Daily Archives: 2021年12月15日

管理監督者50 小規模事業体における管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、小規模事業体における管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

青山リアルホーム事件(東京地裁令和3年5月14日・労判ジャーナル115号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員が、法定時間外労働等を行ったとして、労働契約に基づく割増賃金等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金請求等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが管理監督者に該当する旨主張するが、Y社は、平成25年の設立以来、従業員3名程度の極めて小規模な事業体であったものであり、そもそも、経営者の身代わり的存在を置いて、労働時間規制の枠組みを超えた労務管理をさせるべき必要性があるとは認め難く、また、Xが他の従業員の労働時間等を決定していた事実も、他の従業員の労務管理をしていた事実も認められず、Xの日々の活動は日報等で細かく管理され、直行・直帰についても会社代表者への報告が必要であったことも考慮すれば、出退勤がXの自由に委ねられていたとは認め難く、以上に加え、XがY社の財務情報や決算情報など経営上の重要事項に接することはなかったこと、Xに賞与の支給はなく年間賃金は530万円程度であり、Xに対して労働時間規制の枠組みを超えた労務管理をなさしめることの対価としての十分な待遇がなされていたとは認め難いことにも照らせば、Xが管理監督者に該当すると認めることはできない

結論自体は特に驚くものではありません。

管理監督者性は開かずの扉ですので、この程度の事情で管理監督者性が肯定される可能性は0です。

労務管理は事前の準備が命です。顧問弁護士に事前に相談することが大切です。