Monthly Archives: 11月 2012

本の紹介144 ホンマもんの成功法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
ホンマもんの成功法則 -世界一気さくなバリ島日本人大富豪の教え-
ホンマもんの成功法則 -世界一気さくなバリ島日本人大富豪の教え-

先日、紹介をしました「大富豪の教え」に続くアニキ本第2弾です。

アニキに関する本は、とりあえず、すべて読んでみようと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ホンマもんは、計画にかまけてる暇がないんや。無我夢中や。必死になれないやつほど、計画が得意や。ほんで計画通りにいかん。やってるやつは、計画なんかどうでもいいねや。あとから結果がついて来るから。」(61頁)

計画を立てること自体を否定するつもりはありません。

ただ、計画を懸命に立てていると、手段と目的がわからなくなってしまいます。

計画を立てること自体が目的化してしまうというか・・・

また、計画の段階で時間を使いすぎると、そのうち、実行に移すタイミングを逸してしまうのではないでしょうか。

もとより、私は、計画を練るということがあまり得意ではありません。

思いついたら、どんどん実行に移したくなってしまうからです。

動きながら考えるのが性に合います。

人生は短いです。

すべては即断即決です。 

不当労働行為55(財団法人新国立劇場運営財団事件)

おはようございます。

さて、今日は、合唱団員の不合格措置と不当労働行為に関する裁判例を見てみましょう。

財団法人新国立劇場運営財団事件(東京高裁平成24年6月28日・労経速2152号3頁)

【事案の概要】

新国立劇場を運営しているY財団は、その開催するオペラ公演に出演する合唱団員として、Xとの間で、実演により歌唱技能を審査して選抜するための手続(試聴会)を経て、契約メンバーとしての出演基本契約を締結していた。

Y財団は、平成15年8月から平成16年7月までのシーズンの契約に関し、試聴会の審査により契約メンバーとしては不合格である旨をXに告知した。

これを受けて、Xが加入している音楽家等の個人加盟による職能別労働組合であるユニオンは、Xの上記シーズンの契約についての団体交渉の申入れをした。

しかし、Y財団がこれに応じなかった。

【裁判所の判断】

合唱団員の不合格措置は不当労働行為にはあたらない

団員の処遇に関する事項について財団には団交応諾義務がある

【判例のポイント】

1 ユニオンは、試聴会においては、審査の公平及び適正が担保されておらず、評価方法及び採点方法も恣意的であると主張する。
ところで、本件合唱団の契約メンバーとしての水準に達する歌唱力を有しているか、オペラ公演への出演に適するか否かを判断することは、専門的・技術的な性質を有する事柄であるばかりでなく、芸術的評価を伴うものであり、しかも、既に相当の技量を備える者の間で行われる評価であるから、第三者に客観的に認識し得る明確な基準を定立することは困難であるというほかない。そして、合否の最終的な判断は、審査員の芸術感や感性によっても影響を受けるのであるから、おのずと審査員の裁量に委ねられることにならざるを得ない。この点は、判断基準ばかりでなく、判断のための技能評価の方法についても同様であり、複数の審査員が関与する場合に、統一的な評価方法を用いるかどうかも、これに当たる専門家の判断によらざるを得ないのであって、評価方法や採点方法が決まっていないことのみをもって、試聴会の審査結果が不合理であるとするのは相当でない

2 Y財団は、本件不合格措置を撤回又は変更する義務はなく、ユニオンが専ら本件不合格措置の撤回や変更を求めて団体交渉を求めるのであれば、Y財団においてこれを拒否することに正当な理由があるが、ユニオンとY財団との間では、従前から、試聴会の在り方を含む契約メンバーの選抜について継続して話し合いが持たれているところ、契約メンバーは労働者であり、毎年試聴会を経て契約を締結してきているという実態がある以上、上記の問題は、労働者の処遇に関する事項に含まれるというべきであって、本件団交申入れは本件不合格措置を契機として行われたものであり、その対象がXの次期シーズンにおける契約とされているけれども、その契約締結の前提として選抜方法が問題となる以上、従前と同様に、協議内容が試聴会の在り方、審査の方法や判定方法等の本件合唱団員の処遇に及ぶことは両者にとって推測できるところであって、その結果が、次期シーズンに向けての出演基本契約の手続として本件合唱団の処遇に影響することになるから、この問題は、Y社にとっても義務的団交事項となるというべきであるので、Y社には団体交渉応諾義務があり、上記団体交渉事項が具体的でないとしてこれを拒否することには正当な理由はない

この事件は、一審は、労組法上の労働者に該当しないと、団交について不当労働行為性を肯定した部分を取り消し、不合格措置の不当労働行為性を否定した部分を正当としました。

二審も、一審判決を維持しました。

ところが、最高裁は、契約メンバーは、Y財団との関係において労働契約法上の労働者に当たると解するのが相当であるとし、これを前提として不当労働行為性の審査を尽くすべきとして、原審に差し戻しました。

本件裁判例は、この差戻審の判決です。

義務的団交事項か否かについての問題を事前に正確に判断するのはとても難しいことです。

微妙な場合には、団交に応じるべきであるというのが私の考えです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介143 松下幸之助翁82の教え(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
写真 2012-11-05 21 09 10←先日、久しぶりに、「魚弥長久」に行ってきました

個人的には、なすびグループの中で、このお店が一番好きです。

いわゆる「使えるお店」です。

今日は、午前中は、新規相談が1件、裁判が2件入っています。

お昼は、弁護士会の支部総会です。

午後は、裁判が1件あり、その後、富士へ行き、労務管理に関する新規相談と顧問先の社長との打合せが入っています

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
松下幸之助翁82の教え―私たち塾生に語った熱き想い (小学館文庫)
松下幸之助翁82の教え―私たち塾生に語った熱き想い (小学館文庫)

これまでにも何度か松下幸之助さんに関する本を紹介してきました。

今回は、松下政経塾の塾生さんの本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間は、窮地に追い込まれると自分でも不思議なくらいパワーが溢れ出す。松下翁は血のしょんべんを出しながら、幾度も窮地を凌いだ。『もうだめだ・・・』と思っている時期は、まだまだ序の口なのだ。さらに自分を窮地に追い込むことが、新たな解決への糸口になるのである。」(40頁)

従業員に対して「血のしょんべんが出るまでがんばれ」とは言いませんが、自分自身については、そのくらいの気持ちで仕事に取り組まなければいけないと思っています。

「もうだめだ」と思ってから、どれだけふんばれるかで勝負が決まるのだとも思っています。

また、「もうだめだ」とすぐに言ってしまう人がいますが、それではいけません。

多くの場合、「もうだめだ」は、「ま、いいか」と同義語です。

人生は、「ま、いいか」とのたたかいなのです。

不当労働行為54(テルウェル西日本事件)

おはようございます。 また一週間がはじまりましたね! 今週もがんばっていきましょう!!

さて、今日は、うつ状態による長期欠勤を理由とする雇止めと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

テルウェル西日本事件(中労委平成24年7月18日・労判1053号92頁)

【事案の概要】

X組合員は、平成19年12月に開催されたY社と組合の団交に出席した頃から、休暇申請、賃金明細書、勤務実態、争議行為参加などをめぐり次第にY社と対立するようになった。

平成20年12月、組合は、X組合員がうつ状態になり年末まで欠勤する旨電話をかけ、その後、1月も欠勤すると電話をかけた。

平成21年2月中旬、Y社は、雇用期間が満了する同年3月31日限りでX組合員を雇止めにすると決定し、本人に通知した。

本件の争点は、本件雇止めが不当労働行為といえるか、である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 Y社がX組合員の雇止めを判断する上で根拠としていたのは、21.1.8診断書と21.1.23欠勤届の記載のみではないと考えられるのであって、X組合員が同年4月以降職場復帰することが可能であれば、X組合員がその旨会社に対し直接意思表示をすればよいだけであるにもかかわらず、同年2月中旬までに、そうした意思表示は行われなかった。つまり、X組合員は、同年3月31日に契約期間が満了することを承知していたのであるから、精神的健康状態が回復し、また就労の意思があるのであれば、雇用契約当事者であるX組合員から意思表示を行うべきであったと考えられる。ところが、組合はX組合員と会社との直接接触を遮るだけであった。X組合員の雇止めについて判断する前提としてX組合員の健康状態の把握に努めていた会社としては、X組合員の就労の意思及び可能性に関するX組合員との上記のような連絡状況をも勘案して雇止めの判断に至ったと考えられるのであり、会社がそのように勘案して、同年4月以降X組合員から安定的に労務を受領できないと考えたとしても無理はない

2 本件雇止めは、X組合員の欠勤の状況及び健康状態が芳しいものでなかったことを理由とするものであることは明らかであり、C組合員の組合活動への報復の意思ないし組合に対する弱体化の意図は認められない。したがって、本件雇止めは労組法7条1号に規定する不利益取扱いおよび同条3号に規定する支配介入には当たらない

 
雇止めの理由が合理的であると判断され、不当労働行為性は否定されました。

労働組合が、組合員と会社との直接接触を妨げるだけで、Xの健康状態、就労可能性について会社に対して伝達しなかったことも、雇止めが有効と判断された理由となっています。

参考になりますね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介142 わたしの人生に奇跡を起こしたマーフィー100の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

さて、今日は、本の紹介です。
わたしの人生に奇跡を起こした マーフィー100の言葉
わたしの人生に奇跡を起こした マーフィー100の言葉

先日、紹介をした歯科医師の井上先生の本です。

これまでにも、何冊かマーフィー本を読んだことがありますが、いまいち興味を持つことができませんでした。

今回、再挑戦してみましたが、やはり興味が湧きません(笑)

「潜在意識」というキーワードが何度も出てくるのですが、わたしの心を掴みません。

いつかわかる日がくるのかもしれませんね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この世の中で、粘り強さに勝るものはない。才能があってもダメだ。才能のある失敗者は大勢いる。天才であってもダメだ。高い学歴があってもダメだ。高学歴の落伍者は大勢いる。しかし、粘り強さがあれば、決意したことはなんでもできる。『粘り強さを発揮しろ』というメッセージこそが、これまで人類の諸問題を解決してきたし、これからも解決し続けるであろう」(156頁)

これは、アメリカ第30代大統領カルヴィン・クーリッジの言葉です。

「この世の中で、粘り強さに勝るものはない」

いい言葉ですね。

もうダメだ、というところが、どれだけ忍耐強く粘れるかで、結論はかなり変わってきます。

このことを実際に経験し、理解している人は、強いですね。

仕事に対して粘り強い人は、頼もしいですよね。

そういう人と一緒に仕事がしたいですね。

同僚に感動を与えるような仕事をしていきたいと思います。

不当労働行為53(高見澤電機製作所外2社事件)

おはようございます。

さて、今日は、親会社・持株会社の労組法上の使用者性に関する裁判例を見てみましょう。

高見澤電機製作所外2社事件(東京地裁平成23年5月12日・ジュリスト1447号119頁)

【事案の概要】

Y1社は、長野県の信州工場でリレー部品等の製造等を営む会社である。

Y1社と組合との間には、会社は、企業の縮小・閉鎖などによる組合員の労働条件の変更については、事前に所属組合と協議し、合意の上実施することを内容とする全面解決競艇を締結していた。

Y1社は、平成13年9月、持株会社であるY2社を設立し、その後、Y1社からY2社にグループ会社全体を統括する管理・営業・技術開発部門の営業譲渡が実施され、Y1社はY2社の製造子会社に特化された。

Y3社は、Y2社が設立されるまでは、Y1社の株式の約53%を所有し、Y1社の取締役の約半数はY3社出身またはY3社との兼務役員であった。Y3社は、Y2社の設立以降、Y2社の議決権株式の約68%を所有し、Y1社の株式は所有していない。

組合は、平成13年11月、Y3社、Y2社、Y1社に対し、Y1社信州工場の存続・発展のための今後の経営計画・事業計画と同工場の労働者雇用確保等のための方策を明らかにすること等を求める団交を申し入れた。これに対し、Y1社は団交に応じたが、Y3社、Y2社は組合員の使用者ではないことを理由に団交に応じなかった。

【裁判所の判断】

請求棄却
→不当労働行為にはあたらない。

【判例のポイント】

1 一般に「使用者」とは労働契約上の雇用主をいうものであるが、雇用主以外の事業主であっても、当該労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、当該事業主は労組法7条の「使用者」に当たる

2 Y3社は、A事件、B事件の時点で、Y1社の株式の過半数を所有し、Y1社の全取締役の約半数がY3社出身またはY3社との兼務役員であったことから、資本関係および出身役員を通じ、親会社としてY1社に対し、その経営について一定の支配力を有していたとみることができる
Y2社の設立後(C事件の時点で)は、Y2社は、資本関係および兼務役員を通じて、親会社としてY1社に対し、その経営について一定の支配力を有し、営業取引上優位な立場を有していたとみることができる。Y3社についても、資本関係および出身役員を通じ、孫会社であるY1社に対し、経営について一定の支配力を有していたと推認することができる

3 Y2社設立以後、Y2社のY1社に対する営業取引上の意思決定ないし行為が、Y1社の労働者の賃金等の労働条件に影響を与えうることは否定できない。しかし、その決定過程にY2社が現実的かつ具体的に関与したことを認める証拠や、労働時間等の基本的な労働条件等についても、Y2社が雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めるだけの証拠はない。Y3社についても、Y1社の労働者の基本的な労働条件等について、現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めるだけの証拠はない
以上によれば、Y3社およびY2社は、Y1社の経営について一定の支配力を有していたといえるが、労働者の基本的な労働条件等について現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったといえる根拠はないから、労組法7条の使用者にはあたらない

4 組合員の労働条件変更につき組合との事前協議・合意の上実施することを定めた本件全面解決協定は、いかなる場合においても常に使用者が一方的に経営上の措置を執ることを許さないとする趣旨ではなく、使用者側の独断専行を避け、できる限り両者相互の理解と納得の上に事を運ばせようとする趣旨を定めたものと解すべきである。そうすると、少なくとも、労働条件の変更を含む当該経営上の措置が使用者にとって必要やむを得ないものであり、かつ、これについて労働組合の了解を得るために使用者として尽くすべき措置を講じたのに、労働条件の了解を得るに至らなかった場合に、使用者が一方的に当該経営措置を実施することを妨げるものではないと解するのが相当である。A事件における転社者・希望退職者の募集および人事異動については、経営上の必要性が認められ、Y1社は組合らの理解や同意を求めて団交を重ねたにもかかわらず、組合らは自己の主張を維持する態度に終始していたという本件事情からすれば、Y1社は、組合らの理解と納得を得るために尽くすべき措置を講じたものと評価することができ、全面解決協定違反(支配介入等)にはあたらない。

まず、上記判例のポイント1はしっかりと理解しておかなければいけません。

労働契約法上の「使用者」概念と労働組合法上の「使用者」概念が異なることを意味します。

次に、上記判例のポイント4の「全面解決協定」に関する解釈についても参考になりますね。

同協定の趣旨から規範を導いています。

このような協定を締結している会社は、是非、参考にしてください。 

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介141 直感力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
写真 2012-10-31 20 25 21←先日、事務所のスタッフを連れて、鷹匠の「サングリア」にスペイン料理を食べに行きました

写真は、スペシャルミックスパエリア。 おいしゅうございました。

パエリアにたどり着く頃には、たいてい、たらふく食べており、既にお腹がいっぱいです。

今日は、午前中は、成年後見の打合せが1件、裁判が1件入っています。

午後は、裁判が2件、新規相談が3件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
直感力 (PHP新書)
直感力 (PHP新書)

羽生さんの新しい本です。

羽生さんの本はだいたい読んでいます。

参考になる点がたくさんあります。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

盤面上では自分が有利に、うまくいっている状態のことを考えても仕方がない。こうすればうまくいく、というその手に辿り着いたところで満足しては、そこでもう思考停止となってしまう。そうではなく、不利な場面をたくさん想定し、実際には回避する。その積み重ねが『あきらめない』精神を築くことにつながっていく。また同時に、それは『ターニングポイント』を知る訓練にもなる。つまり、ここが勝負どころだとか、分岐点だとかいうポイントが、感覚として分かるようになるということだ。」(132頁)

勝敗の分かれるターニングポイントを認識することができるようになれば、その先まだあきらめないで頑張るべきか、いやもうここはあきらめたほうがいいといった判断が明快にできるようになり、無駄な粘りをせず、必要な頑張りができるようになるだろう。」(133頁)

非常に共感できます。

準備の段階で、自分に不利な場面を予め想定し、それを回避する。

このことを繰り返していくうちに、羽生さんが言うところの「あきらめない」精神と「ターニングポイント」を知る力が身につくのだと思います。

単に経験が多いだけでは足りず、どれだけ意識をして取り組んできたかが大切なんでしょう。

「勝負どころ」や「分岐点」を察知できるかどうかで、仕事の成果も大きく変わってきますよね。

何度も挑戦して、失敗を繰り返し、また小さな成功体験を積み重ねることでしか習得できないものがあります。

それこそが、その人の本当の力なんでしょうね。

不当労働行為52(樟蔭学園事件)

おはようございます。

さて、今日は、非常勤講師の担当授業コマ数減少、誠実交渉義務と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

樟蔭学園事件(大阪府労委平成24年7月20日・労判1053号91頁)

【事案の概要】

平成22年9月、X組合員は、上司であるA教授から、23年度に本件科目のカリキュラム編成を変更し、担当コマ数を減らす方針である旨のメールを受信した。

同年12月、組合は、Y社に対し、協定の遵守を求め、X組合員のコマ数問題を議題とする団交を申し入れた。

Y社は、講師各人のコマ数は未だ確定していない旨回答し、23年1月、X組合員の23年度の担当授業コマ数を3コマとする旨をX組合員および組合に通知した。

その後、組合は繰り返し団交を申し入れたが、Y社は、X組合員から異議の申し出がないこと、年度末の繁忙期に当たり日程調整がつかないなどを理由に、23年4月まで団交に応じず、23年度のX組合員のコマ数を2コマ照らして3コマとした。

【労働委員会の判断】

担当授業のコマ数を減少させたことは不当労働行為に当たらない

団交申入れに対するY社の対応は不当労働行為に当たる

組合との協議を行わないまま担当授業コマ数を減少させたことは協定違反にあたり不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件科目を担当していた他の外国人講師のコマ数の増減についてみると、(1)平成22年度はX組合員以外の表中のZ1からZ5の5名が本件科目の金曜日の授業を担当したこと、(2)これらの講師は組合員ではないところ、退職した者以外全員について、同23年度は同22年度に比べて、コマ数が減少したこと、(3)これらのうち、Z1からZ3の2名については、コマ数の減少の幅が、Z組合員の2コマ減よりも小さいが、それぞれが、同23年度春に新たに担当するようになった授業は、月曜日の3限目の時間帯に実施されており、X組合員は、同22年度及び同23年度春に、この時間帯の授業を担当していること、がそれぞれ認められる。
そうすると、Y社が本件科目の金曜日の授業の廃止に伴い、X組合員のコマ数を前年度に比べ、2コマ減少させる一方、非組合員にだけ、特別の便宜を図ったとまでいうことはできない

2 X組合員がY社に対し、コマ数の減少に同意するとの意思を明確に示したと認めるに足る疎明はない。しかも、仮にY社の主張とおり、Y社が平成22年12月にX組合員がコマ数の減少に同意したとの情報を得ていたとすれば、Y社は、かかる情報を得ながら、組合からの12.14団交申入書に対して、文書で、団交申入れには何ら返答せず、講師各人の担当授業コマ数は未だ確定していないと回答し、さらに、2.1団交申入書による再度の団交申入れに対し、団交を保留したものであり、かかる対応自体、組合と団交の場で協議をしようとする姿勢を欠いたものであって、問題があるといわざるを得ない
以上のとおりであるから、Y社のX組合員のコマ数減少についての団交への対応は、早期に団交を開き、組合と協議を尽くそうとする姿勢に欠けたものであると判断され、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である

組合員に対する非組合員との差別的取扱いの有無については、結局のところ、上記命令のポイント1のように、組合員と非組合員に対する取扱いを比較した際、両者で差があるか否かという事実認定の問題になります。

会社としては、このあたりのことを考えずにあからさまに組合員に対して差別的な取扱いをすると、高い確率で不当労働行為と認定されますので、注意してください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介140 「学び」を「お金」に変える技術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は本の紹介です。
「学び」を「お金」に変える技術
「学び」を「お金」に変える技術

著者は、北海道の歯科医の先生です。

これまでにもいっぱい本を出されているようですね。

とにかく勉強家であることはよくわかります。 勉強に対する情熱を感じます。

この本を読んで、井上さんの他の本も読んでみたくなりました。 

早速、アマゾンで手当たり次第、注文してみました。 また紹介します。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

次の7つを守ると、『時間管理』のスキルは高水準にアップグレードできます。
①優先順位を決める。
②新しいことをはじめるときは、現在、行なっているものの一部を捨てる。
③できないこと、苦手なことはムリしてしない。
④したいことだけをする。本当にしたくないことは断る。
⑤取り組むときは、真剣に、集中して行う。
⑥スキ間時間をムダにしない。どんな小さな時間でも活用する。
⑦常に本気で生きる。明日はないという気持ちで取り組む。
」(62~63頁)

書かれていること自体は、特に目新しいものは1つもありませんよね。

これを無意識のレベルまで落とし込み、継続して実践できる人は、時間管理が上手い人なんだと思います。

参考までに私の例を紹介します。

例えば、③できないこと、苦手なもとはムリしてしないことの一例としては、税務、会計については、一切タッチしないということです。

この分野が問題となる場合には、必ず税理士の先生とペアで取り組むことにしています。

中途半端な知識でヤケドをすることを避けるためです。自分にできることを精一杯やるほうがいいと思っています。

また、④したいことだけをする、本当にしたくないことは断るということの例としては、ゴルフでしょうか。

ゴルフは今のところ、お断りしています。 頻繁にお誘いを受けますが(笑)

そもそもあまり興味がないのと、ゴルフ以上にやりたいこと、やるべきことがあるため、自分の中で線引きをしています。

人生は短いです。やりたくないことを無理してまでやることはないと思っています。

解雇84(霞アカウンティング事件)

おはようございます。

さて、時機を失した懲戒解雇の有効性と割増賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

霞アカウンティング事件(東京地裁平成24年3月27日・労判1053号64頁)

【事案の概要】

Y社は、経理事務代行業等を目的とする会社である。

Xは、Y社の従業員である。

平成20年2月頃、職員の1人がY社代表者のところに来て、Xが、特定の女性職員にセクハラをしており、それが原因で、所属課の他の女性従業員らの猛反発を受けていると告げた。

Y社代表者はXから事情聴取したが、Xはセクハラの事実を否定した。

平成20年12月、Xは、21年4月付で課長職を解任する人事を告げられ、一般職員に降格された。

Xは、平成21年6月、上記降格と時間外手当等の不支給の問題について、労基署に相談したところ、同年8月、労基署からY者に指導が入った。しかし、その後も時間外手当等が支払われなかったため、22年4月、労基署に時間外手当等の不支給の事実を申告した。

同年7月、Xは、Y社から懲戒解雇する旨を告げられた。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は無効

【判例のポイント】

1 使用者による懲戒権の行使は、企業秩序維持の観点から労働契約関係に基づく使用者の機能として行われるものであるが、就業規則所定の懲戒事由該当事実が存する場合であっても、具体的状況に照らし、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当性を欠くと認められる場合には権利の濫用に当たるものとして無効になると解される。

2 Y社は、Xが部下の事情を一切考慮せずにスケジュールを入れたり、部下の意見を一切聞き入れないなど、協調性に欠けた言動を繰り返したと主張するが、これらの主張については、日時、相手方等の特定が全くされておらず、内容自体も抽象的であって、懲戒解雇事由の主張としては失当といわざるを得ない

3 ・・・仮にこのセクシャル・ハラスメントの事実が認定できるとしても、処分が遅延する格別の理由もないにもかかわらず約2年も経過した後に懲戒解雇という極めて重い処分を行うことは、明らかに時機を失しているということができる上、課長職からの解任との関連で言えば、二重処分のきらいがあることも否定できないところであって、これを本件懲戒解雇の理由とすることには、問題があるといわざるを得ない。

4 ・・・以上のとおり、Y社主張にかかる本件懲戒解雇事由については、いずれもその事実自体を認めることができないか、もしくはその客観的事実を認めることができても、懲戒解雇に相当する程悪質とはいえないか、懲戒解雇事由として採り上げるのは相当でない事由である。そして、後者の客観的事実自体を認めることのできる各事由を併せて考慮したとしても、未だ懲戒解雇の理由としては十分ではないというべきである。したがって、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会的にも相当とは認められないものであるから、懲戒権の濫用に当たり、無効というべきである。

5 本件懲戒解雇に至る過程で、Y社代表者は、平成22年4月から5月にかけて、2度にわたり、夜間、予告なくXの自宅を訪問したのみならず、同年7月には、予告なくXの実父を訪問するという常軌を逸した行為に出ているもので、これらがXの時間外手当等請求の阻止という目的に出た違法な行為であることは明らかであるから、Y社は、会社法350条、民法709条により、Xに生じた損害について賠償すべき責任を負う。・・・この精神的苦痛に対する慰謝料としては、30万円が相当である

本件では、懲戒解雇の有効性のほか、未払残業代の請求もされており、756万円あまりの支払いが認められています。

賃金と合わせるとえらい金額になりますね。

それはさておき、解雇が争われる際、会社側が主張する解雇理由があまりにも昔のことである場合、今回と同じようなことを言われてしまいます。

この際だからあれもこれも解雇理由にしておこうと考えるのは理解できますが、それぞれの理由がたいしたことがないものである場合には、結局、解雇は無効になってしまいます。

解雇をする際は、よくよく考えてから行うことをおすすめします。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。