セクハラ・パワハラ77 ハラスメント及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ハラスメント及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人社団慈昴会事件(札幌地裁令和5年3月22日・労判ジャーナル138号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営するクリニックで就労していた看護師が、Y社に対し、当該クリニックの院長からハラスメントを受けたと主張して、安全配慮義務違反又は民法715条に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めるとともに、当該クリニックの更衣室のロッカーの戸が外れて看護師が受傷した事故につき、安全配慮義務違反に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 院長の発言は、そもそも看護師がマスクの着用を促したことに対するものであると認められる上に、「クソ生意気な女」、「バカ面白くない」、「バカ女」などというその侮辱的な内容のほか、繰り返し「バカ」という侮辱的な言辞が用いられていること、医師と比べて看護師を著しく低く評価する趣旨の表現が含まれていることからすれば、看護師に対する指導・教育の範疇にとどまるなどとは到底評価することができず、看護師に対する不法行為を構成することが明らかであり、そして、Y社自身、院長の言動が看護師に対する指導・教育であると主張していることを踏まえると、院長の上記の不法行為につき、Y社が使用者責任を負うことは明らかであり、看護師の精神的苦痛を慰謝するに足りる金額としては、10万円をもって相当と認める。

このような事案における慰謝料の相場を知ることができます。

金額よりもレピュテーションダメージの方が大きいです。

社内のハラスメント問題については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。