管理監督者41 バーの店長の管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、バーの店長の管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

日比谷Bar事件(東京地裁平成30年9月28日・労判ジャーナル84号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、時間外労働に従事していたと主張して、雇用契約に基づく賃金支払請求として約437万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金請求として約421万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Xは管理監督者に該当しない

【判例のポイント】

1 Xには本件店舗の従業員のシフト作成、アルバイトの本件店舗への配属にかかる面接、本件店舗の予算案の作成、PLの作成といった本件店舗の労務管理に直接ないし間接に関わる職責を果たしている点があるものの、アルバイトの採否自体の判断はXが基本的に関与することはなくY社において行われているなど、アルバイト等の採用、解雇等に関する実質的な権限がXに存するとまでは評価できず、また、本件店舗におけるXの具体的な労務内容が必ずしも明らかではなく、他の従業員とは異なりもっぱら労務管理に関する業務に従事していたとは認められず、さらに、Xの賃金が他の従業員と比較して管理監督者としての職責に見合う程度有意に高額であったことを認めるに足りる証拠もなく、かえって、店長を含めた出勤表が存在することからすれば、店長も他の従業員と同様の業務に従事していたことが推認される上、Xの賃金額は基本給が21万円、店舗管理給等の諸手当を含めても24万5000円ないし25万円とさほど高額であるとは認められず、以上の点を総合考慮すると、Xが労働基準法41条2号の管理監督者に該当するものとは評価できない。

従業員の採用、解雇等に関する実質的な権限の有無が重要な考慮要素となると、世の中の多くの管理職は管理監督者ではないことになります。

だからこそ、多くの裁判で管理監督者性は否定されているわけです。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。