本の紹介2023 ニーチェの言葉#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から11年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

タイトルのとおり、ニーチェの言葉がたくさん紹介されています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていればやがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。常に新しく生きていくために、わたしたちは考えを新陳代謝させていなくてはならないのだ。」(43頁)

成長意欲がある人は、少し会話しただけですぐにわかります。

自分への投資がいかに大切かをよく理解していることがすぐにわかります。

現状を憂いている時間があるなら、勉強しよう。

国や会社や上司や制度を批判したところで、何1つ変わりません。

自分の人生は自分の力で切り拓こう。

賃金263 就業規則のない会社における賃金減額・配転命令の成否等(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則のない会社における賃金減額・配転命令の成否等に関する裁判例を見ていきましょう。

Ciel Bleuほか事件(東京地裁令和4年4月22日・労判1286号26頁)

【事案の概要】

本訴は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、①Y社からの賃金が一部未払であると主張して、Y社に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、令和元年7月分から同年9月分までの未払賃金等合計73万9591円+遅延損害金の支払、及び、同年10月分の未払賃金30万4333円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②Y社の経営者一族の身内であるA及びY社の執行役であるBから、一方的に減額をされる、横領疑惑をかけられる、理由のない配転命令をされるという違法行為を受けたと主張して、Aらに対し、共同不法行為に基づき、損害金220万円+遅延損害金の連帯支払いを求める事案である。

反訴は、Y社が、Xに対し、Xが真実はY社の経費として費消したのではないにもかかわらず、経費であると申告してY社を欺罔し、経費名下に金員を騙取したとして、不法行為に基づき、損害金675万5958円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、73万9591円+遅延損害金を支払え

2 Y社は、Xに対し、30万4333円+遅延損害金を支払え

3 A及びBは、Xに対し、連帯して55万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Y社らは、Y社においては、営業職の給与は、各人の売上の多寡といった成果に応じて不定期に昇給ないし降給がされる制度となっていたこと、Xの売上が平成26年から急激に降下し、その後も長期にわたって売上が低迷して改善の兆しがみられなかったことから、上記制度の中で本件減給措置を実施するに至ったのであって、本件減給措置はY社の裁量の範囲内である旨を主張する。
しかしながら、Y社においては、本件減給措置が実施されるまで、従業員の売上が低下したことを理由に降格・減給措置が実施されることはなかった。Y社の営業職の売上の増加に応じて営業職の給与が上昇することはあったにせよ、Y社において、営業職の給与が、各人の売上の多寡といった成果に応じて不定期に昇給ないし降給がされる制度が存在したことを認めるに足りる証拠はない。したがって、Y社らの上記主張は、Y社らの主張する制度の存在が認められない以上失当である。

言うまでもありませんが、営業マンの売上が減少したことを理由に当然に減給することはできません。

歩合給を採用するのであれば、その旨を契約書や就業規則、賃金規程等に予め規定しておく必要があります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2022 2035 10年後のニッポン(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

10年後、世界がどのように変わっているのか、本当に楽しみです。

日本は、人口が大幅に減少し、生き方も仕事の内容も今では予想もできないくらい大きく変わっていると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

保守的な人は、不自由な従来のライフスタイルに拘泥する。そこに不満はあるものの、ぶつぶつ愚痴ることしかできない。変化を恐れるからだ。そして今日も明日も電車ですし詰めになる。」(103頁)

こんなに自由に生きることが許されている時代において、それでもなお、あえて自ら不自由な生活を選択する人がいます。

結果、いろんなことにがんじがらめ。

何をするにも制限がかかって、とても不自由な生活を強いられる・・・。

そんな人生、まっぴらです。

自分の人生は、自分で切り拓く。

居酒屋で愚痴っていても、SNSで他人の悪口を書き込んで憂さ晴らしをしても、人生は1ミリも好転しません。

日々、努力。

日々、勉強。

もう本当に遊んでいる場合ではありません。

有期労働契約120 有期雇用契約において、適正評価により契約が期間満了で終了することがある旨の明確な合意が成立しているとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、有期雇用契約において、適正評価により契約が期間満了で終了することがある旨の明確な合意が成立しているとされた事案を見ていきましょう。

明治安田生命保険事件(東京地裁令和5年2月8日・労経速2515号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対して、XとY社との間で締結されていた労働契約は、①主位的には無期労働契約であり、②予備的には有期労働契約であったとしても、Y社の行った雇止めは無効であると主張して、当該労働契約に基づき、次の各請求をする事案である。
(1)労働契約の権利を有する地位にあることの確認
(2)令和2年8月から本判決確定の日まで、毎月24日限り、賃金として月額25万円+遅延損害金

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 労働者の適性を把握するために有期労働契約を締結すること自体は許容されているところ、本件見習契約の期間においては、労働者の適性を評価することが予定されているとしても、さらには実態としてはほとんどの者がアドバイザーBに採用されるとしても、本件見習契約においてはその終期が明示的に定まっている以上は、これを試用期間と解することはできないというべきである(本件では期間の満了により本件見習契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立しているというべきであって、最高裁平成2年6月5日判決の射程は及ばないと解すべきである。)。

2 本件労働契約は有期労働であるのに対し、MYライフプランアドバイザーとしての雇用契約は無期労働契約であり、全く別の契約であるというべきであるから、MYライフプランアドバイザーとして採用されるために労働契約を締結することは新たな契約の締結というべきであって、労働契約法19条2号にいう「更新」には該当しない。したがって、仮にXに採用基準を満たせばMYライフプランアドバイザーとして採用されることについて期待があったとしても、これは労働契約法19条2号にいう合理的な期待があったとはいえない

上記判例のポイント1はとても重要なので、しっかり押さえておきましょう。

この論点については、いつも神戸弘陵学園事件最高裁判決の射程が問題となります。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。

本の紹介2021 「自分」を仕事にする生き方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

少し前では考えられないような生き方、仕事の仕方ができる時代です。

昔ながらの窮屈な生き方、働き方に縛られているのは、本当にもったいないと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間観察のために交流会によく行くという知人が『成功者の会に行くと、みんな、同じ業界の人の仕事を褒めている。対して、悪口ばっかり耳に聞こえてくる会には、すごい人はいない。負け組は負け組同士慰め合ったり、成功者をこきおろしてばっかりいる』と言っていました。」(250頁)

愚痴・不平不満で盛り上がっている会には参加しないことに尽きます。

ジカンガモッタイナイ。

人の悪口、噂話をしたところで、自分の人生は1ミリの変わりません。

一緒にいて刺激を受ける人、こういう人になりたいと思う人とできるだけ時間を共有しましょう。

賃金262 貸付金の退職金との相殺の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、貸付金の退職金との相殺の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

リアルデザイン事件(東京地裁令和4年12月9日・労判ジャーナル135号56頁)

【事案の概要】

本件は、本訴において、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、(1)退職金の未払があると主張して、雇用契約に基づく退職金支払請求権の一部の支払を求め、(2)XがY社に対して退職金の源泉徴収額に相当額を支払ったことにつき法律上の原因がないと主張して、不当利得返還請求権として上記金員等の支払を求め、反訴において、Y社が、Xに対し、XのY社に対する本訴提起が、Y社の取締役に対する嫌がらせのみを目的とする違法な訴訟提起であると主張して、不法行為に基づく損害賠償として500万円等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 貸付金と退職金との相殺合意は、Xにとっては、より少ない賃金(退職金を含む)で貸付を完済することができ、Y社にとっては、より少ない出捐でXに対する貸付を処理することができるという点で双方に経済的利益がある方法であるということができ、さらに、そもそも本件退職金規程は、本件各金銭交付に係る貸付を処理するために、本件相殺合意をする際に新たに創設されたものであるから、本件相殺合意の時点において、Xが退職金を現実に受給することができるという期待を有していたとは認められず、そして、Y社が、本件相殺合意に基づき本件精算処理を行った際にも、Cは、Xが源泉徴収相当額を負担したとしても退職金と相殺することに経済的な利点がある旨説明しておりXが本件精算処理について異議を述べたことを認めるに足りる証拠はなく、また、Xが、Y社に対し、退職金の請求を初めて行ったのは、退職から約4年もの期間が経過した時点であるから、本件相殺合意及びこれに基づく本件精算処理は、Xの同意を得てなされたものであり、その同意は、Xの自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在していたものというべきであり、労基法24条1項に違反しない。

上記事情からすれば、結論の異論はほとんどないところだと思います。

なお、基本的知識として、労基法24条の「賃金」に退職金も含まれることは押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2020 群れない。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

まさにタイトルのとおりです。

群れて時間を無駄に過ごすほど人生は長くありません。

もっとやるべきことがあります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もしキミが、人生を思い通りに行きたいなら、今すぐ『やらないこと』を明確にするべきだ。つまり、やりたくないことを無理してやるという習慣を消し去るのだ。」(173頁)

無駄なことに費やす時間がどれほど多いことか。

結果、本来やるべきことに時間を使えずに、今日もまた1日が過ぎていく。

「いつかやろう」の「いつか」は永遠に来ません。

まずは「やらないこと」を決めることで、本来やるべきことに費やす時間を捻出することです。

時間は平等。

でも、使い方は十人十色。

賃金261 背信行為と退職金減殺部分等支払請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、背信行為と退職金減殺部分等支払請求に関する裁判例を見ていきましょう。

エスプリ事件(東京地裁令和4年12月2日・労判ジャーナル135号66頁)

【事案の概要】

本件は、Y社から解雇されたXが、Y社に対し、未払退職金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社がXの給与を増額できるような状態ではなかったことを認識していたはずであるのに、経理担当者であることからこそ知り得たY社の経理情報に基づき、別口預金等に係る経理上の不正の存在をほのめかして金銭(給与の増額)を要求し、Xから脅迫されたと受け取った現社長との間の信頼関係を大きく毀損し、そして、Xは、この件により本件配転命令を受けると、長年にわたり役員に近い水準の高額な給与の支払を受けていた幹部職員でありながら、合理的な理由なく、本件配転命令に強く抵抗し、業務命令に違反して経理業務の引継ぎを拒否し、長期間にわたりY社及びY社の従業員の業務に支障を生じさせ、そして、その結果、Y社の経営上大きな問題を生じさせるとともに、Y社との間の信頼関係だけでなく、Xから引継ぎを受けるために奔走したY社の従業員との間の信頼関係も失わせるに至らせたものであり、このようなXの行為は悪質であり、その背信性の程度は著しいものといわざるを得ないから、Xの行為によりY社に生じた業務上の支障を一定程度限定する事情が認められること、さらに、Xが、19年(アルバイトとして勤務した期間を含めると28年)にわたり、Y社の経理業務を担当してきたものであって、Y社に対する一定の貢献が認められることを斟酌したとしても、Xの行為は、XのY社における勤続の功を大きく減殺するものであって、その減殺の程度を3分の2としたY社の判断は相当なものである。

内容的には、退職金不支給と判断される会社もあろうかと思いますが、行為の悪質性とのバランスを欠いているという理由から一部無効と判断される可能性がありますので、匙加減には注意をしましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2019 武田双雲にダマされろ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

事実ではなく解釈によって幸福度が決まることがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『喜んでいる人に、いいことが集まる』これは法則。」(143頁)

シンプルですが、真実です。

プラスはプラスと、マイナスはマイナスと繋がります。

幸せは、事実ではなく解釈によることからすれば、当然の帰結です。

幸せは探すものではなく、感じるものです。

綺麗事ではなく、真実です。

賃金260 インセンティブ給与合意に基づく賃金残金等支払請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、インセンティブ給与合意に基づく賃金残金等支払請求に関する裁判例を見ていきましょう。

Oriental Kingdom Group事件(東京地裁令和4年12月6日・労判ジャーナル135号64頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結して就労していたXが、Y社との間で、月例賃金25万円に加えて不動産売買業務に関する売上額の50%に相当する額をインセンティブ給与として支払う旨の合意をしたなどと主張して、労働契約に基づき、Y社に対し、賃金残金等の支払を求めるとともに、Y社が本件合意に係る合意書の会社作成部分が偽造されたものであるとして警視庁大崎警察署に被害申告をしたことがXの名誉及び信用を毀損するものであるなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料30万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件合意書のY社作成部分の成立の真正について、本件合意書のY社の印影は、Y社の印章から顕出されたものと認められるから、当該印影は、特段の事情がない限り、Y社の意思に基づいて顕出されたものと推定され、この推定がされる結果として、本件合意書のY社作成部分は、民訴法228条4項にいう「本人又はその代理人の(中略)押印があるとき」の要件を充たし、その全体が真正に成立したものと推定されることとなるが、本件合意書に記載されたインセンティブ給与の売上額に対する割合は著しく高く、Xにとって極めて有利な内容となっている反面、Y社にとっては、そのような内容の合意をする経済的合理性に乏しいものであったことや本件労働契約締結後のXとY社代表者との間のやりとりに係る事実経過等を総合的に考慮すると、Xが、本件印章保管ロッカーの鍵の部分を破壊して、これを開け、その中に保管されていた本件印章を冒用するなどして、本件合意書のY社作成部分を偽造した疑いが濃いといわざるを得ないこと等から、本件合意書のY社の印影がY社の意思に基づいて顕出されたものとはいえず、本件合意書のY社作成部分が真正に成立したものであることについての推定は及ばないというべきである。

二段の推定が覆った事案です。

裁判所がどのような点に着目をしているかをしっかりと確認しておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。