Daily Archives: 2011年11月30日

不当労働行為24(クボタ(契約終了慰労金)事件)

おはようございます。 

さて、今日は、不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

クボタ(契約終了慰労金)事件(中労委平成23年8月3日・労判1033号95頁)

【事案の概要】

平成20年8月、Y社は、工場の契約社員(組合員を含む)に雇用契約を21年3月末まで更新すること、今回が最後の更新となり、4回目の更新を行わないこと、確認書を提出した場合に契約終了慰労金を支給することを記載した第3回更新通知を配付した。

同年9月、Y社は、21年1月から3月までの間に労働契約を終了する工場の契約社員に「労働契約終了について何らの異議を申し立てない」旨の確認書を提出した場合に、契約終了慰労金を支給する旨の通知を配付した。

【労働委員会の判断】

確認書提出を契約終了慰労金支給の条件とする通知を配付したことは不当労働行為に当たらない

慰労金の支給に関する団交におけるY社の対応は不当労働行為に当たる

【命令のポイント】

1 契約終了慰労金が労働契約の円滑な終了を目的の一つとしていることからすれば、契約終了慰労金は、19年3月雇用契約が終了することを前提として支給されるものといえる。そうであるならば、契約終了慰労金の支給に当たって19年3月雇用契約が終了したことを確認する書面を徴することは、契約終了慰労金の制度そのものにおいて当然に予定されていたといえる。そして、確認書の要件における「労働契約の終了について何らの異議を申し立てない」旨の文言も、訴訟の提起をしようとする組合員らに対して心理的動揺を与えることがありうるとしても、その内容は、客観的には、19年3月雇用契約が終了したことを確認するものにほかならず、それ自体を、新たに不利益な要件を課すものということはできない

2 Y社は、組合員らの雇用期間の満了に係る問題に関する誠実な交渉の在り方として、第17回団交においては契約終了慰労金の支給に関する提案や説明を、そして、第18回団交においては9月26日契約終了慰労金通知の内容に関する提案や説明をそれぞれ行うべきであったところ、それらを行わなかったといえるのであって、かかるY社の対応は、労組法第7条第2号の不誠実団交の不当労働行為に該当する。

不誠実団交の問題は、会社にとって、非常に悩ましい問題です。

現場では、可能な範囲での説明を尽くすということしかないと思います。

それでも足りないと言われるのであれば、仕方ないです。

組合と会社とは、立場が違いますので、組合にとって満足のいく回答を得られない場合には、組合としては、不誠実団交だと主張することになるわけです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。