Monthly Archives: 3月 2021

労働時間68 勉強会への出席は労働?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、勉強会への出席につき、労働基準法上の労働時間に該当するとされた裁判例を見てみましょう。

前原鎔断事件(大阪地裁令和2年3月3日・労経速2432号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない雇用契約を締結して稼働していたXが、①Y社から普通解雇されたが、同解雇は無効であると主張して、地位確認及び未払賃金(月給及び賞与)+遅延損害金の支払を、②Y社の従業員らからパワハラ行為を受けたと主張して、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償+遅延損害金の支払を、③時間外労働を行ったが、割増賃金が支払われていないと主張して、未払割増賃金+遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

地位確認は棄却

損害賠償請求は棄却

割増賃金2万0523円+遅延損害金を認容

【判例のポイント】

1 Xは、「勉強会」への出席も余儀なくされた旨主張し、Y社は、Xが「勉強会」に任意に参加していたことは明らかであり、労働時間には当たらない旨主張する。
確かに、「勉強会」は、本件組合の提案を受けて開催されるようになったものではあるものの、Xに対する指導内容等を振り返ることを内容とするものであるから、Xが参加せずに開催されることはそもそも予定されていない。また、Xは、D取締役が入社した平成20年の時点において、既に、Y社の従業員らから、なかなか仕事の技術が身に付かないと認識されていたものであり、Xが「勉強会」に参加せず、その後も技術が身に付かないままであれば、Xの賃金や賞与の査定如何、ひいては従業員としての地位如何にかかわるのは明らかである。加えて、Y社の就業規則には、「会社は、従業員に対し、業務上必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、必要な教育訓練を行う。」、従業員は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合は、特段の事由がない限り指示された教育訓練を受講しなければならない。」と規定されていることをも併せ鑑みれば、Xが「勉強会」に参加する時間は、Y社の指揮命令下に置かれている時間、すなわち労働基準法上の労働時間に該当すると解するのが相当である。なお、「勉強会」の日時についてXの予定を考慮して決められたり、Xの都合により日程を変更したりしたこともあることによって、上記判断は左右されない。

2 勉強会の所要時間について、B主任は30分程度と証言し、Xは45分程度と供述する。証拠によれば、平成29年11月1日実施の「勉強会」は15分間であったと認められることを踏まえると、B主任が証言する30分の限度で認めるのが相当である。

勉強会や研修の労働時間性については昔から争点となってきましたが、多くの場合、参加・出席が任意であると評価できるかが鍵となります。

労働時間に関する問題は、事前に顧問弁護士に相談をして対応することを強くおすすめします。

本の紹介1134 ハック大学式 最強の仕事術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

自分の価値を高めるための思考方法、仕事のやり方が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

決まった手順、決まった方法で進めることに慣れてしまった作業者マインドの人には、このような『いばらの道の進み方がわからない』からです。プロセスが確立されていないタスクに立ち向かう場合、作業者マインドを捨てて、『自分で』考える必要があります。」(33頁)

そのとおりなのですが、一旦、「作業」に慣れてしまうと、自分で考えることができない体になってしまうのです。

習慣とは恐ろしいものです。

頭ではわかっていても、体が言うことをきかないのです。

例えば、読書や運動も、日頃からやったほうがいいことはわかっていてもできないし続かないのが世の常です。

すべては習慣です。

いかなる習慣を身に付けるか。ただそれだけの違いです。

同一労働同一賃金18 大学の嘱託講師と同一労働同一賃金(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、大学夜間担当手当の不支給が労契法20条・パート労働法8条に違反しないとの原審判断が維持された裁判例を見てみましょう。

学校法人A事件(大阪高裁令和2年1月31日・労経速2431号35頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の経営するA大学の嘱託講師であったXが、Y社に対し、夜間の授業を担当したにもかかわらず、A大学の専任教員が夜間の授業を担当した場合に支給される「大学夜間担当手当」(本件手当)が平成27年度に支給されなかったのは、改正前の労契法20条又は同改正前のパートタイム労働法8条に違反するなどと主張して、以下の各請求をした事案である。

原判決は、Xの請求をいずれも棄却した。そこで、Xが原判決を不服として本件控訴を提起した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 本件手当は、平成27年度当時、6講時(午後6時25分~7時55分)、7講時(午後8時10分~9時40分)の授業を担当した専任教員に対して、1週1講時につき月額8000円を支給し、1週1講時を越えて担当する場合は1週1講時につき月額2000円を加算し、最終講時を担当した場合は1週1講時につき月額3000円を加算するというものであったが、嘱託教員よりも広範で重い職務を担当するため日中及び夜間の時間を多く拘束される専任教員が、更に6講時以降の夜間の授業を担当する場合には時間的拘束や負担が大きくなると考えられることからすれば、本件手当は専任教員が日中に広範で責任の重い職務を担当しながら、更に6講時以降の授業を担当することの時間的拘束や負担を考慮した趣旨及び性質の手当であると認められる。

2 労契法20条にいう「不合理と認められるもの」とは、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の相違が不合理であると評価できるものであることをいうと解するのが相当である(ハマキョウレックス事件最高裁判決参照)。そして、上記の判示のほか、パートタイム労働法8条と労働契法20条の規定の内容と文言が類似していることからすれば、パートタイム労働法8条にいう「不合理と認められるもの」も上記と同様に解するのが相当であり、専任教員に対しては本件手当が支給され、嘱託講師には本件手当が支給されないという本件における労働条件又は待遇の相違については、専任教員と嘱託講師の職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理であると評価することができるかを検討することになる。

3 そうであるところ、Y社における専任教員と嘱託講師との間の職務の内容の相違並びに本件手当の趣旨、性質のほか、前提事実のとおり、本件手当は専任教員が6講時及び7講時という夜間の授業を1週1講時担当すれば月額8000円が支給され、担当する授業数、時間に応じてこれに加算されるものであって、本件手当として支給される月額も著しく多額になるものではないこと及び嘱託講師が夜間の授業を担当することによって、当該嘱託講師の担当総授業数が増えた場合には週1回90分の講義につき月額2万8800円が本俸に加算され、嘱託講師の担当授業数の増加に伴う時間的拘束や負担に対しては本俸への加算という形で相当の配慮がされているといえることをも併せ考慮すると、上記労働条件又は待遇の相違が不合理と認められるものであると評価することはできないというべきである。

オーソドックスな認定のしかたであり、参考になります。

同一労働同一賃金問題については、すでに会社としていかなる準備をすべきかが判明しているので、あとは顧問弁護士に相談しながら適切な手順で進めていけばそれほど大きな失敗はないと思います。

本の紹介1133 33歳からの運のつくり方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

ツイている人になるためにどのようなことを心がければいいのかが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

じつは、仕事運を上げるためには、『どんな仕事をするか』より『どんな気持ちで仕事をするか』のほうが何倍もの影響を及ぼします。・・・お茶一杯でも、『あぁ、面倒だ』と思いながら適当に淹れたお茶と、『このお茶を飲んだ人が幸せな気持ちになりますように』と心を込めて丁寧に淹れたお茶では、まったく味が違いますね。どんな仕事をしていても、そこに『気』を乗せることが重要なのです。」(142頁)

同じことをしていても、その意義を理解しているかどうかで成長は大きく異なります。

これはすなわち、当該行為が単なる「作業」になるのか有意義な「貢献」になるのかの分水嶺となります。

異なるのは、当該行為に対する自らの解釈です。

世の中のあらゆることは解釈でできています。

メンタルヘルス6 私傷病による休職期間満了での退職扱い(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務外の傷病(統合失調症)による休職期間満了での退職扱いが有効とされた裁判例を見てみましょう。

日本漁船保険組合事件(東京地裁令和2年8月27日・労経速2434号20頁)

【事案の概要】

本件は、業務外の傷病により休職していた労働者であるXが、使用者であるY社に対し、①主位的に、平成30年7月24日当時、Xは就労可能な状態にあったにもかかわらず、Y社が同日にXの復職申出を認めず、復職を不許可とし、これを前提として令和元年9月19日付けで休職期間満了を理由にXを退職扱いとしたことは違法無効であると主張し、②予備的に、Xが同年7月に復職を再度申し出た時点で就労可能な状態にあったにもかかわらず、Y社がXの提出した診断書を不受理とし、同年9月19日付けで休職期間満了を理由に退職扱いとしたことは違法無効であると主張して、XがY社に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記①の復職を不許可とした後の賃金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ・・・このような就業規則の定めによると,Y社において、休職命令は、休職期間満了までの間、解雇を猶予するものであるということができる。そうすると、「休職事由が消滅したとき」とは、職員が雇用契約で定められた債務の本旨に従った履行の提供ができる状態に復することであり、原則として、従前の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合、又は、当初軽易作業に就かせればほどなく従前の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合をいうと解するのが相当である。そして、休職事由の消滅については、解雇を猶予されていた職員において主張立証しなければならないと解するのが相当である。

2 本件において「休職事由が消滅したとき」とは、Xが平成25年7月から平成27年末までと同様の勤務を行うことができる状態に復すること、すなわち、Xが、本件事務作業を通常の程度に行える健康状態になった場合、又は、当初軽易作業に就かせればほどなく本件事務作業を通常の程度に行える健康状態になった場合であると解するのが相当である。

3 本件診断書1及び指定医意見書は、いずれも、これらをもって、Xについて休職事由が消滅したことを認定するには足りない。そして、平成30年6月6日の面談時におけるXの様子、本件復職不許可の前後におけるXによるツイッターへの投稿内容、指定医の診察やA会長との面談に遅刻した際の状況等を併せ考慮すると、本件復職不許可の時点において、Xが本件事務作業を通常の程度に行える健康状態、又は、当初軽易作業に就かせればほどなく本件事務作業を通常の程度に行える健康状態に回復していたことを認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

4 本件就業規則12条3項には、職員が復職を求める際に提出する主治医の治癒証明(診断書)について、Y社が主治医に対する面談の上での事情聴取を求めた場合には、職員は、医師宛ての医療情報開示同意書を提出するほか、その実現に協力しなければならず、職員が正当な理由なくこれを拒絶した場合には、当該診断書を受理しない旨の定めがあるところ、これは、平成30年6月5日付けの就業規則の改正により新設されたものである。
医師の診断書は、Y社においてこれを閲読しただけでその意味内容や診断理由を十分に理解することができるとは限らないことから、Y社が、診断内容を正確に理解して傷病休職中の職員の復職の可否を判断するために、主治医と面談し、主治医から直接に事情聴取をすることは必要であり、これについて職員に協力を求めることは合理的である。そして、職員が正当な理由なく協力を拒絶した場合には、Y社において診断書の内容を正確に理解することが困難となる以上、当該診断書を不受理とすることはやむを得ないというべきである。他方、職員としては、Y社が主治医と面談し、主治医から直接事情聴取を行うことによって、自己の傷病の回復状況を正確に理解してもらうことができ、また、医師宛ての医療情報開示同意書を提出するなど、Y社と主治医との面談の実現に協力することは容易なことであるから、上記定めの新設によって何ら不利益を被るものではない。以上によれば、上記定めの新設は、合理的なものであり、就業規則の改正前から休職していた原告にも適用される

上記判例のポイント4は押さえておきましょう。

また、上記判例のポイント3で示されているように、いかなる事情から復職の可否を判断するのが相当かを把握しておくことはとても重要です。

いずれにせよ判断が難しいところですので、顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介1132 GACKT超思考術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、GACKTさんの本です。

帯には「思考が行動を支配し、全ての結果を生み出す。」と書かれています。

ガクトさんらしい、自分を律する思考はとても参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功しないヤツほど、休日にひたすら寝ている。仕事がある日でも、『あと10分』と惰眠を貪る。・・・しかし結果を出し続け、成功する人間は、仕事があろうとなかろうと、早起きをしているものだ。なぜなら、朝を制することで、1日を制することができるからだ。毎日は短距離走だ。スタートで出遅れたヤツは、前を走る相手が転ぶのを待つことでしか、1位を狙えない。他人の事故を待つことでしか、勝負ができない人生。クソだ。」(27頁)

真理です。

人生を変えたい人は、出勤前に毎日2時間勉強してみてください。

人生が変わらないはずがありません。

寒いだ、眠いだと寝言を言っている場合ではないのです。

継続することでしか何かを成し遂げることはできないのです。

敵はいつでも弱い弱い自分なのです。

労働時間67 変形労働時間制の有効要件は?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、変形労働時間制要件不充足と時間外割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

イースタンエアポートモータース事件(東京地裁令和2年6月25日・労判ジャーナル105号48頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されているXらが、Y社に対し、時間外労働(深夜労働も含む。)の対価としての割増賃金及び付加金の支払を求めた事案であり、(1)X1は、平成27年10月から平成31年1月までの割増賃金として総合計917万7998円+遅延損害金の支払、(2)X2は平成28年12月から平成31年1月までの割増賃金として総合計312万1647円+遅延損害金の支払、(3)X3は、平成29年4月から平成31年1月までの割増賃金として総合計223万8678円+遅延損害金の支払、(4)原告らそれぞれにつき、付加金として前記(1)(2)(3)の各賃金と同額の金員(ただし,原告X1については本件訴訟提起日から遡って2年前である平成28年4月12日以降に支払日が到来するもの)+遅延損害金の各支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、
X1に対し、917万7998円+遅延損害金、付加金223万8678円+遅延損害金
X2に対し、312万1647円+遅延損害金、付加金312万1647円+遅延損害金
X3に対し、223万8678円+遅延損害金、付加金223万8678円+遅延損害金
を支払え。

【判例のポイント】

1 変形労働時間制の定めは「就業規則その他これに準ずるもの」により定められることが必要とされるが(労基法32条の2)、Y社の○○事業所のように10人以上の労働者を常用する事業所については、就業規則によるべきである。そして、就業規則に変形労働時間制について定めることにより、使用者が労働者に対し1週間に40時間又は1日8時間を超えて労働させることができるようにするには、就業規則において、労働時間が1週間当たり40時間を超える週又は1日8時間を超える日を特定することが必要とされ(労基法32条の2)、月ごとに勤務割表を作成する必要がある場合には、労働者に対し、労働契約に基づく労働日、労働時間数及び時間帯を予測可能なものとするべく、就業規則において、少なくとも、各直勤務の始業終業時刻及び休憩時間、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続及び周知の方法を記載する必要があると解される。
本件規則は、「配車職員の労働時間は毎月16日を起算日とする1箇月単位の変形労働時間制による。」旨記載するのみで、変形労働時間制をとる場合の各直勤務の始業終業時刻及び休憩時間、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続及び周知の方法の記載を全く欠くものであったから労基法32条の2第1項の要件を満たすものとはいえない。また、本件規則は、○○事業所の従業員に対し周知させる措置がとられておらず、この点でも労基法32条の2第1項の要件を満たさない。

2 継続勤務は暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱うべきであるから、2暦日にわたる一勤務については、始業時刻の属する日の労働として当該日の1日の労働であると解される。そうすると、本件各契約における本件シフト表の定める勤務時間帯のうち、日勤その1及び夜勤その1は所定労働時間を1日11時間、その他1は所定労働時間を1日17.5時間とするものであったところ、前記のとおり所定労働時間の合意のうち1日につき8時間を超える部分の合意は、労基法32条2項に違反するため、労基法13条により1日8時間に短縮され、1日8時間を超えて労働したときは時間外労働となる。
そして、Y社がこれまでにXらに支払った賃金は、前記のとおり直律効により短縮された所定労働時間である1日8時間に対する対価としての賃金となり、無効になった所定労働時間3時間ないし9.5時間の労働については全く賃金が支払われていないことになるから、1日8時間を超える労働である3時間ないし9.5時間に対する割増賃金としては、労基法37条1項の「通常の労働時間の賃金」の1.25倍の賃金を支払う必要がある

3 X1に対し、1箇月の所定労働時間が170時間程度となっていることを認識させる事実であったといえるが、同時間数がX1の労働契約上の1箇月の所定労働時間の上限であるとか、これを超えないことが労働契約上の取り決めとなっているといった認識を持たせる事実であるとは認め難いから、これらの事実をもって、1箇月の所定労働時間を平均して1週間当たり40時間とする旨の黙示の合意が成立していたと認めることはできない。
また、仮にY社主張の内容の黙示の合意が成立したとしても、労基法32条の2第1項の要件を満たさないため、1日8時間を超えて所定労働時間を定めた部分は同法32条2項に反し無効となり(同法13条、その結果は、前記で判断したのと同様の結論となると解される。

日頃の労務管理がいかに大切がよくわかる事案です。

日常的に顧問弁護士から助言をもらえる体制を整えておけば、このような結果は回避できたものと思われます。

本の紹介1131 経験に学ぶな(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

著者は弁護士の方です。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ということをさまざまな例示を踏まえて説いています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

上手くいっていた時に『これで大丈夫だ』と安心してしまいました。しかし時代はどんどん変わり、お客さんのニーズも変わっていく。それなのに、うちの会社は自分たちのやり方にこだわって変わろうとしなかった。『これで大丈夫だ』と思った時に成長は止まります。他の会社が伸びている分、自分たちは止まっているという程度の意識でも、実際には下りのエスカレーターに乗っているように、どんどん下降していたんです」(104頁)

これは、著者がある小売業の会社の破産事件を担当していた時に、当該会社の社長から破産の原因として聞いた話だそうです。

あらゆることが、「これでいい」と思った瞬間、衰退がはじまります。

いつまでも過去の成功体験にしがみつくのではなく、常に改良を求める。

仕事も運動も勉強もすべて同じことです。

解雇342 解雇予告手当の除外認定に関する裁判所の考え方(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、窃盗を理由とする解雇と解雇予告手当に関する裁判例を見てみましょう。

石田商会事件(大阪地裁令和2年7月16日・労判ジャーナル105号36頁)

【事案の概要】

本件は、日用雑貨、食料品、書籍雑誌、服飾雑貨、タバコ、酒類の販売等を目的とするY社の従業員であったXがY社に対し、労働契約に基づき、未払時間外、休日及び深夜割増賃金計346万3286円及び平成29年12月支給分の未払賃金5万円+遅延損害金、平成29年9月分から同年12月分の交通費等計8万9584円+遅延損害金、労基法20条1項に基づき、解雇予告手当の一部である21万9519円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、267万4781円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、5万0032円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、4万5601円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、休憩時間が60分であったと主張し、これに沿う供述(陳述書の記載を含む。)をする。しかしながら、Xが応募した求人票及びXがY社と取り交わした雇用契約書には休憩時間150分と記載されている。また、甲号証として提出されたY社の従業員であったKの陳述書では、Xの昼の休憩時間が45分から60分程度であったと記載され、X自身採用面接の際には昼休憩が60分と説明を受けた旨述べている。さらに、昼の休憩に加えて、Xがタバコ休憩をとっており、それがXの認める範囲でも2,3回、1回当たり5分から10分程度あった。加えて、Xが勤務時間に322点も窃盗を繰り返し、窃取のために閉店準備時間まで待ったり、あるいは、窃取した商品をメルカリに出品するため、多数回にわたり、勤務時間に商品の写真を撮ったり、メルカリの顧客とやりとりを行っていた。そうすると、Xの上記供述部分を採用することができず、これらの事情に照らせば、Xの休憩時間は90分、特にa店で窃取を行っていた平成29年7月以降同年12月までについては、原告の休憩時間を120分と認めるのが相当である。
他方、上記のとおり、Xは統括バイヤーとして仕入れ業務等を行っていたこと、Xが応募した求人票では、休憩時間150分と記載される一方、月平均20時間の時間外労働がある旨の記載があり、現実に150分もの休憩を取れるのかは疑問があること(Y社も求人票の記載は統括バイヤーであるXには当てはまらない旨述べる。)等からすると、上記事情やXがバックヤードでさぼっていたとのY社の指摘を考慮しても、Xが150分も休憩をとっていたとまでは認められない

2 Y社は、平成29年12月支給分の賃金減額は、統括バイヤーの解任に伴うものであるから有効である旨主張する。しかしながら、職務手当については、平成27年4月頃にも5万円の減額がされており、また、一方でY社は、職務手当の全額が超過勤務手当であるかのような主張もするなど、職務手当に役職手当に相当するものが含まれているのか、それがどの程度であるのかが判然とせず、Xが統括バイヤーから解任されたからといって、直ちに平成29年12月頃の職務手当の減額が有効であるとは認められない

3 Xは、Y社の商品を322点も窃取したことを理由として解雇されたものであるから、Xの解雇は、労働者の責めに帰すべき事由に基づくものと認めるのが相当である。
よって、Xの解雇予告手当支払請求には理由がない。

「え?除外認定受けなくてもいいの?」と思われる方もいるかと思います。

一般的には以下の規定のとおり、除外認定を受ける必要があります。

【労基法20条】
1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

【同法19条2項】
前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない
*「行政官庁の認定」=所轄労基署長の解雇予告除外認定
*ちなみに、20条違反は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(同法119条1号)。

しかしながら、裁判所は、本件裁判例同様、除外認定がなくても、「労働者の責めに帰すべき事由」がある場合には解雇予告手当の支払を不要と解しています。

ただし、非常に危ないので鵜呑みにしないように!!(結果、セーフだっただけですから)

事前に顧問弁護士に相談をしつつ、慎重に対応していきましょう。

本の紹介1130 クリエイティブ思考の邪魔リスト(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

タイトルのとおり、クリエイティブ思考を邪魔するものを15個紹介してくれています。

これらをできるだけ取り除くことによって、よりクリエイティブな仕事ができるようになるということです。

いずれの内容も、奇を衒っておらず、頷けるものです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

めまぐるしく変化しつづける世の中で、『変わらなきゃ』と思いながらも変われないでいる人は、付き合う人を変えるのがいいと僕は思っています。経営コンサルタントの大前研一さんは、人生が変わる方法は三つしかないと断言しています。1番目は時間配分、2番目は住む場所、3番目は付き合う人。それぞれを変えることで人生が変わる、と。」(123頁)

こんなことは、分かっている人からすると、「何をいまさら」という感じだと思います。

ずっと前からやっているよ、という当たり前のことです。

ある人は当たり前にやり、ある人はどこまでいってもやらない。

世の中とはそういうものです。

いつの世も、成功する人は成功する理由があり、その逆もまたしかり。

やるべきことをやっているかどうか。否、やり続けているかどうか。

ただそれだけの差です。