不当労働行為121(三幸自動車事件)

おはようございます。今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合員の解雇を無効とする都労委救済命令の取消訴訟に関する裁判例を見てみましょう。

三幸自動車事件(東京地裁平成27年1月19日・労判1115号5頁)

【事案の概要】

Y社においてタクシー乗務員として稼働するAは、X組合に加入したことをY社に対して公然化した上で、団体交渉に出席し、ホームページに記事を掲載したり、ビラを配布したりして組合加入の呼びかけなどを行っていたところ、就業時間中に許可なく労働組合活動をしたこと、ホームページへの記事の掲載による会社の機密漏洩、虚偽の内容のビラ配布による名誉毀損及びY社役員に対する暴行を理由に、平成23年9月16日付けでY社を解雇された。

X組合は、本件解雇は、Y社が組合及びその活動を嫌悪し、反組合的言動を繰り返した上でAを不当に解雇することによりY社から組合を排除しようとした不当労働行為であるとして、東京都労働委員会に対し、①本件解雇を撤回し、Aを原職に復職させ、本件解雇の翌日から復職までの間の賃金相当額を支払うこと、②謝罪文を交付及び掲示することを求めて救済申立てをしたところ、平成25年7月2日、都労委は、本件解雇はAが組合員であること及び労働組合の正当な行為をしたことを理由とした不利益取扱いに該当するとともに、Aを排除することによりY社における組合の影響力を排除しようとした支配介入にも該当するとして、本件解雇の撤回、Aの原職への復職、本件解雇の翌日から原職復職までの間の賃金相当額の支払並びに本件解雇が不当労働行為と認定されたこと及び今後このような行為を繰り返さないよう留意することを記載した文書の組合への交付及びY社営業所内での10日間の掲示を命ずる命令を発した。

本件は、Y社が、本件命令を不服としてその取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇は、前記のとおり組合及び組合活動等を嫌悪するY社が、Y社における唯一の組合員であるAに対して行ったものであり、前記のとおり、第2回団体交渉への出席や組合活動としてのホームページへの掲載行為及び組合ビラの作成・配布行為について解雇を相当するに足りる重大な非違性が認められないところ、平成23年4月30日のAの腹部と本部長の腹部との接触も、前記でみたとおりの程度・態様にとどまるものであったにもかかわらず、これをもってAによる暴行行為と認定した上で、上記の団体交渉への出席やホームページへの掲載及び組合活動と併せて解雇理由として本件解雇に及んでいることからすれば、本件解雇は、実質的には、AがY社における唯一の組合員であり、団体交渉等の組合活動を積極的に行っていたことを理由に行われたものと推認するのが相当である。

2 そうすると、本件解雇は、Aが労働組合の組合員であり、労働組合の正当な行為をしたことを理由にY社がAに対してした不利益な取扱いであると認めることができるから、労働組合法7条1号の不利益取扱いに該当するとともに、本件解雇によりY社の唯一の組合員であるAが解雇された結果、Y社が組合の関与を受けなくなる点で、同条3号の支配介入にも該当すると認めることができる。

解雇事由としては不十分という判断です。

特に会社としては組合敵視をしているわけでなくても、解雇に合理的理由が認められない場合には、その裏返しとして、不当労働行為と判断されてしまいます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。