有期労働契約133 有期労働契約の期間満了前になされた会社に対する休職の申し出を、黙示の雇用契約の更新申し込みにあたらないと判断した事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期労働契約の期間満了前になされた会社に対する休職の申し出を、黙示の雇用契約の更新申し込みにあたらないと判断した事案を見ていきましょう。

はな事件(東京地裁令和7年9月16日・労経速2610号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結して就労していたところ、Y社から契約期間満了により退職扱いとされたXが、Y社らに対し、以下の各請求をしている事案である。
(1)主位的には、前記雇用契約は、期間の定めのある雇用契約ではなく、期間の定めのない雇用契約であり、契約期間満了によって終了していないと主張し、予備的には、仮に有期雇用契約であるとしても、前記雇用契約は、労契法19条1号又は2号により更新されたと主張し、前記雇用契約に基づく雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める請求。
(2)Xは、Y社の代表者であるAから性被害を受けたことにより、令和4年10月5日からY社において就労できなくなり、さらに、同年11月30日をもって契約期間満了を理由に退職扱いとされているところ、Xが、同年10月5日以降、Y社において就労できないのはY社の責めに帰すべき事由によるものであると主張し、前記雇用契約に基づく各賃金の支払を求める請求。
(3)Aから性被害を受けた旨主張し、Aについては不法行為に基づき、Y社については会社法350条に基づき、損害賠償として443万0993円+遅延損害金の連帯支払を求める請求。
(4)本件雇用契約が契約期間満了により令和4年11月30日に終了しているとされた場合における、前記(2)及び(3)の請求の予備的請求として、Aから性被害を受けた旨主張し、Aについては不法行為に基づき、Y社については会社法350条に基づき、損害賠償として769万9735円+遅延損害金の連帯支払を求める請求。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Xの令和4年10月21日の休職の申出をもって、黙示の本件雇用契約の更新申込みと評価すべきである旨主張する。
しかしながら、〈1〉前記休職の申出は、令和4年10月13日から1か月間の休職が必要であるとする診断書の提出とともになされたものであって、本件雇用契約の契約期間満了日である同年11月30日以降も休職したいとする趣旨を含むものではないこと、
〈2〉Xは、令和4年10月27日、通院先の医師に対して、Y社での復帰は考えていない旨伝えており、本件雇用契約の契約期間満了日以前に、Y社において就労する意思を失っていたものと考えられること、
〈3〉かかるXの意向を踏まえてのものと考えられるが、X代理人らは、Y社代理人から本件雇用契約が同年11月30日をもって終了する旨伝えられても、本件訴訟を提起するまでの間、本件雇用契約の更新の申込みや有期雇用契約の締結の申込みを一切していないこと等の事情を総合すれば、前記休職の申出をもって、黙示の本件雇用契約の更新申込みと評価する余地はない。
以上によれば、本件雇用契約の契約期間は令和4年11月30日までであるところ、「契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合」(労契法19条)には当たらないから、その余の点について検討するまでもなく、本件雇用契約は、同日の契約期間満了により終了しているものというべきである。

どのような事情を拾っていくべきかがよくわかりますね。

証拠を収集し、隅々まで精査することが大切です。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。