不当労働行為283 組合の内部運営を理由とした団交拒否が不当労働行為にあたるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合が大会を適法に行っていないなど組合の適法性に疑問があること等を理由に、会社が団交に応じないことが不当労働行為にあたるとされた事案を見ていきましょう。

クローバー事件(東京都労委令和3年1月19日・労判1254号96頁)

【事案の概要】

本件は、組合が大会を適法に行っていないなど組合の適法性に疑問があること等を理由に、会社が団交に応じないことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社は、組合の団体交渉の申入れに対し、労組法第2条の自主性及び同法第5条第2項第5号の民主性の点で組合の法適合性並びにA委員長の代表者としての資格に疑義を示して代議員の選出手続などについて具体的な説明を求め、説明がなかったことを理由として団体交渉に応じなかった。
しかし、会社が疑問視する組合の自主性や民主性に関する事項は、組合の内部運営に係る事柄であるから、団体交渉を拒否する理由にならない

2 組合が内部規約に違反して代議員を選出したとしても、それは単に内部規約違反にとどまり、その解決は組合の自主性に委ねられるべきものであるから、それが直ちにA委員長の代表者資格や組合の法適合性に影響を与えるものとはいえない

このような理由で団交拒否が正当化されることはありません。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。