不当労働行為122(R社(雇止め)事件)

おはようございます。

今日は、有期雇用の組合員2名に対する雇止めと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

R社(雇止め)事件(大阪府労委平成27年4月17日・労判1115号91頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、Xらを契約期間満了をもって雇止めしたことが不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

なお、会社は、雇用契約更新の可否を、①契約期間満了時の業務量、②従事している業務の進捗状況、③有期契約従業員の能力、業務成績、勤務態度、④会社の経営状況を総合的に考慮して判断したものであると説明した文書を送付した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない。

【命令のポイント】

1 ・・・これらのことからすると、両組合員が期間満了後の雇用を期待することについては、一定の合理性が認められ、有期雇用契約であるから期間満了に伴い当然に契約を終了するということはできず、従来の取扱いを変更して雇用契約を終了させてもやむを得ないと認められる特段の事情が必要である。

2 ・・・就業規則に会社の命令等に違反しないこと、また、業務上の指示及び計画を無視しないこととの規定があるにもかかわらず、X3組合員は、配車担当者から気に入らない車両や出勤時間を指示されるとこれを変更させ、希望どおりに休日が変更されないと変な時間の有休を取得する旨述べて有休を取得するとともに忙しいんで電話してくるなよ等と上司に対し粗暴な発言を行い、休み明けの早朝の出勤を指示されると半日有休を使うと言って話し合いの余地なく一方的に電話を切り、これについて同日分会長からの電話で出勤時間を午前5時に変更させ、休日明けは早朝出勤できないなどと言っているのであるから、同組合員は、会社の業務上の指示に従わず、会社の計画を無視しているといえ、配車が混乱するとの会社の主張は首肯できる

3 以上のことからすると、①X3組合員の勤務態度が著しく不良であり、改善の期待ができないと判断したことについて理由があるといえ、加えて、②彦根支店では、減車方針に沿ってパート・ドライバーを減員する必要があり、現に減員していったといえるのであるから、X3組合員について、雇用契約を終了させてもやむを得ないと認められる特段の事情が存するといえる。

4 以上を総合すると、本件雇止めは、両組合員の勤務態度と減車に伴うパート・ドライバー減員の必要性等を総合的に考慮してなされたといえるのであるから、従来の取扱いを変更して雇用契約を終了させてもやむを得ないと認められる特段の事情が存している上、手続面で不合理な点は認められず、また、組合員であるが故になされたと認めることはできないのであるから、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であるとはいえず、この点に係る組合の申立ては棄却する。

解雇や雇止めの合理的理由を認定してもらうためには、上記命令のポイント2のような事情をいかに立証するかにかかっています。

日頃から業務記録をとる習慣をつけることから始めることをおすすめします。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。