Daily Archives: 2018年7月26日

解雇274 休職期間満了時の復職の可否の判断方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、休職期間満了後の退職扱いに関する裁判例を見てみましょう。

名港陸運事件(名古屋地裁平成30年1月31日・労判ジャーナル74号62頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、業務外の傷病を理由にY社から休職命令を受けていたところ、休職期間の満了に当たり、傷病から治癒し休職事由が消滅したことを理由に復職の申出をしたにもかかわらず、Y社がXの復職を認めずXを休職期間満了により退職扱いとしたことは違法無効であると主張して、XがY社に対し労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、休職期間満了日の翌日からの未払賃金の支払等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職扱いは無効→地位確認認容

【判例のポイント】

1 Xが復職を希望した平成27年9月から10月当時のXの健康状態については、徐々に快方に向かっていて、遅くとも同年9月末頃の時点では、服薬をせずとも症状は落ち着いており、日常生活には支障のない健康状態にあったということができること等から、Xの健康状態については、本件診断書のみならず、休職事由となった私傷病の内容や症状・治療の経過、Xの業務内容やその負担の程度、Xの担当医やY社の産業医の意見等を総合的に斟酌し客観的に判断すれば、遅くとも休職期間の満了日である同年10月20日の時点では、日常生活に支障がないというにとどまらず職務遂行の可能性という観点からも、1日8時間の所定労働時間内に限ってではあるが、私傷病から「治癒」すなわち「従来の業務を健康時と同様に通常業務遂行できる程度に回復」しており、本件休職命令における休職事由は消滅していたものと認めるのが相当である。

2 確かに、本件においては、R病院の診療録中の医師の記載内容や産業医の意見等からすれば、Xが、胃の全摘出手術後、医師の専門的見地から客観的に見れば、必要以上に長期間にわたってR病院に入院及び再入院してきたとうかがわれなくもないが、本件休職命令における休職事由は「胃癌術後状態の療養及び治療への専念」であって、入院治療に限られるわけではなく自宅療養も含むものといえ、そして、Xがあえて事実と異なる症状を申告するなどして意図的に入院治療や自宅療養を引き延ばして欠勤してきたとまでは認め難く、Xが休職期間の満了直前になって復職を申し出たことが信義則に反し許されないものと解すべき事情があるということはできないから、Xの復職の申出が本件就業規則所定の要件を満たしていることを理由とするXの地位確認の請求は理由がある。

3 Y社は、Xからの復職の申出を踏まえて、平成27年9月14日に取締役や社労士らがXと面談した際には、少なくともXの段階的な復職を認める方向の発言をしていたものであるが、その後、産業医や医師から、Xの復職申出の時期に疑問を呈する内容の意見を聴取するや、改めてXと面談したり、就業規則に従ってY社の指定する医師への受診をXに命じることもなく、また、Xの復職時期等についての名古屋ふれあいユニオンからの説明要求にも応じないうちに、Xにとってみればおそらく唐突に、同年10月20日をもってXを退職扱いとしたものであるということができ、Y社の対応は、Xの復職に関する判断を誤ったというにとどまらず、手続的な相当性にも著しく欠けるものであって、その限度において、不法行為に当たるものといわざるを得ず、その慰謝料額としては、Y社がXの復職を拒否したことを無効と認めてXが労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、未就労の期間の賃金の支払を命ずることによって、Xの経済的損失はおおむねてん補されるといえること等の事情も考慮すれば、30万円が相当である。

上記判例のポイント3は参考にしてください。

このような事例で、手続的な相当性を著しく欠いているという理由から慰謝料が認められる例は珍しいです。

対応方法については顧問弁護士に相談をして決定しましょう。