Monthly Archives: 7月 2021

本の紹介1180 富を「引き寄せる」科学的法則#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

7年程前に紹介をした本ですが、再度、読み直してみました。

同じ本を期間を空けて読むと新しい発見があって、楽しいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

競争原理の働く世界における富はこれで十分だということがなく、しかも永遠ではありません。今日はあなたのものであっても、明日は他人のものになるかもしれません。科学的で確実な方法で豊かになろうとするならば、競争心を完全に放棄する必要があります。与えられるものに限りがあるとは、一瞬たりとも考えないことです。」(50頁)

「与えられるものに限りがあるとは、一瞬たりとも考えないことです」

この言葉の意味がわかると、仕事のしかたが大きく変わります。

限られたパイをライバルと奪い合うという発想からはかけ離れた仕事のしかたをしなければいけません。

典型例が価格競争です。

何か月も予約が取れないお店が安売りをしているところを見たことがあるでしょうか。

他とは全く異なる異次元のサービスを提供しているからこそ繁盛しているのです。

決して競争をしていません。

不当労働行為270 団交拒否と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃上げおよび夏季一時金を議題とする2回の団交における対応、ならびにその後の団交申入れに応じない会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

古久根鉄工事件(愛知県労委令和2年2月10日・労判1238号105頁)

【事案の概要】

本件は、賃上げおよび夏季一時金を議題とする2回の団交における対応、ならびにその後の団交申入れに応じない会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 団体交渉において、労使双方が当該議題についてそれぞれ自己の主張、提案及び説明を出し尽くし、これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない段階に至った場合には、使用者は交渉を打ち切ることも許されるところ、第1回団交及び第2回団交における会社の対応は、定期昇給を含む平成30年の賃上げ及び夏季一時金に係る議題について合意達成の可能性を模索したものとはいえず、誠実に団体交渉に当たったものとはいえないことからすれば、第2回団交の後の組合からの3回の団体交渉の申入れを断った会社の対応は、正当な理由なく団体交渉を拒否したというほかない。

2 会社は、双方において交渉を尽くした結果、相互にこれ以上の譲歩はないということが確認され、団体交渉の終結が確認されたものである旨主張するが、第2回団交の終盤における組合側の発言については、当該団体交渉の後に定期昇給を含む平成30年の賃上げ及び夏季一時金に係る要求について組合が3回にわたり会社に団体交渉を申し入れていることからすれば、団体行動権の行使との引換えに会社から何らかの譲歩を引き出すことを意図した交渉の駆け引きの中での発言であって、真に団体交渉の終結を認める趣旨の発言ではなかったと評価するのが相当であり、当該会社の主張は採用できない。

団交打切りの当否の判断はとても難しいです。

交渉が平行線を辿っているか否かの判断は完全に評価だからです。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。

本の紹介1179 今すぐできることから始めよう(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

15年程前の本ですが、読み返してみました。

帯には「スキルがなくても成功できる!チャンスは目の前の仕事から」と書かれています。

このような心構えこそが成功の要件だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

能力が足りなくても、できることはある。それは、心を使うこと。今でも私は、難しい仕事にチャレンジするときには、心を込めることを忘れないようにしている。几帳面なくらい、感謝の気持ちを伝えることを大切にしているのだ。見た目がかっこいいだけの男の人より、マメな男の人のほうがモテるのと同じではないだろうか。」(51頁)

気持ちが大切なのです。

それよりももっと大切なことは、「気持ちを形にする」ということです。

「ありがとう」とか「好きです」という気持ちは形にしないと伝わりません。

それは物という形に限らず、行動という形でも。

仕事でもプライベートでも、目の前の人を大切に思うのであれば形にして伝えましょう。

継続雇用制度33 再雇用前より好待遇の記載がある就業規則の適用は不合理?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、再雇用職員に対して、再雇用以前より好待遇の記載がある就業規則適用が認められた事案を見てみましょう。

社会福祉法人青梅市社会福祉協議会事件(東京地裁立川支部令和2年8月13日・労経速2445号31頁)

【事案の概要】

本件は、Xらが、Y社に対し、雇用契約及び有給休暇の買取の合意に基づき、Y社就業規則及びY社再雇用職員取扱要綱に基づき算定される給料等の金額と実際の支給額との差額及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
Xらは、給料、地域手当、期末手当、勤勉手当、時間外勤務手当及び有給休暇買取分について上記差額の支払を求め、給料、地域手当、期末手当、勤勉手当及び時間外勤務手当の差額について遅延損害金の支払を求めている。

Y社は、定年退職後の再雇用期間におけるXらには、就業規則における再雇用職員の給料に関する定めは適用されず、仮に適用されるとしてもXらの請求は権利濫用に当たると主張し、また、有給休暇買取分について買取の合意を争っている。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 Y社は、再雇用職員の給料に関する定めはXらに適用されないと主張する。
まず、Y社は、仮に再雇用職員の給料に関する定めがXらに適用された場合、Xらの再雇用期間における給料は、再雇用前の給料を上回ることとなるが、再雇用職員の給料に関する定めは、雇用慣行に従った通常の採用の場合を前提としているのであり、再雇用職員の給料が再雇用される前の給料を上回ることは想定されていないなどと主張する。
しかし、再雇用職員の給料に関する定めは、職務の級により異なる金額を記載しているものの、再雇用職員の定年退職までの勤続年数や定年退職時の給料の月額等によって再雇用職員の給料を区分していないのであるから、再雇用職員の給料に関する定めは,再雇用職員の定年退職までの勤続年数や定年退職時の給料の月額等にかかわらず、再雇用職員の職務の級に従って一律に適用されるものと解するのが相当であり、このように解する再雇用職員の給料に関する定めの内容が不合理であるとはいえない
また、Y社は、Xらを再雇用するに際し、再雇用後の給料を含む雇用条件は再雇用前と同じであることを説明し、Xらはそれを承認していたと主張する。
しかし、同事実を認めるに足りる証拠はなく、仮にY社の主張するような説明と承認があり、これについてXらと被告が合意していたとしても、その内容はXらに適用される再雇用職員の給料に関する定めに達しない労働条件であるから、同合意は無効である。

あまり見かけないタイプの事案です。

規程内容からすると、このような判断もしかたがありません。

今後ますます継続雇用制度に関する紛争が増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。

 

本の紹介1178 会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「若者と女性が教えてもらえないキャリア・アップの法則」です。

チャンスをしっかりものにする人が日頃から行っていることが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

日本では、リスクは『危険』と訳されてしまうため、避けるべきもの、という印象があるのではないかと思います。・・・リスクとは、何かのリターンを得るために必要とされる、金銭的・時間的な投資なのです。残念ながら、日本には男女を問わず、リスクをとらずにリターンだけ求めるという考え方をする人が多いようですが、リターンが多いということは、当然リスクも高いわけです。リターンを求めるなら、まず、リスクテイクの練習をしなければいけません。」(90頁)

リスクとリターンの相関関係は理解しつつ、日頃からリスクテイクの練習をしていないために、いざというときに足がすくんでしまうのです。

性格の問題ではなく「練習」の問題です。

日頃、ほとんどリスクテイクせずに生活していながら、いきなりリスクをとる選択をすることはできません。

「練習」をしていない人の思考傾向は、何かを得ることよりも何かを失いなくない気持ちが強いということです。

「安定」の呪縛から解放されない限り、リスクテイクに基づくリターンは得られません。

不当労働行為269 組合員に賞与を支給しないことは不当労働行為?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、他の従業員に支給した平成28年冬季賞与を組合員に支給しなかったことが不当労働行為にあたるとした事案を見てみましょう。

大久保自動車教習所事件(中労委令和2年9月2日・労判1238号101頁)

【事案の概要】

本件は、他の従業員に支給した平成28年冬季賞与を組合員に支給しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、分会員の労働条件の引下げについて組合との間で妥結に至らず、労使の対立が長期間継続する中、Y社の規程上、分会員、フリー社員いずれを、Y社の業績と労働者の勤務成績又は業績に応じて賞与が支払われることとなっている賞与について、組合からの賞与要求に対しては累積赤字等を理由に支給を拒みつつ、貢献度が高いとするフリー指導員に限らず、非組合員であるフリー社員全員に対して、分会員が冬期休暇で不在の日に、28年冬季賞与を支給したものである。
これらの事情を踏まえると、Y社は、分会員が組合の組合員であることを理由として28年冬季賞与を支払わなかったものと認められる。

組合員と非組合員との区別について合理的理由を説明できるか否かがポイントです。

本件のような取扱いに関する合理的説明は極めて困難でしょう。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。

本の紹介1177 世界基準の働き方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

以前紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者は、ネスレ日本代表取締役の方です。

タイトルのとおり、世界のエリートに負けない仕事術が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『上司のマネジメントが悪いから、生産性が上がらない』『会社が働きやすい環境を用意してくれないから、残業が減らない』確かにそれは事実だろうが、そうやって他人のせいにするのは簡単だ。そのままでは、あなた自身は何も変わらないだろう。自分を成長させるのは、自分自身である。そのことを決して忘れてはいけない。」(143頁)

他人のせいにして状況が好転することはありません。

これは断言できます。

自分の人生は自分で選択した結果です。

上司や会社の不満を言う暇があるのなら、退職してよりよい環境へ移ればいいのです。

不満を言っているうちに人生は終わってしまいます。

賃金214 業務手当は固定残業代?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、業務手当の割増賃金該当性に関する裁判例を見てみましょう。

ライフデザイン事件(東京地裁令和2年11月6日・労判ジャーナル109号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、雇用契約に基づき、未払割増賃金等の支払を、また、Y社の代表取締役であったCに対し、会社法429条に基づき、Y社と連帯して、同額の賠償金の支払、Y社に対し、労基法114条に基づき、上記割増賃金と同額の付加金等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社及びCは、業務手当が割増賃金の趣旨で支払われたものであると主張するが、Xが在職していた当時に就業規則や賃金規程は存在しなかったところ、労働条件通知書や採用内定通知書といった雇用契約の内容が記載された書面では、単に固定給として月30万円が支払われるとされただけで、業務手当が支払われる趣旨について何ら記載されることはなくXの採用時にその趣旨について説明がされることもなく、Cも業務手当を割増賃金として支払っていたかは分からない旨供述していることから、業務手当が割増賃金として支払われたとは到底認められない。

2 Xは、Y社の代表取締役であったCが、故意又は重過失によりY社に労基法37条を遵守させず、Xに対して割増賃金を支払わせる任務を行ったことにより、Xに割増賃金相当額の損害が発生した旨主張するが、そのことにつきCに悪意又は重大な過失があったとまで認めるべき的確な証拠はなく、また、Xは、Y社に対し、時間外労働等の時間に相当する額の割増賃金の支払請求権を有するのであって、Xに割増賃金相当額の損害が発生しているということはできないから、Cは、Xに対し、上記損害についての損害賠償責任を負わない。

各種手当を固定残業代として支払っている会社はリスクしかありません。

固定残業代は「固定残業代」として支払いましょう。そうすればだれがどう見ても固定残業代なので。

今回の紛争も日頃から顧問弁護士に相談をすれば、間違いなく防げるレベルです。

本の紹介1176 シンプルに考える#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

著者は元LINE代表取締役の方です。

今から6年前に出版された本ですが、読み返してみました。

帯には「本当に大切な1%に100%集中する」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功を捨て続けることが、その人の成長につながると僕は考えています。新しいことに挑戦すれば、当然、失敗のリスクは高まります。だからこそ、過去の成功にしがみついてしまう。『守り』に入ってしまうのです。そして、同じことをやり続けることに執着し始める。しかし、その間にも、新しい技術は次々と生み出され、ユーザーのニーズも変化し続けます。気づいたときには、時代に取り残されてしまうのです。」(92頁)

過去の成功を捨てることは本当に難しいです。

成功した方法を続けていたほうが安心ですから。

しかし、この発想では新しいモノは生まれません。

過去の延長線からはみ出すこともなく、ただ同じやり方を続けているだけですから。

これこそが「無難」のはじまりなのです。

死ぬまでチャレンジを続けるべきだと思いますし、そうでなければつまらないです。

賃金213 固定残業代が有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業手当と未払割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

フーリッシュ事件(大阪地裁令和3年1月12日・労判ジャーナル110号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、未払割増賃金等の支払及び付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 出勤時刻及び退勤時刻について、出退勤時にタイムカードを打刻していたことが認められるから、基本的にタイムカードの打刻時刻をもってXの出勤時刻及び退勤時刻と認めるのが相当であり、始業時刻について、Xは、所定の始業時刻より前の時間についても労働時間に当たると主張するが、Y社がXに対して早出を命じていたと認めることはできないから、Xが午前6時30分より前に出勤した場合の出勤時刻から所定労働時刻である午前6時30分までの間は労働時間と認めることはできないが、ただし、平成30年12月24日については、早出の出勤命令があったものと容易に推認されるから、出勤時刻を始業時刻と認めるのが相当であり、終業時刻について、Xは、所定労働時刻後も、菓子の製造作業や清掃等の業務に従事していたものと認められ、かかる業務への従事につき、少なくともY社の黙示の指示命令があったと推認されるから、退勤時刻をもって終業時刻と認めるのが相当であり、休憩時間について、始業時刻から終業時刻までの間に少なくとも1日につき1時間30分の休憩時間を取得していたものと認めるのが相当である。

2 本件雇用契約においては、固定残業手当として月額2万6000円又は2万9000円が支払われる旨の定めがあるところ、Xは、Y社との間で、当初、雇用契約を締結した際にも、固定残業手当が月2万6000円である旨が明記されている契約書を取り交わしたものと推認され、これらの固定残業手当の定めの存在を認識したものと認められ、また、XがY社から交付を受けていた毎月の給与明細書には、固定残業手当として2万6000円又は2万9000円が計上されているところ、Xがこれについて特段の異議を述べた形跡はなく、そして、固定残業手当は、その名称からも、これが通常の労働時間の賃金ではなく、時間外労働等の割増賃金として支払われる手当であることを容易に理解することができるから、Xに支払われていた固定残業手当は、本件雇用契約において、時間外労働等に対する割増賃金として支払われるものとされていたと認められ、かつ、当該手当が基本給とは別に定められていることからすると、その全額が時間外労働等に対する対価として支払われるものであることを明確に判別することができるといえるから、Y社による固定残業手当の支払をもって、時間外労働等に対する賃金の支払とみることができる。

上記判例のポイント2のようにしっかり固定残業制度の基本を押さえていれば有効と判断されます。

それほど難しいものではないのですが、要件を満たさない会社が山ほど存在しますので気を付けましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。