不当労働行為75(福岡市事件)

おはようございます。 今週も一週間、お疲れ様でした。

さて、今日は、嘱託員への特別選考と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

福岡市事件(中労委平成25年6月19日・労判1073号94頁)

【事案の概要】

Xらは、福岡市の運営する福岡市男女共同参画推進センター・アミカスに勤務していた。

福岡市と組合は、任用期間1年の嘱託員の更新回数制限に関して、「更新回数満了に伴う新たな任用は、まずは、アミカスにおいて現に勤務する任期満了者を対象に特別選考を実施し、特別選考により必要な人員が確保できない場合は、公募による一般選考を実施する」旨の確認書を取り交わした。

市は、特別選考に応募した嘱託員9名(組合員8名、非組合員1名)につき、小論文及び面接を実施し、組合書記長X1、執行委員X2、組合員X3の3名を不合格者とし、組合執行委員長X4ら6名に合格通知を発送した。

【労働委員会の判断】

X1ら3名を不合格として退職扱いとしたことは不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 ・・・評定に当たっては答案用紙の受験者氏名は伏せて実施され、合否判定にあっては評定員2名の平均値により行われており、評定員の恣意・先入観等が入らないような配慮がなされていたことが認められ、小論文試験の設問内容、評価基準及び評定方法とも不合理、不自然な点は認められない。

2 ・・・面接員は、外部の有識者及び市職員で、男女共同参画推進に関する業務従事者等でアミカスの業務について理解できる者であって、受験者との関係や面接に必要な知見について配慮がなされていたことから、アミカスの業務従事者の特別選考という面接試験の趣旨目的及び実際の上記質問内容に照らすと、不合理、不自然なものであったとはいえない。

3 特別選考について市が定めた小論文及び面接試験の実施方法、判定基準及び選考委員会による合否判定に特段不合理、不自然な点は認められない。また、これらの特別選考の実施に当たり、市が恣意的に介入したと認めるに足る証拠はない。

今回のケースで、組合側が不当労働行為意思を立証するのは難しいでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。