる準備をすべきかについては、顧問弁護士に相談するようにしてください。

本の紹介1203 くよくよしない考え方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、いろんなことをくよくよ考えてしまう方のための本です。

この本を読んだだけでくよくよしなくなるわけはありませんが参考にはなると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

完璧主義の人は少しでも問題があると、理想的な解決を求めてしまいます。すぐに解決できないとイライラしたりくよくよしたりしてしまいます。自分の中で問題化してしまうから、”イライラ””くよくよ”の悪循環に陥ってしまうのです。『まぁいいか』『このままでもいいか』のように問題化しなければ、悪循環に入ることもないのです。」(195頁)

まあ、そうですね。

仕事柄、いろいろな方とお会いしますが、「あー、そのような考え方だと生きにくいだろうな・・・」と思うことがあります。

自分に対しても他人に対しても、もっと気楽に接することができれば、イライラやくよくよは大幅に減ると思うのですが、「こうあるべき」という理想が高いのでしょうか。

結局、自分を苦しめているのは、他人でも環境でも社会でもなく、自分自身の考え方なのです。

社会は、思っているほど合理的にはできていないと考えるのが合理的です。

有期労働契約105 ユニオン・ショップ協定に基づく雇止めの有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、契約期間満了までに、第一組合脱退後の第二組合加入または会社への同組合加入告知が認められず、ユニオン・ショップ協定に基づく雇止めが有効とされた事案を見てみましょう。

トヨタ自動車事件(名古屋地裁岡崎支部令和3年2月24日・労経速2453号32頁)

【事案の概要】

本件は、A労働組合との労働協約に基づきシニア期間従業員(契約期間2年以降の期間従業員)を含む従業員についてユニオン・ショップ制を取るY社に、期間従業員として雇用されていたXが、同組合を脱退しB労働組合に加入したところ、契約更新を希望していたにもかかわらず雇止めをされたのは合理性、必要性や社会的相当性を欠き、処分は無効であるなどとして、①雇用契約に基づく賃金請求権により、平成30年4月分から同年8月分までの賃金合計142万1655円、各月賃金28万4331円に対する遅延損害金の支払、②雇用契約に基づく満了慰労金及び満了奨励金支払請求権により、更新期間分の満了慰労金及び満了報奨金47万5331円+遅延損害金の支払、③不法行為に基づく損害賠償請求権により、慰謝料100万円+遅延損害金の支払を請求している事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件のように労働組合法7条1項但書の条件を充足するユニオン・ショップ制は、労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを喪失した場合に、使用者をして当該労働者との雇用関係を終了させることにより、間接的に労働組合の組織の拡大強化を図る制度であり、このような制度としての正当な機能を果たすものと認められる限りにおいてその有効性を承認されるところ(日本食塩製造事件判例)、期間従業員の漸次的組合員化の中で、一定の勤務年数を経過したシニア期間従業員のみ制度対象とすることには合理性があり、上記制度趣旨に反するものとはいえない。

2 仮にXが契約期間満了までに第二労働組合に加入していたとしても、第二労働組合又はXからY社に対し、契約期間満了までにその旨の告知があったとも認められない(なお、Xは、他の労働組合に加入していれば、告知の有無を問わずユニオン・ショップ制による雇止めは無効となる旨も主張するが、雇用関係の安定の見地から採用し難い。)

3 Y社は、ユニオン・ショップ制により非組合員を解雇する義務を負うものである。しかも、Xは、失業保険給付日数を増やすために契約更新を希望しているだけで、労働組合費の負担を免れるために契約を終了させることを自ら意図していた(有期労働契約の更新を期待していなかった)者であるから、雇止めが解雇権の濫用に当たらないことは明らかである。

珍しくユシ協定に基づく雇止めが争点となりました。

結論自体には特に異論はないと思われます。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1202 世界トップ3の経営思想家によるはじめる戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「ビジネスで『新しいこと』をするために知っておくべきことのすべて」です。

帯には「これからの時代、現状維持では『沈むだけ』!」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

まったく違う2つのビジネスを並行して進めていく方法を何としても見つける必要がある。いま動いているビジネスの質を保ちつつ、どうなるかわからない新しいビジネスも確立しなくちゃいけない。」(96頁)

目の前のタスク遂行+将来に向けた投資・準備のコンビネーションを意識するといいですね。

特に休日は、後者のために時間を使えるので、休日の時間の使い方が鍵となります。

時間もお金も消費するのではなく投資のために使うことが後々大きな差となります。

そして、最大の投資先は、株でも不動産でもなく、自分自身です。

有期労働契約104 初回の契約期間満了に伴う雇止めが無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は、初回の契約期間満了に伴う雇止めが無効とされ、時間外割増賃金請求等の一部は認められたが、不法行為責任は否定された事案を見て行きましょう。

学校法人南陵学園事件(和歌山地裁令和2年12月4日・労経速2453号14頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結し、Y社が経営するi高等学校の開校準備業務に従事していたXが、Y社に対し、①契約期間満了時の平成28年3月31日に同年4月1日以降の契約の更新の申込みをY社が拒絶したことは、客観的に合理的な理由を欠き無効であると主張して、本件雇用契約に基づき、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び本件雇用契約による賃金請求権に基づき、同年4月1日から本判決確定の日まで毎月末日限り月額32万5300円の割合による賃金の支払を、②平成27年7月21日から平成28年12月2日までの間の時間外労働に対する賃金が支払われていないと主張して、雇用契約による賃金請求権に基づき、未払時間外賃金及び確定遅延損害金合計162万0018円+遅延損害金の支払を、③平成27年12月分から平成28年4月分までの教職調整手当、特別技能手当、扶養手当及び住居手当が支払われていないと主張して、雇用契約による賃金請求権に基づき、未払賃金41万6444円+遅延損害金の支払を、④自宅待機をXに命じ、本件各手当を不支給としたこと、本件雇止めをしたこと及びその後の交渉における対応はXに対する不法行為に当たると主張して、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料300万円+遅延損害金の支払を、それぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

①雇止めは無効

②Y社は、Xに対し、149万9258円+遅延損害金を支払え

③Y社は、Xに対し、41万6444円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Y社は、a高における就業規則及び賃金規程おいて、教職調整手当及び特別技能手当を労働基準法37条の割増賃金の一部として支給すると定めており、当時の本件高校における賃金規程においても同様の定めがあった可能性は否定できない。
しかしながら、Xは、Y社に対して就業規則の閲覧を求めていたが平成27年12月14日まで閲覧をすることができなかったと述べており、Y社において容易に提出することができると考えられる本件高校における当時の就業規則及び賃金規程が書証として提出されていないことに照らすと、Xの供述は信用することができる。したがって、本件高校において就業規則及び賃金規程が周知されていたと認めることはできず、本件雇用契約の内容となる就業規則及び賃金規程はないことになる。

2 本件雇用契約に関する雇用契約書では、契約更新の有無について「自動的に更新する」、「更新する場合があり得る」及び「契約の更新はしない」の選択肢から「更新する場合があり得る」が選択されていたとはいえ、本件高校が予定どおり開校される限り、本件雇用契約に関し、期間満了時である平成28年3月31日における更新は締結時から予定されていたものというべきであり、そのことについてXには合理的な期待があったと認められる。

3 E総監督及びA学園長がXの勤務態度には問題がなかったと述べていること、A学園長は、本件雇止めにおいて、XがY社の他の職員とコミュニケーションを取れていなかったことを最も重視したと述べるが、そのような事実を認めるに足りる証拠がないことを踏まえると、前記で検討した事実、高校生の教育に携わるという業務の特質等を総合的に評価したとしても、Y社が本件雇用契約の更新を拒絶することは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない

上記判例のポイント1のように、容易に提出することができる就業規則や賃金規程を書証として提出しない場合には裁判所の心証はかなり悪いですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。