不当労働行為118(学校法人鶴岡学園事件)

おはようございます。

今日は、理事長、学部長、学科長が団交に出席しなかったことの不当労働行為該当性に関する命令を見てみましょう。

学校法人鶴岡学園事件(北海道労委平成27年4月24日・労判1115号89頁)

【事案の概要】

本件は、理事長、学部長、学科長が団交に出席しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 平成25年4月11日、同年5月23日に行われた団体交渉には、法人側からはG事務局長、H事務局次長外3名が交渉担当者として出席しているが、G事務局長、H事務局次長は、いずれも法人の理事であり、それぞれ25年度の大学の人事に関する事務の担当者として、団体交渉事項に関する経過に関わっており、また、事務局長の地位は、法人の就業規則上、大学学長、高等学校長らと並んで「所属長」と位置付けられていることからすると、G事務局長及びその補佐をする立場のH事務局次長は、法人の見解を説明することができ、かつ、団体交渉に関する権限を法人から委ねられていたということができる
したがって、組合が指定したB理事長、E学部長、F学科長を団体交渉に参加させず、G事務局長、H事務局次長らを交渉担当者としたことをもって団体交渉拒否あるいは不誠実な団体交渉とはいえない。

必ずしも会社の社長が団体交渉に出席する必要はないことがわかります。

反面、交渉権限がない平社員だけが参加することは不当労働行為になりますので注意しましょう。

なお、本事案では、組合員を再雇用しなかった理由を議題とする団交における法人の対応について、説明が不十分であるとして不当労働行為にあたると判断されています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。