有期労働契約120 有期雇用契約において、適正評価により契約が期間満了で終了することがある旨の明確な合意が成立しているとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、有期雇用契約において、適正評価により契約が期間満了で終了することがある旨の明確な合意が成立しているとされた事案を見ていきましょう。

明治安田生命保険事件(東京地裁令和5年2月8日・労経速2515号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対して、XとY社との間で締結されていた労働契約は、①主位的には無期労働契約であり、②予備的には有期労働契約であったとしても、Y社の行った雇止めは無効であると主張して、当該労働契約に基づき、次の各請求をする事案である。
(1)労働契約の権利を有する地位にあることの確認
(2)令和2年8月から本判決確定の日まで、毎月24日限り、賃金として月額25万円+遅延損害金

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 労働者の適性を把握するために有期労働契約を締結すること自体は許容されているところ、本件見習契約の期間においては、労働者の適性を評価することが予定されているとしても、さらには実態としてはほとんどの者がアドバイザーBに採用されるとしても、本件見習契約においてはその終期が明示的に定まっている以上は、これを試用期間と解することはできないというべきである(本件では期間の満了により本件見習契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立しているというべきであって、最高裁平成2年6月5日判決の射程は及ばないと解すべきである。)。

2 本件労働契約は有期労働であるのに対し、MYライフプランアドバイザーとしての雇用契約は無期労働契約であり、全く別の契約であるというべきであるから、MYライフプランアドバイザーとして採用されるために労働契約を締結することは新たな契約の締結というべきであって、労働契約法19条2号にいう「更新」には該当しない。したがって、仮にXに採用基準を満たせばMYライフプランアドバイザーとして採用されることについて期待があったとしても、これは労働契約法19条2号にいう合理的な期待があったとはいえない

上記判例のポイント1はとても重要なので、しっかり押さえておきましょう。

この論点については、いつも神戸弘陵学園事件最高裁判決の射程が問題となります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。