Monthly Archives: 7月 2023

本の紹介2010 あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

サブタイトルは、「他人に支配されず、自由に生きる技術」です。

簡単なように見えて、実はかなり難しいです。

とはいえ、すべては自分の選択です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

たしかに、『誰にも頼らないことが自立だ』と思う人は多いでしょう。しかし、これは誤解です。『多くの人に依存することが自立』なのです。」(176頁)

それがないと困る状態を「依存」と言います。

生活をする上で、また、仕事をする上では、できるだけ依存度を下げることがとても重要です。

経済的にも精神的にも。

多くの人に依存するということは、すなわち、ある特定の人に依存しないという意味ですので、結果、それぞれの人に対する依存度は下がります。

「この人がいなくなってしまったら生きていけない」という状況を作らないことです。

仕事もプライベートも。

依存は執着に変わります。

労働時間93 タイムカード等により機械的に労働時間が記録されていない場合の労働時間の算定方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、タイムカード等により機械的に労働時間が記録されていない場合の労働時間の算定方法に関する裁判例を見ていきましょう。

クロスゲート事件(東京地裁令和4年12月13日・労判ジャーナル134号28頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていた元従業員114条所定の付加金等の支払を求め、Xが令和元年10月7日から10日までの間のアルバイトをしていたときの未払アルバイト代等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払割増賃金等請求、付加金等請求一部認容

未払アルバイト第等請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社においては、Xの労働時間をタイムカード等により機械的に記録しておらず、その把握は、従業員が所定の勤務簿(MicrosoftExcelのデータ)に各日の出退勤時刻等を入力して提出する方法によりなされていたことが認められ、Y社がXの提出した出勤簿に記載された勤務時間について疑義を述べた形跡も見当たらないことに照らすと、別段の反証のない限り、Xの始業時刻及び終業時刻は当該出勤簿により認定するのが相当であり、Y社からかかる反証はなされておらず、そして、本件労働契約においては各日の休憩時間が1時間と定められているから、別段の主張立証のない限り、各日について1時間の休憩がとられていたものと認めるのが相当であり、Xからかかる主張立証はなされていないから、Xは、令和2年1月6日から5月20日までの間、「裁判所 時間シート」のとおり労務を提供したものと認められる。

会社から具体的な反証がなく、単に原告である労働者の主張立証が不十分であると反論するだけでは足りません。

労働時間を管理する義務を使用者が負っていることの帰結といえるでしょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2009 君なら勝者になれる#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは、「成功者の『態度』と『行動』の法則」です。

天賦の「才能」ではありません。

とてもいい本です。おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

失敗する原因のほとんどは、知識や才能の不足ではなく、諦めによるものだ。成功の秘訣は、忍耐強さと抵抗力という二つの性質にある。やらなければならないことをやる忍耐強さと、やるべきでないことに抗う抵抗力である。」(85頁)

換言すれば、しつこさ、粘り強さ、諦めの悪さが極めて重要だということです。

ほんの数十回やってダメだとやめてしまう。

ほんの数年やって結果が出ないと諦めてしまう。

結果を出すのに、才能はいりません。

才能なんて言葉は、何かを諦めるときに「自分は才能がない」と言い訳に使うくらいなものです。

労働災害115 業務上の疾病該当性と退職扱い無効地位確認等請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務上の疾病該当性と退職扱い無効地位確認等請求に関する裁判例を見ていきましょう。

足立通信工業事件(東京地裁令和4年12月2日・労判ジャーナル134号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、Y社が休職期間満了を理由とする退職手続を執ったことについて、当該休職の原因は代表取締役であるB及び取締役会長であるCの療養中に執られたものであるから無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるほか、Y社に対しては債務不履行に基づき、B及びCに対しては不法行為及び取締役責任に基づき、長時間労働、B及びCの暴言、違法解雇、解雇撤回後のハラスメント等による慰謝料等の損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職扱い無効

【判例のポイント】

1 労働基準法19条1項の業務上の疾病に該当するためには、当該疾病の発病ないし悪化に業務起因性が認められる必要があるところ、Xは、遅くとも平成29年10月中旬頃までに、抑うつ状態ないし気分(感情)障害を発症したものと認めることができ、Xの上記抑うつ状態ないし気分(感情)障害の発症については、労災認定基準のうち「仕事量が著しく増加して時間外労働も大幅に増える(倍以上に増加し、1か月当たりおおむね100時間以上となる)などの状況になり、その後の業務に多大な労力を費やした(休憩・休日を確保するのが困難なほどの状態となった等を含む)」場合に該当する事情があったものであるから、Y社における長時間労働によって発症したものというべきであるから、業務とXに発症した疾病に因果関係がないとするY社らの主張は、いずれも採用することができず、Xは、なお業務上の疾病について治癒に至ったものとはいえず、本件退職手続は、無効というべきであるから、Xは、労働契約上の権利を有する地位にある

直近で長時間労働が認められる場合には、ほとんど例外なく労災が認定され、結果、休職期間満了に伴う退職処分は労基法19条1項により無効となります。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2008 ハードワーク#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

ラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんの本です。

マインドセットがいかに大切かがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『自分に満足するな。常にゼロから始めよ』このメッセージは、2015年11月から私が率いることになったイングランド代表の選手たちにも、常に発しています。イングランドはワールドカップでの優勝経験もある強いチームですが、たとえトップクラスでも、落ちたくなければ、ゼロから始めるしかないのです。いい成績を上げても、努力を怠らず、ハードワークを続けます。その繰り返しがあるだけです。」(182頁)

自分に満足し出したら、もう引退時期が迫っている証です。

もうそれ以上、成長しない、否、成長する気がないのですから。

昔取った杵柄で食っていける程、プロの世界は甘くありません。

スポーツもビジネスも。

人と同じ生活をしていて、人と違う成果は出ません。

賃金259 体調不良を理由とする自宅待機期間中の賃金請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、体調不良を理由とする自宅待機期間中の賃金請求に関する裁判例を見ていきましょう。

ゼリクス事件(東京地裁令和4年8月19日・労判ジャーナル134号44頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、体調不良のため、令和2年8月20日、仕事を休み、同月21日、38度以上の発熱があったため、Y社に報告したところ、Y社から、2週間自宅で待機するように命じられたため、この間の賃金の支払を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 少なくとも同月20日及び同月21日については、Y社の責に帰すべき事由ではなく、また、同月22日から同月末日までの期間については、この間のXの体調は明らかではなく、Y社による自宅待機命令により就労することができなかったというべきであるが、この頃、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が生じていたこと(公知の事実)からすれば、感染が広がる危険を避けるため、発熱した労働者に2週間程度の自宅待機を命ずることには合理的な理由があったというべきであり、また、本件現場では、令和2年9月、クライアントの予算不足のため体制を縮小したことにより、Y社の人員に余剰が生じていたものであるから、令和2年8月及び同年9月分の賃金請求につき、Xの本件雇用契約に基づく就労義務の不履行については、労働基準法26条における債権者の責に帰すべき事由があったということはできないから、Xの同月分の賃金の支払請求には理由がない。

自宅待機命令の理由が本件のように不可抗力等を含め使用者側の故意・過失によらない場合には、賃金が発生しません。

もっとも、その判断は慎重に行う必要がありますのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。

 

本の紹介2007 お金をふやす8つの習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

書かれているのは、お金をふやす「方法」ではなく「習慣」です。

習慣を変えなければ人生は変わりません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私の知る限り、苦労せずにお金持ちになっている人は1人もいません。まずは今の居心地の良い環境を捨て、自分にとって居心地の悪いところで新しいチャレンジをしてみてください。そうすればきっと新しい道が見えてきますよ。行動しなければあなたの人生は今のまま全く変わりませんし、社会の流れに任せていてはむしろ悪化していくだけかもしれません。」(190頁)

わかっちゃいるけど、体が言うことを聞かないのです。

何かやらないといけないのは理解しているんだけど、時間がないし、ぶっちゃけ、面倒くさいのです。

とはいえ、ますます加速する人口減少社会、超高齢社会の流れに身を任せているだけでは、状況は悪化する一方です。

それも運命、と割り切って、諦めて生きるのも一つですが。

自分の人生は自分の力で切り拓く覚悟がある人は、自己投資を惜しまず、自らの商品価値を高める努力をし続けましょう。

そういう人は、言われなくても既にやっていると思いますが。

賃金258 賃金相当額の損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃金相当額の損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

グラインドハウス事件(東京地裁令和4年12月21日・労判ジャーナル134号22頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結したと主張するXが、雇用契約に基づく賃金請求並びに会社法423条1項及び会社法429条1項に基づき、Y社及び取締役であるBに対して、連帯して約143万円等の支払を求め、これに対し、Y社は、第1回口頭弁論期日において、消滅時効の抗弁の主張をしたところ、Xは、上記金員のうち10万円については、既に前件訴訟において、確定判決を得ていることから取下げ、その余の約133万円については、消滅時効の主張を踏まえて、Y社及びBに対し連帯して、民法415条及び会社法429条1項に基づく損害賠償請求として支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社は、従業員を社会保険にも加入させず、雇用契約書も存在していなく、タイムカード等従業員の勤務状況を裏付けるものを設置しておらず、就労時間もXが事前に聞いていたものとは大幅に異なっていたと主張するが、Y社がY社に勤務していたCに対し、支払った給与からは、雇用保険料及び所得税のみが控除されており、健康保険料や厚生年金保険等は控除されていなかったこと、Y社にタイムカードが設置されていなかったこと、Y社とCとの間及びY社とAとの間で雇用契約書が作成されていなかったことが認められるところ、上記事実は、法律等に違反する行為であり、その法律違反について、法律に規定されている罰則等が適用される可能性はあるが、上記の法律違反があることによって、Xに対し、賃金相当の損害金が発生するものではないから、Xの主張は採用することはできない。

2 Xは、Y社及びBは、未払給与に対する請求や相談に一切応じず、令和元年に出された前件判決にも従わないため、回収不能となったことから就労環境に対する安全配慮義務に違反していると主張するが、前件判決について確定後も支払われていないことが認められるが、判決確定後については、執行手続が法律上予定されているのであるから、前件判決について支払を怠っていることをもって安全配慮義務違反があるとは認められないし、前件判決の支払を怠ったことによって、新たに賃金相当の損害金が発生するとは認められないから、Xの主張は採用することができない。

法律構成に若干無理がありますね。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。

本の紹介2006 成功する人は偶然を味方にする#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

「運の良さ」がいかに大切かがよくわかる本です。

では、どうすれば幸運に恵まれるのでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

おそらく成功への最大の障害は、その道のりが長すぎたり、成功が約束されているかどうかわからなかったりするせいで、努力をやめてしまうことだ。運が重要だと強調されると、努力したところで将来の成功は約束されないと感じ、何もしないでただ幸運が訪れるのを願えばいいと思うようになる。」(36頁)

しかし、それは間違っているというお話です。

運が大切だからこそ、人よりも多くバッターボックスに立ち続けることが大切なのです。

この意味がわかると結果を出している人たちが日頃、何を考えているのかがわかります。

何もしないで昨日と同じ今日を過ごしているうちは、幸運が訪れることはありません。

賃金257 留学費用返還請求が認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、留学費用返還請求が認められた事案を見ていきましょう。

双日事件(東京地裁令和4年8月30日・労判ジャーナル134号38頁)

【事案の概要】

本件は、本訴において、Y社が、Y社の元従業員Xにおいて、Y社の研修留学制度を利用して留学した際、Y社との間で、留学終了後5年以内に自己都合退職する場合には留学に要する費用として借り入れた金員を退職日までに全額返還する旨を合意したにもかかわらず、留学終了から2か月後に自己都合退職したとして、Xに対し、当該合意に基づき、貸金合計約2850万円等の支払を求め、反訴において、Xが、上記留学中、Y社の人事担当者においてXに著作権違反行為を慫慂した行為が不法行為に当たると主張して、Y社に対し、使用者責任(民法715条)に基づき、当該不法行為に係る慰謝料30万円等の支払を求めるとともに、Y社を退職後、X個人の商行為として、Y社から依頼された4件の業務を遂行したと主張して、Y社に対し、商法512条に基づき、報酬各50万円(合計200万円)等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

留学費用返還等支払請求一部認容

損害賠償等請求棄却

【判例のポイント】

1 本件各留学に関し、Y社がXに対し送金をして、Xが当該金員から費用を支出したこと、Y社又はその関連会社が引越費用77万2705円及び海外旅行傷害保険料19万1320円を立替払いしたこと、本件留学2に先立ち、Y社とXが本件誓約書2により本件合意をしたこと、Xが本件留学2の終了日から2か月後である令和元年7月31日限りY社を退職したことについては、当事者間に争いがないものと認められるところ、本件各留学がY社の指示命令に基づく業務としてなされたものと認めることはできず、労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金や損害賠償の予定を禁止するものである以上、労働契約に基づかない行為(使用者の業務外の行為)について同条を適用(類推適用)することは困難であり、もとより、労働者の退職意思を制約する法律行為について、公序良俗に反するものとしてその効力を否定し、あるいは信義則によりその行使を制限すべき場合はあり得るが、一般論として、使用者が労働者に対し業務外の事項に関して金銭を貸し付けるに当たり、5年程度の勤続を条件に債務を免除し、その前に退職する場合においては返還を求める合意をすることが当該労働者の退職の自由を不当に制約するということは困難であり、Xが本件各留学の終了後2か月で退職に至っていることに照らすと、信義則上本件合意に基づく請求を制限すべきとはいえないこと等から、本訴請求は2847万8742円等の支払を求める限度で理由がある。

留学から帰国して2か月後に退職するという感覚が私には理解できないのですが、それはさておき、留学費用に限らず類似の裁判例をいくつかありますので、是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有給休暇に関する運用を行うことが肝要です。