賃金261 背信行為と退職金減殺部分等支払請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、背信行為と退職金減殺部分等支払請求に関する裁判例を見ていきましょう。

エスプリ事件(東京地裁令和4年12月2日・労判ジャーナル135号66頁)

【事案の概要】

本件は、Y社から解雇されたXが、Y社に対し、未払退職金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社がXの給与を増額できるような状態ではなかったことを認識していたはずであるのに、経理担当者であることからこそ知り得たY社の経理情報に基づき、別口預金等に係る経理上の不正の存在をほのめかして金銭(給与の増額)を要求し、Xから脅迫されたと受け取った現社長との間の信頼関係を大きく毀損し、そして、Xは、この件により本件配転命令を受けると、長年にわたり役員に近い水準の高額な給与の支払を受けていた幹部職員でありながら、合理的な理由なく、本件配転命令に強く抵抗し、業務命令に違反して経理業務の引継ぎを拒否し、長期間にわたりY社及びY社の従業員の業務に支障を生じさせ、そして、その結果、Y社の経営上大きな問題を生じさせるとともに、Y社との間の信頼関係だけでなく、Xから引継ぎを受けるために奔走したY社の従業員との間の信頼関係も失わせるに至らせたものであり、このようなXの行為は悪質であり、その背信性の程度は著しいものといわざるを得ないから、Xの行為によりY社に生じた業務上の支障を一定程度限定する事情が認められること、さらに、Xが、19年(アルバイトとして勤務した期間を含めると28年)にわたり、Y社の経理業務を担当してきたものであって、Y社に対する一定の貢献が認められることを斟酌したとしても、Xの行為は、XのY社における勤続の功を大きく減殺するものであって、その減殺の程度を3分の2としたY社の判断は相当なものである。

内容的には、退職金不支給と判断される会社もあろうかと思いますが、行為の悪質性とのバランスを欠いているという理由から一部無効と判断される可能性がありますので、匙加減には注意をしましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。