賃金219 休職中の不就労等についての未払賃金等支払請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、休職中の不就労等についての未払賃金等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

ウィンアイコ・ジャパン事件(東京地裁令和3年5月28日・労判ジャーナル115号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、平成30年9月分及び同年10月分の日割給与が未払であるとして、労働契約に基づく未払賃金等の支払を求めるとともに、Y社から解雇されたにもかかわらず解雇予告手当が支払われないとして、労働契約に基づく賃金請求として解雇予告手当等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払賃金等請求一部認容

【判例のポイント】

1 本件休職命令による休職がY社の責に帰すべき事由による履行不能(民法536条2項)に当たるかについて、①本件契約において、Xが競業避止義務を負うことが明確に定められていたこと、②本件解雇の理由は、Xが会社在籍中、Y社商品の売買仲介等によって利益を上げる目的でY社を設立し、競業避止義務に違反したというものであること、③Y社が主張するXの競業避止義務違反の態様は、Xが某と共謀して、真の顧客である第三者が高額で支払うことに合意しているにもかかわらず、Y社に対して低額でしか売れない旨を報告してY社をして低額で販売する決裁をせしめ、その差額を自己らの利益としたということを反復継続して行い、Y社に損害を与えたというものであること、④本件休職命令時点で、Xが上記③の行為をした疑いがあったことから、Y社がXに対して解雇が妥当か否かを調査するためにXに対して本件休職命令をもって休職を命じたのは合理的というべきであり、Xの休職はY社の「責めに帰すべき事由」によるものとは認められず、Y社は、Xに対して、その休職期間につき労働基準法26条に基づき平均賃金の60%を支払えば足りるものであり、それを超える責任は負わない。

上記①から④の理由に基づき、裁判所は賃金100%の支払を否定しました。

しかしながら、ノーワークノーペイとはいかず、労基法26条の適用を肯定したために60%分は支払を命じています。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。